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外濠
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そとぼり
ふりがな文庫
“
外濠
(
そとぼり
)” の例文
その相迫りて危く
両岸
(
りょうがん
)
の一点に相触れんとする
辺
(
あたり
)
に
八見橋
(
やつみばし
)
と
外濠
(
そとぼり
)
の石垣を見せ、茂りし樹木の
間
(
あいだ
)
より江戸城の天主台を望ませたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今日
(
こんにち
)
の
入船
(
にゅうせん
)
は大和の
筒井順慶
(
つついじゅんけい
)
、
和泉
(
いずみ
)
の
中村孫兵次
(
なかむらまごへいじ
)
、
茨木
(
いばらき
)
の
中川藤兵衛
(
なかがわとうべえ
)
、そのほか
姫路
(
ひめじ
)
からも
外濠
(
そとぼり
)
の大石が
入港
(
はい
)
ってまいりますはずで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現に
外濠
(
そとぼり
)
から
窖道
(
こうどう
)
へ通ずる路をつけるときなどは、朝から晩まで一日働いて四十五サンチ掘ったのが一番の手柄であったそうだ。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや以ての
外
(
ほか
)
の騒動だ。
外濠
(
そとぼり
)
から
竜
(
りょう
)
が
湧
(
わ
)
いても、天守へ
雷
(
らい
)
が転がつても、
太鼓櫓
(
たいこやぐら
)
の下へ屑屋が
溢
(
こぼ
)
れたほどではあるまいと思ふ。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
外濠
(
そとぼり
)
の堤の松の下の
暗闇
(
くらやみ
)
を連れだって行く若い女と男とがあった。女は男に対して強硬な態度をとって、男を引放してずんずん足を早めていた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
彼等が悟を説くや、到底城見物の案内者が、人を導きて城の
外濠
(
そとぼり
)
内濠をのみ果てしなく
廻
(
めぐ
)
り廻りて、
竟
(
つひ
)
に其の本丸に到らずして
已
(
や
)
める趣きあるなり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
と
外濠
(
そとぼり
)
を埋められてから大阪が亡びるに至るだろうことを予言した片倉小十郎と共に実に伊達家の二大人物であった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
水は満々と
外濠
(
そとぼり
)
内濠の兵備の深さを示して、下馬門、二の門、内の門と見付け見付けの張り番もきびしく、内外ともに水ももらさぬ厳重な警備でした。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
外濠
(
そとぼり
)
の電車が来たのでかれは乗った。
敏捷
(
びんしょう
)
な眼はすぐ美しい着物の色を求めたが、あいにくそれにはかれの願いを満足させるようなものは乗っておらなかった。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
須田町
(
すだちょう
)
に出た時、愛子の車は日本橋の通りをまっすぐに
一足
(
ひとあし
)
先に病院に行かして、葉子は
外濠
(
そとぼり
)
に沿うた道を日本銀行からしばらく行く
釘店
(
くぎだな
)
の
横丁
(
よこちょう
)
に曲がらせた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
東京の
外濠
(
そとぼり
)
に添うた通りの見すぼらしい住宅の中で、親子三人が晩の食膳に向かって、こんな話をしていました。父親は××警察署へ勤務している巡査部長です。
少年探偵呉田博士と与一
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
弘田の屋敷は黒門外といって、城の
外濠
(
そとぼり
)
に面していた。門の外の濠端道に立つと、左のほうに菅生
曲輪
(
くるわ
)
、右に備前曲輪、そして菅生曲輪の向うに本丸の天守閣が眺められた。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
またかゝる要害には閾より
外濠
(
そとぼり
)
の岸にいたるまで多くの小さき橋あるごとく 一三—一五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
東京の日本橋から
外濠
(
そとぼり
)
の方へ二つ目の橋で、そこはもはや日本橋川が外濠に接している
三叉
(
さんさ
)
の地点に、一石橋がある。橋の南詰の西側に
錆
(
さ
)
び朽ちた、「迷子のしるべの石」がある。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
江戸大城の関門とも言うべき十五、六の
見附
(
みつけ
)
をめぐりにめぐる
内濠
(
うちぼり
)
はこの都会にある橋々の下へ流れ続いて来ている。その
外廓
(
そとがわ
)
にはさらに十か所の関門を設けた
外濠
(
そとぼり
)
がめぐらしてある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
帝劇の尾上梅幸が、芝居がはねてから、夜遅く友達と一緒に
外濠
(
そとぼり
)
を歩いてゐた。空には星が瞬きをしてゐた。梅幸は立ちどまつてじつとそれに見とれてゐたが、しみじみと思ひ込んだらしく
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
帰りに
外濠
(
そとぼり
)
線の通りへ出たら、さっと風が吹いて来て持ってる
包
(
つつみ
)
吹き飛ばしてしもうて、それ追いかけて取ろうとすると、ころころと何処迄でも
転
(
ころ
)
こんで行くよってに、なかなか取られへんねん。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
伊那丸
(
いなまる
)
と
龍太郎
(
りゅうたろう
)
が
外濠
(
そとぼり
)
をわたって、
脱出
(
だっしゅつ
)
したのを、やがて知った浜松城の武士たちは、にわかに、
追手
(
おって
)
を組織して、
入野
(
いりぬ
)
の
関
(
せき
)
へはしった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神楽坂から
外濠
(
そとぼり
)
線へ乗って、御茶の水まで来るうちに気が変って、森川町にいる寺尾という同窓の友達を尋ねる事にした。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かくの如き眺望は
敢
(
あえ
)
てここのみならず、
外濠
(
そとぼり
)
の
松蔭
(
まつかげ
)
から
牛込
(
うしごめ
)
小石川の高台を望むと同じく先ず東京
中
(
ちゅう
)
での絶景であろう。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夜は、間遠いので評判な、
外濠
(
そとぼり
)
電車のキリキリ
軋
(
きし
)
んで通るのさえ、池の水に映って消える長廊下の
雪洞
(
ぼんぼり
)
の行方に
擬
(
まが
)
う。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
○今川橋下を流るゝ神田堀にして、
御城
(
おしろ
)
外濠
(
そとぼり
)
より竜閑橋その他諸橋の下を経て来れるものなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
外濠
(
そとぼり
)
ならいざ知らず、このあたりは知ってのとおり、夜中の通行はご禁制の場所、ましてや、われわれお濠方が見まわっておるのに、その目をかすめて女が水死いたしたとすれば
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
外濠
(
そとぼり
)
に沿った電車通りに、山の手アパートという三層のビルディングがある。
アパートの殺人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
番小屋は
外濠
(
そとぼり
)
に面した本町の角にある。三人が栄二を連れ込んだとき、目明しと子分の者がい合わせ、頭は知りあいらしく、なにか口早に事情を話して栄二を渡し、自分たちは帰っていった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
酒田であろうか、
外濠
(
そとぼり
)
の松並木の下を歩いていた男であろうか。いやいや、そのどっちでもない。新聞広告の出たのは、彼らがお化け鞄に始めてめぐり合ったどりもずっと以前のことになる。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
外濠
(
そとぼり
)
から隅田川に通ずるものには、日本橋川、京橋川、
汐留
(
しおどめ
)
川の三筋があり、日本橋川と京橋川を横に
繋
(
つな
)
いでいるものに
楓
(
かえで
)
川、亀島川、箱崎川があることから、京橋川と汐留川を繋いでいるものに
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
汗をしぼった二挺の駕は、またたく間に神田橋から
外濠
(
そとぼり
)
に沿って、金吾と日本左衛門が引き上げられた場所まで駆けつけました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神楽坂から
外濠
(
そとぼり
)
線へ乗つて、御茶の
水
(
みづ
)
迄
来
(
く
)
るうちに気が
変
(
かは
)
つて、森川丁にゐる寺尾といふ同窓の友達を尋ねる事にした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は
外濠
(
そとぼり
)
の土手に残った松の木をば雪の
朝
(
あした
)
月の
夕
(
ゆうべ
)
、折々の季節につれて、現今の市中第一の風景として
悦
(
よろこ
)
ぶにつけて
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
萌黄
(
もえぎ
)
の光が、ぱらぱらと
暗
(
やみ
)
に散ると、
炬
(
きょ
)
のごとく輝く星が、人を乗せて
衝
(
つ
)
と
外濠
(
そとぼり
)
を流れて来た。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飯田橋橋点で
外濠
(
そとぼり
)
と合流して神田川となってから、なお小石川から来る千川を加え、お茶の水の切り割りを通って神田区に入り、両国橋の北詰で隅田川に注ぐまで、幾多の下町の堀川とも提携する。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この上に、あの
寧子
(
ねね
)
が、
宿
(
やど
)
の
妻
(
つま
)
となっていたら、申し分ないが——と思ったりしながら、今朝も、
清洲城
(
きよすじょう
)
の
外濠
(
そとぼり
)
を歩いて来た。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕靄
(
ゆうもや
)
の
中
(
うち
)
に暮れて行く
外濠
(
そとぼり
)
の景色を見尽して、
内幸町
(
うちさいわいちょう
)
から別の電車に乗換えた
後
(
のち
)
も絶えず窓の外に眼を注いでいた。
霊廟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
荷
(
に
)
と
荷
(
に
)
を
合
(
あは
)
せ、ござ、
筵
(
むしろ
)
を
鄰
(
となり
)
して、
外濠
(
そとぼり
)
を
隔
(
へだ
)
てた
空
(
そら
)
の
凄
(
すさま
)
じい
炎
(
ほのほ
)
の
影
(
かげ
)
に、
目
(
め
)
の
及
(
およ
)
ぶあたりの
人々
(
ひと/″\
)
は、
老
(
おい
)
も
若
(
わか
)
きも、
算
(
さん
)
を
亂
(
みだ
)
して、ころ/\と
成
(
な
)
つて、そして
萎
(
なえ
)
たやうに
皆
(
みな
)
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
爆発薬の
御蔭
(
おかげ
)
で
外濠
(
そとぼり
)
を
潰
(
つぶ
)
したのはこの時の事でありますと、中尉はその潰れた土山の上に立って我々を顧みた。我々も無論その上に立っている。この下を掘ればいくらでも
死骸
(
しがい
)
が出て来るのだと云う。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
駕と武蔵が、
外濠
(
そとぼり
)
を見て右へ曲ると、町角に現われた一団の無法者が、各〻、
裾
(
すそ
)
をまくり、腕をたくし上げて、その後から、
尾
(
つ
)
いて行った。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牛込区内では○市ヶ谷
冨久町
(
とみひさちょう
)
饅頭谷
(
まんじゅうだに
)
より市ヶ谷八幡鳥居前を流れて
外濠
(
そとぼり
)
に入る溝川○
弁天町
(
べんてんちょう
)
の細流○早稲田
鶴巻町
(
つるまきちょう
)
山吹町
(
やまぶきちょう
)
辺を流れて江戸川に入る細流。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馬鹿にするない、見附で
外濠
(
そとぼり
)
へ乗替えようというのを、ぐっすり
寐込
(
ねこ
)
んでいて、
真直
(
まっす
)
ぐに運ばれてよ、
閻魔
(
えんま
)
だ、と怒鳴られて驚いて飛出したんだ。お供もないもんだ。ここをどこだと思ってる。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
武蔵は、太左衛門の脇差をかわして、太左衛門の
白髪首
(
しらがくび
)
のどこかをつかむと、大股に十歩ほど持って来て、
外濠
(
そとぼり
)
の中へその体を
抛
(
ほう
)
りこんでしまった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
数寄屋橋
(
すきやばし
)
から
幸橋
(
さいわいばし
)
を経て
虎
(
とら
)
の
門
(
もん
)
に至る間の
外濠
(
そとぼり
)
には、まだ昔の石垣がそのままに保存されていた時分、今日の
日比谷
(
ひびや
)
公園は見通しきれぬほど広々した閑地で
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それより少し前に、中坊陽之助を先にたてて、本丸を出たお蝶の
不浄駕
(
ふじょうかご
)
が、平河口の犬くぐりから
外濠
(
そとぼり
)
へ来たのは、まだ人の顔もさだかに見えない頃でした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君江は問われてもはっきり住処は知らせなかったが、唯
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
辺
(
へん
)
だと答えて、一緒に
外濠
(
そとぼり
)
を
逢阪下
(
おうさかした
)
あたりまで歩いて行く中、どうやら男の言うままになってもいいような
素振
(
そぶり
)
を示した。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さすがの
龍太郎
(
りゅうたろう
)
も、ここまできて、はたと
当惑
(
とうわく
)
した。もう
濠
(
ほり
)
までわずかに五、六尺だが、そのさきは、満々とたたえた
外濠
(
そとぼり
)
、橋なくして、渡ることはとてもできない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
外濠
(
そとぼり
)
に添い、増上寺の山内に隠れ、白金台を一気に駈けて、やがて、目黒の
行人坂
(
ぎょうにんざか
)
の途中、
紫陽花寺
(
あじさいでら
)
の門前で止まったと思うと、女の影は、駕を脱けて、ひらりっと
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城下をめぐる幾筋もの川は、自然の
外濠
(
そとぼり
)
や内濠のかたちをなし、まず
平城
(
ひらじろ
)
としては申し分のない地相、阿波二十五万石の中府としても、決して、他国に
遜色
(
そんしょく
)
のない城廓。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤い
弁慶蟹
(
べんけいがに
)
が一匹、悠々、橋の上を横にあるいている。
外濠
(
そとぼり
)
の水は、ぶつぶつ沸き立って、午過ぎから日盛りの間の一
刻
(
とき
)
は、呉服橋の往来も暫く休みのようなすがたになる。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と思った直覚が、いつかしら
外濠
(
そとぼり
)
に沿って大手の方へと、万太郎の足を向けさせている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この橋から向うは、江戸城の
外濠
(
そとぼり
)
、大手門、
桔梗門
(
ききょうもん
)
、
日暮門
(
ひぐらしもん
)
、それを取り巻く家屋敷というものも、およそは皆大名の邸宅で、普通の住居はない筈だが、あの侍、一体どこへ帰るのだろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まもなく
外濠
(
そとぼり
)
、和田倉御門。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
濠
漢検準1級
部首:⽔
17画
“外濠”で始まる語句
外濠線
外濠沿岸