トップ
>
取次
>
とりつ
ふりがな文庫
“
取次
(
とりつ
)” の例文
時計が四時を打つと、書生が一枚の名刺を
取次
(
とりつ
)
いできた。それは顧問弁護士の紹介状を持って、私立探偵
桂河
(
かつらがわ
)
半十郎が訪ねてきたのだ。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と云うので下男が
取次
(
とりつ
)
ぎますと、清次が重二郎を連れて
這入
(
はい
)
って来ましたから、重二郎を見るとお兼が奥へ飛んで来まして。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
どこか
上品
(
じょうひん
)
で、ものごしのしずかな
旅
(
たび
)
の
侍
(
さむらい
)
が、
森閑
(
しんかん
)
としている
御岳
(
みたけ
)
の
社家
(
しゃけ
)
の
玄関
(
げんかん
)
にたって、
取次
(
とりつ
)
ぎを
介
(
かい
)
してこう申し
入
(
い
)
れた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたくし
)
はただ
神様
(
かみさま
)
やら
守護霊様
(
しゅごれいさま
)
からきかされたところをお
取次
(
とりつ
)
ぎするのですから、これが
誤謬
(
あやまり
)
のないものだとは
決
(
けっ
)
して
言
(
い
)
い
張
(
は
)
るつもりはございませぬ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
聲をきゝつけてお近の
取次
(
とりつ
)
ぐのを待たず、臺所へ出て來たのは年の頃三十前後、髮は縮らしてゐるが、東京でも下町の女でなければ
善惡
(
よしあし
)
のわからないやうな
羊羹
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
蛍雪舎は上野
広小路
(
ひろこうじ
)
に近い上野町の路地の奥にあった。行って見るとそこは新聞
取次
(
とりつ
)
ぎ業をしているところで、「
白旗
(
しらはた
)
新聞店」という看板がかかげられていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
しかるに文部省の内意を
取次
(
とりつ
)
いでくれた教頭が、それは先方の見込みなのだから、君の方で自分を評価する必要はない、ともかくも行った方が好かろうと云うので
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
早
(
はや
)
く、この
十日
(
とをか
)
ごろにも、
連日
(
れんじつ
)
の
臆病
(
おくびやう
)
づかれで、
寢
(
ね
)
るともなしにころがつてゐると、「
鏡
(
きやう
)
さんはゐるかい。——
何
(
なに
)
は……ゐなさるかい。」と
取次
(
とりつ
)
ぎ……といふほどの
奧
(
おく
)
はない。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「そんなことでは、先生に
取次
(
とりつ
)
ぎができません」
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
取次
(
とりつ
)
ぐ
母
(
はゝ
)
が
詞
(
ことば
)
も
待
(
ま
)
たず
儀右衞門
(
ぎゑもん
)
冷笑
(
あざわら
)
つて
聞
(
き
)
かんともせずさりとは
口賢
(
くちがしこ
)
くさま/″\の
事
(
こと
)
がいへたものかな
父親
(
てゝおや
)
に
薫陶
(
しこま
)
れては
其筈
(
そのはず
)
の
事
(
こと
)
ながらもう
其手
(
そのて
)
に
乘
(
の
)
りはせぬぞよ
餘計
(
よけい
)
な
口
(
くち
)
に
風引
(
かぜひ
)
かさんより
早
(
はや
)
く
歸宅
(
きたく
)
くさるゝが
宜
(
よ
)
さゝうなもの
誠
(
まこと
)
と
思
(
おも
)
ひて
聞
(
き
)
くものは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一つ
口
(
くち
)
に
申
(
もう
)
したら、
真正
(
ほんとう
)
の
神様
(
かみさま
)
と
人間
(
にんげん
)
との
中間
(
ちゅうかん
)
に
立
(
た
)
ちてお
取次
(
とりつ
)
ぎの
役目
(
やくめ
)
をつとめるのが
人霊
(
じんれい
)
の
仕事
(
しごと
)
——。まあそれ
位
(
くらい
)
に
考
(
かんが
)
えて
戴
(
いただ
)
けば、
大体
(
だいたい
)
宜
(
よろ
)
しいかと
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
山内
(
やまのうち
)
(
里見氏
(
さとみし
)
本姓
(
ほんせい
)
)から
出
(
で
)
ましたが、と
言
(
い
)
ふのを、
私
(
わたし
)
が
自分
(
じぶん
)
で
取次
(
とりつ
)
いで、はゝあ、
此
(
こ
)
れだな、
白樺
(
しらかば
)
を
支那鞄
(
しなかばん
)
と
間違
(
まちが
)
へたと
言
(
い
)
ふ、
名物
(
めいぶつ
)
の
爺
(
とつ
)
さんは、と
頷
(
うなづ
)
かれたのが、コツプに
油紙
(
あぶらがみ
)
の
蓋
(
ふた
)
をしたのに
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「何だそんな事か、そういうわがままはなるべく
取次
(
とりつ
)
がないが好い」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もしもし、わたくしはけっしてあやしい人間じゃあございません。この通り
秀吉
(
ひでよし
)
さまへ大事なご書面を持ってまいりましたもの、どうぞよろしくお
取次
(
とりつ
)
ぎをねがいます。へい、これでございます」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お
頼
(
たの
)
み
申
(
まう
)
します」といふと、
小坊主
(
こばうず
)
が出て
取次
(
とりつ
)
ぎますから、「
私
(
わたし
)
は
本所相生町
(
ほんじよあひおひちやう
)
二
丁目
(
ちやうめ
)
の
塩原多助
(
しほばらたすけ
)
の
縁類
(
えんるゐ
)
のものでございますが、まだ
塩原
(
しほばら
)
の
墓
(
はか
)
も知らず、
唯
(
たゞ
)
塩原
(
しほばら
)
のお
寺
(
てら
)
は
此方
(
こちら
)
だといふことを
聞伝
(
きゝつた
)
へて、 ...
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
探
(
さぐ
)
れと
仰
(
おほ
)
せらるゝとも
夫
(
それ
)
に
違背
(
ゐはい
)
はすまじけれど
我
(
わ
)
が
戀人
(
こひびと
)
周旋
(
とりもた
)
んことどう
斷念
(
あきら
)
めてもなる
事
(
こと
)
ならず
御恩
(
ごおん
)
は
御恩
(
ごおん
)
これは
是
(
これ
)
なり
寧
(
いつ
)
そお
文
(
ふみ
)
取次
(
とりつ
)
いだる
体
(
てい
)
にして
此
(
この
)
まゝになすべきか
否
(
い
)
や/\
夫
(
それ
)
にては
道
(
みち
)
がたゝず
實
(
じつ
)
は
斯々
(
かく/\
)
の
中
(
なか
)
なりとて
打明
(
うちあ
)
けなば
孃
(
じよう
)
さま
御得心
(
おとくしん
)
の
行
(
ゆ
)
くべきか
我
(
われ
)
こそは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それでも
取次
(
とりつ
)
ぎの
小娘
(
こむすめ
)
には
私
(
わたくし
)
の
言葉
(
ことば
)
がよく
通
(
つう
)
じたらしく、『
承知
(
しょうち
)
致
(
いた
)
しました。
少々
(
しょうしょう
)
お
待
(
ま
)
ちくださいませ。』と
言
(
い
)
って、
踵
(
きびす
)
をかえして
急
(
いそ
)
いで
奥
(
おく
)
へ
入
(
はい
)
って
行
(
ゆ
)
きました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
とて
取次
(
とりつ
)
ぐ
文
(
ふみ
)
の
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りても
涙
(
なみだ
)
ほろほろ
膝
(
ひざ
)
に
落
(
お
)
ちぬ
義理
(
ぎり
)
といふもの
世
(
よ
)
に
無
(
な
)
かりせば
云
(
い
)
ひたきこといと
多
(
おほ
)
し
別
(
わか
)
れしよりの
辛苦
(
しんく
)
は
如何
(
いか
)
に
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
はあらぬ
人
(
ひと
)
に
迫
(
せ
)
まられて
身
(
み
)
の
遁
(
のが
)
ればの
無
(
な
)
かりし
時
(
とき
)
操
(
みさを
)
はおもし
命
(
いのち
)
は
鵞毛
(
がもう
)
の
雪
(
ゆき
)
の
夜
(
よ
)
に
刄
(
やいば
)
手
(
て
)
に
取
(
と
)
りしことも
有
(
あり
)
けり
或時
(
あるとき
)
はお
行衛
(
ゆくゑ
)
たづね
詫
(
わび
)
て
恨
(
うら
)
みは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“取次”の意味
《名詞》
次々と順を追うこと。
(出典:Wiktionary)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
次
常用漢字
小3
部首:⽋
6画
“取次”で始まる語句
取次人
取次店
取次栄
取次等
取次給
取次衆
取次案内