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毫
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ごう
ふりがな文庫
“
毫
(
ごう
)” の例文
君の文学は坦々として
毫
(
ごう
)
も鬼面人を驚かすようなこと無く、作中に凡庸社会を描叙しながら、そのうちに無限の人間味を漂わせたり。
弔辞(徳田秋声)
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
彼らも
喧嘩
(
けんか
)
をするだろう。
煩悶
(
はんもん
)
するだろう。泣くだろう。その平生を見れば
毫
(
ごう
)
も凡衆と異なるところなくふるまっているかも知れぬ。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尤も、専門化しすぎるからと言って、難解であるからと言って、それ故それが、偉大な文学である理由には
毫
(
ごう
)
もならないものである。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私のいうところの必要及びぜいたくはかくのごとき意味のものであって、
毫
(
ごう
)
も個人の財産または所得のいかんを顧みざるものである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
しかるに、先帝の御快復を祈り奉るがごときは、
毫
(
ごう
)
も利己私心あるにあらず、公明正大の至誠をもって天地の至誠に訴えたのである。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
▼ もっと見る
磐梯山破裂
(
ばんだいざんはれつ
)
の
跡
(
あと
)
には
大
(
おほ
)
きな
蒸氣孔
(
じようきこう
)
を
殘
(
のこ
)
し、
火山作用
(
かざんさよう
)
は
今
(
いま
)
もなほ
盛
(
さか
)
んであるが、
眉山
(
まゆやま
)
の
場合
(
ばあひ
)
には
毫
(
ごう
)
も
右樣
(
みぎよう
)
の
痕跡
(
こんせき
)
を
止
(
とゞ
)
めなかつたのである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
敵の強さは、
毫
(
ごう
)
も怖るるにたりないが——と前提して、龍興の行状、国内の不統一、民心の
怨嗟
(
えんさ
)
、眼にみえない
亡兆
(
ぼうちょう
)
を一々あげて
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さても彼は、安政六年五月二十五日において、いよいよ
公
(
おおやけ
)
の筋より江戸
檻致
(
かんち
)
の命を聞くに至れり。彼はこれを聴いて、
毫
(
ごう
)
も
愕
(
おどろ
)
く所なし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
文壇
擦
(
ずれ
)
の
毫
(
ごう
)
も無い、謙遜温雅な態度の
中
(
うち
)
に、一脈鬱々たる覇気があって、人をして容易に
狎
(
な
)
れしめないのは、
長袖者
(
ちょうしゅうしゃ
)
流でないからである。
日本探偵小説界寸評
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
君が
鰡堀
(
りゅうぼり
)
で
出会
(
であっ
)
たのも
大体
(
だいたい
)
同種の物だろう、と云いおわって、他を語り
毫
(
ごう
)
も不思議らしくなかったのが、僕には妙に不思議に感じられた。
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
二郎君に嫌疑をかけた第一の理由は、この火繩銃が彼の所有品である事に
依
(
よ
)
るらしいのですが、これは
毫
(
ごう
)
も理由にはならないと思います。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これに反して
徒
(
いたずら
)
に美人の名に誘われて、目に
丁字
(
ていじ
)
なしと云う
輩
(
やから
)
が来ると、玄機は
毫
(
ごう
)
も仮借せずに、これに侮辱を加えて逐い出してしまう。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてハムムラビ法典の発見の法学におけるは、海王星の発見の星学におけると、その重要なる点において
毫
(
ごう
)
も異なる所はないのである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
それゆえ、罪悪を防ぐための設備は
毫
(
ごう
)
も入要がない。修身、道徳というようなことは彼らの国民には何の必要もないのである。
理想的団体生活
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
たとい清国にして
如何
(
いか
)
に大兵を養うも、これを働かすだけの国力——財力——のないことは、明白なる事実であるから
毫
(
ごう
)
も恐るるに足らぬ。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
しかしこれ一部を以て全部を
蔽
(
おお
)
うものである。一度旧約聖書を
去
(
さっ
)
て新約に入らんか、この種の陰影は
毫
(
ごう
)
も認めがたいのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
然
(
さ
)
ればその十八世紀に対する考証研究の態度は
毫
(
ごう
)
も詩歌小説創作の心境と異る所なく熱烈にしてまた繊細なる感情に満ちたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そういうのが無数に寄り集まってこそ、初めて現在のごとき科学の壮麗な殿堂が築き上げられたということは
毫
(
ごう
)
も疑う余地のないことである。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
正直なる者に正直にせよと勧むるは無用なり、正直ならざる者に正直にせよと勧むるも口のさきの講義これをして
毫
(
ごう
)
も正直ならしむる能はず。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ことに愉快なことは、今、亜砒酸を用いて毒殺を
行
(
や
)
ったならば、医師は前述の理由で、コレラと診断し、
毫
(
ごう
)
も他殺の疑を抱かないに違いない。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
無上の幸福、無上の満足がその間に湧き出る。天地間の宝蔵は無限であるから、彼は
毫
(
ごう
)
も材料の枯渇を
患
(
うれ
)
うるには及ばない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
「わが輩は勇気については
毫
(
ごう
)
も疑わん。望む所は沈勇、沈勇だ。
無手法
(
むてっぽう
)
は困る」というはこの仲間にての年長なる
甲板士官
(
メート
)
。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
時に諷刺を目的とするような「おはなし」が生まれることもあるが、グリムにあっては筆者の作為は
毫
(
ごう
)
も加わっておらぬ。
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
もしそれ電話装置を看破し能はざりし如きは大功中の小過、
毫
(
ごう
)
もその勝利の価を減ずべきものにあらず。ここに感嘆と尊敬との意を表す。以上。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
種々欠点をあげて非難されだろうことも
毫
(
ごう
)
も残念だとは思わなかったし、僕の死体を探すために出される捜索隊のことや
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
しかし独立の言葉として深い意味が
汲
(
く
)
み取られるということは、
毫
(
ごう
)
もこの一篇の全体的構図を否認する理由にはならない。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
主人の委託を受けてみずから任じたる一両の金を失い、君臣の分を尽くすに一死をもってするは、古今の忠臣義士に対して
毫
(
ごう
)
も恥ずることなし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼等の衝動が、道路完成迄永続きするか、どうか、それは私にとって
毫
(
ごう
)
も問題でない。彼等がそれを企てたということ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
神は
毫
(
ごう
)
もおれを知らぬ。施与のない忠実な不幸というのはいいものだな。おれはなにひとつ神に負うところはないと、自分にいってもいいのだ。——
衣裳戸棚
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
かかる
無辜
(
むこ
)
の人々を
毫
(
ごう
)
も罰する理由はない。もしその罪を問うことが必要ならば、
必竟
(
ひっきょう
)
その罪の帰するところは彼らに
非
(
あら
)
ずして全く私に在るのである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
純粋というのは、普通に経験といっている者もその実は何らかの思想を交えているから、
毫
(
ごう
)
も思慮分別を加えない、真に経験其儘の状態をいうのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
福助の小町は女なれども道のために身を捧げて
毫
(
ごう
)
も惜むことなく
凜
(
りん
)
として動かすべからざる気概見えて
頗
(
すこぶ
)
る好し。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
日本の評家等が僅に「芸術論」の一部を
抽読
(
ちゆうどく
)
して、象徴派の
貶斥
(
へんせき
)
に一大声援を得たる如き心地あるは、
毫
(
ごう
)
も清新体の詩人に打撃を与ふる能はざるのみか
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
歴史小説と称ばるるものは、歴史的な史実の考証的研究の充分にされたものであって、歴史的事実は
毫
(
ごう
)
も曲げずして、新らしき解釈を下した作品である。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
恰
(
あたか
)
も生きた人間にむかって物言うごとき態度に出て、
毫
(
ごう
)
も
厭味
(
いやみ
)
を感じないのは、直接であからさまで、擬人などという意図を余り意識しないからである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ああ法水がキッパリと云い切った態度からは、
毫
(
ごう
)
もいつものように術策や、詭計らしい匂いが感ぜられなかった。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
一糸乱れず、脚のリズムで、スタアトからゴオル
迄
(
まで
)
、一貫したスパアトで持って入り、しかも、
毫
(
ごう
)
も、調子が変っていないのには、感心させられました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
筑前糸島郡
怡土
(
いと
)
村大字高来寺にもまた寺址説がある。『続風土記』にこれを録している。かつて礎石が存したというのみで、
毫
(
ごう
)
も記録を存せぬ。さらに
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
云うまでもありませんが、私の家を存続するとか、尾崎の名を伝えるとかいう気もありませんから、「養子」などのことは
毫
(
ごう
)
も特別考慮の必要ありません。
遺書
(新字新仮名)
/
尾崎秀実
(著)
痛みに堪えかねて、眼球を転ずることさえ叶わず、実に四苦八苦の
責
(
せ
)
めに
遇
(
あ
)
いしも、もと捨てたりし命を図らずも拾いしに、予に於て
毫
(
ごう
)
も憂うるに足らず。
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
沼南の百の欠点を知っても自分の顔へ泥を塗った門生の罪過を憎む代りに
憐
(
あわれ
)
んで生涯面倒を見てやった沼南の美徳に対する感嘆は
毫
(
ごう
)
も減ずるものではない。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一体氏郷は父の賢秀の義に固いところを受けたのでもあろうか、利を見て義を忘れるようなことは
毫
(
ごう
)
も敢てして居らぬ、此の時代に於ては律義な人である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
罪悪と不良行為とを
敢
(
あえ
)
てして
愧
(
は
)
じず、いわゆる経済学とか社会学とか商業道徳とかいう事は講壇の空文たるに
留
(
とどま
)
って
毫
(
ごう
)
も実際生活に行われていないのである。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
すなわち彼等は長州が
勝
(
か
)
つも徳川が
負
(
ま
)
くるも
毫
(
ごう
)
も心に
関
(
かん
)
せず、心に関するところはただ
利益
(
りえき
)
の一点にして
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
しかもこの場合、雉子の声が
毫
(
ごう
)
も他のものに紛れぬ響を持っているのは、実感の然らしむる所に相違ない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
何となれば、もっと昔のローマ人もオッフラという料理を愛好したそうだからね。これもパンに肉を揷んだもので、伯爵の発明品と
毫
(
ごう
)
も
異
(
ことな
)
るところがないらしい。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
なお進んでトラスト
組織
(
そしき
)
の下に製作せらるる
物品
(
ぶっぴん
)
は買い手の相談などは
毫
(
ごう
)
も
省
(
かえり
)
みらるるものではない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「代価普通縮緬の三分の一にも満たず、しかも地合光沢等すべて一見
毫
(
ごう
)
も劣らず」とて、「ゆえに官吏学生はもちろん、紳士粋人方が楽着用として実に徳用他に比なし」
面白き二個の広告
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
行文いずれもリリカルな調をそなえ、
毫
(
ごう
)
も枯淡の嫌なきはこの種の著述に於て多とせねばならぬ。
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
毫
(
ごう
)
も「日本」の文字あるなく、ヤマトの語に当つるに常に「倭」の字を以てする例となっている。
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
“毫”の意味
《名詞》
ほんのわずか。すこし。
(出典:Wiktionary)
毫
漢検1級
部首:⽑
11画
“毫”を含む語句
寸毫
秋毫
毫光
揮毫
一毫
毫末
白毫
毫釐
毫毛
毫厘
厘毫
白毫寺
釐毫
毛毫
毫髪
毫鍼
霜毫
羽毫
糸毫
一毫毛
...