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床几
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しやうぎ
ふりがな文庫
“
床几
(
しやうぎ
)” の例文
細い
俎板
(
まないた
)
の様な簡単な手術台に黒い桐油紙を布いたのが二脚、捨て
床几
(
しやうぎ
)
の様に置かれてあるきりで、広い其の室はがらんとして居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
下
(
した
)
に
俵
(
たはら
)
を
敷
(
し
)
けるに、
犬
(
いぬ
)
の
子
(
こ
)
一匹
(
いつぴき
)
、
其日
(
そのひ
)
の
朝
(
あさ
)
より
目
(
め
)
の
見
(
み
)
ゆるものの
由
(
よし
)
、
漸
(
やつ
)
と
食
(
しよく
)
づきましたとて、
老年
(
としより
)
の
餘念
(
よねん
)
もなげなり。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
何
(
ど
)
うぞ
此方
(
こつち
)
へお上りやはつとくれやす。』と、
土間
(
どま
)
の
床几
(
しやうぎ
)
に腰をかけてゐる二人を
強
(
し
)
ひて、奧まつた一室に案内した。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
平次とガラツ八は、其處から少し離れて、蟲聽き臺の捨石や
床几
(
しやうぎ
)
に思ひ/\に腰を掛けて、三河島の淺吉の監視の下に居る十五六人の人數に近づきました。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中には人がいつぱいで、そのまん中に先生らしい、小さな人が
床几
(
しやうぎ
)
に座り、しきりに一人の眼を診てゐる。
北守将軍と三人兄弟の医者
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
平八郎は
難波橋
(
なんばばし
)
の
南詰
(
みなみづめ
)
に
床几
(
しやうぎ
)
を立てさせて、白井、橋本、其外
若党
(
わかたう
)
中間
(
ちゆうげん
)
を
傍
(
そば
)
にをらせ、腰に附けて出た
握飯
(
にぎりめし
)
を
噛
(
か
)
みながら、砲声の
轟
(
とゞろ
)
き渡り、
火焔
(
くわえん
)
の
燃
(
も
)
え上がるのを見てゐた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そして其左右には与力が向ひ合ひに
床几
(
しやうぎ
)
に腰を卸し、一々の者の「踏み方」を疲れた眼できつと睨み見てゐた。二千人以上の其日の「踏み方」は
畢
(
をは
)
つて、もう日暮に近かつた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
内田氏はひどく当惑したやうな顔つきをしてもぢ/\してゐたが、学生達が無雑作に帽子を脱いでそこらにおつぽり出してゐるのを見ると、
漸
(
やつ
)
と気が
注
(
つ
)
いたやうにそつと
床几
(
しやうぎ
)
の上に置いた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
折からとある茶屋の
床几
(
しやうぎ
)
に腰掛けゐたりし、廿五六の優男、ふし結城の羽織に糸織の二枚袷といふ気の利きたる
衣装
(
いでたち
)
にて、商家の息子株とも見ゆるが、お糸を見るより馴れ馴れしげに声かけて
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
正面はたかき石段にて、上には左右に石の
駒寄
(
こまよ
)
せ、石灯籠などあり。桜の立木の奥に社殿遠くみゆ。石段の下には桜の大樹、これに沿うて上のかたに
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店あり。店さきに
床几
(
しやうぎ
)
二脚をおく。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
樫材
(
かし
)
の
床几
(
しやうぎ
)
にちよこなんと、
眼
(
め
)
は一斉に
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
四五軒
筋違
(
すじかい
)
の向う側に、
真赤
(
まっか
)
な
毛氈
(
もうせん
)
をかけた
床几
(
しやうぎ
)
の端が見えて、氷屋が一軒、それには
団扇
(
うちわ
)
が乗ってるばかり、涼しさは涼し、風はあり、月夜なり。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床几
(
しやうぎ
)
に腰を掛け、紫の
對
(
つゐ
)
の小袖に、赤い帶を締め、お松は三味線を鳴らし、お村は
篠笛
(
しのぶえ
)
を吹いて居ります。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平八郎は夢を
揺
(
ゆ
)
り
覚
(
さま
)
されたやうに
床几
(
しやうぎ
)
を
起
(
た
)
つて、「
好
(
よ
)
い、そんなら
手配
(
てくばり
)
をせう」と云つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
(六郎を見かへりて。)
床几
(
しやうぎ
)
を持て。
佐々木高綱
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お猿に呉れた
床几
(
しやうぎ
)
だと
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
聲
(
こゑ
)
の
中
(
なか
)
に
噫
(
あツ
)
と
一聲
(
ひとこゑ
)
、
床几
(
しやうぎ
)
から
轉
(
ころ
)
げ
落
(
お
)
ちさう、
脾腹
(
ひばら
)
を
抱
(
かゝ
)
へて
呻
(
うめ
)
いたのは、
民子
(
たみこ
)
が
供
(
とも
)
の
與曾平親仁
(
よそべいおやぢ
)
。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と平次、赤い
毛氈
(
まうせん
)
を掛けた
床几
(
しやうぎ
)
を引寄せ加減に、腰から煙草入を拔きます。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
前
(
まへ
)
には
冷
(
つめ
)
たさうな
小流
(
こながれ
)
があつたから
手桶
(
てをけ
)
の
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
まうとして
一寸
(
ちよいと
)
気
(
き
)
がついた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
床几
(
しやうぎ
)
——といふ
處
(
ところ
)
だが、(——
親類
(
しんるゐ
)
の
家
(
いへ
)
で——)
其
(
そ
)
の
用意
(
ようい
)
がないから、
踏臺
(
ふみだい
)
に
嵬然
(
くわいぜん
)
として
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けた……んぢや、と
笑
(
わら
)
つて、
當人
(
たうにん
)
が
私
(
わたし
)
に
話
(
はな
)
した。
夫人
(
ふじん
)
、
及
(
およ
)
び
學生
(
がくせい
)
さん
方
(
がた
)
には
内證
(
ないしよう
)
らしい。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
廂
(
ひさし
)
の
下
(
した
)
にあの
傍
(
かたはら
)
の
床几
(
しやうぎ
)
に、
飛石
(
とびいし
)
、
石燈籠
(
いしどうろう
)
のすつきりした、
綺麗
(
きれい
)
に
掃
(
は
)
いて
塵
(
ちり
)
も
留
(
と
)
めず
廣々
(
ひろ/″\
)
した、
此
(
こ
)
の
團子屋
(
だんごや
)
の
奧庭
(
おくには
)
を
背後
(
うしろ
)
にして、
膝
(
ひざ
)
をふつくりと、きちんと
坐
(
すわ
)
つて、
頭
(
つむり
)
に
置手拭
(
おきてぬぐひ
)
をしながら
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
床几
(
しやうぎ
)
に
休
(
いこ
)
ひ
打眺
(
うちなが
)
むれば、
客
(
きやく
)
幾組
(
いくくみ
)
、
高帽
(
たかばう
)
の
天窓
(
あたま
)
、
羽織
(
はおり
)
の
肩
(
かた
)
、
紫
(
むらさき
)
の
袖
(
そで
)
、
紅
(
くれなゐ
)
の
裙
(
すそ
)
、
薄
(
すゝき
)
に
見
(
み
)
え、
萩
(
はぎ
)
に
隱
(
かく
)
れ、
刈萱
(
かるかや
)
に
搦
(
から
)
み、
葛
(
くず
)
に
絡
(
まと
)
ひ、
芙蓉
(
ふよう
)
にそよぎ、
靡
(
なび
)
き
亂
(
みだ
)
れ、
花
(
はな
)
を
出
(
い
)
づる
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
に
入
(
い
)
る
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
をめぐる
人
(
ひと
)
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
障子
(
しやうじ
)
を
入
(
はひ
)
つて、
奴
(
やつこ
)
が
背
(
せ
)
に
近
(
ちか
)
い
土間
(
どま
)
の
床几
(
しやうぎ
)
にかけて、……
二包
(
ふたつゝみ
)
誂
(
あつら
)
へた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
燒芋屋
(
やきいもや
)
の
前
(
まへ
)
に
床几
(
しやうぎ
)
を
出
(
だ
)
して、
日向
(
ひなた
)
ぼつこをして
居
(
ゐ
)
る
婆
(
ばあ
)
さんがあつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
備中
(
びつちう
)
驚
(
おどろ
)
き
嘆
(
たん
)
じ、
無事
(
ぶじ
)
に
渉
(
わた
)
り
果
(
は
)
てた
按摩
(
あんま
)
を、
床几
(
しやうぎ
)
に
近
(
ちか
)
う
召寄
(
めしよ
)
せて
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“床几”の意味
《名詞》
腰掛けの一つ。長方形の枠を中央で交叉させ、片方に革などを渡したもの。
広く腰掛けのこと。
(出典:Wiktionary)
“床几”の解説
床几(しょうぎ、状机とも)とは、(1) 移動用の折畳式簡易腰掛け。(2) 木の板に足をつけた腰掛(大辞林)。
(出典:Wikipedia)
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
几
漢検1級
部首:⼏
2画
“床几”で始まる語句
床几場
床几席
床几所
床几脇
床几布令