“幔幕:まんまく” の例文
“幔幕:まんまく”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治10
木暮理太郎4
中里介山3
芥川竜之介2
小島烏水2
“幔幕:まんまく”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > スポーツ・体育 > 戸外レクリエーション7.4%
歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本7.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
尤も路のほとりに白い幔幕まんまくを張り廻して、御休息所らしいものがしつらえてあるにはあったが、御立寄りにならなかった。
天王寺の陣を引いた正成は、数里はなれた櫨子原しどみばらに、幔幕まんまくばかりの陣を張り、悠々と機をうかがっていた。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
運命の魔女が織り成す夢幻劇の最後の幕の閉じる幔幕まんまくとしてこの刺繍の壁掛けを垂下したつもりであるかもしれない。
汐留川しおどめがわの地先に新造船の安宅丸あたかまるが、花嫁のように幔幕まんまくのぼりに飾られてつないである。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それと見るやまた、葵紋あおいもん幔幕まんまくをはりめぐらした徳川家とくがわけひかえどころのとばりのうちでも、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬場の一面には、八幡宮の鳩と武田菱たけだびしとの幔幕まんまくが張りめぐらされてあり、その外は竹矢来たけやらいでありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もってこれを知ることを得べしといえども、ひとり将来に至りては、寸前暗黒ただ漠々たる幔幕まんまくの吾人が眼前に横たわるを見るのみ。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
舞台一杯に、「玉井春昇さんへ」と染め抜いた紺の幔幕まんまくが張りめぐらしてある。昔、子分連中がくれたものだ。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
笠ヶ岳、焼岳、乗鞍岳についで、長大なる木曾駒山脈が紫紺の幔幕まんまくを張り渡して、特異な横谷には鋭く光る雪をちりばめている。
ところどころに鉄柱てっちゅうを打ちこみ、桐紋きりもん幔幕まんまくをザッとかけたのが本陣であろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子分たちも、皆、立った。三人の芸者もまじって、円陣になった。にぎやかに、踊りながら、紅白だんだらの幔幕まんまくの内側を、ぐるぐる廻る。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
西には、木曾駒ヶ岳の山脈が天半に紫紺の幔幕まんまくを張り渡して、峰頭は流石さすがに鋸歯を刻んでいる。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そして、其の周囲まわりには一木家の定紋じょうもんの附いた紫の幔幕まんまくを張りめぐらしてあった。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その信長の幕営の裏から——幔幕まんまくをかなぐり上げて、今し、そっと這いこんで行こうとする男がある。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹トンボのように狂ってクルクル廻って、右の上の桟敷に張りめぐらした幔幕まんまくの上へポーンと当って
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と思う間もなしに、それが幔幕まんまくのようにだんだん大きく拡がって、白い大空が鼠色に濁ってきた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おおやけにも、しろしめせとばかり、あるほどの智恵嚢ちえぶくろを絞り趣向して、提灯ちょうちんと、飾物かざりものと、旗と幔幕まんまく
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
三つ扇の定紋打った幔幕まんまく桟敷さじきには福知山の領主松平忠房が老臣近侍を左右にして居並び
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お小屋の幔幕まんまくのあたりから、小姓がふたり、矢と半弓を持って、転ぶように、すっ飛んで来た。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幔幕まんまくりめぐらした、どこぞの御大家ごたいけなかへ、まよんだあたしたちは、それおまえおぼえてであろ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
張りめぐらしてある幔幕まんまくに、あの三蓋松さんがいまつの紋どころが見えるのです。
裏の幔幕まんまくの向うでは運動会のおしまい頃で何か騒いでいたがそれも聴き棄てにした。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
満月が無名樹のまばらな梢にかかって湖畔の岡の裾に霧が幔幕まんまくのようにひいている。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
そのお弁当を二つも貰って食べ抹茶も一服よばれたのち、しばらくの休憩をとるため、座敷に張りめぐらした紅白だんだらの幔幕まんまくを向うへね潜って出る。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
引きめぐらした幔幕まんまくの内、正面には泰松寺の老師、宗右衛門自身の左右には不具の娘が美装して二人並び、ずつと下つて上品な年増盛りの彼の後妻がつゝましく座つた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
一段高く黒岳の尖った兜の鉢が雲の幔幕まんまくの前に銀鋲の光を輝かしている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
急ぎ足に、藤吉郎は本丸へ行った。信長は、屋外に幔幕まんまくを張らせ、そこを参謀本部として、時稀ときたま傍らの茶屋で休息をとるくらいな程度で夜をかしていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見れば、お角さんの買い切った一ぱいの舟には幔幕まんまくが張り立てられ、毛氈もうせんがしかれて、そこへゾロゾロと芸子、舞子、たいこ末社様なものが繰込んで来るのです。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
食堂は二十間に八間の長方形にて周囲は紅葉流もみじながしの幔幕まんまくを張詰め、天井には牡丹形のこうおう白色はくしょく常盤ときわの緑を点綴てんてつす。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
袖から袖へ幔幕まんまくつなを通して、虫干の時のように釣るした。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
信長は自分からそこまであるいた。昨夜中はそこを将座しょうざとして戦況を聞いたり使番に会ったりしていた所である。幔幕まんまくのまわりにはかがりの燃え殻が散らかっていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紅梅に幔幕まんまくひかせ見たまひぬ白尾のかけの九つの雛
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
船には竹に雀の紋をつけた幔幕まんまくが張り廻されていた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
支度は一月も前から手廻しされているが、重喜しげよしの身の廻りの物を運ぶ侍女こしもとたちや、潮除しおよけの幔幕まんまくを張りめぐらす者や、かいをしらべる水夫楫主かこかんどり
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以上五百人のうち、試合の場に上るのは百二十人ほどで、拝殿の前の広庭には幔幕まんまくを張りめぐらし、席を左右に取って、早朝、宮司の式がおごそかに済まされると、それより試合は始まります。
ために、賀名生の山中は、にわかに聚落じゅらくをなして、そこらの辻堂やしずの小屋まで幔幕まんまくを引き、はや一統の朝廷と群臣の綺羅星きらぼしはここに在りとばかりな盛観であったという。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
程なくその日が来た。駒場野の御用屋敷からお鷹地の広野には、白いあおいを染め抜いた紫の幔幕まんまくが張り渡されてある。大番組の警士を初め渋谷三郷の代官、柵の内外に厳しい固めをつけておく。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
織部正則重は居城牡鹿山の奥御殿の庭で花見の宴を催し、折柄満開の桜の木かげに幔幕まんまくめぐらし毛氈もうせんを敷いて、夫人や腰元どもと酒をみながら和歌管絃の興にふけっていた。
その翌日は、昨日と等しく、城中の兵法座敷が美しく掃き浄められて、紅白の幔幕まんまくが張り渡され、上座には忠直卿が昨日と同様に座を占めたが、始終下唇を噛むばかりでなく、瞳が爛々として燃えていた。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
上高地から見た前穂高の岩の幔幕まんまく
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
朝から風もなく晴れ渡った午後なぞに波打ちぎわに出て見ると、やや緑色を帯びた青空のはるか遠くの地平線高く、幔幕まんまくを真一文字に張ったような雪雲の堆積たいせきに日がさして、まんべんなくばら色に輝いている。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
宿坊の造りは一定していないが、往還から少し引ッ込んだ門構えに注連しめを張り、あるいは幔幕まんまくをめぐらせ、奥まった玄関に式台作りで、どうかすると、門前に古い年号を刻み入れた頂上三十三度石などが立っている。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
一度に咲いて紅白ぜの幔幕まんまくを、山の峡間に張るそうである、それよりも美しいのは、九月の末から十月の半ごろにかけてである、秋とはいえ、霧は殆んどなく、その頃になると、霞沢岳は、裾がまだ緑であるのに
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
皇室の御紋章を染め抜いた紫縮緬ちりめん幔幕まんまくや、爪を張つた蒼竜さうりゆうが身をうねらせてゐる支那の国旗の下には、花瓶々々の菊の花が、或は軽快な銀色を、或は陰欝いんうつな金色を、人波の間にちらつかせてゐた。
舞踏会 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ひとり、ふたり、三人、五人、いや、全部ではまさしく二十四人、その二十四人のお腰元たちが、丘を隔てて真向こうの桜並み木のその下に、加賀家ご定紋の梅ばち染めたる幔幕まんまくを張りめぐらしながら、いずれもそろって下町好みの大振りそでに
昨日で辟易へきえきした幔幕まんまく、またぞろ行く手をさえぎる、幕の内連が御幕の内にいるのは当然だ、と負け惜みをいいつつ、右に折れ、巉岩ざんがんにて築き上げた怪峰二、三をすぎ、八時、標高三千十四米突の一峰にじて腰をえる。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
御玄関に向った正面へ飾り附け、足場を払って綺麗きれい掃除そうじを致し、幔幕まんまくを張って背景はいけいを作ると、御玄関先は西から南を向いて石垣になっていて余り広くはありませんから、其所そこへ楠公馬上の像が立つとなかなか大きなものでありました。
もちろん危険な敵地へ入るわけなので、船楼には、二十ちょうの弩弓を張って、それぞれ弩弓手を配しておき、姿は、幔幕まんまくをめぐらしておおい隠し、周瑜や魯粛などの大将たちは、わざと鼓楽を奏して、敵の眼をくらましながら、徐々、北岸の水寨へ近づいて行った。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と一と声、美しい顔は苦悶に歪んで、サッと藍のように真っ蒼になると、そのまま白百合のように崩折れて、後へはサッと咲いたような血潮、見る見る羅物うすものを染め、幔幕まんまくを染め、床をひたして、その中に倒れたマネキンの肉体は、最後の苦悶にうごめきます。
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
この時「れぷろぼす」は、かねての大願を成就したことでおぢやれば、よだれも垂れようずばかり笑み傾いて、余念もなく珍陀ちんたの酒をみかはいてあつた所に、ふと酔うた眼にもとまつたは、錦の幔幕まんまくを張り渡いた正面の御座にわせられるみかどの異な御ふるまひぢや。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
天は万物ばんもつに安眠のとこを与へんが為めに夜テフ天鵞絨びろうど幔幕まんまくろし給ふぢやないか、然るに其時間に労働する、すなはち天意を犯すのだらう、看給みたまへ、夜中の労働——売淫、窃盗、賭博、巡査——巡査も剣を握つていかめしく立つては居るが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
町家は軒へ幔幕まんまくを引廻し、家宝の屏風びょうぶを立てて紅毛氈あかもうせんを店へ敷きつめ、夕方になると軒に神燈をささげ、行水ぎょうずいしてから娘も父親も息子むすこも、丁稚でっち、番頭、女中に至るまで、店先きへ吉原よしわらの如くめかし込んで並ぶのである。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
幔幕まんまくも三蓋松、これも三蓋松、大御番組のあき屋敷に脱ぎ捨てた着物の紋どころも同じこの三蓋松だ。小石川伝通院裏吉田法眼ほうげん様のご後室へ、たしかに三蓋松の紋つきちりめんをひとそろいお届けいたしましたと、呉服後藤の店の者がいってるんだ。あのあぶらぎったご後室もご利益うけている信者に相違あるめえ。