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木瓜
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ぼけ
ふりがな文庫
“
木瓜
(
ぼけ
)” の例文
それから何かのおりに、竹の切れはしで、
木瓜
(
ぼけ
)
の木をやたらにたたきながら、同じ言葉を繰り返し繰り返しどなっていた姿を思い出す。
亮の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
桜にはちと早い、
木瓜
(
ぼけ
)
か、何やら、枝ながら障子に映る花の影に、ほんのりと
日南
(
ひなた
)
の
薫
(
かおり
)
が添って、お千がもとの座に着いた。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その居酒屋の上には
木瓜
(
ぼけ
)
の実を描いた板が出ていて、ボン・コアン屋(上等木瓜屋)という看板で、酒場の食卓と墓石との間を仕切っていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ケンブリッジでは
木瓜
(
ぼけ
)
を同じように仕立てたのを見たけれども、こんな大きな古い木を壁に這わせたのは初めてだった。
シェイクスピアの郷里
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
雨に悩める、露に
※
(
うる
)
ほへる、いづれ艶なるおもむきならぬは無し。
緋
(
ひ
)
木瓜
(
ぼけ
)
はこれの
侍婢
(
こしもと
)
なりとかや。あら美しの姫君よ。人を迷ひに誘ふ無くば幸なり。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
芒
(
すゝき
)
は今も
生
(
は
)
えてゐる。探せば
木瓜
(
ぼけ
)
の花もあらう。我は
足痿
(
あしな
)
へて二十二年、夢でなくては堤に遊ぶおもひ出も見ぬ。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
「お貰いに行くのも結構ですが、今日は二人で遊びましょう。色々の花が咲きました、桜に山吹に
小手毬
(
こてまり
)
草に
木瓜
(
ぼけ
)
に
杏
(
すもも
)
に
木蘭
(
もくらん
)
に、
海棠
(
かいどう
)
の花も咲きました」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その牡丹は、けふもまだあちこちに咲き殘つてゐる椿、
木瓜
(
ぼけ
)
、
海棠
(
かいだう
)
、木蓮、
蘇芳
(
すはう
)
などと共に、花好きの妻の母が十年近くも一人で丹精した大事な植木です。
行く春の記
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
「お庭の
木瓜
(
ぼけ
)
の実よ」と佳奈は云った、「先月のいまごろでしょうか、お留守にみつけて、あんまりみごとだから摘み取って、砂糖漬けにしてみたんです」
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二人が
塵払
(
はたき
)
の音のする窓の外を通った時は、岩間に咲く
木瓜
(
ぼけ
)
のように紅い女の顔が
玻璃
(
ガラス
)
の内から映っていた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
厨子
(
ずし
)
は、
木瓜
(
ぼけ
)
厨子、
正念
(
しょうねん
)
厨子、丸厨子(これは聖天様を入れる)、角厨子、
春日
(
かすが
)
厨子、
鳳輦
(
ほうれん
)
形、
宮殿
(
くうでん
)
形等。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
向う側の老人は、
木瓜
(
ぼけ
)
の花みたいに真っ赤な顔はしているが、容貌は
奇古
(
きこ
)
清潔で、どこか風格がある。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その日は
木瓜
(
ぼけ
)
の
筆架
(
ひつか
)
ばかり気にして寝た。あくる日、眼が
覚
(
さ
)
めるや
否
(
いな
)
や、飛び起きて、机の前へ行って見ると、花は
萎
(
な
)
え葉は枯れて、白い穂だけが元のごとく光っている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
客間
(
へや
)
の装飾は、日本、支那、西洋と、とりあつめて、しかも
破綻
(
はたん
)
のない、好みであった、室の
隅
(
すみ
)
には、時代の
好
(
よ
)
い
紫檀
(
したん
)
の四尺もあろうかと思われる
高脚
(
たかあし
)
の
卓
(
だい
)
に、
木蓮
(
もくれん
)
、
木瓜
(
ぼけ
)
、
椿
(
つばき
)
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
蓮華
(
れんげ
)
つゝじは
下葉
(
したば
)
から色づき、梅桜は大抵落葉し、ドウダン先ず紅に照り初め、
落霜紅
(
うめもどき
)
は赤く、
木瓜
(
ぼけ
)
の
実
(
み
)
は黄に、松はます/\緑に、
山茶花
(
さざんか
)
は香を、コスモスは色を庭に満たして
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
桜の開落は少しあつけないが、その頃になると、椿だの、
木瓜
(
ぼけ
)
だの、山吹だの、躑躅だの、段々に咲いて行くので、二十四番の春を一つ一つ楽しんで行くことが出来るやうな気がした。
花二三ヶ所
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
やからうからうち寄りて花の下に酒もりするもまた栄ある心地す。桜の下に
石榴
(
ざくろ
)
あり。花石榴とて花はやや大きく八重にして実を結ばず。その下の垣根極めて暗き処に
木瓜
(
ぼけ
)
一もとあり。
わが幼時の美感
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そのとき書斎の窓から
木瓜
(
ぼけ
)
の
花梢
(
はなうれ
)
が見えていたが、その長い対坐の間に文女は
西林図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
僕の母の実家の庭には背の低い
木瓜
(
ぼけ
)
の樹が一株、古井戸へ枝を垂らしていた。
点鬼簿
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
寒い夜半、ふと六畳の方の窓辺にある
木瓜
(
ぼけ
)
の木と芙蓉の木が思い出された。
忘れがたみ
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
博士はつと立つて、南側の障子を
開
(
あ
)
けて庭を見てゐる。
木瓜
(
ぼけ
)
と
杜鵑花
(
さつきつつじ
)
との花が真赤に咲いて、どこか底に
温
(
ぬる
)
みを持つた風が額に当る。細君の部屋では又こと/\音がする。着更をするのであらう。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さてこれは
外題
(
げだい
)
を
心眼
(
しんがん
)
と
申
(
まう
)
す心の
眼
(
め
)
といふお話でござりますが、物の色を
眼
(
め
)
で見ましても、
只
(
たゞ
)
赤
(
あかい
)
のでは
紅梅
(
こうばい
)
か
木瓜
(
ぼけ
)
の花か
薔薇
(
ばら
)
か
牡丹
(
ぼたん
)
か
分
(
わか
)
りませんが、ハヽア
早咲
(
はやぎき
)
の
牡丹
(
ぼたん
)
であるなと心で受けませんと
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の花と
菫
(
すみれ
)
の花とが櫟林の下に咲き乱れている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
黄いろなる真赤なるこの
木瓜
(
ぼけ
)
の雨
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
落さうな神鳴雨や
木瓜
(
ぼけ
)
の花 路青
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の花咲く
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
シェイクスピアの作品に現れた花卉樹木の類を集めた庭園で、
月桂樹
(
ベイ
)
、
梨
(
ペア
)
、
山櫨
(
メドラ
)
、
木瓜
(
ぼけ
)
に似た花を付けている
榲桲
(
クインス
)
、ホーソーン、えにしだ、等々。
シェイクスピアの郷里
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
朱
(
しゆ
)
の
木瓜
(
ぼけ
)
はちら/\と
灯
(
ひ
)
をともし、
樹
(
き
)
の
根
(
ね
)
を
包
(
つゝ
)
むだ
石楠花
(
しやくなげ
)
は、
入日
(
いりひ
)
の
淡
(
あは
)
い
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
めつゝ、
然
(
しか
)
も
日
(
ひ
)
は
正
(
まさ
)
に
午
(
ご
)
なのである。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
言
(
い
)
つて、
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
も
手造
(
てづく
)
りにした
凧
(
たこ
)
を
揚
(
あ
)
げに
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ます。
田圃側
(
たんぼわき
)
の
枯
(
か
)
れた
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
には、
木瓜
(
ぼけ
)
の
木
(
き
)
なぞが
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
まして、
遊
(
あそ
)
び
廻
(
まは
)
るには
樂
(
たのし
)
い
塲所
(
ばしよ
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の花が咲いている。
樝
(
しどみ
)
の花が咲いている。
※花
(
こごめ
)
の花が咲いている。そうして畑には麦が延びて、巣ごもりをしている
鶉
(
うずら
)
達が、いうところのヒヒ鳴きを立てている。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ごろりと
寝
(
ね
)
る。帽子が
額
(
ひたい
)
をすべって、やけに
阿弥陀
(
あみだ
)
となる。所々の草を一二尺
抽
(
ぬ
)
いて、
木瓜
(
ぼけ
)
の小株が茂っている。余が顔はちょうどその一つの前に落ちた。
木瓜
(
ぼけ
)
は面白い花である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
室
(
へや
)
の隅には二枚折りの
金屏
(
きんびょう
)
に墨絵、その前には卓に鉢植の
木瓜
(
ぼけ
)
が一、二輪淡紅の
蕾
(
つぼみ
)
をやぶっていた。純白な布の上におかれた、小花瓶の、
猖々緋
(
しょうじょうひ
)
の真紅の色を、見るともなく見詰めていた。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の陰に顔たくひすむ
雉
(
きぎす
)
かな
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
肌
(
はだ
)
脱いで髪すく庭や
木瓜
(
ぼけ
)
の花
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
知るは堤の
木瓜
(
ぼけ
)
の
花
(
はな
)
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の花咲く
別後
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「巌の根の
木瓜
(
ぼけ
)
の中に、今もの、来ていますわ。これじゃ寂しいとは思いませぬじゃ。」
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小供のうち花の咲いた、葉のついた
木瓜
(
ぼけ
)
を切って、面白く
枝振
(
えだぶり
)
を作って、
筆架
(
ひつか
)
をこしらえた事がある。それへ二銭五厘の
水筆
(
すいひつ
)
を立てかけて、白い穂が花と葉の間から、
隠見
(
いんけん
)
するのを机へ
載
(
の
)
せて楽んだ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の
陰
(
かげ
)
に顔たぐひすむ
雉
(
きぎす
)
かな
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
知るは堤の
木瓜
(
ぼけ
)
の花
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
木瓜
(
ぼけ
)
の花咲く
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
二人の
児
(
こ
)
の母親で、その燃立つようなのは、ともすると
同一
(
おなじ
)
軍人好みになりたがるが、
垢
(
あか
)
抜けのした、意気の
壮
(
さかん
)
な、色の白いのが着ると、汗ばんだ
木瓜
(
ぼけ
)
の花のように
生暖
(
なまあたたか
)
なものではなく
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
根岸の里の雪の
卯
(
う
)
の花、水の
紫陽花
(
あじさい
)
の風情はないが、
木瓜
(
ぼけ
)
、山吹の覗かれる窪地の屋敷町で、そのどこからも、
駿河台
(
するがだい
)
の濃い樹立の下に、和仏英女学校というのの壁の色が、
凩
(
こがらし
)
の吹く日も
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“木瓜”の意味
《名詞》
ぼけ(植物)の別称。
かりんの果実を生薬とした時の名。
(出典:Wiktionary)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
瓜
漢検準1級
部首:⽠
6画
“木瓜”で始まる語句
木瓜窓