“ごう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ゴウ
語句割合
33.0%
32.6%
10.3%
5.3%
3.8%
2.7%
2.2%
1.8%
1.6%
1.6%
1.4%
1.1%
0.5%
0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
丑満うしみつ過ぐる夜の夢。見よや因果のめぐり来る。火車にごうを積むかずるしめて眼の前の。地獄もまことなり。げに恐ろしの姿や」
涙香・ポー・それから (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼らも喧嘩けんかをするだろう。煩悶はんもんするだろう。泣くだろう。その平生を見ればごうも凡衆と異なるところなくふるまっているかも知れぬ。
写生文 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ごうに入れば郷に従うのが最も滞りがなくてよいかも知れぬ。しかし果して彼らはいつまでも今のパン屋で暮らしてゆけるものか。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
砂原にはライオン歯磨はみがきの大きな立看板があり、鉄橋の方を時々、汽車がごうと通って行った。夢のように平和な景色があったものだ。
夏の花 (新字新仮名) / 原民喜(著)
二、三ごう、はげしくわたりあうと、水色機が三機、ひゅーんとかなしげな悲鳴をあげて、きりきりまいながら、もえ落ちて来た。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
山の横腹に掘りかけて、凹字おうじ形が六七分できた頃に打ちすてられたごうの一番奥のところ。土と岩の入れまじった黒い壁と床。
胎内 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
しかしそこはごうを経た化鳥、地へ落ちて死骸を曝らそうとはしない。さも苦しそうに喘ぎ喘ぎ地上十間の低い宙を河原の方へ翔けて行く。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何しろ相手が内野君というごうの者ですからね。あなたにもいろいろ分からない事があるでしょう。だからあなただけにそっと知らせてあげますよ。
ニッケルの文鎮 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
誰某だれそれがしが何を欲しいと云うから、ちょっと拝見とか、何々氏がこう云う物を希望だから、見せましょうとかごうして、品物を持って行ったぎり、返して来ない。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうじて泣く子と地頭にゃ勝たれんわな。水戸の烈公さんなんて、あれでなかなかごうものでいらっしゃったるそうな」
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此洋服着て、味噌漉みそこし持って、村の豆腐屋に五厘のおからを買いに往った時は、流石ごうの者も髯と眼鏡めがねと洋服に対していさゝかきまりが悪かった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
軒先のきさきをめぐって火のへびがのたうち廻ると見るひまに、ごうと音をたててしとみが五六間ばかりも一ときに吹き上げられ、御殿の中からは猛火みょうかの大柱が横ざまに吐き出されます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
監獄の鉄門ごしに弾薬ごうが光ってる警護兵の陰鬱いんうつな顔の上にいたるところに書かれてるその宿命的な考えをよくも見ないうちに、すでに一つの声が私の耳にささやくような気がする、「死刑囚!」と。
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
なんとなくごう然と見渡しているような、豪胆な、またはあらあらしいおもむきをさえそなえていた。
[自注10]おゴー——顕治の故郷の地方では、おくさん、おかみさんをおごうはんとよぶ。
それならわたしは、畢竟党から撰ばれて、若手検事の腕利きといふ この青年を対ごうに、社会一般教育のため、こゝへ来たとも云ひ得やう。
疑獄元兇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
羿げいは弓の名手であり。ごうは大船をゆり動かすほどの大力でありましたが、いずれも非業の最期をとげました。しかるに、しょくとは自ら耕作に従事して、ついに天子の位にのぼりました。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
高いごう天井のいっぽうのすみに、ポッカリと、四角な黒い穴があいているではありませんか。そこの天井板が一枚、いつのまにかはがされていたのです。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
友人が其の故を問うと、久作曰く、「我れ且てごう州に遊んで常に遠藤と親しむ、故によくその容貌を知っている。遠藤戦いある毎に、必ずさきがけ殿しんがりを志す、故に我必ず彼を討ち取るべし」
姉川合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ごうと鳴って新しい火の手が上ると、魔が知らすような激しい人声。わッとわめいてこの町もあやうくなったが、片側の二階からドシドシ投出す、衣類、調度。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うしろには大山たいざんがそびえ、その麓をめぐる三十余里の官渡の流れは、自然のごうをなしている。曹操は、その水流一帯に、逆茂木さかもぎを張りめぐらし、大山の嶮に拠って固く守りを改めていた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわゆる諾威ノア方舟はこぶねを造り、その族人および禽獣の属おのおの一ごうを乗せて洪水をさけしというがごときこれなり。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
無論むろん、そんなことで筆頭ひつとうなどゝみとめられても、格別かくべつうれしくもないが、そも/\わたし寫眞しやしんはじめたのは、十一二の時分のことで、年ごうにすれば、明治めいち三十五六年