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今宵
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こよい
ふりがな文庫
“
今宵
(
こよい
)” の例文
「もうそのほうたちも、
今宵
(
こよい
)
から天下晴れて、女は女、男は男の勤めができるから、お湯なども人にかくれてはいるには及ばぬぞ」
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
どうしても
今宵
(
こよい
)
を過ごさず能登守に向って、兵馬の身の上のお願いをしてみるほかはないと、心が少しいらだつようになりました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一音
毎
(
ごと
)
にはっきり聞き取られる位であった。多分
今宵
(
こよい
)
の祭りの
序開
(
じょびら
)
きの曲であろう。花やかな、晴がましい、
金笛
(
きんてき
)
の響のようであった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「御両所ッ、
今宵
(
こよい
)
のところは引きあげろ!」と、叫んだ後も目に手を当てて、虚無僧の入ってきた裏門から一散に外へ走りだした。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『空林風葉』天和三年刻自悦撰、節分「鍋取飛んでほうろく豆踊る
今宵
(
こよい
)
の天、流辺」、上に録したる句は老懸をいいしにはあらず。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
仲店には、
今宵
(
こよい
)
も涼みの人がにぎわい、町内のかどかどには縁台が出て、将棋、雑談、蚊やり——なつかしい江戸生活の一ページ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その声は「声」と云うよりも、
寧
(
むし
)
ろ一層深い「沈黙」であって、
今宵
(
こよい
)
のこの静けさを更に神秘にする情緒的な音楽である。………
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「いや、助けてくれいと言うのではない、この大谷千尋ほどの者がたくらんだ
今宵
(
こよい
)
の襲撃を
何
(
ど
)
うして知ったか、それが聞き度い」
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
今宵
(
こよい
)
わたしの笛はその同じ水のうえにこだまを呼びさましているのである。わたしよりも年を経ている松はまだここに立っている。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
今宵
(
こよい
)
は一つこれから酒でも飲んで陽気に騒ごうではないかと、下人の意地汚なさ、青砥が倹約のいましめも忘れて、いさみ立ち
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「そうそうその広海屋さんが、
今宵
(
こよい
)
、大方、こっ
家
(
ち
)
へこられたように聴いたので、来ましたが——そうか、やはりおいでなされたか——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
許生員は
今宵
(
こよい
)
もまたそれをほぐし出そうとするのである。趙先達は相棒になって以来、耳にたこの出来るほど聞かされている。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
部下一同は
呆気
(
あっけ
)
にとられたのだった。大江山課長は、
今宵
(
こよい
)
三人の犠牲者を出したこの駅に、徹夜して頑張るのだろうと、誰もが思っていた。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
貴殿が伊東頼母殿か、拙者は五味左門、巡り逢いたく思いながら、これまでは縁なくて逢いませなんだが、天運
拙
(
つたな
)
からず
今宵
(
こよい
)
逢い申したな。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この商売
敵
(
がたき
)
でもあり、親しい友だちでもある民間探偵から、事の
仔細
(
しさい
)
を聞き取ると——彼は
今宵
(
こよい
)
の明智の計画についてよく知っていたから
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大昔その大神が、富士山のところへ来て一泊を求められたのに、
今宵
(
こよい
)
は
新嘗
(
にいなめ
)
の晩だから、知らぬ人などは内に入れられないと厳しく断った。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そうした夫人と、
今宵
(
こよい
)
一夜を十分に、語ることが出来ると云うことは、彼にとってどれほどな、幸福と
欣
(
よろこ
)
びを意味しているか分らなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
まだ電燈のない時代で、
瓦斯
(
ガス
)
も寺島村には引いてなかったが、わざわざランプを
廃
(
や
)
めて蝋燭にしたのは、
今宵
(
こよい
)
の特別な趣向であったのだろう。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
だが、
今宵
(
こよい
)
の闇の深さ、粘っこさ、それはなかなか自分の感じ捉えた死などいう潔く諦めよいものとは違っていて、不思議な力に
充
(
み
)
ちている。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なにとぞ、お後より橘がまいるあいだ
暫
(
しば
)
しお待ちくださいますよう。必ず必ず神かけて
今宵
(
こよい
)
のうちにでも参りとう存じます。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
この港は
佐伯町
(
さいきまち
)
にふさわしかるべし。見たまうごとく家という家いくばくありや、
人数
(
ひとかず
)
は二十にも足らざるべく、
淋
(
さみ
)
しさはいつも
今宵
(
こよい
)
のごとし。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
而
(
さう
)
して無口な子が
時時
(
ときどき
)
片
言
(
こと
)
交りに一つより知らぬ讃美歌の「夕日は隠れて
路
(
みち
)
は遥けし。
我主
(
わがしゆ
)
よ、
今宵
(
こよい
)
も共にいまして、寂しき
此
(
この
)
身を
育
(
はぐく
)
み給へ。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
かように暗裏の鬼神を画き空中の楼閣を造るは平常の事であるが、ランプの火影に顔が現れたのは
今宵
(
こよい
)
が始めてである。
ランプの影
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
われという
可愛
(
かわゆ
)
き者の前に夢の魔を置き、物の怪の
祟
(
たた
)
りを据えての
恐
(
おそれ
)
と苦しみである。
今宵
(
こよい
)
の悩みはそれらにはあらず。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれど
今宵
(
こよい
)
はなんだかその希望と野心の上に一つの新しい解決を得たように思われる。かれは
綴
(
とじ
)
の切れた藤村の「若菜集」を出して
読
(
よ
)
みふけった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
すべての情を汲み分けて我らの
苦患
(
くげん
)
を救う主。今日君よりの
賜物
(
たまもの
)
を、
今宵
(
こよい
)
我が家に持ち行きて、飢えたる婆を悦ばせん。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今宵
(
こよい
)
は大宮に仮寝の夢を結ばんとおもえるに、
路程
(
みちのり
)
はなお近からず、
天
(
そら
)
は雨降らんとし、足は疲れたれば、すすむるを幸に金沢橋の
袂
(
たもと
)
より車に乗る。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
善事を行えば、又必ず報われることもございます。何卒、もう一度お考えになって、
今宵
(
こよい
)
の死刑は思い止まって下さい
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
夕潮たゞ満ちに満ちて、
今宵
(
こよい
)
宿らんもチユウゲンに、潮満ち来ればこゝをも過ぎじと、ある限り走りまどひ過ぎぬ。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
今宵
(
こよい
)
もまたしかならむ、と戸に耳を附けて聞くに、ただ
寂然
(
ひっそ
)
としたれば、
可
(
よ
)
し、また抜足して二足三足ぞ
退
(
の
)
きたる。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
してみればいま眼前のこの静寂は、仮の宿りにほかならぬ。
今宵
(
こよい
)
の雪の宿りもまた、
所詮
(
しょせん
)
はわが一生の間にたまさかに恵まれる仮の宿りに過ぎないのだ。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「お嬢さま、
今宵
(
こよい
)
限りの下郎又平が、秘法伝授を受ける晴れの姿、どうぞあなたも御覧下さいませ、いざ——」
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
来月二十六夜ならば、このお光に
疾翔大力
(
しっしょうたいりき
)
さまを拝み申すじゃなれど、
今宵
(
こよい
)
とて又拝み申さぬことでない、みなの衆、ようくまごころを以て
仰
(
あお
)
ぎ奉るじゃ。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今宵
(
こよい
)
は月が明るい。家の前の広場へ集った土人は二百人だ。海は静かで、そよそよとすずしい風が吹いて来る。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
椅子にちょこなんと腰かけて防寒靴をぬぎながら、伸子は、
今宵
(
こよい
)
の出来ごとをかいつまんでノーソフに話した。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一つこの家に
今宵
(
こよい
)
一夜の宿を
乞
(
こ
)
おうと思う心が動いた、その時前の山かその家の軒端かに静かに長く垂れている藤の花に目がとまった、というのであります。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「それはいけぬ。
今宵
(
こよい
)
は、大分温かい、
逆上
(
のぼ
)
せられたのかも知れぬ。では、さ、あちらへ抜けてまいろう。少し夜気にでもお当りになったら、よろしかろう」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
何かと云うと頭を
掉
(
ふ
)
るのが癖だった。毎度先生に招かるゝ彼等学生は、
今宵
(
こよい
)
も蜜柑やケークの馳走になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
勝手口に近い隣の
置屋
(
うち
)
では多勢の
売女
(
おんな
)
が年の瀬に押し迫った
今宵
(
こよい
)
一夜を世を
棄
(
す
)
てばちに大声をあげて
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
皺延
(
しわの
)
ばしの太平楽、聞くに堪えぬというは平日の事、
今宵
(
こよい
)
はちと
情実
(
わけ
)
が有るから、お勢は顔を
皺
(
しか
)
めるはさて置き、昇の顔を横眼でみながら、
追蒐
(
おっか
)
け
引蒐
(
ひっか
)
けて高笑い。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
月を見たり花を見たりすると一種の
考
(
かんがえ
)
が
起
(
おこ
)
るものだから、自分も
今宵
(
こよい
)
露に
湿
(
うるお
)
った地に映る
我影
(
わがかげ
)
を見ながら、黙って歩いて来ると偶然故郷のことなどが、
頭脳
(
あたま
)
に浮んだ
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
家
(
いえ
)
に帰らば
今宵
(
こよい
)
もまた苦しみ
明
(
あか
)
すべしと心に泣きつつも酒呑みてくらせし故腹の
病
(
やまい
)
はよく知りたり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今宵
(
こよい
)
始めて聞いた,娘は今度逗留中かねて世話をする人があッて、そのころわが郷里に滞在していた当国
古河
(
こが
)
の城主土井
大炊頭
(
おおいのかみ
)
の藩士
某
(
なにがし
)
と、年ごろといい、家柄といい
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
国子当時
蝉表
(
せみおもて
)
職中一の
手利
(
てきき
)
に
成
(
なり
)
たりと風説あり
今宵
(
こよい
)
は例より、酒
甘
(
うま
)
しとて母君大いに
酔
(
よい
)
給ひぬ。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
とかく、秋の天候は変化に富み、折角の一年の月が曇らされてしまう
今宵
(
こよい
)
ともなりがちだ。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
そして、いまごろになると、うす
紅
(
あか
)
く
色
(
いろ
)
どられた
沖
(
おき
)
の
方
(
ほう
)
の
空
(
そら
)
を
望
(
のぞ
)
んで、なんとなく、
遠
(
とお
)
いところに
憧
(
あこが
)
れたものだが、やはりあちらの
空
(
そら
)
は、
今宵
(
こよい
)
も
美
(
うつく
)
しく
色
(
いろ
)
づくことであろう……。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此方
(
こなた
)
は例の早四郎が待ちに待った
今宵
(
こよい
)
と、人の
寝静
(
ねしずま
)
るを
窺
(
うかご
)
うてお竹の座敷へやって参り
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
実は
妾
(
わたし
)
は
何某
(
なにがし
)
の娘で
御座
(
ござ
)
いますが、
今宵
(
こよい
)
折入って、
御願
(
おねがい
)
に上った次第というのは、元来
妾
(
わたし
)
はあの家の一粒種の娘であって、生前に於ても両親の寵愛も
一方
(
ひとかた
)
では
御座
(
ござ
)
いませんでした
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
丸文
(
まるぶん
)
へと思いしが知らぬ家も興あるべしと停車場前の丸万と云うに入る。二階の一室狭けれども
今宵
(
こよい
)
はゆるやかに寝るべしと思えば船中の窮屈さ
蒸暑
(
むしあつ
)
さにくらべて中々に心安かり。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今御身が痍を見るに、
時期
(
とき
)
後
(
おく
)
れたればやや重けれど、
今宵
(
こよい
)
の
中
(
うち
)
には癒やして進ずべし。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
宵
常用漢字
中学
部首:⼧
10画
“今宵”で始まる語句
今宵限
今宵深更