ごう)” の例文
「オ、とっツアん、いつものくちを、五ごうばかりもらおうじゃあねえか。くちに待っていられてみると、どうも手ぶらじゃアけえれねえや」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
二、三ごう、はげしくわたりあうと、水色機が三機、ひゅーんとかなしげな悲鳴をあげて、きりきりまいながら、もえ落ちて来た。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
きつねしたは小さいので、ぺろりとなめてもわずかなことです。しかし、ぺろりぺろりがなんどもかさなれば、一ごうあぶらもなくなってしまいます。
狐のつかい (新字新仮名) / 新美南吉(著)
りにくるのと、いってうのとはたいへんなちがいだ。りにくるのは、きっちり一ごうしかはからないが、いってうとずっとたくさんくれる。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
西洋の詩は無論の事、支那の詩にも、よく万斛ばんこくうれいなどと云う字がある。詩人だから万斛で素人しろうとなら一ごうで済むかも知れぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ここをければ、八ごうさく、三のとりで、すべての外城そとじろかくへはむろん、ふもとへでもどこへでも自由に通りぬけることができる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれらの家は渡し場の近所で、庄作は今や一ごうの寝酒を楽しんでいるところであったが、それを聞いて眉をよせた。
廿九日の牡丹餅 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかしそう思えば思うほど、実は扇を挙げることをためらうようになるのでございまする。二人は今度もしばらくののち、七八ごうばかり打ち合いました。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小家のわびしい物のも、源を辿たどればこの木の御器ごきのなげきであった。その中へ米ならば二ごうか三合ほどのあたいをもって、白くして静かなる光ある物が入って来た。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ごう取っても武士の娘という事が浄瑠璃本じょうるりぼんにもあるではないか、侍の娘が男を見染めて恋煩いをするなどとは不孝ものめ、仮令たとい一人の娘でも手打にするところだが
此方こなたも心得たりと抜き放ち、二、三ごう切結きりむすうち、以前の侍足を踏み滑べらせ路の片側なるがけかたへと落ち込む途端とたんすそを払ひし早業はやわざに、一人は脚にてもられ候や
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
真澄が起きあがってみると女の傍にはぜんがあって、その上に一本の四ごうびんと三皿のさかなが置いてあった。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
反物たんもの一反あれば一人前の衣服が出来る。五ごうの米があれば人間一人の一日の生命をつなげる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ごう二十二人、兵部侍郎へいぶじろう廖平りょうへい刑部侍郎けいぶじろう金焦きんしょう編修へんしゅう趙天泰ちょうてんたい検討けんとう程亨ていこう按察使あんさつし王良おうりょう参政さんせい蔡運さいうん刑部郎中けいぶろうちゅう梁田玉りょうでんぎょく中書舎人ちゅうしょしゃじん梁良玉りょうりょうぎょく梁中節りょうちゅうせつ宋和そうか郭節かくせつ刑部司務けいぶしむ馮㴶ひょうかく鎮撫ちんぶ牛景先ぎゅうけいせん王資おうし劉仲りゅうちゅう
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小糠こぬかごうということがある。して西引佐切っての早川家の息子だ。
ある温泉の由来 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
升目ますめ 一升四ごうせき 八合九夕 五合七夕
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)
一上一下、叫喚きょうかん数十ごう、まだ相互とも一滴の血を見るなく、ただ真っ黒な旋風をえがいては、またたちまちもとの三すくみのめ合いとなった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さてきつねは、うまく人間の子どもにばけて、しりきれぞうりを、ひたひたとひきずりながら、村へゆきました。そして、しゅびよくあぶらを一ごうかいました。
狐のつかい (新字新仮名) / 新美南吉(著)
子供こどもは、一ごう石油せきゆって、ぜにをそばにかさねてあったばこうえにのせて、ちいさな姿すがた店頭みせさきからえました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、この時の数馬の竹刀は心もち先があがって居りました。多門はその竹刀の下をどうへ打ちこもうと致しました。それからかれこれ十ごうばかりは互にしのぎけずりました。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
惣兵衞は一歩退しりぞいてチャリ/\と受け止め、チャ/\/\と二三ごう合せ、少しの隙をねらって惣兵衞が庭へ飛び下り、パタ/\/\と駈けてまいり、生垣を飛び越えて土手の方へ逃げ出す。
奥羽おううで一般にいっパイと謂い、九州ではゴひとつと称えたのは、ともに今日の桝目ますめの約二ごうしゃくであった。是が一人扶持いちにんぶちの五合を二つに分けて、朝夕かたけずつ食わせた痕跡であることは疑いが無い。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ごうのおしきせを貰ってるよ、伯の歿くなった時には、ちょうど腎臓が悪くて、生きるか死ぬかと云う場合だったから、つい見舞状も出さなかった、今度は久しぶりで宇都宮へやって来たところで
雨夜続志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
料理屋でめしを注文すれば一ごう二、三じゃくを一人前という。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「——この山城やまじろは三だんぐるわおくとりでのものは毒水どくみずをのんでたおれたにしろ、まだ八ごう外城そとじろのものは、無事ぶじでなにも知らずにいるかも知れない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほんとうに、きっちり一ごうしかはからない、なんだかりないようなときもある。きたのをうとランプの七ぶんめぐらいしかないが、いってうとちょうどくちもとまでありますよ。」
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねえさん、一ごうつけてくれないか」
雪の夜の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
だが、さけんで反応はんのうがなかったように、そのかいがとおく八ごうへ鳴りひびいていっても、外城そとじろさくから、こたえきの合わせがいが鳴ってこなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつも、あたまのはげあがった番頭ばんとうが、上目うわめ使つかって、じろりと平三へいぞうかおをにらむようにて、一ごうますにさけをはかっていれてわたしました。かれは、毎日まいにち毎日まいにち失望しつぼうして、いえかえってきたのであります。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白光はっこうを噴いた双龍そうりゅうにも似る二人のあいだに、鏘々しょうしょうとして、火花が散った。しかし彼の長剣も、林冲の長巻も、幾十ごうとなくその秘術を尽しあったが、どっちも、相手の一髪すら斬ってはいない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)