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山羊
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やぎ
ふりがな文庫
“
山羊
(
やぎ
)” の例文
つぎの朝久助君は、
山羊
(
やぎ
)
にえさをやるため、小屋の前へいって、ぬれた草を手でつかんだとき、きのうの川のできごとを思い出した。
川
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
女は普通の日本の
女性
(
にょしょう
)
のように絹の手袋を
穿
(
は
)
めていなかった。きちりと合う
山羊
(
やぎ
)
の革製ので、
華奢
(
きゃしゃ
)
な指をつつましやかに包んでいた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その青年記者のロイド
眼鏡
(
めがね
)
の底に光る鋭い眼と、
山羊
(
やぎ
)
髭を付けた可愛らしい口元は、顔の表情に一種不思議な矛盾を感じさせます。
女記者の役割
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
に
私
(
わたし
)
だの、そらここにいるこの
不幸
(
ふこう
)
な
人達
(
ひとたち
)
ばかりが
恰
(
あだか
)
も
献祭
(
けんさい
)
の
山羊
(
やぎ
)
の
如
(
ごと
)
くに、
衆
(
しゅう
)
の
為
(
ため
)
にここに
入
(
い
)
れられていねばならんのか。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
汝はドメニカに育てられ、「ジエスヰタ」派の學校に人となりて、その血中には
山羊
(
やぎ
)
の
乳汁
(
ちしる
)
雜れり。されば汝は臆病なりといひき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
豌豆
(
ゑんどう
)
のやうな花の咲いた細かい草などもある。向うの土手のところに
山羊
(
やぎ
)
の一群が居り、少女ひとりが
鵞鳥
(
がてう
)
の一群を遊ばせてゐたりする。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私の父は歓迎の意志表示でせうか、口汚く
山羊
(
やぎ
)
や豚を追ひ立てて、そのかはり
厩
(
うまや
)
から自慢の
仔馬
(
こうま
)
を引き出して先生に見せました。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
もぢやもぢやした髪の毛の中には、
山羊
(
やぎ
)
のやうな
角
(
つの
)
が二本、はえてゐる。牛商人は、思はず顔の色を変へて、持つてゐた笠を、地に落した。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
窓の外の木々の葉の
囁
(
ささや
)
きを聴き
乍
(
なが
)
ら、かの女は
暫
(
しばら
)
く
興醒
(
きょうざ
)
めた悲しい気持でいた。すると何処かで、「メー」と
山羊
(
やぎ
)
が風を
歓
(
よろこ
)
ぶように鳴いた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
山羊
(
やぎ
)
と
犢
(
こうし
)
との血を用いず、己が血をもてただ一たび至聖所に入りて、永遠の贖罪を終え給えり。……このゆえに彼は新しき契約の仲保なり。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
二頭の暗黒なる
山羊
(
やぎ
)
のごとく無限の橋上において額をつき合わする二つの宗教の争い、それらももはや今日のように恐るるに及ばないだろう。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
顔が人間と猿の間で、手足の先が
山羊
(
やぎ
)
のようで、小さな
尻尾
(
しっぽ
)
があって、まっ黒な胴着をつけてるのが、
悪魔
(
あくま
)
の姿として絵に書いてあったのです。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
時と荒廃とに任せていた彼の住居は崩れかけて来たので、飢えたる
山羊
(
やぎ
)
どもは
彷徨
(
さまよ
)
い出て、近所の牧場へ行ってしまった。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
「己は鶏三羽と
山羊
(
やぎ
)
一疋遣ったに己の児を捉えくさった、この上まだ何ぞ欲しいか
破落戸
(
ごろつき
)
め」と
喚
(
わめ
)
きおったと(バルフォール『印度事彙』三)。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
鰐
(
わに
)
、
駝鳥
(
だちょう
)
、
山羊
(
やぎ
)
、
鹿
(
しか
)
、
斑馬
(
しまうま
)
、象、
獅子
(
しし
)
、その他どれ程の種類のあるかも知れないような毒蛇や毒虫の実際に
棲息
(
せいそく
)
する地方のことを話し聞かせた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
朱
(
しゆ
)
の色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
羊
(
ひつじ
)
守
(
も
)
る
娘
(
こ
)
が、戀に惱んで
畠
(
はたけ
)
に
眠
(
ね
)
てゐる姿、
羊牧
(
ひつじかひ
)
はゆきずりに匂を吸ふ、
山羊
(
やぎ
)
はおまへに
觸
(
さは
)
つてゆく、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
あゝ萬の罪人にまさりて幸なく生れし民、語るも
苦
(
つら
)
き處に止まる者等よ、汝等は世にて羊または
山羊
(
やぎ
)
なりしならば猶善かりしなるべし 一三—一五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
白い
山羊
(
やぎ
)
の背に、二箇の
酒瓶
(
さかがめ
)
を乗せて、それをひいてきた旅の老人が、桑の下に立って、独りで何やら感嘆していた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幼いとき、小学校の「
山羊
(
やぎ
)
」という
綽名
(
あだな
)
のある校長さんから、面白いお
伽噺
(
とぎばなし
)
をして貰ったが、その中で、最もよく覚えているのは、こんな噺であった。
人造物語
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
君は
可愛
(
かわい
)
い甥でした。わしは君を、利巧な甥としてしんから愛して来ました。君だって、先王がおいでの頃は、この
山羊
(
やぎ
)
のおじさんに、なついていました。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
が、なおも辛抱強くその実験をつづけていると、髑髏を描いてある場所の斜め反対の隅っこに、最初は
山羊
(
やぎ
)
だろうと思われる絵が見えるようになってきた。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
「ええ、ありがとう、ですからマグノリアの木は
寂静
(
じゃくじょう
)
です。あの花びらは天の
山羊
(
やぎ
)
の
乳
(
ちち
)
よりしめやかです。あのかおりは
覚者
(
かくしゃ
)
たちの
尊
(
とうと
)
い
偈
(
げ
)
を人に
送
(
おく
)
ります。」
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
雌
山羊
(
やぎ
)
の乳をしぼれば、他の者が
篩
(
ふるい
)
をその下に差し出していると云う、そんなはかない
生活
(
くらし
)
なので、躯工合でも悪くなると、あれこれと考えるのだが、まあ
生活
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「アコン、旦那に言って
山羊
(
やぎ
)
というもんを飼って貰いなさらんか。山羊の乳は
仰山
(
ぎょうさん
)
に滋養があるそうですど」
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
流れのふちで桑の葉などを食べていた
山羊
(
やぎ
)
の
仔
(
こ
)
も、私たちの姿を見ると人なつこそうに近よってきた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
うとうととした
脹
(
ふく
)
れ顔の金髪を乱した娘が、神経質な
素気
(
そっけ
)
ない
山羊
(
やぎ
)
のような小足でそばを通りかかると、クリストフは彼女をもう一、二時間も多く眠らせるためには
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
コンゴに住むイーキー民族は
現今
(
げんこん
)
も「しまうま」の肉は食はぬ。むかしエヂプトに於ては、テベスでは羊を食はず、メンデスでは
山羊
(
やぎ
)
を食はず、オムポズでは
鰐魚
(
わに
)
を嫌つた。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
湖畔の
岩陰
(
いわかげ
)
や、近くの森の
樅
(
もみ
)
の木の下や、あるいは、
山羊
(
やぎ
)
の皮をぶら下げたシャクの家の戸口の所などで、彼等はシャクを半円にとり囲んで
坐
(
すわ
)
りながら、彼の話を楽しんだ。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「さうかなあ。ふらふらと出てみる気になつたんだ。
山羊
(
やぎ
)
先生、大分、よぼよぼになつたね」
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
それはまあいいとして、この有尾人からは、
山羊
(
やぎ
)
くさいといわれる黒人の
臭
(
にお
)
いの、おそらく数倍かと思われるような
堪
(
たま
)
らない体臭が、むんむん湿熱にむれて発散されてくる。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
羊や
山羊
(
やぎ
)
や
蟹
(
かに
)
や
獅子
(
しし
)
や
昆虫
(
こんちゅう
)
のたぐいに
仮体
(
かたい
)
して、山河に飛散していたもろもろの星が、すっかりめいめいの意味をもって、ちゃあんとそれぞれ天空の位置にはめ込まれていた。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
私は、娘が一と息で数えるだけの、羊と牛と
山羊
(
やぎ
)
と馬と豚を、お祝いにやりましょう。
湖水の女
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
大先達某勧之などとしたため、朱印をベタ押しにしたのを着込んで、その上に白たすきをあや取り、白の手甲に、
渋塗
(
しぶぬ
)
りの素足を
露
(
あら
)
わにだした
山羊
(
やぎ
)
ひげの
翁
(
おきな
)
など、日本アルプスや
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
次には
鴉
(
からす
)
を挙げ、三十九章に入りては
山羊
(
やぎ
)
、
牝鹿
(
めしか
)
、
野驢馬
(
のろば
)
、
兕
(
のうし
)
(野牛すなわち野生の牛)、
駝鳥
(
だちょう
)
、
鷹
(
たか
)
、
鷲
(
わし
)
を挙げておのおの特徴を述べ、神の与えし
智慧
(
ちえ
)
による各動物の活動を記して
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
もしもこんなとき津留がいるとすれば、この妹娘は必ず
山羊
(
やぎ
)
のような声で「ええへへへへ」と笑う、わざと
喉
(
のど
)
へひっかける妙な笑いかたで、それから姉の口まねを上手にやってみせる。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
公園の柵の真中にいた
山羊
(
やぎ
)
が、見物人の合図に、何事かと物珍らしそうに柵の方に走って来る、ちょうどそれのように、一同の顔が彼に近づく。その顔はエロアのにおいを
嗅
(
か
)
いでいる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
痩せた頬、くぼんだ眼、半白の
山羊
(
やぎ
)
ひげをなびかせた老後の風采は少々仙骨を帯びた工合、といっていわゆる名人肌の奇行などは微塵も聞かず、平素もきちんとした羽織袴で技術に専心。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
その夜はそこに宿り翌日も非常に疲れて居るから一日休息してその翌朝すなわち九月二十六日、
山羊
(
やぎ
)
は一疋でも行くといいますからそこで荷物を背負わす山羊を一疋買い調えて出掛けました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
あの時は
山羊
(
やぎ
)
のごとく
然
(
しか
)
り山野泉流ただ自然の導くままに
逍遙
(
しょうよう
)
したり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
羊はちょっとしたことにもおどろく
臆病
(
おくびょう
)
な動物ですが、中へ五、六頭の
山羊
(
やぎ
)
を入れておくと、羊はこの山羊をたよりに思って、夜などもなにかさわぎがおこると、みな
山羊
(
やぎ
)
のそばへより集まるのです。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
そこへブロッケンの山から駆けて帰る、年の寄った
山羊
(
やぎ
)
の
牡
(
おす
)
が
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
山羊
(
やぎ
)
の乳と山椒のしめりまじりたるそよ風吹いて夏は来りぬ
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
歩めるは
娘娘廟
(
にやんにやんべう
)
のうしろなる野に飼はれたる
山羊
(
やぎ
)
ら小馬ら
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
山羊
(
やぎ
)
を
牧
(
か
)
ふ者、展望の高き場より海のうへ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
山羊
(
やぎ
)
の毛皮の襟巻も飲んじまいましたよ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
山羊
(
やぎ
)
が啼いて 一日一日 過ぎてゐた
優しき歌 Ⅰ・Ⅱ
(新字旧仮名)
/
立原道造
(著)
髯
(
ひげ
)
の似たるより
山羊
(
やぎ
)
と名づけて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
羊を集め、
山羊
(
やぎ
)
を集め
夕づつの清光を歌ひて
(旧字旧仮名)
/
サッフォ
(著)
お
山羊
(
やぎ
)
さん
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
山羊
(
やぎ
)
の角
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
“山羊(ヤギ)”の解説
ヤギ(山羊、野羊、en: Goat)は、ウシ科ヤギ属(Capra)の動物の総称である。
狭義には家畜種 Capra hircus(分類によっては C. aegagrus の亜種 Capra aegagrus hircus)を指す。
(出典:Wikipedia)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
羊
常用漢字
小3
部首:⽺
6画
“山羊”で始まる語句
山羊髯
山羊皮
山羊鬚
山羊仔皮
山羊乳
山羊髥
山羊仔
山羊足
山羊髭