水は満々と外濠内濠の兵備の深さを示して、下馬門、二の門、内の門と見付け見付けの張り番もきびしく、内外ともに水ももらさぬ厳重な警備でした。
右門捕物帖:03 血染めの手形 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
東京の外濠に添うた通りの見すぼらしい住宅の中で、親子三人が晩の食膳に向かって、こんな話をしていました。父親は××警察署へ勤務している巡査部長です。
少年探偵呉田博士と与一 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
帝劇の尾上梅幸が、芝居がはねてから、夜遅く友達と一緒に外濠を歩いてゐた。空には星が瞬きをしてゐた。梅幸は立ちどまつてじつとそれに見とれてゐたが、しみじみと思ひ込んだらしく
茶話:04 大正七(一九一八)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
外濠ならいざ知らず、このあたりは知ってのとおり、夜中の通行はご禁制の場所、ましてや、われわれお濠方が見まわっておるのに、その目をかすめて女が水死いたしたとすれば
右門捕物帖:31 毒を抱く女 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
番小屋は外濠に面した本町の角にある。三人が栄二を連れ込んだとき、目明しと子分の者がい合わせ、頭は知りあいらしく、なにか口早に事情を話して栄二を渡し、自分たちは帰っていった。
酒田であろうか、外濠の松並木の下を歩いていた男であろうか。いやいや、そのどっちでもない。新聞広告の出たのは、彼らがお化け鞄に始めてめぐり合ったどりもずっと以前のことになる。
飯田橋橋点で外濠と合流して神田川となってから、なお小石川から来る千川を加え、お茶の水の切り割りを通って神田区に入り、両国橋の北詰で隅田川に注ぐまで、幾多の下町の堀川とも提携する。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日和下駄:一名 東京散策記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まもなく外濠、和田倉御門。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)