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半纒
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はんてん
ふりがな文庫
“
半纒
(
はんてん
)” の例文
はだかに
半纒
(
はんてん
)
だけ一枚着てみんなの泳ぐのを見てゐる三十ばかりの男が、一
梃
(
ちゃう
)
の
鉄梃
(
かなてこ
)
をもって下流の方から
溯
(
さかのぼ
)
って来るのを見ました。
イギリス海岸
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
短い
半纒
(
はんてん
)
に、逞しい下半身をあらわにした船頭は、巧みに
櫓
(
ろ
)
を操りながら、その示すとおりに、すばやく舟をこぎまわすのであった。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
船頭の
半纒
(
はんてん
)
や、客の羽織などを着せて、
擦
(
さす
)
つたり叩いたり、いろ/\介抱に手を盡して居ると、何うやらかうやら元氣を持ち直します。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ピイーという雪風で、暑中にまいりましても砂を
飛
(
とば
)
し、随分
半纒
(
はんてん
)
でも着たいような日のある処で、恐ろしい寒い処へ泊りました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
併し彼はその小頭の
半纒
(
はんてん
)
を麗々しく着ていることが何かしら気恥ずかしいというように、
田圃
(
たんぼ
)
へ出る時と同じように首に手拭いを結んでいた。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
おじいさんは、
短
(
みじか
)
い、
綿
(
わた
)
のたくさんはいった、
半纒
(
はんてん
)
を
着
(
き
)
ていました。そして、
大
(
おお
)
きな
眼鏡
(
めがね
)
の
内
(
うち
)
から
目
(
め
)
をみはって、
若者
(
わかもの
)
の
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
ていましたが
幸福の鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
半纒
(
はんてん
)
を着た丈の高い労働者だった。彼はちょっと振りかえって見た。男も後を見た。そして「あほう……」と言った。酔っているらしかった。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
お藤は、燃える眼を与吉の口もとに注いで、
半纒
(
はんてん
)
の裾を土に踏むのもかまわず、とびつくようににじり寄っている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そう言われれば、六さんや由さんが
半纒
(
はんてん
)
の裾になにかを丸めこんで、庭の奥へ入って行くのを見た記憶がある。
春の山
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
告
(
つげ
)
れば是さへ喜びて
忽地
(
たちまち
)
心地は能く成けり忠兵衞
直
(
たゞち
)
に
結納
(
ゆひなふ
)
を
揃
(
そろ
)
へる中に其日は
暮行
(
くれゆ
)
き
明日
(
あす
)
朝
(
あさ
)
の
間
(
ま
)
に品々を
釣臺
(
つりだい
)
三
荷
(
が
)
に
積登
(
つみのぼ
)
せ我家の
記章
(
しるし
)
染拔
(
そめぬき
)
たる大紋付の
半纒
(
はんてん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
亭主の李立は、
垢
(
あか
)
じみた
下郎
(
げろう
)
頭巾に、毛ムクじゃらな両腕ムキ出しの
半纒
(
はんてん
)
一つ、薄暗い料理場の土間口に腰かけ、毛ずねの片方を膝に組んで、何かぼんやりしていたが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母
(
はは
)
さんと言ふは目の悪るい人だから心配をさせないやうに早く締つてくれれば
宜
(
い
)
いが、
私
(
わたし
)
はこれでもあの人の
半纒
(
はんてん
)
をば洗濯して、
股引
(
ももひき
)
のほころびでも縫つて見たいと思つてゐるに
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一人は四郎君のすぐ上の兄さんで早稻田大學、一人はその友人で農科大學の學生だと解つたが、三人とも古びた
半纒
(
はんてん
)
を引つかけたまゝで下はから脛の、見るからに變な樣子であつた。
樹木とその葉:34 地震日記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
襟
(
えり
)
に「湖畔亭」と染抜いた、古ぼけた
半纒
(
はんてん
)
を着て、
膝
(
ひざ
)
の所のダブダブになったメリヤスの
股引
(
ももひき
)
をはいているのですが、そのみすぼらしい風体に似げなく、顔を綺麗に
剃
(
そ
)
っているのが
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
折から、裏門のくぐりを開けて、「どうも、わりいものが降りやした。」と鳶の頭清五郎がさしこの
頭巾
(
ずきん
)
、
半纒
(
はんてん
)
、
手甲
(
てっこう
)
がけの
火事装束
(
かじしょうぞく
)
で、町内を廻る第一番の雪見舞いにとやって来た。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
年は六十ばかり、
肥満
(
ふと
)
った
体躯
(
からだ
)
の上に綿の多い
半纒
(
はんてん
)
を着ているので肩からじきに太い頭が出て、幅の広い
福々
(
ふくぶく
)
しい顔の
目
(
まな
)
じりが下がっている。それでどこかに気むずかしいところが見えている。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
馬子は辰蔵の胸ぐらを引っ掴んで小突きまわすと、辰蔵も
半纒
(
はんてん
)
をぬいで起ち上がった。そばに十四五の少女がぼんやり突っ立っているが、相手の権幕が激しいので取り鎮めるすべもないらしい。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
濠端
(
ほりばた
)
を
半纒
(
はんてん
)
ひとりペンキ壺さげて過ぎゆく。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三十七八——無精
髯
(
ひげ
)
に顏半分を包んだやうな、洗ひざらしの
半纒
(
はんてん
)
一枚の與八は、何も彼もベラベラとしやべつてしまひさうです。
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
九月にはいって、夕刻になると風はもう肌に寒かったが、彼は木綿縞の色の
褪
(
あ
)
せた
半纒
(
はんてん
)
に
股引
(
ももひき
)
、古い草履ばきで、少し背中が
跼
(
かが
)
んでいた。
榎物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その人は線路工夫の
半纒
(
はんてん
)
を着て、
鍔
(
つば
)
の広い
麦藁
(
むぎわら
)
帽を、上の
棚
(
たな
)
に載せながら、誰に
云
(
い
)
ふとなく大きな声でさう言ってゐたのです。
化物丁場
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「なんだね?
清次郎
(
せいじろう
)
氏。おめえ、
半纒
(
はんてん
)
さまで
禿頭
(
はげあたま
)
としたのかね? 禿頭なら、その頭だけで沢山なようなもんだが……」
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
車
(
くるま
)
の
上
(
うえ
)
から、
落
(
お
)
ちたものは、
勘太
(
かんた
)
じいさんの
会社
(
かいしゃ
)
を
出
(
で
)
るときまで
身
(
み
)
につけていた、
半纒
(
はんてん
)
と
股引
(
ももひ
)
きと
帽子
(
ぼうし
)
でありました。
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
甚「
彼
(
あ
)
の肉を食うと
綿衣
(
どてら
)
一枚
(
いちめえ
)
違うというから
半纒
(
はんてん
)
を質に置いてしまったが、オウ、滅法寒くなったから当てにゃアならねえぜ、本当に冗談じゃアねえ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男が
美
(
い
)
いだけの腰抜け侍とてんから呑んでいるつづみの与吉、するりとぬいだ
甲斐絹
(
かいき
)
うらの
半纒
(
はんてん
)
を
投網
(
とあみ
)
のようにかぶらせて、物をもいわずに組みついたのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
正徳三年十二月十八日 百姓
體
(
てい
)
の女の
死骸
(
しがい
)
年三十七八歳位
衣類
(
いるゐ
)
木綿
(
もめん
)
手織縞布子
(
ておりじまぬのこ
)
木綿じゆばん
半纒
(
はんてん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
母
(
はゝ
)
さんと
言
(
い
)
ふは
目
(
め
)
の
惡
(
わ
)
るい
人
(
ひと
)
だから
心配
(
しんぱい
)
をさせないやうに
早
(
はや
)
く
締
(
しま
)
つてくれゝば
宜
(
い
)
いが、
私
(
わたし
)
はこれでも
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
の
半纒
(
はんてん
)
をば
洗濯
(
せんたく
)
して、
股引
(
もゝひき
)
のほころびでも
縫
(
ぬ
)
つて
見
(
み
)
たいと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その前に、
印
(
しるし
)
も何も分らない
半纒
(
はんてん
)
を着て、ところどころ切れて
脛
(
すね
)
の出ている
股引
(
ももひき
)
をはいた、赤黒い顔の男が立っていた。
汚
(
よご
)
れた
手拭
(
てぬぐい
)
を首にかけていた。龍介は今度は道をかえて、
賑
(
にぎ
)
やかな通りへ出た。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
筒袖かとも思われるような袂のせまい
袷
(
あわせ
)
の上に、手織り
縞
(
じま
)
のような綿入れの袖無し
半纒
(
はんてん
)
をきて、
片褄
(
かたづま
)
を
端折
(
はしょ
)
って藁草履をはいているが、その草履の音がいやにびしゃびしゃと響くということであった。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
黒衿
(
くろえり
)
を掛けた
半纒
(
はんてん
)
、紫色の地に絞りで大きく
紅葉
(
もみじ
)
の飛び模様を染めた、——をひっかけ、口紅はつけず、うす化粧をしていた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どんなに眠かつたか、素肌の上に
半纒
(
はんてん
)
一枚羽織つて、
胸毛
(
むなげ
)
と一緒に、掛守りと、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が、だらしもなくはみ出します。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや
然
(
そ
)
うでない、雪は催して居てもなか/\降らぬから、雪催しで
些
(
ちっ
)
と寒いが、降らぬ
中
(
うち
)
に早く行って来よう、何を出してくんな、綿の沢山はいった
半纒
(
はんてん
)
を
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
口
(
くち
)
には、いいながら、おじいさんは、
自分
(
じぶん
)
の
着
(
き
)
ている
半纒
(
はんてん
)
や、
汚
(
よご
)
れて
土
(
つち
)
などのついている
股引
(
ももひ
)
きを
見
(
み
)
ながら、すぐに
帰
(
かえ
)
ろうとはいわずにちゅうちょしていました。
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
上着のような
半纒
(
はんてん
)
のようなへんなものを着て、だいいち足が、ひどくまがって
山羊
(
やぎ
)
のよう、ことにそのあしさきときたら、ごはんをもるへらのかたちだったのです。
どんぐりと山猫
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
馬が少し早くなると(早くするのだ)逃亡者はでんぐり返って、そのまま石ころだらけの
山途
(
やまみち
)
を引きずられた。
半纒
(
はんてん
)
が破れて、額や
頬
(
ほお
)
から血が出ていた。その血が土にまみれて、どす黒くなっている。
人を殺す犬
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
若い坑夫は
半纒
(
はんてん
)
を
脱
(
ぬ
)
いで青の頭から引っ
被
(
かぶ
)
せた。
狂馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
縞
(
しま
)
の
袷
(
あわせ
)
に
半纒
(
はんてん
)
、三尺帯をきちっとしめている、痩せて
頬
(
ほお
)
のこけた顔は、寒さのためか蒼白く
硬
(
こわ
)
ばり、唇も紫色になっていた。
源蔵ヶ原
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
部屋造りの洒落れた割合に、雇人の寢具や着物などが散らばしてあり、
半纒
(
はんてん
)
も帶も、投出したまゝ淺ましい限りです。
銭形平次捕物控:286 美男番附
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
丈「なんだかねえ、
此間
(
こないだ
)
大工の棟梁にどうも今度の
家根屋
(
やねや
)
はよくないと云ったから、大方それで来たのだろう、どんな
装
(
なり
)
をして来たえ、
半纒
(
はんてん
)
でも着て来たかえ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おじいさんは、
新
(
あたら
)
しい
着物
(
きもの
)
にきかえて、
自分
(
じぶん
)
のいままで
身
(
み
)
につけていた
半纒
(
はんてん
)
や、
股引
(
ももひ
)
きや、
破
(
やぶ
)
れた
帽子
(
ぼうし
)
をひとまとめにして、そばにあった、
貨物自動車
(
かもつじどうしゃ
)
の
荷
(
に
)
の
上
(
うえ
)
に
乗
(
の
)
せておきました。
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
貧相なしなびたようなとしよりで、継ぎはぎだらけの
垢
(
あか
)
じみた
半纒
(
はんてん
)
に、繩の帯を巻き、干からびて骨ばかりの
脛
(
すね
)
は、ぶざまに外側へ曲っていた。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
半纒
(
はんてん
)
を冠つた澤庵石も、それつきりで市が榮えるかと思つた頃、八五郎の『大變』が
旋風
(
つむじ
)
に乘つて飛んで來たのです。
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四年
已前
(
あと
)
に
死去
(
なくな
)
りまして、子供もなし、
寡婦暮
(
やもめぐら
)
しで、只今はお屋敷やお寺方の仕事をいたして居りますので、お
召縮緬
(
めしちりめん
)
の
半纒
(
はんてん
)
などを着まして、芝居などへまいりますと
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
幹太郎が振返ってみると、古い蛇ノ目傘をさした娘と、頭から
半纒
(
はんてん
)
をかぶった男との二人づれで、それを見るなり、子供がまた幹太郎に云った。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
八五郎に小突かれながら來るのは、二十三四のめくら
縞
(
じま
)
の
半纒
(
はんてん
)
を着た、小柄で、色の黒い、小
商人
(
あきんど
)
風の男でした。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金「何か上げなよ、失礼だが
半纒
(
はんてん
)
を、誠に失礼で御立腹か知らんが
襦袢
(
じゅばん
)
なども上げなよ」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
年はどちらも三十四五であろう、二人とも黒っぽい
紬縞
(
つむぎじま
)
の
素袷
(
すあわせ
)
を着、痩せた男のほうは
唐桟縞
(
とうざんじま
)
の
半纒
(
はんてん
)
をはおっていた。
ひとでなし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
身動きも出來ないといはれた重病の老人が寢卷の上に
半纒
(
はんてん
)
を引つかけて、思ひのほかシヤンとしてをります。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
形
(
なり
)
は
結城
(
ゆうき
)
の
藍微塵
(
あいみじん
)
に
唐桟
(
とうざん
)
の
西川縞
(
にしかわじま
)
の
半纒
(
はんてん
)
に、八丈の
通
(
とお
)
し
襟
(
えり
)
の掛ったのを着て
門口
(
かどぐち
)
に立ち。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男は三十がらみで、木綿縞の
袷
(
あわせ
)
に
半纒
(
はんてん
)
を重ね、尻端折りで、
股引
(
ももひき
)
に麻裏をはいていた。彼は、「この座敷か」と老人に慥かめてから、縁先へあゆみ寄った。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
半
常用漢字
小2
部首:⼗
5画
纒
漢検準1級
部首:⽷
22画
“半纒”で始まる語句
半纒着
半纒姿