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朗
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ほがらか
ふりがな文庫
“
朗
(
ほがらか
)” の例文
と眉にも頬にも
皺
(
しわ
)
を寄せたが、のぞめば段もの
端唄
(
はうた
)
といわず、
前垂
(
まえだれ
)
掛けで、
朗
(
ほがらか
)
に、またしめやかに、唄って聞かせるお妻なのであった。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼も
殆
(
ほとんど
)
青年のように、
朗
(
ほがらか
)
な光を帯びている。殊に胸を反らせた態度や、
盛
(
さかん
)
な
手真似
(
ジェスチュア
)
を交える工合は、鄭垂氏よりも
反
(
かえ
)
って若々しい。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この時、舞台の背後の
人気
(
ひとけ
)
の無かった筈の楽屋裏から、同じくピアノのいとも清らかな音が
朗
(
ほがらか
)
にと響き始めたのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さあ、いらっしゃい。お話をいたしましょう。」よしは台所の板の間におとなしくすわって、弟を円く
堆
(
うずだか
)
い
膝
(
ひざ
)
の上に招き寄せる。声は清く
朗
(
ほがらか
)
である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
朗
(
ほがらか
)
に秋の気澄みて、空の色、雲の
布置
(
ただずまひ
)
匂
(
にほ
)
はしう、
金色
(
きんしよく
)
の日影は豊に快晴を飾れる
南受
(
みなみうけ
)
の縁障子を
隙
(
すか
)
して、
爽
(
さはやか
)
なる
肌寒
(
はださむ
)
の
蓐
(
とこ
)
に
長高
(
たけたか
)
く
痩
(
や
)
せたる貫一は
横
(
よこた
)
はれり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
折ふし
朗
(
ほがらか
)
な鶯の声を聞いたというので、「普請場に」の語は「普請場のほとりに」という程度に解すべきであろうか。普請場の木材にとまって啼くわけではない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
そして、実は
斯
(
か
)
く/\と遠い二十幾年も前の真実を打ち明けて、たとへ一時はけしきを損じようともそれを過ぎれば恐らくお互ひのわだかまりがとけて
朗
(
ほがらか
)
にならう。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
卑弥呼は部屋の中を見廻した。しかし、一人として彼女のますます
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
ったその
朗
(
ほがらか
)
な眼を見詰めている者は誰もなかった。ただ酒気と
鼾声
(
かんせい
)
とが乱れた食器の方々から流れていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その愛がその人の前に明かに表明された以上、貴様の心は
朗
(
ほがらか
)
に晴れていかねばならぬはずだ。それだのに結果は反対ではないか。何んという愚かな苦しみを喜ぼうとしているのだ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いずれも
縹緻
(
きりょう
)
のよい女達が、年相応にお化粧をして、心持ち派手な服装をして(そう、お化粧もどっちかといえば、
可成
(
かな
)
り派手な方でした)町をゆるやかに歩きながら、軽快に
朗
(
ほがらか
)
に媚を含んで
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
正面の窓を明けたらば、石一級の歩に過ぎずして、広い
芝生
(
しばふ
)
を一目に見渡すのみか、
朗
(
ほがらか
)
な気が地つづきを、すぐ部屋のなかに這入るものを、甲野さんは締め切ったまま、ひそりと立て
籠
(
こも
)
っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ちょッと、学者、この字は『
朗
(
ほがらか
)
』とも読むんだろう」
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
自分は
敷島
(
しきしま
)
を
啣
(
くは
)
へて、まだ
仏頂面
(
ぶつちやうづら
)
をしてゐたが、やはりこの絵を見てゐると、落着きのある、
朗
(
ほがらか
)
な
好
(
い
)
い心もちになつて来た。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
柳
(
やなぎ
)
に
渡
(
わた
)
る
風
(
かぜ
)
もなし、
寂然
(
しん
)
として、よく
聞
(
きこ
)
える……たゞ
空
(
そら
)
走
(
はし
)
る
雲
(
くも
)
ばかり、
月
(
つき
)
の
前
(
まへ
)
を
騷
(
さわ
)
がしい、が、
最初
(
はじめ
)
から
一
(
ひと
)
ツ
一
(
ひと
)
ツ、
朗
(
ほがらか
)
な
聲
(
こゑ
)
が
耳
(
みゝ
)
に
響
(
ひゞ
)
くのであつた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれほど今まで
朗
(
ほがらか
)
に優しくなつかしく鳴いて居た鳥は、どこへいったものやら、トシオが見上げる大欅の梢の隅々まで尋ねても、かすかな羽ばたきさえ聞かれそうもなく
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
貴婦人はこの
秋霽
(
しゆうせい
)
の
朗
(
ほがらか
)
に
濶
(
ひろ
)
くして心往くばかりなるに、夢など見るらん
面色
(
おももち
)
して
佇
(
たたず
)
めり。窓を争ひて
射入
(
さしい
)
る日影は
斜
(
ななめ
)
にその姿を照して、
襟留
(
えりどめ
)
なる真珠は
焚
(
も
)
ゆる如く輝きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
神の
代
(
よ
)
を空に鳴く
金鶏
(
きんけい
)
の、
翼
(
つばさ
)
五百里なるを一時に
搏
(
はばたき
)
して、
漲
(
みな
)
ぎる雲を下界に
披
(
ひら
)
く大虚の
真中
(
まんなか
)
に、
朗
(
ほがらか
)
に浮き出す
万古
(
ばんこ
)
の雪は、末広になだれて、八州の
野
(
や
)
を圧する勢を、左右に展開しつつ、
蒼茫
(
そうぼう
)
の
裡
(
うち
)
に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、日は無心に
木犀
(
もくせい
)
の匂を融かしてゐる。芭蕉や梧桐も、ひつそりとして葉を動かさない。
鳶
(
とび
)
の声さへ以前の通り
朗
(
ほがらか
)
である。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「何だ。」「何者だ。」「野蛮
極
(
きわま
)
る。」「
狂人
(
きちがい
)
だ。」と一時に
動揺
(
どよ
)
めく声の下より
朗
(
ほがらか
)
に歌うものあり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先づ
大網
(
おほあみ
)
の湯を
過
(
すぐ
)
れば、
根本山
(
ねもとやま
)
、
魚止滝
(
うおどめのたき
)
、
児
(
ちご
)
ヶ
淵
(
ふち
)
、
左靱
(
ひだりうつぼ
)
の険は
古
(
ふ
)
りて、
白雲洞
(
はくうんどう
)
は
朗
(
ほがらか
)
に、
布滝
(
ぬのだき
)
、
竜
(
りゆう
)
ヶ
鼻
(
はな
)
、
材木石
(
ざいもくいし
)
、
五色石
(
ごしきせき
)
、
船岩
(
ふないわ
)
なんどと
眺行
(
ながめゆ
)
けば、
鳥井戸
(
とりいど
)
、
前山
(
まえやま
)
の
翠衣
(
みどりころも
)
に染みて、
福渡
(
ふくわた
)
の里に
入
(
い
)
るなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
悲しみは元より説明を費すまでもない。が、その安らかな心もちは、
恰
(
あたか
)
も明方の寒い光が次第に
暗
(
やみ
)
の中にひろがるやうな、不思議に
朗
(
ほがらか
)
な心もちである。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ああ、霜に響く。」……と言った声が、物語を読むように、
朗
(
ほがらか
)
に
冴
(
さ
)
えて、且つ、鋭く聞えた。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで窓から
後
(
うしろ
)
を透して見ると、彼等はもう豆のやうに小さくなりながら、それでもまだはつきりと、
朗
(
ほがらか
)
な晩秋の日の光の中に、箒をかついで歩いてゐた。
寒山拾得
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
朗
(
ほがらか
)
に、しっとり聞えた。およそ、
妙
(
たえ
)
なるものごしとは、この時言うべき
詞
(
ことば
)
であった。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、私の心の上には、切ない程はつきりと、この光景が焼きつけられた。さうしてそこから、或
得体
(
えたい
)
の知れない
朗
(
ほがらか
)
な心もちが湧き上つて来るのを意識した。
蜜柑
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とようよう云う、控え目だったけれども、
朗
(
ほがらか
)
に
清
(
すず
)
しい、
框
(
かまち
)
の障子越にずッと
透
(
とお
)
る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、私の心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。そうしてそこから、或得体の知れない
朗
(
ほがらか
)
な心もちが
湧
(
わ
)
き上って来るのを意識した。
蜜柑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
幽
(
かすか
)
に、
互
(
たがい
)
の顔の見えた時、
真空
(
まそら
)
なる、山かづら、山の
端
(
は
)
に、
朗
(
ほがらか
)
な女の声して
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
私
(
わたくし
)
の
心
(
こころ
)
の
上
(
うへ
)
には、
切
(
せつ
)
ない
程
(
ほど
)
はつきりと、この
光景
(
くわうけい
)
が
燒
(
や
)
きつけられた。さうしてそこから、
或
(
ある
)
得體
(
えたい
)
の
知
(
し
)
れない
朗
(
ほがらか
)
な
心
(
こころ
)
もちが
湧
(
わ
)
き
上
(
あが
)
つて
來
(
く
)
るのを
意識
(
いしき
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
流
(
ながれ
)
の
音
(
おと
)
が、
颯
(
さつ
)
と
座
(
ざ
)
に
入
(
い
)
つて、カカカカカカカと
朗
(
ほがらか
)
に
河鹿
(
かじか
)
が
鳴
(
な
)
く。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私はこの悲しさを
味
(
あじは
)
ふ度に、昔見た天国の
朗
(
ほがらか
)
な光と、今見てゐる地獄のくら暗とが、私の小さな胸の中で一つになつてゐるやうな気がします。どうかさう云ふ私を憐んで下さい。
悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
湖の色は、あお空と、松山の
翠
(
みどり
)
の中に
朗
(
ほがらか
)
に
沁
(
し
)
み通った。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言った……主税の声は
朗
(
ほがらか
)
であった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
振袖が
朗
(
ほがらか
)
な声して
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朗
常用漢字
小6
部首:⽉
10画
“朗”を含む語句
朗々
朗読
晴朗
朗詠
明朗
朗吟
麗朗
朗誦
法朗西
朗然
士朗
阪谷朗廬
延朗法師
王朗
爽朗
朗詠集
高朗
朗讀
玲朗
清朗
...