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きわ
ふりがな文庫
“
究
(
きわ
)” の例文
従ってまた死して行く処には迷わずにいられたのである。それが正しかったか否かは、私たち歴史を
究
(
きわ
)
むる者の問うところではない。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
というのは、不幸な飯塚薪左衛門親子を苦しめる、五郎蔵という、博徒の親分の正体を見
究
(
きわ
)
めようために、やって来た彼だからである。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いや、それだけではすまされないのだ。そういう筋道を
辿
(
たど
)
って
究
(
きわ
)
めて行けば、思想の開顕という概念が得られそうに思うからだね。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
同じ心持で清少納言や
鴨長明
(
かものちょうめい
)
を読み、馬琴や京伝三馬の俗文学までも
究
(
きわ
)
め、課題の文章を練習する
意
(
つもり
)
で近松や馬琴の真似をしたり
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私はその間ここにいては
邪魔
(
じゃま
)
になるから、例の小説の資料を採訪すべく、五六日の予定で
更
(
さら
)
に深く吉野川の源流地方を
究
(
きわ
)
めて来る。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
今迄
貪
(
むさぼ
)
っていた母の乳房を離して、その澄んだ瞳を上げて、それが何物であるかを
究
(
きわ
)
めようとする時のような様子をしていたように思う。
幼い頃の記憶
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
童謡
俚諺
(
りげん
)
を尋ね、あるいは古音旧辞を
究
(
きわ
)
め、歌詞楽舞を伝えて、古史研究に文献学に少からぬ寄与をされた功は特筆せねばなるまいと思う。
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
また、多少の身びいきや偏見がまじっていたとしても、自分というもののほんとうの姿を、だいたいにおいて正しく見
究
(
きわ
)
めることが出来た。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
何よりは、そなたに取って、共に
鎚
(
つち
)
を持ち、刀の鍛錬を
究
(
きわ
)
めるに、よい相手がない。弟子もない。それを環は苦にしていやる。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然
(
しか
)
るに最も多く人世を観じ、最も多く人世の
秘奥
(
ひおう
)
を
究
(
きわ
)
むるという詩人なる怪物の最も多く恋愛に
罪業
(
ざいごう
)
を作るは
抑
(
そもそ
)
も
如何
(
いか
)
なる理ぞ
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
事物の真実を
究
(
きわ
)
めまたそれによって国民の思想と行動とをその上に立たせようとする学問の本質と価値とを理解するに至らないためであった。
日本歴史の研究に於ける科学的態度
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
これをお化け囃子と名づけ、天狗のいたずらと怖れてしまうのは、それを
究
(
きわ
)
める人に、究めるだけの勇気と根気とがないせいでありましょう。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
表現の直接の目的は、社会の実情を観照し、人情を
究
(
きわ
)
め、風俗を知り、旅行の到るところに観察を
見出
(
みいだ
)
すことに存している。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
汝等世の人、
理
(
ことわり
)
を
究
(
きわ
)
むるにあたりて
同一
(
おなじひとつ
)
の路を歩まず、これ
外見
(
みえ
)
を飾るの慾と思ひとに迷はさるゝによりてなり 八五—八七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
眼に映ずると同時に心眼に映ずる処の物象の確実な相を
掴
(
つか
)
みよく了解し、よく知りよくわきまえ、その成立ちを
究
(
きわ
)
める事が肝要ではないかと思う。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
朱雀
(
すざく
)
院は重い学問のほうは奥を
究
(
きわ
)
めておいでになると言われておいでにならないが、芸術的な趣味の豊かな方としてすぐれておいでになりながら
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
然れどもこはいまだよく江戸演劇の性質を
究
(
きわ
)
めざる者の
謬見
(
びゅうけん
)
なり。余は江戸演劇を以て
仏蘭西
(
フランス
)
のオペラコミックの如き物に比較せんと欲するなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
友釣でも、ドブ釣でも技術の真髄を
究
(
きわ
)
めようとするには、どうしても鮎と水垢との関係を
詳
(
つまびら
)
かにして置く必要がある。
水垢を凝視す
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
未
(
いま
)
だ碌に御府内を見たことが無いというから同道して来たが、
起倒流
(
きとうりゅう
)
の奥儀を
究
(
きわ
)
めあるだけあって、
膂力
(
ちから
)
が強いばかりで、頓と
風流気
(
ふうりゅうぎ
)
のない武骨者じゃ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
乃
(
すなわ
)
ち前記W氏の観察と、三項の談話とを通じて、この事件の真相を
究
(
きわ
)
むべき、観察要項を列挙すれば左の如し。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつぞはこの川の出ずるところをも
究
(
きわ
)
め、武蔵禰乃乎美禰と
古
(
いにしえ
)
の人の
詠
(
よ
)
みけんあたりの山々をも見んなど思いしことの
数次
(
しばしば
)
なりしが、ある時は須田の堤の上
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
不可避にしたところの根本的矛盾を
究
(
きわ
)
めることなしには、問題解決の糸口をつかむことこそ不可能であろう。
『日本資本主義発達史講座』趣意書
(新字新仮名)
/
野呂栄太郎
(著)
犬を愛し犬の習性を深く
究
(
きわ
)
め尽くした作者でなければ到底表現することのできない真実さを表現している。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
真を描く文学は、真を
究
(
きわ
)
めさえすればよろしいとなる。その結果他の情操と衝突しても、まあ好いとする。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
別れた時の言葉はまるで忘れたような今の葉子の電話の
爽
(
さわ
)
やかさには、自身に閉じ
籠
(
こ
)
もってもいられないような衝動が感じられ、変転
究
(
きわ
)
まりない彼女の行動を
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もっぱら
其
(
そ
)
の
独
(
ひと
)
りを慎んで古聖賢の道を
究
(
きわ
)
め、学んで
而
(
しこう
)
して時に
之
(
これ
)
を習っても、遠方から福音の訪れ来る気配はさらに無く、毎日毎日、忍び難い侮辱ばかり受けて
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
たとい八万の法蔵を
究
(
きわ
)
めたとて、極楽の門が開けるわけではありません。念仏だけが
正定
(
しょうじょう
)
の
業
(
ごう
)
です。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ものの真相はなかなか小さな虫の生活でさえ
究
(
きわ
)
められるものではない。人間と人間との交渉など、どうして満足にそのすべてを見尽せよう。到底及びもつかないことだ。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
野村の生れや育ちにだけたよって、作家である現在の野村を
究
(
きわ
)
めなかったことは、誰も彼もうかつであったというしかない。その限りでは閑子をせめることは出来ない。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
蜘蛛
(
くも
)
の巣に顔を包まれては土蜘蛛の精を思い出して逃げかえった。しかしこうして踏み馴れた道を知らず知らずに造って私はついにわが家の庭の奥底を
究
(
きわ
)
めたのであった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
私は、
些
(
いささ
)
かながらあの魔境について知っております。あなたが、五か年の辛苦のすえやっと
究
(
きわ
)
めたもの以上を、私は、ヨーロッパにおりながら不思議にも存じているのです。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
煙草を口元から
除
(
と
)
ってその物の音を
究
(
きわ
)
めようとする間もなく、家がぐらぐらと揺れだし、畳は性のあるものが飛び出そうとでもするかのように、むくむくと持ちあがりだした。
死体の匂い
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
国語に「あやし」といふ語幾様の意味に用うるや能く
究
(
きわ
)
めずといへども、昔は見苦しき
賤
(
しず
)
が
家
(
や
)
をあやしげなる家など言ひたるは少からず。されどそは
此処
(
ここ
)
に用うべきにあらず。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これより外に、その夫人が
良人
(
おっと
)
のいい土産でありその上彼女の可愛い小さな娘たちのいい友達を人手に渡そうなどと思い立つ理由を、わたしは思い
究
(
きわ
)
めることが出来ないのです。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
申されるのじゃ。この
期
(
ご
)
に及んで武儀の頓着は一切無用じゃ。愚僧は、もはや分別を
究
(
きわ
)
め申した。御身を敵と思う妄念は一切断ち申す。もし、貴僧にお志あらば、亡父の後生菩提を
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
これを利用すればまた
頗
(
すこぶ
)
る有用のものであることも論をまたない。しかしあくまで科学的の研究をしてその性質を
究
(
きわ
)
めなければ、利用の効果を十分に挙げ得ないことも明かである。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
藤井は
妾
(
しょう
)
の
何人
(
なんびと
)
なるかを問い
究
(
きわ
)
むる暇もなく、その人に
牽
(
ひか
)
れて来り見れば、何ぞ
図
(
はか
)
らん
従妹
(
じゅうまい
)
の妾なりけるに、更に思い寄らぬ
体
(
てい
)
にて、
何故
(
なにゆえ
)
の東上にや、両親には許可を得たりやなど
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
教ゆる者の説明
如何
(
いか
)
に
懇
(
ねんご
)
ろなるも学ぶ者が熱心に練習せざれば料理の道を
究
(
きわ
)
め
難
(
がた
)
し。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
いわゆる蛇は寸にしてその気ありだ。
蟾蜍
(
ひきがえる
)
など蛙類に進退
究
(
きわ
)
まる時頭を以て敵を押し退けんとする性あり。コープ博士だったかかくてこの輩の頭に追々角が
生
(
は
)
える筈といったと覚える。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
十年相
累
(
かさな
)
りて百年たり。一日なお遠し、一時にあり。一時なお長し、一刻にあり。一刻なおあまれり、一分にあり。ここを以っていう時は千万歳のつもりも、一分より出で、一日に
究
(
きわ
)
まれり
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
民情に通じ、
下賤
(
げせん
)
を
究
(
きわ
)
めることをもって奉行職の一必要事と
観
(
かん
)
じている越前守は、お役の暇を見てよくこうして江戸の巷を
漫然
(
まんぜん
)
と散策することを心がけてもいたし、また
好
(
この
)
んでもいたのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
江戸司直の手は、最近
殊
(
こと
)
に手きびしく、この怪人の
行方
(
ゆくえ
)
を、追い
究
(
きわ
)
めていた。あまりに
屡々
(
しばしば
)
、権門富家の厳重な
緊
(
しま
)
りを、自由に破られるので、今や、警吏の威信が疑われて来ているのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
二つの道をいかにすべきかを
究
(
きわ
)
めあぐんだ時、人はたまりかねて解決以外の解決に走る。なんでもいいから気の落ち付く方法を作りたい。人と人とが互いに不安の眼を張って顔を合わせたくない。
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
なるほど、なにごとにしても、理を
究
(
きわ
)
めんとすれば心理学の原理に入らざるを得ないから、
容易
(
ようい
)
ならざる専門的研究となるが、
吾人
(
ごじん
)
の平常
踏
(
ふ
)
むべき道は
藪
(
やぶ
)
の中にあるでなし、
絶壁
(
ぜっぺき
)
断巌
(
だんがん
)
を
沿
(
そ
)
うでもない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
正不正を
究
(
きわ
)
むる事をせずに請け売りして騒ぐ。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「それ程、無念と思うなら、この後は心を
戒
(
いまし
)
めて、一心に道を
究
(
きわ
)
めて行くことじゃ。……涙などこぼして、見苦しい。その顔を拭きなされ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまだ
究
(
きわ
)
められざる文化史上の大いなる動力、殊に近世における複雑なる変遷が、原因であったということを認めるをもって足るかと思う。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
またはその事件その行動によって如何なる社会状態が形成し得られたかを
究
(
きわ
)
めるか、
何
(
いず
)
れかの方法をとらねばなるまい。
歴史の学に於ける「人」の回復
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
「そこまでは
究
(
きわ
)
めてみませんでしたが、斎藤先生の門下であり、流儀が神道無念流であることは、争われません」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もう天命
究
(
きわ
)
まったと思うと、一寸指の先へ障りましたのは、
先刻
(
さっき
)
ふと女房に聞いた柿の皮を剥く庖丁と云う
鯵切
(
あじきり
)
の様な物が、これが手に障ったのを
幸
(
さいわい
)
と
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
究
常用漢字
小3
部首:⽳
7画
“究”を含む語句
究竟
研究
探究
研究室
見究
究極
究明
考究
究屈
研究資料
究竟涅槃
討究
研究会
追究
研究心
捜究
攻究
詳究
尋究
學術的研究
...