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御幣
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ごへい
ふりがな文庫
“
御幣
(
ごへい
)” の例文
世に
御幣
(
ごへい
)
かつぎと称して、なにごとにも縁起の吉凶をいうものがある。ことに婚礼、葬式などにはいろいろの忌み物、忌みごとがある。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
殊に塙団右衛門直之は
金
(
きん
)
の
御幣
(
ごへい
)
の
指
(
さ
)
し
物
(
もの
)
に
十文字
(
じゅうもんじ
)
の
槍
(
やり
)
をふりかざし、槍の
柄
(
つか
)
の折れるまで戦った
後
(
のち
)
、樫井の町の中に打ち死した。
古千屋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「会社のものばかりなら何うでも構いませんが、
他
(
わき
)
からも大勢見えるのです。しかし
妻
(
さい
)
が
御幣
(
ごへい
)
を担ぎますから、仰せに従いましょうかな」
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
神の
思召
(
おぼしめし
)
だと云えばそれまでだが、もしそう云う
御幣
(
ごへい
)
を
担
(
かつ
)
がずに考えて見ると、三分の二は
僥倖
(
ぎょうこう
)
で生れたと云っても
差支
(
さしつかえ
)
ない。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おッ」と叫ぶと柄を下げて、
鍔
(
つば
)
を眼もとまで引きつけたが、さながら太刀を
御幣
(
ごへい
)
かのように、左右へピューッと振り立てた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
あまり
御幣
(
ごへい
)
はかつがない曹操だが、着陣したその日なので、「はてな?」と、しばし馬上に瞑目し、独り吉凶を占うていたが、なお試みに
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御幣
(
ごへい
)
をこしらえるやら、色々な品物を
供
(
そな
)
えるやらして、いざ
御祈祷
(
ごきとう
)
となると、村中の人が男も女も子供も集まって来ました。
正覚坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それが為に時々は小さな流れの岸などに、
御幣
(
ごへい
)
を立て五色の糸を張って祭ってあるのを、見かけることがあったという話です。(郷土研究二編)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
白い
御幣
(
ごへい
)
を砂の上にたて、そのまはりを取りまいて、アイヌの神様にむかつて『どうぞ私達の村の酋長を悪い小男が連れて行きませんやうに——』
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
そうして、鈴と、
御幣
(
ごへい
)
とを、
無雑作
(
むぞうさ
)
に小さな両の手で振り
翳
(
かざ
)
したところに、なんともいえないたくまざるの妙味がある。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これで腕斬りが三年つづく事になるのであるから、
御幣
(
ごへい
)
かつぎの者でなくても、又かと顔をしかめるのが人情である。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
張りめぐらされたしめ縄に、
御幣
(
ごへい
)
がたくさん垂らしてある——その山笠が、ゆさゆさ、はげしく揺れながら、恐しい勢で、こちらの山笠に近づいて来た。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ある家庭で歳末に令嬢二人母君から輪飾りに
裏白
(
うらじろ
)
とゆずり葉と
御幣
(
ごへい
)
を結び付ける仕事を命ぜられて珍しく神妙にめったにはしない「うちの用」をしていた。
雑記帳より(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
五月雨の濁水滔々たる桂川の上流から、新しい長持に錠を卸して、上に白い
御幣
(
ごへい
)
を置いたものが流れて来た。
殺人迷路:07 (連作探偵小説第七回)
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おまけに、あの人は
御幣
(
ごへい
)
かつぎで、三本
蝋燭
(
ろうそく
)
(訳注 死人のほとりを照らす習慣)をこわがる、十三日と聞くと顔いろを変える。しかも、けちんぼときている。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
中は薄暗く、鏡が光って、大きな太鼓と
榊
(
さかき
)
に白紙の結び付けられた生花と、
御幣
(
ごへい
)
と、白い
徳利
(
とくり
)
とが目に入って、それに
賽銭
(
さいせん
)
箱が
直
(
す
)
ぐ格子戸の
際
(
きわ
)
に置かれてあった。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
御幣
(
ごへい
)
は
遙
(
はるか
)
に、不思議に、段々
汀
(
みぎわ
)
を
隔
(
へだた
)
るのが心細いやうで、気も
浮
(
うっ
)
かりと、紫玉は、
便
(
たより
)
少ない
心持
(
ここち
)
がした。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
公卿
(
くげ
)
、
大僧正
(
だいそうじょう
)
をはじめ約五百人からの大集団で、例の金の
御幣
(
ごへい
)
を中心に文字通りの大嵐のような勢いで、四月六日には落合泊まりで馬籠の宿場へ繰り込んで来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その男は余程の
御幣
(
ごへい
)
かつぎとみえて、その日の新聞紙の上にくもが一ぴきとまつてゐるのを見て、気にかゝつてならないから、幸運か悪運か、どつちの
前兆
(
しるし
)
なのか
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
町内
氏神
(
うじがみ
)
の祭礼も七五三の祝儀も、自由主義を迎える世には遠慮しなくてはならなくなる。心配は
参詣
(
さんけい
)
をする
氏子
(
うじこ
)
よりも
御幣
(
ごへい
)
を振る
神主
(
かんぬし
)
と
提灯屋
(
ちょうちんや
)
のふところ都合であろう。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
泰文はでたらめな
箴言
(
しんげん
)
に勿体をつけるつもりか、
拍手
(
かしわで
)
をうって花世の
女陰
(
ほと
)
を拝んだり、
御幣
(
ごへい
)
で腹を撫でたり、たわけのかぎりをつくしていたが、おいおい夏がかってくると
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「御本尊と言ってはない。祠の中には、
御幣
(
ごへい
)
が一本立っているきりだ。その御幣も雨漏りでひどく汚れたが、その御幣の前の台の上に、これが畳んだまま置いてあったのじゃ」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
神道の
御幣
(
ごへい
)
は「神棒」から出来たものとされている。この舟はまるで指物細工みたいに出来ていた。
合目
(
あわせめ
)
は実に完全で、私が注意深く写生せざるを得ぬ程清潔で奇麗であった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
洋服を着て抱え車に乗る、代言人の、わたしの父の家でさえ、毎月
晦日
(
みそか
)
そうじがすむと、井戸やおへっついを
法印
(
ほういん
)
さんがおがみに来て、ほうろくへ塩を盛り
御幣
(
ごへい
)
をたてたりしても
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
白木の祭壇には、
榊
(
さかき
)
に似た木の枝が立てかけられ、
御幣
(
ごへい
)
の紙が白く風にゆれている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
こんな水商売を始めてみると、新子もいつの間にか、
御幣
(
ごへい
)
かつぎになっていた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
前に張られた七五三
飾
(
かざり
)
が、縄は見えないで、
御幣
(
ごへい
)
の紙だけ白く並んで
下
(
さが
)
って居るのが見える、社殿の後は木立が低いので空があらわれた、左右の松木立の隙間にあらわれた空の色が面白い
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そのほか言うも
穢
(
けが
)
らわしいような、さまざまの汚ない罪を犯したものたちをいちいちさがし出させて、
御幣
(
ごへい
)
をとって、はらい清めて、国じゅうのけがれをすっかりなくしておしまいになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
後
(
あと
)
でお
爺
(
じい
)
さんから
承
(
うけたまわ
)
るところによると、
私
(
わたくし
)
というものはその
時
(
とき
)
すっかり
御幣
(
ごへい
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
って
了
(
しま
)
ったのだそうで、つまり
御幣
(
ごへい
)
が
自分
(
じぶん
)
か、
自分
(
じぶん
)
が
御幣
(
ごへい
)
か、その
境界
(
さかい
)
が
少
(
すこ
)
しも
判
(
わか
)
らなくなったのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その女が中津に来て、お
稲荷様
(
いなりさま
)
を使うことを
知
(
しっ
)
て居ると
吹聴
(
ふいちょう
)
するその次第は、誰にでも
御幣
(
ごへい
)
を持たして置て何か祈ると、その人に稲荷様が
憑拠
(
とっつ
)
くとか何とか
云
(
いっ
)
て、
頻
(
しき
)
りに私の
家
(
うち
)
に来て
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふい
)
て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「いいえ、あたし、そんな
御幣
(
ごへい
)
かつぎじゃないの」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
また
御幣
(
ごへい
)
擔
(
かつ
)
ぎ!
今日
(
けふ
)
は
何
(
な
)
んといふ
日
(
ひ
)
だらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
魚たちは、よろこんで美しい
御幣
(
ごへい
)
をくわえて
アイヌ神謡集
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
お前の
御幣
(
ごへい
)
かつぎにもあきれるよ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
御幣
(
ごへい
)
をかついでいた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「こんな例はままありがちなこと。いちいち
御幣
(
ごへい
)
をかついでいたら、そのたび部下の士気を
沮喪
(
そそう
)
させるばかり。お案じあるな」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大島の神社の境内に、
御幣
(
ごへい
)
を木の下に立て、
茅
(
かや
)
をもってこれを囲んであるものがある。これは島内の安全を祈るための
祠
(
ほこら
)
代用であるとの話だ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
と、十数間離れたあなたに——もと来た方の家の
軒
(
のき
)
に、その軒よりも高いほどに、
身長
(
たけ
)
高い一本の
御幣
(
ごへい
)
のようなものが、風に靡いて立っていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこで、方々の村では、
鎮守
(
ちんじゅ
)
の
社
(
やしろ
)
に集まって
雨乞
(
あまご
)
いをしました。
御幣
(
ごへい
)
をたくさん立て、いろんなものを
供
(
そな
)
えて、雨が降るようにと鎮守の神に祈りました。
ひでり狐
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
二人は、拙者の振り廻す
御幣
(
ごへい
)
をまぶしがって、恐れちぢんで逃げ出したが、逃げ出して暫くたつと、またあの森かげへ隠れて、くっつき合っていましたよ。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『胸算用』には「仕かけ山伏」が「祈り最中に
御幣
(
ごへい
)
ゆるぎ
出
(
いで
)
、ともし火かすかになりて消」ゆる手品の種明かし、樹皮下に
肉桂
(
にっけい
)
を注射して立木を枯らす法などもある。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すなわち祭の日の
神座
(
しんざ
)
、
御幣
(
ごへい
)
や後世の鏡などに該当するものだったということで、家で田の神の祭をするようになってからは、ただその三把の苗を洗って持って来て
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然
(
さ
)
れば
平日
(
ひごろ
)
然
(
さ
)
までに
臆病
(
おくびやう
)
ならざる
輩
(
はい
)
も、
船出
(
ふなで
)
の
際
(
さい
)
は
兎
(
と
)
や
角
(
かく
)
と
縁起
(
えんぎ
)
を
祝
(
いは
)
ひ、
御幣
(
ごへい
)
を
擔
(
かつ
)
ぐも
多
(
おほ
)
かり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
御幣
(
ごへい
)
で娘の腹を撫でたり、たわけのかぎりをつくしていたが、おいおい夏がかってくると、素ッ裸で邸じゅうを横行し、泉水で水を浴びてはすぐ二階へ上って行ったりした。
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「御本尊と言つてはない。祠の中には、
御幣
(
ごへい
)
が一本立つてゐる切りだ。その御幣も雨漏りでひどく汚れたが、その御幣の前の臺の上に、これが疊んだまゝ置いてあつたのぢや」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆金偏の名をつけて貰う。師匠の鐘太夫に
因
(
ちな
)
むこと無論だが、金が儲かるようにという
御幣
(
ごへい
)
も充分
利
(
き
)
いている。鐙太夫は大阪の文楽座から逃げて来た。銀さんよりも一つ若い。
心のアンテナ
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
御幣
(
ごへい
)
を肩にしたる老婆、
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
背負ひたる女房、物売りの男なぞ乗合ひたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
なんでも高い段のようなものを築いて、そこへ
御幣
(
ごへい
)
や
榊
(
さかき
)
をたてて、座敷の四方には
注連
(
しめ
)
を張りまわして、自分も御幣を持っていて、それを振り立てながら何か
祷
(
いの
)
りのようなことをするんだそうです
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何も
御幣
(
ごへい
)
を担ぐんじゃありませんがね。そんな
篦棒
(
べらぼう
)
な話が
在
(
あ
)
るかって反対もしてみたんですがね。今まであの小僧が乗った船が一艘残らず沈んだのが事実だったら、今度沈むのも事実に違いない。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
御幣
(
ごへい
)
棚の神様と話し合いながら
アイヌ神謡集
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
“御幣”の解説
御幣(ごへい、おんべい、おんべ)とは、神道の祭祀で捧げられ用いられる幣帛(へいはく)の一種で、2本の紙垂(しで)を竹または木の幣串に挟んだものである。幣束(へいそく)、幣(ぬさ)ともいう。
(出典:Wikipedia)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
幣
常用漢字
中学
部首:⼱
15画
“御幣”で始まる語句
御幣餅
御幣担
御幣擔
御幣柱
御幣物
御幣立
御幣紙
御幣舁