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爪立
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つまだ
ふりがな文庫
“
爪立
(
つまだ
)” の例文
或
(
あるひ
)
は
屹度
(
きつと
)
、及第の通知が間違つてゐたのではないかと、
愬
(
うつた
)
へるやうにして父兄席を見ると、木綿の
紋付袴
(
もんつきはかま
)
の父は人の肩越しに
爪立
(
つまだ
)
ち
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
哲郎は起って女と並んだ時、
爪立
(
つまだ
)
ちを
止
(
や
)
めた女の体がもったりと
凭
(
もた
)
れて来た。哲郎はその女の体を支えながらボール箱に手をやった。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
生身
(
いきみ
)
では渡られない。
霊魂
(
たましい
)
だけなら乗れようものを。あの、
樹立
(
こだち
)
に包まれた
木戸
(
きど
)
の中には、その人が、と足を
爪立
(
つまだ
)
ったりなんぞして。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
タネリは、こっそり
爪立
(
つまだ
)
てをして、その一本のそばへ進んで、耳をぴったり茶いろな幹にあてがって、なかのようすをうかがいました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
夜
(
よる
)
の
燭火
(
ともしび
)
は
燃
(
も
)
え
盡
(
つ
)
きて、
嬉
(
うれ
)
しげな
旦
(
あした
)
めが
霧立
(
きりた
)
つ
山
(
やま
)
の
巓
(
いたゞき
)
にもう
足
(
あし
)
を
爪立
(
つまだ
)
てゝゐる。
速
(
はや
)
う
往
(
い
)
ぬれば
命
(
いのち
)
助
(
たす
)
かり、
停
(
とゞ
)
まれば
死
(
し
)
なねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
彼女は
丁度
(
ちょうど
)
奥の窓から
額際
(
ひたいぎわ
)
に落ちるキラキラした朝の
日光
(
ひかげ
)
を
眩
(
まぶ
)
しさうに眼を
顰
(
しか
)
めながら、
閾
(
しきい
)
のうへに
爪立
(
つまだ
)
つやうにして黒い
外套
(
がいとう
)
を脱いだ。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
女は足を
爪立
(
つまだ
)
てて台所へ出て、女中に病室へ行っているように差図した。それから帽子と
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
とを持って、飛ぶように
梯子段
(
はしごだん
)
を降りた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
草鞋
(
わらじ
)
を
爪立
(
つまだ
)
てるように、抜足をするように、手拭に遠慮をするように、廻った。
怖
(
こわ
)
そうにも見えた。面白そうにもあった。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
少なくとも自分を追い払う者は誰もないとブロックは見てとり、顔を緊張させ、後ろにまわした両手を
痙攣
(
けいれん
)
させながら、
爪立
(
つまだ
)
ちではいってきた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
可愛いダンスの草履を
穿
(
は
)
いた白足袋の足を
爪立
(
つまだ
)
てて、くるりくるりと身を
飜
(
ひるがえ
)
すと、華やかな長い
袂
(
たもと
)
がひらひらと舞います。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どこかで何か
釘
(
くぎ
)
でも打っているような風である……彼は窓ぎわへ行って
爪立
(
つまだ
)
ちしながら、異常な注意集中の表情で、内庭の中を目で捜してみた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
足を
爪立
(
つまだ
)
てるようにして中二階の前の
生垣
(
いけがき
)
のそばまで来て、垣根
越
(
ご
)
しに上を見あげた。二階はしんとしている。この時
母屋
(
おもや
)
でドッと笑い声がした。
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
儀作がつりこまれて、
爪立
(
つまだ
)
ちして道のむこうを望み見たとき。パッともと来たほうへかけだしたんです、与吉の野郎。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
槐
(
えんじゅ
)
の根もとに走り寄った敏子は、
空気草履
(
くうきぞうり
)
を
爪立
(
つまだ
)
てながら、出来るだけ腕を伸ばして見た。しかし籠を吊した枝には、容易に指さえとどこうとしない。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
キューテックの染料で
爪
(
つめ
)
を染め、きつね一匹をまるごと首に巻きつけ、
大蛇
(
だいじゃ
)
の皮の
靴
(
くつ
)
を
爪立
(
つまだ
)
ってはき歩く姿を昔の女の眼前に出現させたらどうであったか。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お銀は人の肩越しに、足を
爪立
(
つまだ
)
てて、花道から出て来る
八百蔵
(
やおぞう
)
の加藤を、やっと頭の先だけ見ることができた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
片手は土手の草に取つき、ずーと立上ったが
爪立
(
つまだ
)
ってブル/\っと
反身
(
そりみ
)
に成る途端にがら/\/\/\と口から
血反吐
(
ちへど
)
を吐きながらドンと前へ倒れた時は
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
またあのマタ・アリが来るというんで
爪立
(
つまだ
)
ちして待ちかまえていた。ニュウリイに素晴らしいアパアトメントがとってある。戦時でも、パリーの灯は華やかだ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
太陽が西を見つけ出したようなその喜び‥‥船の中の人たちは思わず足
爪立
(
つまだ
)
てんばかりに総立ちになった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その内に又た人を押分けて来て、リツプの腕を握つたのは、忙し気な丈の低い男で、足を
爪立
(
つまだ
)
てゝ耳に口を寄せ、「君は聯合党員ですか、または民政党員ですか、」
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
私は時を置いて三四度、部屋の中を
爪立
(
つまだ
)
ち歩きをして廻って見たが、どうにもならない。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は
遂
(
つい
)
にあるとき、そっと
爪立
(
つまだ
)
ちをして、
襖
(
ふすま
)
の引き手の
破目
(
われめ
)
から中を
覗
(
のぞ
)
いて見た……。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
さてこそと身を潜めひそかに家の外に出で、背戸の方に廻りて見れば、まさしく狐にて首を流し元の穴に入れ後足を
爪立
(
つまだ
)
ててゐたり。ありあはせたる棒をもてこれを打ち殺したり。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
私も一生懸命でしたよ。
爪立
(
つまだ
)
ちして伊藤公の
担
(
かつ
)
がれて行くのを見ていました——。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
勾配
(
こうばい
)
がつかぬので、屋根は
海鼠板
(
なまこいた
)
のトタンにし、
爪立
(
つまだ
)
てば頭が
閊
(
つか
)
える
天井
(
てんじょう
)
を張った。先には食堂にして居たので、此狭い
船房
(
カビン
)
の様な棺の中の様な
室
(
しつ
)
で、色々の人が余等と食を共にした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
鞭
(
むち
)
でたたかれながら
弾
(
はず
)
みをつけて渡り切ろうとしても、中程に来ると、
轍
(
わだち
)
が空まわりする。馬はずるずる後退しそうになる。
石畳
(
いしだたみ
)
の上に
爪立
(
つまだ
)
てた
蹄
(
ひづめ
)
のうらがきらりと光って、口の
泡
(
あわ
)
が白い。
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
花束に未練はあっても
出費
(
ついえ
)
を好まぬ温和なる人々は、アルベエル一世公園を貫く車道の両側にて、一脚五法の貸し椅子に納まり、そのうしろにして、
爪立
(
つまだ
)
ちしてなお及ばざるは音楽堂の屋根
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼は
胆
(
きも
)
をつぶして震えながら立ち止まり、
爪立
(
つまだ
)
っていた足の
踵
(
かかと
)
をおろした。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
爪立
(
つまだ
)
ち、
蹲
(
かが
)
んでくるりとやるかと思うと、ひょくりと
後足
(
あとあし
)
で
跛
(
びっこ
)
をひく。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
小声で口をきき
爪立
(
つまだ
)
って歩いた。家じゅうがひっそりしてしまった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
帳面方が
爪立
(
つまだ
)
ちしながら姓名を呼びあげた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
火の目小僧は
後
(
うしろ
)
を向いて
爪立
(
つまだ
)
ちをして
ぶくぶく長々火の目小僧
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
爪立
(
つまだ
)
てをして手を上げて秋高し
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
かぼそい靴を
爪立
(
つまだ
)
てて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
面影も、色も
靉靆
(
たなび
)
いて、欄間の雲に浮出づる。影はささぬが、香にこぼれて、後にひかえつつも、畳の足はおのずから
爪立
(
つまだ
)
たれた。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こう話しているうちにもう、
爪立
(
つまだ
)
ちながら一台の自動車に合図して、運転手に行先をどなってやりながら、Kを後ろ手で自動車に引っ張りこんだ。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
嘉十はすすきに
触
(
ふ
)
れないように気を付けながら、
爪立
(
つまだ
)
てをして、そっと苔を
踏
(
ふ
)
んでそっちの方へ行きました。
鹿踊りのはじまり
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
町の雪は半分
泥
(
どろ
)
のようになった上を
爪立
(
つまだ
)
って走る女もあれば、五六人隊を組んで歌って通る若者もある。巡査もにこにこして、時々プロージットの返答をしている。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
内儀
(
かみ
)
さんは背の低い、品のない、五十四、五の女で、
良人
(
おっと
)
に羽織を着せる時、
丈
(
たけ
)
一杯
爪立
(
つまだ
)
てする様子を、お庄は後で思い出し笑いをしては、
年増
(
としま
)
の仲働きに
睨
(
にら
)
まれた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それまでは、牛か馬のようにごろごろしておって、悪態を聞かされるばかりだったのが、今度は——みんな
爪立
(
つまだ
)
ちで歩きながら、子供たちまでたしなめるじゃがせんか。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
今日のように
爪立
(
つまだ
)
てていた足の
尖
(
さき
)
を伸べて、ヰシキの下に敷くに至って、ついに今一つ以前の坐礼を忘れてしまい、オラクニヰルことをもって欠礼と感ずるようになったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
土間
(
どま
)
へおりて
爪立
(
つまだ
)
つようにして
瓦斯
(
ガス
)
のねじを
撚
(
ひね
)
り、それにマッチの火を移した。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
さうしてその上へ乗りながら、
長押
(
なげ
)
しの金羽根を取り出さうとした。その時私は
背
(
せい
)
の低い彼が、踏み台の上に
爪立
(
つまだ
)
つたのを見ると、いきなり彼の足の下から、踏み台を
側
(
わき
)
へ
外
(
はづ
)
してしまつた。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
竹の打ち付け窓に
煤
(
すゝ
)
だらけの障子を建て、脇に
欅
(
けやき
)
の板に人相墨色白翁堂勇齋と記して有りますが、家の前などは掃除などした事はないと見え、
塵
(
ごみ
)
だらけゆえ、孝助は足を
爪立
(
つまだ
)
てながら
中
(
うち
)
に
入
(
い
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は、そんなことをしている自分がいとわしくなって、何度も、
咳
(
せき
)
払いでもして姿を出そうか、それとも
爪立
(
つまだ
)
ちして庭のむこうへ帰ろうかと思っても、足が動かなかった。からだがきかなかった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……
扱帯
(
しごき
)
を
繋
(
つな
)
いで、それに
縋
(
すが
)
って、
道成寺
(
どうじょうじ
)
のつくりもののように、ふらふらと幽霊だちに、
爪立
(
つまだ
)
った
釣身
(
つりみ
)
になって覗いたのだそうです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嘉十
(
かじふ
)
はすすきに
触
(
ふ
)
れないやうに
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けながら、
爪立
(
つまだ
)
てをして、そつと
苔
(
こけ
)
を
踏
(
ふ
)
んでそつちの
方
(
はう
)
へ
行
(
い
)
きました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そして戸口には、Kがさっき遠くから認めた男が立って、
丈
(
たけ
)
の低い
鴨居
(
かもい
)
にしっかりと身をささえて、気短かげな観客のように、
爪立
(
つまだ
)
ちながら少し身体を揺すっていた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
あとの一パーセントだけが
爪立
(
つまだ
)
ってみても少し届かないといったようなものが多いような気がする。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そっと
爪立
(
つまだ
)
ちで庭番小屋へ近づき、段々を二つおりて弱い声で庭番を呼んだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
爪
常用漢字
中学
部首:⽖
4画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“爪立”で始まる語句
爪立足