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妨
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さまたげ
ふりがな文庫
“
妨
(
さまたげ
)” の例文
ひと口に自由といえば
我儘
(
わがまま
)
のように聞こゆれども、決して
然
(
しか
)
らず。自由とは、他人の
妨
(
さまたげ
)
をなさずして我が心のままに事を行うの義なり。
中津留別の書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
若い者の事だから、決して責めるではないが、身分違ひの者とさういふ事をすると、出世の
妨
(
さまたげ
)
になるから
廢
(
よ
)
せと書いてあるのです。
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
ましてや貴人は今は世に亡き
御方
(
おんかた
)
である。あからさまにその人を
斥
(
さ
)
さずに、ほぼその事を
記
(
しる
)
すのは、あるいは
妨
(
さまたげ
)
がなかろうか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
想ふに羅馬市には、
黄金
(
こがね
)
の
耳環
(
みゝわ
)
を典して、客人を
贖
(
あがな
)
ひ取ることを
吝
(
をし
)
まざる人あるならん。
拿破里
(
ナポリ
)
の
旅稼
(
たびかせぎ
)
は、その後の事とし給はんも
妨
(
さまたげ
)
あらじ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
同時に、
渠等
(
かれら
)
怪しき
輩
(
やから
)
が、ここにかかる
犠牲
(
いけにえ
)
のあるを知らせまいとして、我を拒んだと合点さるるにつけて、とこう言う内に、追って来て
妨
(
さまたげ
)
しょう。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
いざ
往
(
ゆ
)
け、我は汝の尚長く止まるを願はず、我泣いて汝のいへるところのものを
熟
(
う
)
ましむるに汝のこゝにあるはその
妨
(
さまたげ
)
となればなり 一三九—一四一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
其頃
(
そのころ
)
は
事務
(
じむ
)
にも
慣
(
な
)
れるし、信用も厚くなるし、交際も殖えるし、勉強をする
暇
(
ひま
)
が自然となくなつて、又勉強が却つて実務の
妨
(
さまたげ
)
をする様に感ぜられて
来
(
き
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一、一味の
各
(
おのおの
)
存寄
(
ぞんじより
)
申出
(
もうしいで
)
られ候とも、自己の意趣を
含
(
ふくみ
)
申
妨
(
さまたげ
)
候儀これ
有
(
ある
)
まじく候。誰にても理の当然に申合すべく候。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
一茶一流の自嘲の気が強過ぎるためである。従ってこの句の裏には、御覧の通りの屑家ではあるが、名月を見るには何の
妨
(
さまたげ
)
もない、という底意が窺われる。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「読書はなるたけ黙読せよ。昼日は時ありて朗読すとも可なり。唯隣座の凝念思索の
妨
(
さまたげ
)
をなすことを得ず」「人の
傘笠
(
さんりゅう
)
を
戴
(
いただ
)
き、人の履物をはくことを許さず。 ...
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
掘るには木にて作りたる
鋤
(
すき
)
を用ふ、里言にこすきといふ、
則
(
すなわち
)
木鋤なり。(中略)掘たる雪は
空地
(
あきち
)
の、人に
妨
(
さまたげ
)
なき処へ山のごとく積上る、これを里言に
掘揚
(
ほりあげ
)
といふ。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
掘たる雪は
空地
(
あきち
)
の、人に
妨
(
さまたげ
)
なき
処
(
ところ
)
へ山のごとく
積
(
つみ
)
上る、これを
里言
(
りげん
)
に
掘揚
(
ほりあげ
)
といふ。大家は
家夫
(
わかいもの
)
を
尽
(
つく
)
して
力
(
ちから
)
たらざれば
掘夫
(
ほりて
)
を
傭
(
やと
)
ひ、
幾
(
いく
)
十人の力を
併
(
あはせ
)
て一時に
掘尽
(
ほりつく
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
よしや我身の
妄執
(
もうしゅう
)
の
憑
(
の
)
り移りたる者にもせよ、今は恩愛
切
(
きっ
)
て
捨
(
すて
)
、迷わぬ
初
(
はじめ
)
に
立帰
(
たちかえ
)
る珠運に
妨
(
さまたげ
)
なす
妖怪
(
ようかい
)
、いでいで仏師が腕の
冴
(
さえ
)
、恋も未練も
段々
(
きだきだ
)
に
切捨
(
きりすて
)
くれんと
突立
(
つったち
)
て
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
自ら未成の旧稿について
饒舌
(
じょうぜつ
)
する事の甚しく時流に
後
(
おく
)
れたるが故となすも、また何の
妨
(
さまたげ
)
があろう。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
八犬伝や
巡島記
(
じゆんたうき
)
の愛読者である事は云ふまでもない。就いてはかう云ふ
田舎
(
ゐなか
)
にゐては、何かと修業の
妨
(
さまたげ
)
になる。だから、あなたの所へ、食客に置いて貰ふ訳には行くまいか。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仮令
(
たとい
)
居たとて役にも立たず、お政は、あの如く、娘を愛する心は有りても、その道を知らんから、娘の道心を
縊殺
(
しめころ
)
そうとしていながら、しかも
得意顔
(
したりがお
)
でいるほどゆえ、
固
(
もと
)
よりこれは
妨
(
さまたげ
)
になるばかり
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
啻
(
たゞ
)
に書の
尽
(
ことごと
)
く信ずべからざるのみではない。古文書と雖、尽く信ずることは出来ない。漳州の牽牛花の種子は何年に誰から誰に伝はつても事に
妨
(
さまたげ
)
は無い。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
如何
(
いかん
)
となれば現行法律の旨に
背
(
そむ
)
くが故なり。其れも小説物語の
戯作
(
げさく
)
ならば或は
妨
(
さまたげ
)
なからんなれども、家庭の教育書、学校の読本としては必ず異論ある可し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その頃は事務にも慣れるし、信用も厚くなるし、交際も殖えるし、勉強をする暇が自然となくなって、又勉強が
却
(
かえ
)
って実務の
妨
(
さまたげ
)
をする様に感ぜられて来た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
われら一類が
為
(
な
)
す
業
(
わざ
)
に
怯
(
おびや
)
かされて、その者、心を破り、気を
傷
(
きずつ
)
け、身を
損
(
そこな
)
えば、おのずから引いて、我等修業の
妨
(
さまたげ
)
となり、従うて罪の
障
(
さわり
)
となって、実は
大
(
おおい
)
に迷惑いたす。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兎も角も一たび此
場内
(
にはぬち
)
に入りて、美しき女優の
面
(
おも
)
を見ばや。若し興なくば、曲の終るを待たで出でんも
妨
(
さまたげ
)
あらじとおもひぬ。入場劵を買ふに、小き汚れたる
牌
(
ふだ
)
を與へつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しからばすなわち教育の目的は平安にありというも、世界人類の社会に通用して
妨
(
さまたげ
)
あることなかるべし。
教育の目的
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
有体
(
ありてい
)
に云うと、読書ほど修業の
妨
(
さまたげ
)
になるものは無いようです。私共でも、こうして碧巌などを読みますが、自分の程度以上のところになると、まるで
見当
(
けんとう
)
がつきません。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我等は倒れたる一圓柱の
趺
(
ふ
)
の上に踞したり。ジエンナロの力に頼りて、
乞兒
(
かたゐ
)
の群を逐ひ拂ふことを得たりしかば、我等の心靜に
四邊
(
あたり
)
の風景を
玩
(
もてあそ
)
ぶには、復た何の
妨
(
さまたげ
)
もあらざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
山陽が最後に手を政記に下して、「それに昼夜かゝり、生前に整頓」しようとした以上は、「猶著眼鏡、手政記、刪潤不止、(中略、)乃閣筆、不脱眼鏡而瞑」と書するも或は
妨
(
さまたげ
)
なからう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
意外なる
待遇
(
もてなし
)
かな、かかりし事われは有らず。
平時
(
いつも
)
はただ人の前、
背後
(
うしろ
)
、
傍
(
わき
)
などにて、
妨
(
さまたげ
)
とならざる限り、処定めず観たりしなるを。
大
(
おおい
)
なる桟敷の
真中
(
まんなか
)
に
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
して、
小
(
ちいさ
)
き体
一個
(
ひとつ
)
まず
突立
(
つった
)
てり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを
好加減
(
いゝかげん
)
に
揣摩
(
しま
)
する
癖
(
くせ
)
がつくと、それが
坐
(
すわ
)
る
時
(
とき
)
の
妨
(
さまたげ
)
になつて、
自分
(
じぶん
)
以上
(
いじやう
)
の
境界
(
きやうがい
)
を
豫期
(
よき
)
して
見
(
み
)
たり、
悟
(
さとり
)
を
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
けて
見
(
み
)
たり、
充分
(
じゆうぶん
)
突込
(
つつこ
)
んで
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
に
頓挫
(
とんざ
)
が
出來
(
でき
)
ます。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
書物
(
しよもつ
)
を
讀
(
よ
)
むのは
極
(
ごく
)
惡
(
わる
)
う
御座
(
ござ
)
います。
有體
(
ありてい
)
に
云
(
い
)
ふと、
讀書
(
どくしよ
)
程
(
ほど
)
修業
(
しゆげふ
)
の
妨
(
さまたげ
)
になるものは
無
(
な
)
い
樣
(
やう
)
です。
私共
(
わたくしども
)
でも、
斯
(
か
)
うして
碧巖
(
へきがん
)
抔
(
など
)
を
讀
(
よ
)
みますが、
自分
(
じぶん
)
の
程度
(
ていど
)
以上
(
いじやう
)
の
所
(
ところ
)
になると、
丸
(
まる
)
で
見當
(
けんたう
)
が
付
(
つ
)
きません。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
人の運動の
妨
(
さまたげ
)
をする、ことにどこの烏だか
籍
(
せき
)
もない
分在
(
ぶんざい
)
で、人の塀へとまるという法があるもんかと思ったから、通るんだおい
除
(
の
)
きたまえと声をかけた。真先の烏はこっちを見てにやにや笑っている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妨
常用漢字
中学
部首:⼥
7画
“妨”を含む語句
妨碍
妨害
乱妨
内妨
協議妨害
妨止
妨礙
安眠妨害
押妨
濫妨
無妨国士尋
草妨礙
言妨