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仇
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かたき
ふりがな文庫
“
仇
(
かたき
)” の例文
「きっと
太郎
(
たろう
)
は
海
(
うみ
)
のあっちへいって、
自分
(
じぶん
)
の
味方
(
みかた
)
を
連
(
つ
)
れてくるんだろう。そして、
仇
(
かたき
)
うちをするんだろう。そうすると
怖
(
おそ
)
ろしいな。」
雪の国と太郎
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『それは
様々
(
さまざま
)
でございます。
中
(
なか
)
には
随分
(
ずいぶん
)
ひねくれた、
気
(
き
)
むつかしい
性質
(
たち
)
のものがあり、どうかすると
人間
(
にんげん
)
を
目
(
め
)
の
仇
(
かたき
)
に
致
(
いた
)
します……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
以上の想像が事実とすれば、平吉を殺そうとした酒が却って平吉の味方になって、その場を去らずに
仇
(
かたき
)
二人をほろぼしたのである。
放し鰻
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「うぬ、幽霊船め、こんどは只じゃ通さないぞ。そうだ、そうだ。乗組員の敵だ。
仇
(
かたき
)
うちをしなくちゃ、腹の虫がおさまらないや」
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いかん! いかん! かなわぬ願いだっ。逆賊の
胤
(
たね
)
を世にのこしおけば、やがて予に対して祖父の
讐
(
あだ
)
の母の
仇
(
かたき
)
のと、後日のたたりを
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
紺野かず子どのは祝言こそあげていないが、杉永とかねてから婚約の仲であり、そのもとを
良人
(
おっと
)
の
仇
(
かたき
)
として討つ覚悟でおられる。
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
みんな
仇
(
かたき
)
だ、みんな敵なんだ、人を見たら泥棒と思えというふうに、すっかり私は誰をみても信じなくなってしまったんです。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「うむ、うむ。だからやるのさ。一ぺんで、親父の
仇
(
かたき
)
を取って、開墾場の人達みんなを助けて、その上自分の恨みを晴らせるのだもの……」
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
なぜと申しますと、あの平太夫が堀川の
御一家
(
ごいっけ
)
を
仇
(
かたき
)
のように憎んでいる事は、若殿様の御耳にも、とうからはいっていたからでございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あの方と、此處の御主人とは元同じ藩中で、——あの方は、御主人を
仇
(
かたき
)
のやうに思ひ込んでゐる樣子でございますが——」
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「御鎮守の姫様、おきき済みになりませぬと、目の前の
仇
(
かたき
)
を
視
(
み
)
ながら仕返しが出来んのでしゅ、出来んのでしゅが、わア、」
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「間、貴様は犬の
糞
(
くそ
)
で
仇
(
かたき
)
を取らうと思つてゐるな。遣つて見ろ、そんな場合には
自今
(
これから
)
毎
(
いつ
)
でも蒲田が現れて
取挫
(
とりひし
)
いで遣るから」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「そうですよ、親の
仇
(
かたき
)
が天誅組から逃げて、たしかにこの竜神村へ入り込んだといって探しにおいでなすったんだとさ」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母はジナイーダに
頗
(
すこぶ
)
る悪意をいだいて、まるで
仇
(
かたき
)
のようにわたしたちを見張っていた。父の方は、大して怖くなかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
私は、その時お宮と自分との間が
肉体
(
からだ
)
はわずか三尺も隔っていなくっても互いの心持ちはもう千里も遠くに離れている
仇
(
かたき
)
同志のような感じがした。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
たとひ
仇
(
かたき
)
の子なりとも夫に持ちしうへからは憎からずおもひ
侍
(
はべ
)
るものを、かゝる恐ろしき復讐を企てぬるは、いかなる前世のやくそくにやあらん。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
黄は、俺をばかにしたから
仇
(
かたき
)
だが、それは
姑
(
しばら
)
くおいて、村役人は朝廷の官吏で、権勢家の官吏じゃない。もし争う者があるなら双方を調べるべきだ。
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「さあ、どうぞ。
仇
(
かたき
)
の家へ行つても朝茶はのめ、と云ふことがありますよ。お茶ぐらゐはのんでもらはんと——」
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
親の
讐
(
あだ
)
、家の
仇
(
かたき
)
、また自分の敵であるあのドーブレクを命にかけても生かしてはおかないと、ごく秘密の裡にあの児と力を協せて事を計っておりました。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
それで母親の
仇
(
かたき
)
を打ったように考えている兄のばか正直さがいねにはかえって恥さらしに思えるのであった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
『
其麽
(
そんな
)
らです、』と、信吾は今迄の事は忘れて新らしい
仇
(
かたき
)
の前にでも出た様に言つた。其眼は物凄く輝いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「さあ、殺せるものなら殺せツ!」とか「この
仇
(
かたき
)
は死んでもとつてやるぞツ!」とか「偽善者奴」とか
茜蜻蛉
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
『此処はわしの
家
(
うち
)
ぢや無い、
仇
(
かたき
)
の
家
(
うち
)
ぢや。兄さんの家は
斯
(
こ
)
んな暗い処ぢや無くて
明
(
あか
)
るい処に有るんだ。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
もう一度、一軒店の商売をしなければならぬと、親の
仇
(
かたき
)
をとるような気持で、われながら浅ましかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
で、その口惜しまぎれに、
仇
(
かたき
)
を討たせようと思つたのか、嘘をついてあたしを差し向けたのであつた。
駒台の発案者
(新字旧仮名)
/
関根金次郎
(著)
「憎き者ども、わが子の
仇
(
かたき
)
、七
生
(
しょう
)
まで
祟
(
たた
)
りくれん」など
囈言
(
たわごと
)
を吐くより、五人は生きたる心地もなく再び南山にとって返し、狐の穴に
叩頭百拝
(
こうとうひゃくはい
)
の
詫
(
わ
)
び言よろしくあり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
キット
仇
(
かたき
)
を取って進ぜまするという手紙を添えて、大枚の
金子
(
きんす
)
を病身の兄御にことづけた……という事が又、もっぱらの大評判になりましたそうで……まことに早や
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私がどこまでも
仇
(
かたき
)
を狙っていると疑るのだろう、そんな疑りがあって、私を女房にしようというのは
余程
(
よっぽど
)
分らない、恐い人だね、もう止しましょう、
書付
(
かきつけ
)
まで見せて
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「先生の
仇
(
かたき
)
をとるんだ」と、その晩から毎日夜の十二時まで猛勉強を始めるという騒ぎになった。
寺田寅彦の追想
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
よしッ、小池君、この
仇
(
かたき
)
はきっと取ってやるよ。君と木島君と二人の仇は俺が必ず討って見せるよ
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
思い詰めていられるのでしょう? 自分と
仇
(
かたき
)
同然な立場に置かれている身の上ではありませんか?
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ようし、と、おれは
肚
(
はら
)
の中で思ったんだ、今に
仇
(
かたき
)
を討ってやるから! おれはそのころ、たいていの場合、おそろしく無作法者だった。それは自分でも気がついていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「みんなに相談して来い。この中尉の
仇
(
かたき
)
をとって全滅の覚悟をするか新任の沈大佐殿に従うか」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
百右衛門こそ世にめずらしき悪人、武蔵すでに自決の上は、この私闘おかまいなしと定め、殿もそのまま許認し、女ふたりは、
天晴
(
あっぱ
)
れ父の
仇
(
かたき
)
、
主
(
しゅう
)
の仇を打ったけなげの者と
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
敵は逃げて行く途中、昭和遊撃潜水隊と衝突して、ついに『信濃』の
仇
(
かたき
)
は討たれたのだ。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
僕は思いどおりに復讐することができたが、こうなってみると
仇
(
かたき
)
ながらも可哀そうだ
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この場合、世界のあらゆる男の方が来られても、私の真の味方になれる人は一人もない。命掛の場合にどうしても真の味方になれぬという男は、無始の世から
定
(
さだま
)
った女の
仇
(
かたき
)
ではないか。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
シャクの最も熱心な聴手だった縮れっ毛の青年が、焚火に顔を
火照
(
ほて
)
らせながらシャクの
肩
(
かた
)
の肉を
頬張
(
ほおば
)
った。例の長老が、
憎
(
にく
)
い
仇
(
かたき
)
の
大腿骨
(
だいたいこつ
)
を右手に、骨に付いた肉を
旨
(
うま
)
そうにしゃぶった。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それに俺としても家督を追われた
怨
(
うら
)
みがある、親の
仇
(
かたき
)
などと旧弊な
言掛
(
いいがか
)
りも附けようと思えば附けられよう。だがこの男も結局は俺の心を
掻
(
か
)
き立てては
呉
(
く
)
れぬ。小さいのだ、下らぬのだ。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「
爺様
(
とつさん
)
、
嘸
(
さ
)
ぞ無念だつたべい。この
仇
(
かたき
)
ア、
己
(
おら
)
ア、
屹度
(
きつと
)
取つて遣るだアから」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「だから、お上さん、われわれがその
仇
(
かたき
)
をうってやろうというんです。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
漠然
(
ばくぜん
)
とした階級意識から崖邸の人間に反感を持っている崖下の金魚屋の一家は、復一が小学校の行きかえりなどに近所同志の子供仲間として真佐子を目の
仇
(
かたき
)
に
苛
(
いじ
)
めるのを、あまり
嗜
(
たしな
)
めもしなかった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
然し僕等は、山田君を殺したものの
仇
(
かたき
)
をとることによって、とることによって、山田君を慰めてやることが出来るのだ。——この事を、今こそ、山田君の霊に僕等は誓わなければならないと思う……
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「なるほど善くないね。偶然とは申しながら、あんな事で
仇
(
かたき
)
を打つのは下等だ。こんな真似をして嬉しがるようでは文学士の
価値
(
ねうち
)
もめちゃめちゃだ」と高柳君は瞬時にしてまた
元
(
もと
)
の浮かぬ顔にかえる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
植源の嫁のおゆう、それから自分の姉……そんな人達の身のうえにまで思い及ばないではいられなかった。日頃口に鶴さんを
讃
(
ほ
)
めている女が、片端から恋の
仇
(
かたき
)
か何ぞであるかのように思え出して来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「たかが一小説かきじゃないか、あンまり眼の
仇
(
かたき
)
にするなよ」
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「内藤さんは照彦の
仇
(
かたき
)
を討ってくだすったのですよ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「おおそうか。さあ、今の
仇
(
かたき
)
を討ってやれ」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「よしッ! 兄弟の
仇
(
かたき
)
だ! 来い」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
「
不倶戴天
(
ふぐたいてん
)
の父の
仇
(
かたき
)
故
(
ゆえ
)
!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
仇
漢検準1級
部首:⼈
4画
“仇”を含む語句
仇敵
仇討
復仇
仇打
仇讐
仇人
恋仇
仇花
讐仇
仇光
仇英
仇口
仇十州
仇名
仇気
仇白
仇心
仇吉
仇家
仇敵視
...