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幔幕
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まんまく
ふりがな文庫
“
幔幕
(
まんまく
)” の例文
紅白の
幔幕
(
まんまく
)
が張り渡され、上座には忠直卿が昨日と同様に座を占めたが、始終下唇を噛むばかりでなく、瞳が爛々として燃えていた。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
見物
(
けんぶつ
)
はハッと
息
(
いき
)
をのんだが、そのとき、あなたの
幔幕
(
まんまく
)
やこなたの
鯨幕
(
くじらまく
)
のうちで、しゅんかん、ワーッという
侍
(
さむらい
)
たちの声があがった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足場を払って
綺麗
(
きれい
)
に
掃除
(
そうじ
)
を致し、
幔幕
(
まんまく
)
を張って
背景
(
はいけい
)
を作ると、御玄関先は西から南を向いて石垣になっていて余り広くはありませんから
幕末維新懐古談:70 木彫の楠公を天覧に供えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
私は売店で樺太地図を一枚買って、そこで外へ出た。裏の
幔幕
(
まんまく
)
の向うでは運動会のおしまい頃で何か騒いでいたがそれも聴き棄てにした。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
竹トンボのように狂ってクルクル廻って、右の上の桟敷に張りめぐらした
幔幕
(
まんまく
)
の上へポーンと当って、
雨垂
(
あまだれ
)
のように下へ落ちてしまいました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
尤も路のほとりに白い
幔幕
(
まんまく
)
を張り廻して、御休息所らしいものがしつらえてあるにはあったが、御立寄りにならなかった。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
訪れた上皇を迎えて、笛、鐘、太鼓が一斉に
乱声
(
らんじょう
)
の楽を奏した。正装の諸卿は列を正してこれを迎え、六衛府の官人が
幔幕
(
まんまく
)
を張った門を開けた。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ここは五条松原で、六波羅探題の大屋敷が、
篝火
(
かがりび
)
、
幔幕
(
まんまく
)
、槍、
長柄
(
ながえ
)
、弓矢によって
厳
(
いか
)
めしく、さも物々しく
装
(
よそお
)
われていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
運命の魔女が織り成す夢幻劇の最後の幕の閉じる
幔幕
(
まんまく
)
としてこの刺繍の壁掛けを垂下したつもりであるかもしれない。
音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
食堂は二十間に八間の長方形にて周囲は
紅葉流
(
もみじなが
)
しの
幔幕
(
まんまく
)
を張詰め、天井には牡丹形の
紅
(
こう
)
黄
(
おう
)
白色
(
はくしょく
)
常盤
(
ときわ
)
の緑を
点綴
(
てんてつ
)
す。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あなたとこの秋にお目にかかること、そして私たちにとってはお
伽噺
(
とぎばなし
)
の
幔幕
(
まんまく
)
で包まれている輝かしいあなたの国を知ることをよろこばしくもくろみながら
アインシュタイン教授をわが国に迎えて
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
見る見る
羅物
(
うすもの
)
を染め、
幔幕
(
まんまく
)
を染め、床をひたして、その中に倒れたマネキンの肉体は、最後の苦悶に
轟
(
うご
)
めきます。
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
舞台一杯に、「玉井春昇さんへ」と染め抜いた紺の
幔幕
(
まんまく
)
が張りめぐらしてある。昔、子分連中がくれたものだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「さあ、これから切腹の場所を拝見して置こうか」と、
幔幕
(
まんまく
)
で囲んだ中へ這入り掛けた。細川藩の番士が
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
船には竹に雀の紋をつけた
幔幕
(
まんまく
)
が張り廻されていた。海の波は畳のように平らかであった。この老人たちは
艫
(
ろ
)
をあやつりながら、声を揃えてかの舟唄を歌った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
加賀家ご定紋の梅ばち染めたる
幔幕
(
まんまく
)
を張りめぐらしながら、いずれもそろって下町好みの大振りそでに、なぞのしごきのお蘭結びを花のごとくにちらちらさせて
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あるほどの
智恵嚢
(
ちえぶくろ
)
を絞り趣向して、
提灯
(
ちょうちん
)
と、
飾物
(
かざりもの
)
と、旗と
幔幕
(
まんまく
)
と、人は花の
巷
(
ちまた
)
を練り歩くのであった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
町家は軒へ
幔幕
(
まんまく
)
を引廻し、家宝の
屏風
(
びょうぶ
)
を立てて
紅毛氈
(
あかもうせん
)
を店へ敷きつめ、夕方になると軒に神燈を
捧
(
ささ
)
げ、
行水
(
ぎょうずい
)
してから娘も父親も
息子
(
むすこ
)
も、
丁稚
(
でっち
)
、番頭、女中に至るまで
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
幔幕
(
まんまく
)
を
張
(
は
)
りめぐらした、どこぞの
御大家
(
ごたいけ
)
の
中
(
なか
)
へ、
迷
(
まよ
)
い
込
(
こ
)
んだあたし
達
(
たち
)
は、それお
前
(
まえ
)
も
覚
(
おぼ
)
えてであろ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
昨日で
辟易
(
へきえき
)
した
幔幕
(
まんまく
)
、またぞろ行く手を
遮
(
さえぎ
)
る、幕の内連が御幕の内にいるのは当然だ、と負け惜みをいいつつ、右に折れ、
巉岩
(
ざんがん
)
にて築き上げた怪峰二、三をすぎ、八時
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
引きめぐらした
幔幕
(
まんまく
)
の内、正面には泰松寺の老師、宗右衛門自身の左右には不具の娘が美装して二人並び、ずつと下つて上品な年増盛りの彼の後妻がつゝましく座つた。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
もってこれを知ることを得べしといえども、ひとり将来に至りては、寸前暗黒ただ漠々たる
幔幕
(
まんまく
)
の吾人が眼前に横たわるを見るのみ。吾人はいかにしてこれを知るを得んや。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
幔幕
(
まんまく
)
を真一文字に張ったような雪雲の
堆積
(
たいせき
)
に日がさして、まんべんなくばら色に輝いている。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
織部正則重は居城牡鹿山の奥御殿の庭で花見の宴を催し、折柄満開の桜の木かげに
幔幕
(
まんまく
)
を
繞
(
めぐ
)
らし
毛氈
(
もうせん
)
を敷いて、夫人や腰元どもと酒を
酌
(
く
)
みながら和歌管絃の興に
耽
(
ふけ
)
っていた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お芝居などでもよく
演
(
や
)
るやつでございますが、
先
(
ま
)
ず初めにお姫さまが金魚の
糞
(
うんこ
)
ほどぞろ/\腰元をつれ、花道で並び
台詞
(
ぜりふ
)
がすみ、正面の床かあるは引廻したる
幔幕
(
まんまく
)
のうちへ這入る
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
紫
(
むらさき
)
の
裾模様
(
すそもやう
)
の小
袖
(
そで
)
に金糸の
刺繍
(
ぬひ
)
が見える。袖から
袖
(
そで
)
へ
幔幕
(
まんまく
)
の
綱
(
つな
)
を通して、
虫干
(
むしぼし
)
の時の様に
釣
(
つ
)
るした。
袖
(
そで
)
は丸くて
短
(
みぢ
)
かい。是が
元禄
(
げんろく
)
かと三四郎も気が
付
(
つ
)
いた。
其外
(
そのほか
)
には
画
(
ゑ
)
が沢山ある。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
往還から少し引ッ込んだ門構えに
注連
(
しめ
)
を張り、あるいは
幔幕
(
まんまく
)
をめぐらせ、奥まった玄関に式台作りで、どうかすると、門前に古い年号を刻み入れた頂上三十三度石などが立っている。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
満月が無名樹のまばらな梢にかかって湖畔の岡の裾に霧が
幔幕
(
まんまく
)
のようにひいている。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
天は
万物
(
ばんもつ
)
に安眠の
牀
(
とこ
)
を与へんが為めに夜テフ
天鵞絨
(
びろうど
)
の
幔幕
(
まんまく
)
を
下
(
お
)
ろし給ふぢやないか、然るに其時間に労働する、
即
(
すなは
)
ち天意を犯すのだらう、
看給
(
みたま
)
へ、夜中の労働——売淫、窃盗、賭博
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
この困難に
辟易
(
へきえき
)
し、この忍耐に怖じけづく人々は、プロレタリヤ文藝運動の行列を去つて、紅白の
幔幕
(
まんまく
)
でめぐらした運動會場に赴くがいい。そこにはすぐに喝采してくれる群集がいる。
文芸運動と労働運動
(旧字旧仮名)
/
平林初之輔
(著)
そして、其の
周囲
(
まわり
)
には一木家の
定紋
(
じょうもん
)
の附いた紫の
幔幕
(
まんまく
)
を張りめぐらしてあった。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
涎
(
よだれ
)
も垂れようずばかり笑み傾いて、余念もなく
珍陀
(
ちんた
)
の酒を
酌
(
く
)
みかはいてあつた所に、ふと酔うた眼にもとまつたは、錦の
幔幕
(
まんまく
)
を張り渡いた正面の御座にわせられる
帝
(
みかど
)
の異な御ふるまひぢや。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今では
常傭
(
じょうやと
)
いの形で、ガラガラ、ゴットン、ガラガラ、ゴットン、廻る木馬の真中の、一段高い台の上で、台には紅白の
幔幕
(
まんまく
)
を張り
廻
(
めぐ
)
らし、彼等の頭の上からは、四方に万国旗が延びている
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
紅梅に
幔幕
(
まんまく
)
ひかせ見たまひぬ白尾の
鶏
(
かけ
)
の九つの雛
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
上高地から見た前穂高の岩の
幔幕
(
まんまく
)
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
昨夜中はそこを
将座
(
しょうざ
)
として戦況を聞いたり使番に会ったりしていた所である。
幔幕
(
まんまく
)
のまわりには
篝
(
かがり
)
の燃え殻が散らかっていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
笠ヶ岳、焼岳、乗鞍岳に
次
(
つい
)
で、長大なる木曾駒山脈が紫紺の
幔幕
(
まんまく
)
を張り渡して、特異な横谷には鋭く光る雪を
鏤
(
ちりば
)
めている。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
天王寺の陣を引いた正成は、数里はなれた
櫨子原
(
しどみばら
)
に、
幔幕
(
まんまく
)
ばかりの陣を張り、悠々と機をうかがっていた。
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
馬場の一面には、八幡宮の鳩と
武田菱
(
たけだびし
)
との
幔幕
(
まんまく
)
が張りめぐらされてあり、その外は
竹矢来
(
たけやらい
)
でありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
幔幕
(
まんまく
)
も三蓋松、これも三蓋松、大御番組のあき屋敷に脱ぎ捨てた着物の紋どころも同じこの三蓋松だ。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
五、六月頃になると、山桜や
躑躅
(
つつじ
)
が、一度に咲いて紅白
綯
(
な
)
い
交
(
ま
)
ぜの
幔幕
(
まんまく
)
を、山の峡間に張るそうである、それよりも美しいのは、九月の末から十月の半ごろにかけてである、秋とはいえ
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
そのお弁当を二つも貰って食べ抹茶も一服よばれたのち、しばらくの休憩をとるため、座敷に張り
廻
(
めぐ
)
らした紅白だんだらの
幔幕
(
まんまく
)
を向うへ
弾
(
は
)
ね潜って出る。そこは庭に沿った
椽側
(
えんがわ
)
であった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
未
(
ひつじ
)
の刻(午後二時)をすこし過ぎた頃、
比叡
(
ひえ
)
の頂上に
蹴鞠
(
けまり
)
ほどの小さい黒雲が浮かび出した。と思う間もなしに、それが
幔幕
(
まんまく
)
のようにだんだん大きく拡がって、白い大空が鼠色に濁ってきた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
にぎやかに、踊りながら、紅白だんだらの
幔幕
(
まんまく
)
の内側を、ぐるぐる廻る。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
紫の裾模様の
小袖
(
こそで
)
に
金糸
(
きんし
)
の
刺繍
(
ぬい
)
が見える。袖から袖へ
幔幕
(
まんまく
)
の
綱
(
つな
)
を通して、虫干の時のように釣るした。袖は丸くて短かい。これが
元禄
(
げんろく
)
かと三四郎も気がついた。そのほかには絵がたくさんある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
皇室の御紋章を染め抜いた紫
縮緬
(
ちりめん
)
の
幔幕
(
まんまく
)
や、爪を張つた
蒼竜
(
さうりゆう
)
が身をうねらせてゐる支那の国旗の下には、花瓶々々の菊の花が、或は軽快な銀色を、或は
陰欝
(
いんうつ
)
な金色を、人波の間にちらつかせてゐた。
舞踏会
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
信長は、屋外に
幔幕
(
まんまく
)
を張らせ、そこを参謀本部として、
時稀
(
ときたま
)
傍らの茶屋で休息をとるくらいな程度で夜を
徹
(
あ
)
かしていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見れば、お角さんの買い切った一ぱいの舟には
幔幕
(
まんまく
)
が張り立てられ、
毛氈
(
もうせん
)
がしかれて、そこへゾロゾロと芸子、舞子、たいこ末社様なものが繰込んで来るのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
西には、木曾駒ヶ岳の山脈が天半に紫紺の
幔幕
(
まんまく
)
を張り渡して、峰頭は
流石
(
さすが
)
に鋸歯を刻んでいる。御岳と白山とが其上から紫地に銀糸を縫い込めた裾をゆたかに曳いて、美しい姿を覗かせる。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
張りめぐらしてある
幔幕
(
まんまく
)
に、あの
三蓋松
(
さんがいまつ
)
の紋どころが見えるのです。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“幔幕”の意味
《名詞》
式場や会場などの周囲に張り巡らす横に長い幕。
(出典:Wiktionary)
幔
漢検1級
部首:⼱
14画
幕
常用漢字
小6
部首:⼱
13画
“幔幕”で始まる語句
幔幕外