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雌
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めす
ふりがな文庫
“
雌
(
めす
)” の例文
雌
(
めす
)
のほおじろは、うつぎの
木
(
き
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
く、やぶの
中
(
なか
)
に
巣
(
す
)
を
造
(
つく
)
りました。そして、その
中
(
なか
)
へ、かわいらしい
卵
(
たまご
)
を三つ
産
(
う
)
み
落
(
お
)
としたのです。
平原の木と鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鵞鳥
(
がちよう
)
を。二
羽
(
わ
)
の鵞鳥を。薄い
平
(
ひら
)
めな
土坡
(
どば
)
の上に、
雄
(
おす
)
の方は高く首を
昂
(
あ
)
げてい、
雌
(
めす
)
はその雄に向って寄って行こうとするところです。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
僕はいまだに泣き声を絶たない
雌
(
めす
)
の
河童
(
かっぱ
)
に同情しましたから、そっと肩を
抱
(
かか
)
えるようにし、
部屋
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
の
長椅子
(
ながいす
)
へつれていきました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
郭公
(
かっこう
)
の場合には明らかに
雌
(
めす
)
を呼ぶためだと解釈されているようであるが、ほととぎすの場合でもはたして同様であるか、どうかは疑わしい。
疑問と空想
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
仔細あつて私もお小夜の顏ぐらゐは存じて居りますが、あの女は何うして/\一筋繩でいける
雌
(
めす
)
ぢや御座いません——、宜しう御座います。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
知っていて、知らないふりして、子供みたいに、
雌
(
めす
)
のけものみたいに、よそっているのよ。だって、そのほうが、とくだもの。男って、正直ね。
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何となれば、その卵を生んでいる蠅は、いずれも皆
雌
(
めす
)
ではなく、実に
雄
(
おす
)
だったのである。そしてその雄から、あの畸形な子蠅が生れてきたのだ。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だから鷲の
雌
(
めす
)
が巣を離れるのを待ち構へて、一跳びに地上數尺の高さにある一本の松の木にとびついて、ぶら下がつた。
鷲の巣
(旧字旧仮名)
/
ビョルンステェルネ・ビョルンソン
(著)
今も彼はアイリスが変にいこじで意地悪な
雌
(
めす
)
に見えた。彼女は、また今のワルトンを非常に出過ぎ者で
洒落臭
(
しゃらくさ
)
く感じた。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「むむ。おれも何だかそんな気がする。ゆうべ釣って来たのは
雄
(
おす
)
の鯉で、その
雌
(
めす
)
が取り返しに来たんじゃあるめえかな」
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
先の者も人の気配に、
杢之進
(
もくのしん
)
よりはびっくりした様子。
雉子
(
きじ
)
の
雌
(
めす
)
雄
(
おす
)
が舞ったように、パラパラと沢の方へ逃げだした。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の想像では郭公と時鳥の混同、今でも多くの田舎でカッコウを時鳥の
雌
(
めす
)
だと思っているのは、こういう昔話によって誤られたものであろうと思う。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それより大きいのは
雌
(
めす
)
に限ります。よく一口に雌が良いと申しますけれども雛の内は雄の方が料理用に適します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
初秋の夜で、
雌
(
めす
)
のスイトが
縁側
(
えんがわ
)
の
敷居
(
しきい
)
の溝の中でゆるく触角を動かしていた。針仕事をしている母の前で
長火鉢
(
ながひばち
)
にもたれている子は頭をだんだんと垂れた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
隣の
家鴨
(
あひる
)
が二羽迷い込んだ。
雌
(
めす
)
は捕えて渡したが、雄が
床
(
ゆか
)
の下深く逃げ込んで、ドウしてもつかまらない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それを病室のガラス障子の外に据えて数羽の小鳥を入れて見た。その鳥はキンパラという鳥の
雄
(
おす
)
一羽、ジャガタラ雀という鳥の
雌
(
めす
)
一羽、それと
鶸
(
ひわ
)
の雄一羽とである。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
夜、
闇
(
やみ
)
の中を
跳梁
(
ちょうりょう
)
するリル、その
雌
(
めす
)
のリリツ、
疫病
(
えきびょう
)
をふり
撒
(
ま
)
くナムタル、死者の霊エティンム、
誘拐者
(
ゆうかいしゃ
)
ラバス
等
(
など
)
、数知れぬ
悪霊
(
あくりょう
)
共がアッシリヤの空に
充
(
み
)
ち満ちている。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
幾羽もいる籠へ、
萎
(
しな
)
びた手をあらあらしく差し込んで、二羽
攫
(
つか
)
み出して、
空籠
(
からかご
)
に移し入れるのである。それで
雌
(
めす
)
雄
(
おす
)
が分かるかと云えば、しぶしぶ「へえ」と返事をした。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一人の頬の赤いチョッキだけ着た十七ばかりの子どもが、何だかわたくしのらしい
雌
(
めす
)
の山羊の首に帯皮をつけて、はじを持ってわらいながらわたくしに近よって来ました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
時々前膊の皮膚に
瓶
(
びん
)
の
口
(
くち
)
を当てて血を吸わせたりする。蚤の
雄
(
おす
)
が一瞬に飛ついて
雌
(
めす
)
と交尾したりするありさまを見る。蛹がようやく色が濃くなって成虫になるありさまを見る。
蚤
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
幸、今度は塾主としての弥之助も少しはこの植民地に落着くことが出来るのだから、引きつづいて少々のめんどうを見てやろうと思っていた。三疋のうち一疋は
雌
(
めす
)
で二疋が雄である。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おぢさん「
泣
(
ない
)
てるんぢやない、うれしくて
歌
(
うた
)
つてるんです。ほらあの
雄
(
をす
)
の
鶴
(
つる
)
がカアつていうとすぐ
雌
(
めす
)
の
鶴
(
つる
)
がカアカアつていうだろう。そら、ね。カア、カアカア、カア、カアカアつてね」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
立雲
(
たちぐも
)
の
怪
(
け
)
しくかがやく日のさなか
蟷螂
(
かまきり
)
が番ひ
雌
(
めす
)
は
雄
(
をす
)
を
啖
(
く
)
ふ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雌
(
めす
)
を見て、ひとりで暴れ出したんだ。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
羽ばたきをする
雌
(
めす
)
の
蝉
(
せみ
)
。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「さあそうも言われますかね。……しかし七年
前
(
まえ
)
の戦争などはたしかにある
雌
(
めす
)
の河童のために始まったものに違いありません。」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「新吉、諦めた方が宜いぜ。親爺も親爺なら娘も娘だ。あんな犬畜生にも劣つた
雌
(
めす
)
に、未練を殘すことがあるものか」
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鴨
(
かも
)
のような羽色をしたひとつがいのほかに、純白の
雌
(
めす
)
が一羽、それからその「白」の
孵化
(
ふか
)
したひなが十羽である。
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「
雌
(
めす
)
でもかまいませんから、
私
(
わたし
)
にくださいませんか、ねずみがいてしようがないのです。」といって、とうとう
米屋
(
こめや
)
さんが、ふところに
入
(
い
)
れて
帰
(
かえ
)
りました。
僕たちは愛するけれど
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「いや、ざっくばらんに云うと、私の家には
雌
(
めす
)
の金魚が一ぴきだけでしょう。だから、どうもよその
雄
(
おす
)
を見ると、目について
羨
(
うらや
)
ましくて好意が持てるのです」
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「思い出したぞ。このにおいは、附近に恐竜の
雌
(
めす
)
がいるということを物語っているんだ。警戒したがいい」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何か火のような光が近くの
灌木
(
かんぼく
)
の中から谷間の空を斜めに切って行った。人々の眼は、そこへ流れて行った
雉子
(
きじ
)
の
雌
(
めす
)
をじっと見ながらなにやら考えこんでいた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その年
麻疹
(
ましん
)
を病んでその子は死んだと、
真澄
(
ますみ
)
の奥州の紀行の中に書いてある。
郭公
(
かっこう
)
は時鳥の
雌
(
めす
)
などという俗説もあるが、これがまた同じように
冥土
(
めいど
)
の鳥であった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかるにその去勢した者は肉の味が去勢せざるものに三倍するとしてある。普通の鶏は
雌
(
めす
)
の肉が
雄
(
おす
)
より美味いと
極
(
き
)
まっているが去勢した雄は雌よりも
遥
(
はるか
)
に美味い。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「食つてゐるのは
雌
(
めす
)
なんだよ。鎌切りの女は亭主が入らなくなると食ひ殺すんだ。」
妻
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
然も
紙屑屋
(
かみくずや
)
とさもしき議論致されては意気な声も
聞
(
きき
)
たくなく、
印付
(
しるしつき
)
の
花合
(
はなあわ
)
せ
負
(
まけ
)
ても平気なるには
寛容
(
おおよう
)
なる
御心
(
おこころ
)
却
(
かえ
)
って迷惑、どうして
此様
(
このよう
)
な
雌
(
めす
)
を
配偶
(
つれあい
)
にしたかと後悔するが天下半分の
大切
(
おおぎり
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其れが
雌
(
めす
)
でゞもあったか、翌日他の一疋がのろ/\と
其
(
その
)
侶
(
とも
)
を探がしに来た。一つ
撲
(
う
)
って、ふりかえる処をつゞけざまに五六つたゝいて打殺した。殺してしもうて、つまらぬ殺生をしたと思うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
立雲
(
たちぐも
)
の
怪
(
け
)
しくかがやく日のさなか
蟷螂
(
かまきり
)
が番ひ
雌
(
めす
)
は
雄
(
をす
)
を
啖
(
く
)
ふ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
見ると、自分と同じ枝に
雌
(
めす
)
の烏が一羽とまっている。
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
太郎「おぢさん、この
狐
(
きつね
)
は
雄
(
をす
)
と
雌
(
めす
)
ですか」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
蟷螂
(
かまきり
)
の
雌
(
めす
)
は
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
現にバッグの話によれば、ある若い道路
工夫
(
こうふ
)
などはやはり偶然この国へ来た
後
(
のち
)
、
雌
(
めす
)
の河童を妻にめとり、死ぬまで住んでいたということです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どこからともなく、ひばりの
声
(
こえ
)
がきこえてきました。ちょうど、このとき、
雄
(
おす
)
のほおじろを
失
(
うしな
)
った
雌
(
めす
)
のほおじろは、ひとりやぶのしげみで
悲
(
かな
)
しんでいました。
平原の木と鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
入口に例の
雌
(
めす
)
だか
雄
(
おす
)
だか解らない二匹の
蝙蝠
(
こうもり
)
が上下になって、ネオンサインで描き出してあった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「止してくれ、俺はその
豚
(
ぶた
)
の
仔
(
こ
)
のやうな
雌
(
めす
)
と祝言せずに濟んだだけでも澤山だ、——何でえ、岡つ引のくせに。何も彼も見拔いたつもりでも、人の心の
見透
(
みとほ
)
しはつくまい」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
家内が五人あれば廃物で五羽の鶏が飼える勘定で産卵鶏の好い種類を飼いますと一羽が一年に二百個以上の玉子を産みます。
雄
(
おす
)
一羽
雌
(
めす
)
四羽として二四が八百の玉子を取れます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
もっとも
蝶
(
ちょう
)
のある種類たとえば Amauris psyttalea の雄などはその尾部に備えた小さな袋から一種特別な細かい粉を振り落としながら
雌
(
めす
)
の頭上を飛び回って
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私はふと傍の薔薇の葉の上にゐる褐色の
雌
(
めす
)
の鎌切りを見附けた。よく見ると、それは別の青い
雄
(
をす
)
の鎌切りの首を大きな鎌で押しつけて早や半分ほどそれを食つてゐる雌の鎌切りだつた。
妻
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
雌
(
めす
)
狼一つ鉄という男に飛びかかりたるを、ワッポロを脱ぎて
腕
(
うで
)
に巻き、やにわにその狼の口の中に突き込みしに、狼これを
噛
(
か
)
む。なお強く突き入れながら人を
喚
(
よ
)
ぶに、誰も誰も
怖
(
おそ
)
れて近よらず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
昼渚人し見えねば大鴉はつたりと
雌
(
めす
)
を
圧
(
おさ
)
へぬるかも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“雌”の意味
《名詞》
(めす)性別において、卵や胎児を産む能力を有しているもの。
(出典:Wiktionary)
“雌”の解説
雌(メス、牝 en: Female)は、雄と対比される動物の性別。主に人間以外の動物を指す際に使われ、人間の女性に相当する。動物の中で、子供や卵を産む方を言う。記号として、手鏡をかたどったギリシャ文字「♀」が使われる。
(出典:Wikipedia)
雌
常用漢字
中学
部首:⾫
14画
“雌”を含む語句
雌雄
雌鳥
雌蕊
雌豹
雌鶏
雌猫
雌犬
雌蕋
雌花
雌雉
雄雌
雌針
雌伏
雌黄
雌蝶
雌阿寒
雌鹿
雌牛
雌蘂
雌波
...