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一所
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いっしょ
ふりがな文庫
“
一所
(
いっしょ
)” の例文
俺と
一所
(
いっしょ
)
に静かに、二三度うなずいた船長は伊那少年を顧みて、
硝子
(
ガラス
)
のような
眼球
(
めだま
)
をギラリと光らした。決然とした低い声で云った。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
祖母
(
おばあ
)
さん、
一所
(
いっしょ
)
に越して来ますよ。」当てずッぽに気安めを言うと、「おお、そうかの。」と
目皺
(
めじわ
)
を深く、ほくほくと
頷
(
うなず
)
いた。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
哀れに思ったが、ただ仮の世の相であるから宮も
藁屋
(
わらや
)
も同じことという歌が思われて、われわれの
住居
(
すまい
)
だって
一所
(
いっしょ
)
だとも思えた。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
笑談
(
じょうだん
)
半分入って見た傷害保険が役に立つ訳だが、アヴァランシュの騒ぎで、金入れと
一所
(
いっしょ
)
に証書までどこかへ落したのは滑稽だ。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
降っても構わないからともかくも連れて行ってくださいと
強請
(
せが
)
んで、伊坂君と
一所
(
いっしょ
)
に宿を出ると、冷たい雨がびしょびしょ降っていました。
米国の松王劇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
「矢張り道楽でさアハッハッハハッ」と岡本は
一所
(
いっしょ
)
に笑ったが、近藤は岡本の顔に言う可からざる苦痛の色を見て取った。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それから清はおれがうちでも持って独立したら、
一所
(
いっしょ
)
になる気でいた。どうか置いて下さいと何遍も
繰
(
く
)
り返して頼んだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私とゲーテのような二人の人物が
一所
(
いっしょ
)
にいれば、われわれ二人において偉大な価値として認められるそのものにこれらの紳士たちも、注目すべきである。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこで二人は
一所
(
いっしょ
)
にくるまって寝た小さな一枚の布団から起き出しました。そして火のそばに行きました。楢夫はけむさうにめをこすり一郎はじっと火を見てゐたのです。
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
神様も恋しらずならあり難くなしと愚痴と
一所
(
いっしょ
)
にこぼるゝ涙流れて
止
(
とどま
)
らぬ月日をいつも/\憂いに
明
(
あか
)
し
恨
(
うらみ
)
に暮らして
我
(
わが
)
齢
(
とし
)
の寄るは知ねども、早い者お辰はちょろ/\
歩行
(
あるき
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
近頃の新劇と昔の
黙阿弥
(
もくあみ
)
の芝居と
一所
(
いっしょ
)
に並べて見せられても何とも思わない見物なのである。
国民性の問題
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、お為派の死んで行った人々に憐さと——同時に腹立たしさとを、
一所
(
いっしょ
)
に感じていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
こうして数日すぎたところで、
夜半比
(
よなかごろ
)
になって玉音が急に苦しみはじめた。
一所
(
いっしょ
)
に寝ていた名音は驚いて
躍
(
と
)
び起きた。玉音は両手で
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
み歯を喰いしばって全身を
痙攣
(
けいれん
)
させた。
法華僧の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
道友会は心の
善
(
よ
)
いものを集めて
一所
(
いっしょ
)
に話をしようという趣意で
起
(
た
)
ったものと承知している、今も出かけに、家内がドコへ行くと聞くから、道友会へ行くと答え、道友会とは
何
(
な
)
んだというから
人格を認知せざる国民
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私が
夜網
(
よあみ
)
にゆく道で逢ったところが、なんでも
一所
(
いっしょ
)
にゆくというので出かけて、だんだん夜が
更
(
ふ
)
けてから、ふと気がつくと、今までそこに立って網をもっていた
何
(
なに
)
さんの姿がなくなっている。
人魂火
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
兄弟五人中津の風に合わず
扨
(
さて
)
中津に帰てから私の覚えて居ることを申せば、私共の兄弟五人はドウシテも中津人と
一所
(
いっしょ
)
に
混和
(
こんか
)
することが出来ない、その出来ないと云うのは深い由縁も何もないが
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかし実際をいうと私も憶病なので、
丁度
(
ちょうど
)
前月の三十日の晩です、十時頃『四谷』のお岩様の役の
書抜
(
かきぬき
)
を読みながら、弟子や
家内
(
かない
)
などと
一所
(
いっしょ
)
に座敷に居ますと、時々に
頭上
(
あたまのうえ
)
の電気がポウと消える。
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
胃吉驚き「オヤオヤ何か来たぜ、妙なものが。ウムお
屠蘇
(
とそ
)
だ。モミの
布片
(
きれ
)
へ包んで
味淋
(
みりん
)
へ浸してあるからモミの
染色
(
そめいろ
)
が
一所
(
いっしょ
)
に流れて来た。腸蔵さん
直
(
すぐ
)
にそっちへ廻して
進
(
あ
)
げるよ」腸蔵「イヤ
真平
(
まっぴら
)
だ」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「あそこではいつも
一所
(
いっしょ
)
に出かける。」
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一所
(
いっしょ
)
に這入ッて見よう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そこでいよいよ驚きながら、何はともあれ子供と
一所
(
いっしょ
)
に舟へ収容して、シクシク泣いている奴に様子を聞いてみると、こんな話だ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一体誰でも昔の事は、遠く
隔
(
へだた
)
ったように思うのですから、事柄と
一所
(
いっしょ
)
に路までも
遙
(
はるか
)
に考えるのかも知れません。そうして先ず
皆
(
みんな
)
夢ですよ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小児
(
こども
)
の時に友達と
一所
(
いっしょ
)
に、一度ばかり登ったことが有るように記憶するが、今となっては
其
(
その
)
方角も
頗
(
すこぶ
)
る
覚束
(
おぼつか
)
ないものであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
土と
一所
(
いっしょ
)
にセヴィラで買った名木の杖は、敢なく最後をとげてしまった、もうゴルフも已めにして、今度は芝生で歌の稽古だ。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
しかしながら煙は
固
(
もと
)
より
一所
(
いっしょ
)
に
停
(
とど
)
まるものではない、その性質として上へ上へと立ち登るのだから主人の眼もこの煙りの
髪毛
(
かみげ
)
と
縺
(
もつ
)
れ合う奇観を落ちなく見ようとすれば
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
浮立つばかりその輪郭を鋭くさせていたので、もし誇張していえば、自分は凡て目に見る線のシンメトリイからは
一所
(
いっしょ
)
になって、或る音響が発するようにも思うのであった。
霊廟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
生物の最下等の奴になるとなんだかロクに分らないのサ、ダッテ石と人間とは
一所
(
いっしょ
)
にならないには極ッてるが、最下等生物の形状はあんまり無生活物とちがいはしないのだよ。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「どうぞ、
一所
(
いっしょ
)
に
往
(
い
)
てつかわされませ、みょうな物がおるといいますきに」
怪譚小説の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それから空の方からはいろいろな楽器の音がさまざまのいろの光のこなと
一所
(
いっしょ
)
に
微
(
かす
)
かに降ってくるのでした。もっともっと
愕
(
おどろ
)
いたことはあんまり立派な人たちのそこにもこゝにも一杯なことでした。
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
たとい金丸長者の死に損いが、如何に躍起となったにしたところが、とても大阪三輪鶴の千両箱を三十も
一所
(
いっしょ
)
に積みは
得
(
え
)
せまい。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今度も、別荘の主人が
一所
(
いっしょ
)
で、新道の芸妓お
美津
(
みつ
)
、踊りの上手なかるたなど、
取巻
(
とりまき
)
大勢と、他に土地の友だちが二三人で、昨日から夜昼なし。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の家の
周囲
(
まわり
)
にも秋の草花が一面に咲き乱れていて、姉と
一所
(
いっしょ
)
に
笊
(
ざる
)
を持って花を摘みに行ったことを
微
(
かす
)
かに記憶している。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
食事の後、私達はみんなヴェランダに集まって、シップレイ夫人も
一所
(
いっしょ
)
に、いろいろな話に時を費やした、私はことに、つくづくと世間の狭いのに驚いた。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
先
(
ま
)
ず此の中から湯銭の少しも引き去れば、後の残分は大抵
小遣
(
こづか
)
いになったので、五円の金を貰うと、直ぐその残分
丈
(
だ
)
けを中村是公氏の分と合せて置いて、
一所
(
いっしょ
)
に出歩いては
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
学校はもう
昨日
(
きのう
)
から始っている。朝早く母親の用意してくれる弁当箱を書物と
一所
(
いっしょ
)
に包んで
家
(
うち
)
を出て見たが、二日目三日目にはつくづく遠い
神田
(
かんだ
)
まで歩いて行く気力がなくなった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お辰を女房にもってから奈良へでも京へでも
連立
(
つれだっ
)
て行きゃれ、おれも昔は
脇差
(
わきざし
)
に
好
(
このみ
)
をして、媼も鏡を懐中してあるいた
頃
(
ころ
)
、一世一代の
贅沢
(
ぜいたく
)
に
義仲寺
(
ぎちゅうじ
)
をかけて六条様参り
一所
(
いっしょ
)
にしたが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お前のこれからの一生涯の幸福は、お前の財産全部を持って俺と
一所
(
いっしょ
)
に外国に逃げることだ。その準備もちゃんと出来ていることを忘れるな。
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ころげた首の、笠と
一所
(
いっしょ
)
に、ぱた/\と
開
(
あ
)
く口より、
眼球
(
めだま
)
をくる/\と廻して
見据
(
みす
)
ゑて居た官人が、此の
状
(
さま
)
を
睨
(
にら
)
み
据
(
す
)
ゑて
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨日も
丁度
(
ちょうど
)
ここで逢ったから、腕を掴んで
引摺
(
ひきずり
)
上げて
与
(
や
)
ろうと思ったんだけれど、
生憎
(
あいにく
)
阿父
(
おとっ
)
さんが
一所
(
いっしょ
)
だったから、まあ堪忍して置いて
与
(
や
)
ったのさ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
汐のさし引きで当てもなく曳かれてゆく塵あくた、犬猫の屍骸まで
一所
(
いっしょ
)
になって、ぶくりぶくり無気味な泡を立てながら、さすでも無く曳くでもなくただようて居る。
続スウィス日記(千九百二十三年稿)
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
僅
(
わずか
)
の間とはいいながら、遠い国で
一所
(
いっしょ
)
に暮したその人の記憶は、健三に取って淡い新しさを帯びていた。その人は彼と同じ学校の出身であった。卒業の年もそう違わなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう返らない幾年か前
蘿月
(
らげつ
)
の伯父につれられお糸も
一所
(
いっしょ
)
に
酉
(
とり
)
の
市
(
いち
)
へ行った事があった……
毎年
(
まいとし
)
その日の事を思い出す頃から
間
(
ま
)
もなく、今年も去年と同じような寒い十二月がやって来るのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店が一軒、色の黒い
皺
(
しな
)
びた婆さんが一人、真黒な犬を一匹、膝に
引
(
ひき
)
つけていて、じろりと、犬と
一所
(
いっしょ
)
に私たちを
視
(
なが
)
めましたっけ。……
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一所
(
いっしょ
)
になる位の女だったので、ただ子供に対する愛情だけが普通と変っていないのが、
寧
(
むし
)
ろ不思議な位のものであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
妹山の家には古風な大きい雛段が飾られて、若い美しい姫が腰元どもと
一所
(
いっしょ
)
にさびしくその雛にかしずいている。
島原の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「金の
要
(
い
)
る時も他人、病気の時も他人、それじゃただ
一所
(
いっしょ
)
にいるだけじゃないか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一本ストンと
投出
(
なげだ
)
した、……
恰
(
あたか
)
も
可
(
よし
)
、
他
(
ほか
)
の人形など
一所
(
いっしょ
)
に並んだ、中に
交
(
まじ
)
つて、
其処
(
そこ
)
に、木彫にうまごやしを
萌黄
(
もえぎ
)
で
描
(
か
)
いた、舶来ものの靴が
片隻
(
かたっぽ
)
。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
マドロス
煙管
(
パイプ
)
をギュウと
引啣
(
ひっくわ
)
えた横一文字の口が、旧式軍艦の
衝角
(
しょうかく
)
みたいな
巨大
(
おおき
)
な
顎
(
あご
)
と
一所
(
いっしょ
)
に、鋼鉄の
噛締機
(
バイト
)
そっくりの頑固な根性を
露出
(
むきだ
)
している。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
好
(
い
)
い天気だな。
何
(
ど
)
うだ。運動ながら吉岡の
家
(
うち
)
へ
一所
(
いっしょ
)
に行かないか。吉岡の
阿母
(
おっか
)
さんに逢って、お前の婚礼を
延
(
のば
)
すことを一応
断
(
ことわ
)
って置こうと思うから……。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
従って学校の成績は次第に悪くなるばかりで、予科入学当時は、今の
芳賀
(
はが
)
矢一氏などと同じ位のところで、
可成
(
かなり
)
一所
(
いっしょ
)
にいた者であるが、私の方は不勉強の為め、下へ下へと下ってゆく
許
(
ばか
)
り。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“一所”の意味
《名詞》
一つの場所や地域。
同じ場所。
一緒。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“一所”で始まる語句
一所不住
一所二所