むかし、尾崎紅葉もここへ泊ったそうで、彼の金色夜叉の原稿が、立派な額縁のなかにいれられて、帳場の長押のうえにかかっていた。
かれは即座に心をきめた、火桶の火を埋め、身支度を直し、久しく長押に掛けたままの愛槍をとり下ろすと、燈火を消して住居を出た。
“長押”の解説
長押(なげし)とは、日本建築に見られる部材で、柱を水平方向につなぐもの。鴨居の上から被せたり、柱間を渡せたりするように壁に沿って取り付けられる。
(出典:Wikipedia)
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