明日みやうにち)” の例文
沢庵より上る利益の計算のために必要な算盤や、コムパス達は、今日こんにちの土曜と明日みやうにちの日曜とを利用して、魚釣うをつりに出かけるのである。
工場の窓より (新字旧仮名) / 葉山嘉樹(著)
現に僕の耳学問によれば、フランス語のリエゾンさへ失はれつつある以上、ボオドレエルの詩の響もおのづから明日みやうにち異るであらう。
えゝ、一寸ちよいと引合ひきあはせまをしまする。このをとこの、明日みやうにち双六谷すごろくだに途中とちゆうまで御案内ごあんないしまするで。さあ、ぬし、お知己ちかづきつてけや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のせ明日みやうにち巳刻迄よつどきまでに當所の御代官だいくわんみのかさ之助殿御役宅やくたくへ召連て罷り出べしと急度きつと申渡し村役人共より預り書面しよめん請取うけとり小猿の中田甚太夫は我手の者共を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
位牌班ゐはいまだらといふので名が一たいおかしうございます、わたしもモウ明日みやうにちやくに立てばうございますが、今晩こんばんにもヒヨツと生者必滅しやうじやひつめつでございますから……。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
(四八)せいぐんをしてり十まんかまどつくらしめ、明日みやうにちは五まんかまどつくらしめ、また明日みやうにちは三まんかまどつくらしむ。
苦學生補助會の慈善音樂會はいよ/\明日みやうにちの午後青年會館に開かれる。自分はピアノの演奏を依頼されて居るので、午前中は其の練習に餘念もなかつた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
「それから、はがきの文句ですが、これからは、用事これありに付き、明日みやうにち出頭すべしと書いてどうでせう。」
どんぐりと山猫 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
それにはべつ理由りいうなにも無い、究竟つまり学校が違つてしまつた所から、おたがひ今日こんにちあつて昨日さくじつ明日みやうにちも無い子供心こどもごゝろに、漠然ぼうつわすれてしまつたのです、すると、わたしが二きふつたとき
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
医者はもう一度弟の方を向き、『ではまた明日みやうにち。お静かにしていらつしやい。』
亡弟 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
今度は出て来て明日みやうにちの午前十一時半に主人が面会すると申しますと言つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
わび明日みやうにちかぜもなき軒端のきばさくらほろ/\とこぼれてゆふやみのそらかねかなし
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
罪の罪たるを知らざるより大なる罪はなし、とはカーライルに聞くところなり、昨日さくじつの非を知りて明日みやうにちを期するは、信仰に入るの要緘えうしんにして、罪人の必らず自殺すべしとせざるは之をもてなり。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
潤すに止まらず人をしてしらず/\の間によきに導き逢ふ所觸るゝところ皆な徳にうるほはざるなし學問もまた斯の如し今日こんにち一事を知り明日みやうにちまた一事を知る集りて大知識大學者とはなるなり現に今ま此の水を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
それからくすりそのあなめて、明日みやうにちまたらつしやいと注意ちゆういあたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると明日みやうにちの詩人たちは有田ドラツグや愛聖館にも彼等自身の「悪の花」を——或は又「善の花」を歌ひ上げることになるかも知れない。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
んな気の弱い事をいつちやアけません、お加減かげんが悪ければ、明日みやうにち御大役ごたいやくの事ですから早く牛の角文字つのもじにでも見せたら宜しうございませう…。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひとこゝろかはやすき、いましかくさかしらぶりて、飼鳥かひどりひつれど、明日みやうにちらずかさねてすゝむるものあるときは、われまた小鳥ことりやしなこゝろになるまじきものにあらず
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蒙り又天一坊吟味中越前が申ことばは小石川御館樣の御言葉ことばと心得よとの御意なりされば次右衞門其方は只今より八山へ到り明日みやうにちたつ上刻じやうこく天一坊に越前が役宅へ參り候樣申參べし必ず町奉行の威光を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕の尊敬する所は鹿島さんの「人となり」なり。鹿島さんの如く、熟してやぶれざるていの東京人は今日こんにち既に見るべからず。明日みやうにちさらまれなるべし。
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此通このとほり獻立こんだて二人前ににんまへ明日みやうにち晝食ちうじきこしらふるやう、料理番れうりばん申置まをしおくべし、なにかと心遣こゝろづかひいたさせたり、休息きうそくせよ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねつがモウ少しかないでは直りますまいよ。「御心配なさいますな、明日みやうにちはキツと御発カンでございます。 ...
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此伊賀が閉口へいこうさせて見すべければ呉々も大膳殿明日みやうにちは怒を發し給ふなと戒め夫より翌日よくじつの支度にぞ掛りけるはや其夜も明て卯の上刻となれば赤川大膳先驅さきどもとして徒士四人先箱二ツ鳥毛とりげの一本道具を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
既に今日こんにち及び昨日さくじつの公衆にしてくの如くんば、明日みやうにちの公衆の批判といへどまた推して知るべきものがありはしないだらうか。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
抛下はうかす、吾家ごかの骨董羹。今日こんにちきつし得て珍重ちんちようならば、明日みやうにち厠上しじやうに瑞光あらん。糞中の舎利しやり大家たいかよ。(五月三十日)
「どうか明日みやうにちまで、何事もおたづね下さいますな。明日になればわたくしは私の親戚やこの町のおもな方々に来て頂いて、その前で、一切いつさいの事情を申し上げます。」
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今日こんにちの私の眼は、唯今日の私の眼であつて、決して明日みやうにちの私の眼ではない。と同時に又私の眼が結局日本人の眼であつて、西洋人の眼でない事もたしかである。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
府史の蔵本はなはだしん明日みやうにち借り来つて示すべしと。翌日すなはち之を見れば、風枝抹疎ふうしまつそとして塞煙さいえんを払ひ、露葉蕭索ろえふせうさくとして清霜を帯ぶ、あたか渭川ゐせん淇水きすゐかんに坐するが如し。かん感歎あたはず。