ごう)” の例文
あの小城の一つ一つを、踏みつぶしているのは厄介ですが、神吉城の神吉長則かんきながのり、高砂城の梶原景行かじわらかげゆきなど、なかなかごうの者です。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此洋服着て、味噌漉みそこし持って、村の豆腐屋に五厘のおからを買いに往った時は、流石ごうの者も髯と眼鏡めがねと洋服に対していさゝかきまりが悪かった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
狼罠おおかみわなにかかってキャンキャンき叫んでいたが、誰も助けに来てくれないと知ると、罠にかかった自分の脚を、自分で食い切って、三本脚でビッコ引き引き戻って来たというごうのものだけに
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
それはまたひがみというものだ。念仏というものの本意は常念でなければならぬ。いて性質をためて本来臆病の者がごうの者の真似をするにも及ばない。剛の者がまた変に臆病がるにも及ばない。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
じゅうごうを制す、赤子せきしうて賁育ほんいくそのゆううしなう」と。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
阿波の原士はらしの中でも、ごうの者といわれている一角が、なぜか真っ先に走ったので、九鬼も森も対手あいてを捨てて、空しく川長を飛び出してしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとごうを好めばわれじゅうをもってこれに勝つ」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
取り逃がした宇都宮公綱だ。東国一のごう公綱があらためて見参げんざんを申しいれる。卑怯者と笑われたくなくば、名のりあえ。一騎と一騎の勝負をいたせ
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
就中なかんずく、宇都宮公綱といえば、東国随一のごうの者で、かつて渡辺橋の合戦では、楠木勢にいどみかけ、つね日ごろにも
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荒木勢とはいえ、あの村重の家臣とはいえ、ここまで籠城を堅持し、「城と共に」の義を捨てなかった者だけに、いわば粒選つぶよりのごうものどもであった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)