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浅間
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あさま
ふりがな文庫
“
浅間
(
あさま
)” の例文
旧字:
淺間
冗談にもご愛嬌にもなりやしない。ただもう
浅間
(
あさま
)
しい、みじめな下等な人種として警戒されるくらいのものなのだわ。ばかばかしい。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
だが、鉄さん自身が
浅間
(
あさま
)
しい姿で、地虫のように台所口につくばった時、祖母は決してゆるさなかった。同情の安売りはしなかった。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
浅間
(
あさま
)
のふもとでは、石ころの多い土地にふさわしい野菜がとれます。その一つに、土地の人たちが
地大根
(
じだいこん
)
と呼んでいるのがあります。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ゆっくりオリジナルな投身地を考えているような余裕はないのみならず、三原山時代に
浅間
(
あさま
)
へ行ったのでは「新聞に出ない」のである。
ジャーナリズム雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あおいも、初めのうちは気味悪く思ったが、慣れると、しかたなく裏戸を開けて、
浅間
(
あさま
)
しい夫のそういう姿を青い庭木の間にながめた。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
此処に眉間に疵を
有
(
も
)
ってる男があるとする。何だかいやだ、気に喰わないような心持がする。これは
浅間
(
あさま
)
しいようだが実際である。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
軽蔑しないで
呉
(
く
)
れ
給
(
たま
)
え。君は
浅間
(
あさま
)
しいと思うだろうね。僕は人種が違っているのだ。
凡
(
すべ
)
ての意味で異人種なのだ。だが、その意味を
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「堪忍して下さいな、貴方をばけものだと思った私は、
浅間
(
あさま
)
しい
獣
(
けだもの
)
です、畜生です、犬です、犬に
噛
(
か
)
まれたとお思いになって。」
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実にそれこそは露骨で
浅間
(
あさま
)
しいくらいのものだったが、佐治も俳優になっていたら、さしずめ張治郎と同じだったに違いない。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
さうしてそれを見た
弟子
(
でし
)
たちは、先生は
好
(
い
)
い年になつても、まだ
貪心
(
たんしん
)
が去らないと見える、
浅間
(
あさま
)
しい事だと評したさうである。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
友人の、
浅間
(
あさま
)
しさを見ていると、下手なダンスを、いい齢をして、背の低いダンサアと踊っているのを見ているように、憂欝になってくる。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
その時疾翔大力は、まだ力ない雀でござらしゃったなれど、つくづくこれをご覧じて、世の
浅間
(
あさま
)
しさはかなさに、
泪
(
なみだ
)
をながしていらしゃれた。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
須走
(
すばしり
)
は鎌倉街道ではあるが、山の坊という感じで、
浅間
(
あさま
)
山麓の
沓掛
(
くつかけ
)
や
追分
(
おいわけ
)
のような、街道筋の宿駅とは違ったところがある。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ともすると
浅間
(
あさま
)
の煙りが曲つてなびき、光つた風が地平を払つて、此小さい街々にあるかない春の塵をあげた。再び云ふがそれは乾いた春であつた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
日本都市の外観と社会の風俗人情は遠からずして全く変ずべし。痛ましくも米国化すべし。
浅間
(
あさま
)
しくも
独逸化
(
ドイツか
)
すべし。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
信州
浅間
(
あさま
)
の
山麓
(
さんろく
)
の村では、この
盆竈
(
ぼんがま
)
の行事をカマッコというそうだが、これにも
物前
(
ものまえ
)
すなわち成女期に近づいた女たちが率先して、米と少しの
銭
(
ぜに
)
を
持寄
(
もちよ
)
り
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
おせんちゃんにゃ、千
人
(
にん
)
の
男
(
おとこ
)
が
首
(
くび
)
ッたけンなっても、
及
(
およ
)
ばぬ
鯉
(
こい
)
の
滝
(
たき
)
のぼりだとは、知らねえんだから
浅間
(
あさま
)
しいや
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
白川幸次郎が、香世子の霊に逢いに行ったのは、麻布広尾の分譲地のはずれにある、心霊研究会「霊の友会本部」という看板の出た
浅間
(
あさま
)
な二階建の家だった。
雲の小径
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
少し失敗すれば
直
(
す
)
ぐに
浅間
(
あさま
)
だ、
華厳
(
けごん
)
だという。これは
畢竟
(
ひっきょう
)
身体が弱く、神経ばかり鋭敏になるからである。
運動
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
是より最後の
楽
(
たのしみ
)
は奈良じゃと急ぎ登り行く
碓氷峠
(
うすいとうげ
)
の冬
最中
(
もなか
)
、雪たけありて
裾
(
すそ
)
寒き
浅間
(
あさま
)
下ろしの
烈
(
はげ
)
しきにめげず
臆
(
おく
)
せず、名に高き
和田
(
わだ
)
塩尻
(
しおじり
)
を
藁沓
(
わらぐつ
)
の底に踏み
蹂
(
にじ
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
雪之丞は、広海屋が、こちらの口車に乗せられ、ぐんと乗り出して来るのを、
浅間
(
あさま
)
しいものに眺めながら
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
この境涯では、人が面を着けているなどいう、そんな
浅間
(
あさま
)
な感情などは毛筋ほども働いていません。
無表情の表情
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
雲水僧はすっかり女にうつつを抜かれた様子で、玄関で
草鞋
(
わらじ
)
を穿くまで
浅間
(
あさま
)
しいまでに未練気な素振りを見せて居る。これに対して女もきぬぎぬの
訣
(
わか
)
れを惜しんでいる。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も「彼奴」にひきずられ、その
淫猥
(
いや
)
らしい興奮を乗せて、命の続くかぎりは
吾
(
われ
)
と
吾
(
わ
)
が
醜骸
(
しゅうがい
)
に鞭をふるわねばならないということは、なんと
浅間
(
あさま
)
しいことなのであろう。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
華厳
(
けごん
)
の
瀑
(
たき
)
にしても
浅間
(
あさま
)
の
噴火口
(
ふんかこう
)
にしても
道程
(
みちのり
)
はまだだいぶあるくらいは知らぬ
間
(
ま
)
に感じていたんだろう。行き着いていよいよとならなければ誰がどきんとするものじゃない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あのように
浅間
(
あさま
)
しく名声なぞと云うものにこせこせ執着していたのだろうと思ってなあ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
彼は今朝からほとんど半日の間、何者を待っているのか、何の瞑想に入っているのか、とにかく、立ちもせず身動きもせず、正面の
浅間
(
あさま
)
の
噴煙
(
けむり
)
と向い合ったままじっとしていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姿体の最も美しいのは
浅間
(
あさま
)
山である、
鼻曲
(
はなまがり
)
連山の上に聳立している富士形は、七百米に近い高度を有し、左右均整の妙は寧ろ富士に優るものがある、外輪山の剣ヶ峰や
牙山
(
きっばやま
)
などは
山と村
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
一台の機関車、一台の電車、一台のバスキャデラク、飛行機を見てさえも、これは
俺
(
おれ
)
の一生よりも少し高い、これは絵描き何人分の生活だ、という
浅間
(
あさま
)
しき事を考えて見たりする。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
貧民妻子を引連れ来りて之を争ひ食へる
状
(
さま
)
は、
宛然
(
さながら
)
蟻
(
あり
)
の集まる如く、蠅の群がるに異ならで哀れにも
浅間
(
あさま
)
しかり、されば一町
斯
(
かく
)
の如き挙動に及ぶを伝へ聞けば隣町忽ちこれにならひ
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だが、何という
浅間
(
あさま
)
しさであろう。これほどおびえた私であるのに、その後もやはり、自分の高買いの埋め合わせをつけて、祖母の機嫌を取るために、幾度か私はこれを繰り返した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
顔見世狂言にひどい不評を招いた中村七三郎は、年が改まると初春の狂言に、『
傾城
(
けいせい
)
浅間
(
あさま
)
ヶ
嶽
(
だけ
)
』を出して、
巴之丞
(
とものじょう
)
の役に
扮
(
ふん
)
した。七三郎の巴之丞の評判は、すさまじいばかりであった。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
さて
眺望
(
みわたせ
)
ば越後はさら也、
浅間
(
あさま
)
の
烟
(
けふり
)
をはじめ、信濃の連山みな
眼下
(
がんか
)
に
波濤
(
はたう
)
す。
千隈
(
ちくま
)
川は白き糸をひき、佐渡は青き
盆石
(
ぼんせき
)
をおく。能登の
洲崎
(
すさき
)
は
蛾眉
(
がび
)
をなし、越前の遠山は
青黛
(
せいたい
)
をのこせり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
やまやという感心もせぬ旅宿に
昼餐
(
ちゅうさん
)
したため、白馬山におくられ、犀川よぎり、
小諸
(
こもろ
)
のあたり
浅間
(
あさま
)
山を
飽
(
あ
)
かず眺め、八ヶ岳、
立科
(
たてしな
)
山をそれよと指し、
落葉松
(
からまつ
)
の赤きに興じ、
碓氷
(
うすい
)
もこゆれば
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
またそうなると、私の激情はなお増しつのっていって、いきなりその肩を抱きしめて、
揉
(
も
)
み砕いてしまいたくなるような、まったく
浅間
(
あさま
)
しい限りの、欲念一途のものと化してしまうのでした。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
今朝は
浅間
(
あさま
)
の噴火の灰がこんなに降りましたと云うことで、庭木にも雑草にも薄白く灰が降りかかっていましたが、そのぽくぽくした灰の色と、この建物は、何だか淋しい対照をみせていました。
新生の門:――栃木の女囚刑務所を訪ねて
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ご案内するんだから……。それより、あの近所で
浅間
(
あさま
)
葡萄がとれるんですよ。それから時間があつたら、養狐場を見て夕方帰つて来るの。いいでせう。道には、いま秋草がいつぱい咲いてるし……
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
小諸出て見りゃ
浅間
(
あさま
)
の嶽にけさも三筋のけむり立つ
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
エセ新らしがり屋を
浅間
(
あさま
)
しがらせたのです。
内気な娘とお転婆娘
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
婆様の
老松
(
おいまつ
)
やら
浅間
(
あさま
)
やらの
咽
(
むせ
)
び泣くような哀調のなかにうっとりしているときがままございました程で、世間様から隠居芸者とはやされ
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
五六軒
(
ごろくけん
)
の
藁屋
(
わらや
)
ならび、
中
(
なか
)
にも
浅間
(
あさま
)
な
掛小屋
(
かけこや
)
のやうな
小店
(
こみせ
)
を
開
(
あ
)
けて、
穴
(
あな
)
から
商売
(
しやうばい
)
をするやうに
婆
(
ばあ
)
さんが
一人
(
ひとり
)
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
を
透
(
す
)
かして
居
(
ゐ
)
た。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その時疾翔大力は、まだ力ない雀でござらしゃったなれど、つくづくこれをご覧じて、世の
浅間
(
あさま
)
しさはかなさに、
泪
(
なみだ
)
をながしていらしゃれた。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
絹枝さんは口にこそ出さね、心では、我親ながら、余りの
猜疑
(
さいぎ
)
心を
浅間
(
あさま
)
しい様に思ったが、父の云いつけにはそむかれぬ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あの峠は五里もあって、遠く山と山との間にひらけた空のかなたには
浅間
(
あさま
)
のけむりのなびくのを望むようなところです。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
生仏
(
いきぼとけ
)
さまの
血脈
(
おちすじ
)
が、身分が定まってしまったのだから、信徒の人々には一大事で
浅間
(
あさま
)
しき末世とさえおもわれたのだ。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
日本都市の外観と社会の風俗人情は遠からずして全く変ずべし。痛ましくも米国化すべし。
浅間
(
あさま
)
しくも
独逸
(
ドイツ
)
化すべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そう思っただけでも、私は恥しい。恥しい。恥しい。殊にあの人の腕を離れて、また自由な体に帰った時、どんなに私は私自身を
浅間
(
あさま
)
しく思った事であろう。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
往路に若い男女の二人連れが自分たちの一行を追い越して
浅間
(
あさま
)
のほうへ登って行った。「あれは大丈夫だろうか」という疑問がわれわれ一行の間に持ち出された。
小浅間
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
浅間
(
あさま
)
しい姿になって、あの野郎、強情を張って、
唸
(
うな
)
りをたてめえ、
音
(
ね
)
をあげめえとするのだが、噛みしめた歯の間から洩れる
呻
(
うめ
)
きが、長屋中に聞える程になって、今まで
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
人や生徒のまえでは、もと通り
凜々
(
りり
)
しく活溌にしていながら、櫟林を抜けて自分と二人だけになったときの先生のまことの姿は、およそ、世に哀れで
浅間
(
あさま
)
しいものであった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
浅
常用漢字
小4
部首:⽔
9画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“浅間”で始まる語句
浅間山
浅間敷
浅間嶺
浅間社
浅間温泉
浅間火山
浅間神社
浅間菩薩
浅間葡萄
浅間丈太郎