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郷
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ごう
ふりがな文庫
“
郷
(
ごう
)” の例文
「
仲平
(
ちゅうへい
)
さんはえらくなりなさるだろう」という評判と同時に、「仲平さんは
不男
(
ぶおとこ
)
だ」という
蔭言
(
かげこと
)
が、
清武
(
きよたけ
)
一
郷
(
ごう
)
に伝えられている。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
郷
(
ごう
)
に入れば郷に従うのが最も滞りがなくてよいかも知れぬ。しかし果して彼らはいつまでも今のパン屋で暮らしてゆけるものか。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
空想は道のりを忘れさせて、いつか
郷
(
ごう
)
の
口
(
くち
)
、程なく静かな村をぬける。禅定寺の山門と真ッ黄色な
銀杏
(
いちょう
)
の
梢
(
こずえ
)
があなたに見えた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あれで
郷
(
ごう
)
に
入
(
い
)
ることに慣れているから、その辺は
甚
(
はなは
)
だ鈍感ではなく、ぶっきらぼうに、お世辞ともつかず、自己釈明ともつかず言いました
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
郷
(
ごう
)
に入っては郷に従ってもらう
主旨
(
しゅし
)
で、友愛塾の簡単な日常生活の方式、つまり「いただきます」と「ごちそうさま」のあいさつだけですまし
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
▼ もっと見る
と申すはほかでもないが、当大和田の
郷
(
ごう
)
に、みめよき女子と見ればよからぬ病の催す
不埓
(
ふらち
)
な旗本がひとりおるのじゃ。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
夜ももう五ツ(午後八時)に近いと思うころに、本所
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
瓦町
(
かわらまち
)
の荒物屋の店障子をあわただしく明けて、ころげ込むようにはいって来た男があった。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
八ヶ岳の大
傾斜
(
スロープ
)
、富士見高原の木地師の
郷
(
ごう
)
! 囲繞しているのは森林である。杉、
檜
(
ひのき
)
というような喬木ばかりが
聳
(
そび
)
えている。その真ん中に空地がある。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
或る人が
中
(
なか
)
ノ
郷
(
ごう
)
の
枳殻寺
(
からたちでら
)
の近所を通ると、紙の旗や
蓆
(
むしろ
)
旗を立てて、大勢が一団となり、
鬨
(
とき
)
の声を揚げ、米屋を
毀
(
ぶ
)
ち
壊
(
こわ
)
して、勝手に米穀を
奪
(
さら
)
って行く現場を見た。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
走田
(
はしだ
)
の
郷
(
ごう
)
へかかる頃には、とっぷりと暮れかかった。すると、その部落を通りぬけようとした時である。
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しからばなぜ
雑戸
(
ざっこ
)
を「あまべ」といったかという理由はよくは分りませぬけれども、思うに普通の
郷
(
ごう
)
の仲間に這入らず、余った村落と云う事ででもありましょう。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
処々
(
ところどころ
)
の
館
(
たて
)
の
主
(
ぬし
)
の伝記、
家々
(
いえいえ
)
の盛衰、昔よりこの
郷
(
ごう
)
に
行
(
おこな
)
われし歌の数々を始めとして、深山の伝説またはその奥に住める人々の物語など、この老人最もよく知れり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかるに翌朝吉野十八
郷
(
ごう
)
の
荘司
(
しょうじ
)
等が追撃して来て奮戦するうち、埋められた王の御首が雪中より血を
噴
(
ふ
)
き上げたために、たちまちそれを
見附
(
みつ
)
け出して奪い返したと云う。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一寸法師は大通りから
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
のこまごました裏道へ入って行った。その辺は貧民
窟
(
くつ
)
などがあって、東京にもこんな所があったかと思われる程、複雑な迷路をなしていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そりゃわかるとも」と、病気の水兵が
低音
(
バス
)
を出す、「死ねば当直日誌へ書き込むんだ。オデッサへ着くと司令官に報告を出す。そこから
郷
(
ごう
)
かどこかへ報らせが廻る……。」
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
瀬戸と大泉のほかに、
北川
(
きたがは
)
といふ建築家、
津留
(
つる
)
といふ婦人科医、
郷
(
ごう
)
といふ騎兵大尉である。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
近いところは物の影がくっきりと地を這って、
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
のあたり、
甍
(
いらか
)
が
鱗
(
うろこ
)
形に重なった向うに、
書割
(
かきわり
)
のような
妙見
(
みょうけん
)
の森が淡い夜霧にぼけて見える。どこかで月夜
鴉
(
がらす
)
のうかれる声。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
着飾った若い花見の男女を
載
(
の
)
せて
勢
(
いきおい
)
よく走る車の
間
(
あいだ
)
をば、お豊を載せた老車夫は
梶
(
かじ
)
を振りながらよたよた歩いて橋を渡るや否や桜花の
賑
(
にぎわ
)
いを
外
(
よそ
)
に、
直
(
す
)
ぐと
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
へ曲って
業平橋
(
なりひらばし
)
へ出ると
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
牧狩の時の
仮家
(
かりや
)
を、同家の先祖、大外河美濃守がもらい受けて住家として、旧吉田の
郷
(
ごう
)
に置いたのを、元亀三年、上吉田の本町に移し、慶長十五年、更に現在のところに転じたのだそうで
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
まだある、秋の末で、その夜は
網代
(
あじろ
)
の
郷
(
ごう
)
の旧大荘屋の内へ療治を頼まれた。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その前に入られたのは、
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
の
長源寺
(
ちょうげんじ
)
という寺、これも手口は同じことですが、
奪
(
と
)
られたのはほんの二三両、住職がつましいので、金があるという評判に釣られた泥棒の
失敗
(
しくじり
)
とわかりました。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それは羨ましい美風だね。
郷
(
ごう
)
に入ったら郷に習おうじゃないか?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
其の頃本所
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
に杉の湯と云うのがありました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
新小梅町と
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
との間、一渠東に入るもの
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
○
郷
(
ごう
)
を辞し
弟
(
てい
)
に
負
(
そむき
)
て
身
(
み
)
三春
(
さんしゅん
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
郷
(
ごう
)
の北に八ツ
面山
(
おもてやま
)
というのがある。そこから
雲母
(
きらら
)
を産するので、遠い昔からこの地方を、
吉良
(
きら
)
の
県
(
あがた
)
とよび、吉良の庄とも唱えてきたのじゃ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
米友がこう言い出したのは、宮川をズンズンさかのぼって、川口というところから
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
へ来かかった時分でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
半七はまた舌打ちをしながら、向う河岸へ渡ってゆくと、その頃の小梅の
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
のあたりは、
為永春水
(
ためながしゅんすい
)
の「梅暦」に描かれた世界と多く変らなかった。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし他家に仕えようという念もなく、
商估
(
しょうこ
)
の
業
(
わざ
)
をも好まぬので、家の
菩提所
(
ぼだいしょ
)
なる本所
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
の
普賢寺
(
ふけんじ
)
の一房に
僦居
(
しゅうきょ
)
し、日ごとに
街
(
ちまた
)
に
出
(
い
)
でて謡を歌って銭を
乞
(
こ
)
うた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鏡石君は
話上手
(
はなしじょうず
)
にはあらざれども誠実なる人なり。自分もまた一字一句をも
加減
(
かげん
)
せず感じたるままを書きたり。思うに遠野
郷
(
ごう
)
にはこの類の物語なお数百件あるならん。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その村落も、新たに土地を開墾して、農業を行った農村ならば、普通の
郷
(
ごう
)
となって、班田にも
与
(
あずか
)
ったでありましょうが、
雑戸
(
ざっこ
)
であってみれば班田の典にも預からない。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
瓦町
(
かわらまち
)
、その前が
細川能登守
(
ほそかわのとのかみ
)
、
松平越前様
(
まつだいらえちぜんさま
)
の門、どっちもこれがお下屋敷でございまして、右手、
源兵衛橋
(
げんべえばし
)
を渡った向うに、黒々と押し黙る木々は、
水戸様
(
みとさま
)
の同じくお下屋敷。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
丹生川平
(
にゅうがわだいら
)
という一つの
郷
(
ごう
)
へ、参りました旨語りましたので、早速お耳に入れたく存じて、お邸へ参上いたしましたところ、ご外出にてご不在とのこと、そこで止むなくお約束の場所の
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
なるほど、これは面白い。去年の九月が長崎町、十月が松倉町、十一月は
中
(
なか
)
ノ
郷
(
ごう
)
、十一月は飛んで森下、それから海辺大工町、それから浅草へ行って——これは驚いた、人さらいは執念深く施米の後を
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大坂
(
おおさか
)
はまだ三
郷
(
ごう
)
とも、
城下
(
じょうか
)
というほどな町を
形成
(
けいせい
)
していないが、急ごしらえの
仮小屋
(
かりごや
)
が、まるで
焼
(
や
)
けあとのようにできている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漂浪を生活としている自分は、習い性となって、これでおのずから、
郷
(
ごう
)
に
入
(
い
)
っては郷に従うのコツを覚え込んでいる。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
足利氏の末の頃まで山田
郷
(
ごう
)
の山田殿というような武士は、たくさん全国にあったのであります。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どこまで行こうとするのだろう! かれらは
郷
(
ごう
)
へ帰るのであった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
平次とガラッ八は、引返して
中
(
なか
)
の
郷
(
ごう
)
へ飛びました。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
で、ささやかな舟世帯は、三
郷
(
ごう
)
の川や掘割を縫って出没し、夜は、人目の立たぬ芦の中に、
浮寝
(
うきね
)
の鳥と同じ夢を結んでいた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四方山
(
よもやま
)
の話をもちかけたのは、一つは、これから仙台郷へ入って、なるべく
郷
(
ごう
)
に従わんとする用意としての、奥州語の会話の練習を兼ねんがためでありました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
本荘
(
ほんじょう
)
に対する新荘も同じく追加開墾地である。その本荘が公田すなわち国の領地である時には荘と言わずに
郷
(
ごう
)
または
保
(
ほ
)
という。
新郷
(
しんごう
)
・
別保
(
べっぽ
)
・
新保
(
しんぽ
)
などは
本郷
(
ほんごう
)
・
本保
(
ほんぽ
)
に対する別符である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
落合両部
(
おちあいりょうぶ
)
、中野
郷
(
ごう
)
一円、ずっと離れて多摩川の
武蔵境
(
むさしざかい
)
にしたところで、足達者というほどなら、もう
七刻
(
ななつ
)
ごろには帰って来てもいいはずです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「結構なものでございますな、お作は何でございますか、
郷
(
ごう
)
ですか、なるほど、郷の義弘でございますか」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
(若狭郡県志。福井県
大飯
(
おおい
)
郡
青
(
あお
)
ノ
郷
(
ごう
)
村関屋)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
とばしてみても見当らぬ。それに国府津の
郷
(
ごう
)
から先は、岡本勝政の陣所となる。いったい、この密告は、何者から出たのか
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ナニ、
詮索
(
せんさく
)
するがものはがあせんよ、土地の習わしですから、
郷
(
ごう
)
に
入
(
い
)
っては郷に従えといってね」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そしてその道順にも多少の異同はあるが、だいたい江見、
湯
(
ゆ
)
ノ
郷
(
ごう
)
を経て、勝間田附近をすぎ、やがて津山の院ノ庄へと、泊りをかさねたものと思われる。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
村とはいうものの、ここは十津川
郷
(
ごう
)
の真中で名にし負う山また山の間です。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もしやあなたは、
但馬
(
たじま
)
の
宗彭
(
しゅうほう
)
沢庵どのではありませぬか。
美作
(
みまさか
)
の吉野
郷
(
ごう
)
では七宝寺に長らく逗留してお
在
(
い
)
でた……
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“郷”の意味
《名詞》
(ゴウ)律令制下の地方行政組織の一つで、郡の下位に属するもの。
(ゴウ)さと。故郷。
(出典:Wiktionary)
“郷”の解説
郷(ごう、きょう、さと)とは田舎または里を意味し、地方行政の単位(村の集合体)である。
(出典:Wikipedia)
郷
常用漢字
小6
部首:⾢
11画
“郷”を含む語句
故郷
郷愁
郷里
郷土
帰郷
郷士
近郷
他郷
古郷
郷人
俵藤太秀郷
思郷病
上郷
本郷
在郷
同郷
異郷
家郷
同郷人
郷村
...