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派出
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はで
ふりがな文庫
“
派出
(
はで
)” の例文
津田から云えば地味過ぎるぐらい質素であった。津田よりもずっと
派出
(
はで
)
好きな細君から見ればほとんど無意味に近い節倹家であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
派出
(
はで
)
な稼業だけに交際が大変だ。おまけに
大立物
(
エスパダ
)
になると、見習弟子だの男衆だのと、いわゆる「大きな部屋」を養っている。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
如何にも、ショウ・ウインドウの正面には、一人の美人人形が、
派出
(
はで
)
な洋装をして、長椅子に腰かけているのだ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
羽根田から川崎へ渡る
渡口
(
わたしぐち
)
より北に当る梨畑の下で
一寸
(
ちょっと
)
見掛けたが、お前の娘の乗った山駕籠には、上に
百合形更紗
(
ゆりがたさらさ
)
の
派出
(
はで
)
な模様の風呂敷包が
結
(
ゆわ
)
い附けては無かったか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それにあの
情
(
じやう
)
の薄く我儘な私と三つ違いの
異母姉
(
ねえ
)
さんも
可哀
(
かはい
)
い姿で踊つた。
五歳
(
いつつ
)
六歳
(
むつつ
)
の私もまた引き入れられて、眞白に白粉を塗り、
派出
(
はで
)
なきものをつけて、何がなしに小さい手をひらいて踊つた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
おれが
此
(
この
)
下宿へ来た始めの頃のキキイは第一階に住んで居た。壁を桃色に塗つた、大きなピヤノを据ゑた、
派出
(
はで
)
な部屋であつた。今では
其
(
その
)
部屋に
踊場
(
パル
)
タバランへ出る
西班牙
(
スペイン
)
の姉妹の踊子が住んで居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「やっぱり物質的の必要かららしいです。先が何でもよほど
派出
(
はで
)
な
家
(
うち
)
なんで、叔母さんの方でもそう
単簡
(
たんかん
)
に済まされないんでしょう」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
グラナダあたりの
旅人宿
(
ポクダ
)
の土間で、土器の
水甕
(
みずがめ
)
の並んだ間に、
派出
(
はで
)
な縫いのある
財布
(
アルフォリヨ
)
を投げ出したお百姓たちが、何かがやがや議論しながら
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そのあとへ、二人は大急ぎで駈けつけ、草を分けて覗いて見ると、草の根のジメジメした地面に、人間の形をした真赤なものが、黒髪を振り乱し、
派出
(
はで
)
な
銘仙
(
めいせん
)
の着物の前をはだけて、転がっていた。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気象
(
きしやう
)
が大きくておほまかで、
張
(
はり
)
があつて、
派出
(
はで
)
で。
お月さまいくつ
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
無数の黒い頭が
渦
(
うず
)
のように見えた。彼らの或者の
派出
(
はで
)
な
扮装
(
つくり
)
が、色彩の運動から来る落ちつかない快感を、乱雑にちらちらさせた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こっちの
卓子
(
テーブル
)
には、頭をきれいに分けて
派出
(
はで
)
な両前の服を着た日本青年——N男爵嗣子オックスフォウドの学生——が、とうに食べおわったお膳をまえに、一月前の東京の新聞に読みふけっている。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
のみならず
友染
(
ゆうぜん
)
とか、
繻珍
(
しゅちん
)
とか、ぱっとした色気のものに包まっているから、横から見ても縦から見ても
派出
(
はで
)
である立派である、
春景色
(
はるげしき
)
である。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、女は? さあ——こっちの女は綺麗な脚をしている。だからああ脚を出すんでしょうが——ネクタイ?
亜米利加
(
アメリカ
)
は
派出
(
はで
)
です。で、私もはでなやつをして来たんだが、ある人に注意されましてね。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
森閑
(
しんかん
)
として人の
気合
(
けわい
)
のない往来をホテルまで、影のように歩いて来て、今までの
派出
(
はで
)
なスキ焼を
眼前
(
がんぜん
)
に浮かべると、やはり小説じみた心持がした。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助は相当に資産のある東京ものの子弟として、彼らに共通な
派出
(
はで
)
な
嗜好
(
しこう
)
を、学生時代には遠慮なく
充
(
み
)
たした男である。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大して
派出
(
はで
)
な暮しの出来る身分ではなかったけれども、留守中手元に預かった自分の娘や娘の子に、苦しい思いをさせるほど窮してもいなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ああ云う浮いた家業をする女の平生は
羨
(
うらや
)
ましいほど
派出
(
はで
)
でも、いざ病気となると、普通の人よりも
悲酸
(
ひさん
)
の程度が一層
甚
(
はなは
)
だしいのではないかと考えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
相當
(
さうたう
)
に
資産
(
しさん
)
のある
東京
(
とうきやう
)
ものゝ
子弟
(
してい
)
として、
彼等
(
かれら
)
に
共通
(
きようつう
)
な
派出
(
はで
)
な
嗜好
(
しかう
)
を
學生
(
がくせい
)
時代
(
じだい
)
には
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
充
(
み
)
たした
男
(
をとこ
)
である。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は机の前に敷いてある
派出
(
はで
)
な模様の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に
胡坐
(
あぐら
)
をかいて、「なるほど」と云いながらそこいらを見廻した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中には眼の
覚
(
さ
)
めるように
派出
(
はで
)
な模様の着物を着ているものもあったが、大抵は
素人
(
しろうと
)
に近い
地味
(
じみ
)
な
服装
(
なり
)
で、こっそり来てこっそり出て行くのが多かった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相手の自転車は何喰わぬ顔ですうと抜けて行く、
間
(
ま
)
の
抜
(
ぬけ
)
さ加減は尋常一様にあらず、この時
派出
(
はで
)
やかなるギグに乗って後ろから
馳
(
か
)
け
来
(
きた
)
りたる一個の紳士
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その言葉を打ち消すような新調したての
派出
(
はで
)
な彼の
背広
(
せびろ
)
が、すぐことさららしく津田の眼に映ったが、彼自身はまるでそこに気がついていないらしかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは
小倉織
(
こくらおり
)
で、普通の学生には
見出
(
みいだ
)
し
得
(
う
)
べからざるほどに、太い
縞柄
(
しまがら
)
の
派出
(
はで
)
な物であった。彼はこの袴の上に両手を載せて、自分は
南部
(
なんぶ
)
のものだと云った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうさなじゃ困ったな。——おいあすこの西洋人の隣りにいる、
細
(
こま
)
かい
友禅
(
ゆうぜん
)
の着物を着ている女があるだろう。——あんな模様が近頃
流行
(
はやる
)
んだ。
派出
(
はで
)
だろう」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのくせ周囲の空気には名状すべからざる
派出
(
はで
)
な刺激があって、一方からいうと前後を忘れ、自我を没して、この派出な刺激を痛切に味いたいのだから困ります。
虚子君へ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんな
派出
(
はで
)
な暮しをした昔もあったのかと思うと、私はいよいよ夢のような心持になるよりほかはない。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肋骨君の説によると、ああ云うぶくぶくの着物を着て、
派出
(
はで
)
な色の背中へ細い髪を長く垂らしたところは、
振
(
ふる
)
え
付
(
つ
)
きたくなるほど好いんだそうだから仕方がない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相変らず例の
派出
(
はで
)
な
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いて、
蒼白
(
あおしろ
)
い額ににじんだ汗をこくめいに
手拭
(
てぬぐい
)
で
拭
(
ふ
)
いている。少し
瘠
(
や
)
せたようだ。はなはだ申し兼ねたが金を二十円貸して下さいという。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
矢張
(
やつぱ
)
り
物質的
(
ぶつしつてき
)
の
必要
(
ひつえう
)
かららしいです。
先
(
さき
)
が
何
(
なん
)
でも
餘程
(
よほど
)
派出
(
はで
)
な
家
(
うち
)
なんで、
叔母
(
をば
)
さんの
方
(
はう
)
でもさう
單簡
(
たんかん
)
に
濟
(
す
)
まされないんでせう」と
何時
(
いつ
)
にない
世帶染
(
しよたいじ
)
みた
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
柘榴
(
ざくろ
)
の
花
(
はな
)
は、
薔薇
(
ばら
)
よりも
派出
(
はで
)
に且つ
重苦
(
おもくる
)
しく見えた。
緑
(
みどり
)
の
間
(
あひだ
)
にちらり/\と
光
(
ひか
)
つて見える位、強い色を
出
(
だ
)
してゐた。従つて
是
(
これ
)
も代助の今の気分には
相応
(
うつ
)
らなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸
(
さいわい
)
と藤尾がいる。冬を
凌
(
しの
)
ぐ
女竹
(
めだけ
)
の、吹き寄せて
夜
(
よ
)
を積る
粉雪
(
こゆき
)
をぴんと
撥
(
は
)
ねる力もある。
十目
(
じゅうもく
)
を街頭に集むる春の姿に、
蝶
(
ちょう
)
を縫い花を浮かした
派出
(
はで
)
な
衣裳
(
いしょう
)
も着せてある。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もっとも私の家も
侍分
(
さむらいぶん
)
ではなかった。
派出
(
はで
)
な
付合
(
つきあい
)
をしなければならない
名主
(
なぬし
)
という町人であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聖書と関係の薄い余にさえ、
檜扇
(
ひおうぎ
)
を熱帯的に
派出
(
はで
)
に仕立てたような唐菖蒲は、深い沈んだ
趣
(
おもむき
)
を表わすにはあまり強過ぎるとしか思われなかった。唐菖蒲はどうでもよい。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女は約束の時間を
違
(
たが
)
えず来た。
三
(
み
)
つ
柏
(
かしわ
)
の
紋
(
もん
)
のついた
派出
(
はで
)
な色の
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織を着ているのが、一番先に私の眼に映った。女は私の書いたものをたいてい読んでいるらしかった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
多くの松を通り越して左へ折れると、
生垣
(
いけがき
)
に奇麗な門がある。果して原口といふ標札が出てゐた。其標札は
木理
(
もくめ
)
の
込
(
こ
)
んだ
黒
(
くろ
)
つぽい板に、
緑
(
みどり
)
の
油
(
あぶら
)
で名前を
派出
(
はで
)
に
書
(
か
)
いたものである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私の友達に
横浜
(
よこはま
)
の
商人
(
あきんど
)
か
何
(
なに
)
かで、
宅
(
うち
)
はなかなか
派出
(
はで
)
に暮しているものがありましたが、そこへある時
羽二重
(
はぶたえ
)
の
胴着
(
どうぎ
)
が配達で届いた事があります。すると
皆
(
みん
)
ながそれを見て笑いました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
洋書というものは
唐本
(
とうほん
)
や和書よりも装飾的な
背皮
(
せがわ
)
に学問と芸術の
派出
(
はで
)
やかさを
偲
(
しの
)
ばせるのが常であるのに、この部屋は余の眼を射る何物をも蔵していなかった。ただ大きな机があった。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又事件があまり
派出
(
はで
)
に並んでゐるために、(
其
(
その
)
調子は
厭
(
いや
)
に陰鬱ではあるけれども)
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
向う側の椿が眼に
入
(
い
)
った時、余は、ええ、見なければよかったと思った。あの花の色はただの赤ではない。眼を
醒
(
さま
)
すほどの
派出
(
はで
)
やかさの奥に、言うに言われぬ沈んだ調子を持っている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分はまた五六人と共に、大きな食卓を囲んで、山鳥の
羹
(
あつもの
)
を食った。そうして、
派出
(
はで
)
な
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
を着けた
蒼白
(
あおしろ
)
い青年の成功を祈った。五六人の帰ったあとで、自分はこの青年に礼状を書いた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
派出
(
はで
)
な色を肉の上に重ねるものだぐらいの
漠
(
ばっ
)
とした観察はあったのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
影の隣りに
糸織
(
いとおり
)
かとも思われる、女の
晴衣
(
はれぎ
)
が
衣紋竹
(
えもんだけ
)
につるしてかけてある。細君のものにしては少し
派出
(
はで
)
過ぎるが、これは多少景気のいい時、
田舎
(
いなか
)
で買ってやったものだと今だに記憶している。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
乗合は少ない。向側に
派出
(
はで
)
ななりをしている若い女が乗っている。すると我輩の随行しているレデーが突然あなたはメリー・コレリのマスタークリスチアンを御読みなさいましたかと大きな声で聞た。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
派出
(
はで
)
な色の
絹紐
(
リボン
)
がちらりと前の方へ顔を出す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
派出
(
はで
)
を好む藤尾の贈物かも知れない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“派出”の意味
《名詞》
仕事のために他の場所へ出向かせること。
(出典:Wiktionary)
派
常用漢字
小6
部首:⽔
9画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“派出”で始まる語句
派出好
派出婦
派出過