間際まぎは)” の例文
兎角とかくするうちにつき滿ちた。いよ/\うまれるといふ間際まぎはまでつまつたとき、宗助そうすけ役所やくしよながらも、御米およねことがしきりにかゝつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いやしくも最高学府へ卒業間際まぎはまで通つたといふ君が、大工の見習ぢや納まるまいと思つてさ。しかし、昨今の生活は、僕も見るに見兼ねてゐる。
長閑なる反目 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
其頃そのころふうをなしておこなはれた試驗しけん間際まぎは徹夜てつや勉強べんきやう終夜しうやとなへて、つた同志どうしあかしに演習おさらひをする、なまけものの節季仕事せつきしごとふのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それはそれは感心かんしんはふかおそろしいほどで、特別認可とくべつにんか卒業そつげう間際まぎはまできずなしにつてのけたを、しいことにおまへ腦病のうびやうつたではからうか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その朝もやはりかう云ふでんで、いよいよ鐘が鳴る間際まぎはまで、見晴しの好い二階の廊下に彽徊ていくわいしてゐたのである。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それは私が主として樂しんでゐた興味であり、またいつも私がらちを越えないやうにしてゐる確かな本能でもあつた。私はもう一歩で相手をおこらせるといふ間際まぎはで踏み止まつた。
かゝとき——かゝる間際まぎは兎角とかく大厄難だいやくなん誘起ひきおこすものであるなどゝ心付こゝろづものがあらう。
噴火ふんか間際まぎはになると、きはめてせま範圍はんいのみにかんずる地震ぢしんすなは局部きよくぶ微震びしん頻々ひんぴんおこることが通常つうじようである。地表近ちひようちかくに進出しんしゆつして蒸氣じようきが、地表ちひようやぶらうとするはたらきのためにおこるものであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
発車の間際まぎはに牧野の音頭で「しやん、しやん、しやん」と三度手打てうちをしてプラツト・フォオムの群衆を驚かせた。車中には正月の用にと云つて𤍠田丸から大きな「数の子」の樽を積んでれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
私の家はステーションの直ぐ間際まぎはで、場所としては他の宿屋を抜いてゐたので、それ故同業者はどうかして少しでも私の家に吸収される客を奪はうと努めた。それには必らず構内車夫を利用した。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
発車間際まぎはに頓狂な声を出して、馳け込んでて、いきなりはだいだと思つたら脊中せなかに御灸のあとが一杯あつたので、三四郎の記憶に残つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……雨風あめかぜ猶豫ためらつて、いざと間際まぎはにも、卑怯ひけふに、さて發程たたうか、めようかで、七時しちじ急行きふかう時期じきごし、九時くじにもふか、ふまいか。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
バアトンが之を知つたのは、あたかも西部亜弗利加の黄金わうごん海岸へ遠征しようと云ふ間際まぎはであつた。
やが本艦ほんかん間際まぎはになつたが、うみ盤水ばんすいうごかすがごとく、二千七百とん巨艦きよかんゆらり/\とたかく、ひくく、端艇たんていあきのごとく波浪なみをどつて、とて左舷々梯さげんげんてい寄着よりつこと出來できない。
火事くわじ見舞みまひ間際まぎはに、こまかい地圖ちづして、仔細しさい町名ちやうめい番地ばんち調しらべてゐるよりも、ずつとはなれた見當違けんたうちがひ所作しよさえんじてゐるごとかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其所そこ段々だん/\調しらべてて、宗助そうすけ自分じぶんいまかついたことのない事實じじつ發見はつけんしたときに、おもはずおそおどろいた。胎兒たいじ間際まぎはまで健康けんかうであつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
神主かんぬしが装束を着けて、是から祭典でも行はうとする間際まぎはには、かう云ふ気分がするだらうと、三四郎は自分で自分の了見を推定した。実際学問の威厳に打たれたに違ない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うです此汽車で、神戸迄遊びに行きませんか」と勧めた。代助はたゞ難有うと答へた丈であつた。いよ/\汽車の間際まぎはに、梅子はわざと、窓際まどぎは近寄ちかよつて、とくに令嬢の名を呼んで
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三輪田の御光さんとおんなじ色である。国を立つ間際まぎは迄は、御光さんは、うるさい女であつた。そばを離れるのが大いに難有ありがたかつた。けれども、うして見ると、御光さんの様なのも決してわるくはない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
梅子はとう/\を折つた。代助のいよ/\帰ると云ふ間際まぎはになつて
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)