タネリは、こっそり爪立てをして、その一本のそばへ進んで、耳をぴったり茶いろな幹にあてがって、なかのようすをうかがいました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット (旧字旧仮名) / ウィリアム・シェークスピア(著)
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
儀作がつりこまれて、爪立ちして道のむこうを望み見たとき。パッともと来たほうへかけだしたんです、与吉の野郎。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その内に又た人を押分けて来て、リツプの腕を握つたのは、忙し気な丈の低い男で、足を爪立てゝ耳に口を寄せ、「君は聯合党員ですか、または民政党員ですか、」
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
さてこそと身を潜めひそかに家の外に出で、背戸の方に廻りて見れば、まさしく狐にて首を流し元の穴に入れ後足を爪立ててゐたり。ありあはせたる棒をもてこれを打ち殺したり。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻―― (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
小声で口をきき爪立って歩いた。家じゅうがひっそりしてしまった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ぶくぶく長々火の目小僧 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
それまでは、牛か馬のようにごろごろしておって、悪態を聞かされるばかりだったのが、今度は——みんな爪立ちで歩きながら、子供たちまでたしなめるじゃがせんか。
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そっと爪立ちで庭番小屋へ近づき、段々を二つおりて弱い声で庭番を呼んだ。
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)