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道行
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みちゆき
ふりがな文庫
“
道行
(
みちゆき
)” の例文
が、
道行
(
みちゆき
)
にしろ、
喧嘩
(
けんくわ
)
にしろ、
其
(
そ
)
の
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
処
(
ところ
)
が、
遁
(
に
)
げるにも
忍
(
しの
)
んで
出
(
で
)
るにも、
背後
(
うしろ
)
に、
村
(
むら
)
、
里
(
さと
)
、
松並木
(
まつなみき
)
、
畷
(
なはて
)
も
家
(
いへ
)
も
有
(
あ
)
るのではない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二部興行で、昼の部は
忠信
(
ただのぶ
)
の
道行
(
みちゆき
)
、
躄
(
いざり
)
の仇討、
鳥辺山
(
とりべやま
)
心中、夜の部は
信長記
(
しんちょうき
)
、
浪華
(
なにわ
)
の
春雨
(
はるさめ
)
、
双面
(
ふたおもて
)
という番組も大きく貼り出してある。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こちとらにしたッて姐御と相良金吾の
道行
(
みちゆき
)
を、
常磐津
(
ときわず
)
のきれい事か何かのように、指をくわえて拝見しているわけにもまいりません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
道行
(
みちゆき
)
は抜にして、ともかく無事に北海道は札幌へ着いた、馬鈴薯の本場へ着いた。そして苦もなく十万坪の土地が手に入った。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
梶子は旅なれた武家の女房、そういったような扮装をし、
道行
(
みちゆき
)
などを軽やかに着、絹の
手甲
(
てっこう
)
脚絆
(
きゃはん
)
などをつけ、菅笠などをかむっていた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
今
浪花
(
なには
)
座で『忠臣蔵』を
演
(
や
)
つてゐる鴈治郎なども、お
軽
(
かる
)
の
道行
(
みちゆき
)
のやうな
濡事
(
ぬれごと
)
を実地
行
(
や
)
る
閑
(
ひま
)
があつたら一度青蓮寺に
参詣
(
まゐ
)
つたがよからう。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
相手というのは
羅紗
(
らしゃ
)
の
道行
(
みちゆき
)
を着た
六十恰好
(
ろくじゅうがっこう
)
の
爺
(
じい
)
さんであった。頭には
唐物屋
(
とうぶつや
)
を
探
(
さが
)
しても見当りそうもない変な
鍔
(
つば
)
なしの帽子を
被
(
かぶ
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
でも、とうとうあっしが勝ちましたよ。いよいよ明日はお君を伊賀井様へ連れて行くという前の晩、二人は
道行
(
みちゆき
)
をする段取になったのです。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
袷
(
あわせ
)
では少し
冷
(
ひや
)
つくので、
羅紗
(
らしゃ
)
の
道行
(
みちゆき
)
を引かけて、出て見る。門外の路には
水溜
(
みずたま
)
りが出来、
熟
(
う
)
れた麦は
俯
(
うつむ
)
き、
櫟
(
くぬぎ
)
や
楢
(
なら
)
はまだ緑の
雫
(
しずく
)
を
滴
(
た
)
らして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お恥かしい話だが、先生が、あんな御新造に
侍
(
かしず
)
かれて
道行
(
みちゆき
)
をなさるのを見ると、
疳
(
かん
)
の虫がうずうずしてたまりませんや。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おかる
勘平
(
かんぺい
)
の
道行
(
みちゆき
)
といつたやうな、芝居の
所作事
(
しよさごと
)
と、それに
伴
(
ともな
)
ふ輕く細く美しい音樂とが、
頻
(
しき
)
りに思ひ出されて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その道純を識っていた人に由って、道純の子孫の現存していることを聞き、ようよう
今日
(
こんにち
)
道純と抽斎とが同人であることを知ったという
道行
(
みちゆき
)
を語った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「そのとおり。プリンスとプリンセスと一夜の宿をたのみに来たのだ。どうもこう寒いと、くしゃみばかり出て、せっかくの恋の
道行
(
みちゆき
)
もコメディになってしまう」
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
祖父は「おのぶと向島に
道行
(
みちゆき
)
をして、その後でお染を語るなんざあ、趣向が出来すぎている。」
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
薄茶紬
(
うすちゃつむぎ
)
の
道行
(
みちゆき
)
に短い道中差、絹の股引に
結付草履
(
ゆいつけぞうり
)
という、まるで摘草にでも行くような手軽ないでたち。
茶筅
(
ちゃせん
)
の先を妙にへし折って、
儒者
(
じゅしゃ
)
ともつかず
俳諧師
(
はいかいし
)
ともつかぬ奇妙な髪。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
母のない子供があの芝居を見れば、きっと誰でもそんな感じを
抱
(
いだ
)
くであろう。が、千本桜の
道行
(
みちゆき
)
になると、母———狐———美女———恋人———と云う連想がもっと密接である。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
歌麿が晩年(文化の頃)における「
道行
(
みちゆき
)
」の諸板画と春信の作とを比較する時、吾人はまづ
異
(
ことな
)
れるこの二種の芸術を鑑賞せんには全然
別様
(
べつよう
)
の態度を取らざるべからざる事に心付くべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
勘定をすませ丸く肥え太りたる
脊
(
せい
)
低き女に革鞄
提
(
さ
)
げさして停車場へ行く様、痩馬と牝豚の
道行
(
みちゆき
)
とも見るべしと
可笑
(
おか
)
し。この豚存外に心利きたる奴にて甲斐々々しく何かと世話しくれたり。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかも
道行
(
みちゆき
)
の多い
街道筋
(
かいどうすじ
)
、ことに大きな神社や霊場に参詣する
路
(
みち
)
では、今も時々は旅客の
袂
(
たもと
)
について
施
(
ほどこ
)
しを求める風儀が残っているぐらいで、もちろん江戸近郊だけの特例ではなかった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鷺阪伴内にひと泡吹かせた
道行
(
みちゆき
)
の勘平のようニッコリ圓朝は、見得を切った。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
それもこれも尾島氏に余り面倒見て貰い過ぎ、聖書会社へ迷惑を掛けました神より自分に降した相当の責罰には、自分は今度冤罪の下に斃れなければならぬ
道行
(
みちゆき
)
となりましたものと思います。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
鉄無地の
道行
(
みちゆき
)
半合羽
(
はんがっぱ
)
、
青羅紗
(
あおらしゃ
)
の
柄袋
(
つかぶくろ
)
、
浅黄
(
あさぎ
)
甲斐絹
(
かいき
)
の
手甲脚半
(
てっこうきゃはん
)
、
霰小紋
(
あられこもん
)
の
初袷
(
はつあわせ
)
を裾短かに着て、袴は穿かず、鉄扇を手に持つばかり。斯うすると竜次郎の男振りは、
一入
(
ひとしお
)
目立って光るのであった。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「今途中ででつくわしてなあ、
道行
(
みちゆき
)
のやうに並んで來た。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
まさか芝居でするお女郎の
道行
(
みちゆき
)
のように、部屋着をきて、重ね草履をはいて、手拭を吹き流しに
被
(
かぶ
)
っていたわけでもあるめえが……
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
爪弾
(
つまび
)
きではありますが、手にとるように聞えてくるのは、ここもと、園八節の
道行
(
みちゆき
)
、
桂川
(
かつらがわ
)
恋のしがらみか何かであります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
色の取持ちをして小遣を
稼
(
かせ
)
いぢや、祖先の惡源太義平に濟まない——見損なつたか畜生、お前が
道行
(
みちゆき
)
と出かける時、
餞別
(
せんべつ
)
をどうして工面したものかと
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と足拍子面白く踊り出したから、兵部の娘もそれに合せて、茂太郎の手を引いたまま、
道行
(
みちゆき
)
ぶりで踊り出しました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「おやめよおやめよ、
道行
(
みちゆき
)
はな! 一句でよろしい、どの辺だな? 感覚でわかる。俺の胸に、ピーンと響くか響かぬか、それが標準。いってごらん」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
上前
(
うわまえ
)
の
摺下
(
ずりさが
)
る……腰帯の
弛
(
ゆる
)
んだのを、気にしいしい、片手でほつれ毛を掻きながら、少しあとへ
退
(
さが
)
ってついて来る小春の姿は、
道行
(
みちゆき
)
から
遁
(
に
)
げたとよりは
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて、御化粧が出来上って、流行の
鶉縮緬
(
うずらちりめん
)
の
道行
(
みちゆき
)
を着て、毛皮の
襟巻
(
えりまき
)
をして、御作さんは旦那といっしょに表へ出た。歩きながら旦那にぶら下がるようにして話をする。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
毒婦と
盗人
(
ぬすびと
)
と人殺しと
道行
(
みちゆき
)
とを仕組んだ黙阿弥劇は、丁度
羅馬
(
ロオマ
)
末代
(
まつだい
)
の貴族が猛獣と人間の格闘を見て喜んだやうに、尋常平凡の事件には興味を感ずる事の出来なくなつた鎖国の文明人が
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
□
道行
(
みちゆき
)
ノ段
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
道行
(
みちゆき
)
の
段
(
だん
)
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「これからの
道行
(
みちゆき
)
を
下手
(
へた
)
に長々と講釈していると、却って御退屈でしょうから、もうここらで種明かしをしましょうよ」
半七捕物帳:21 蝶合戦
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なんでもこの辺の
間道
(
ぬけみち
)
を通って、甲州入りをしたものに違いございませんが、あいつが
盲目
(
めくら
)
と足弱をつれて、どういう
道行
(
みちゆき
)
をするかが
見物
(
みもの
)
でございます。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
朧
(
おぼろ
)
の月、秋近いのに、春めく生温かさが、良い年増と歩くガラッ八を、少しばかり
道行
(
みちゆき
)
めかしい心持にします。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それじゃ親分は、お蝶と一つ舟で大川へ逃げたと言うのか。なんのこった、おれ達は足を棒にして探していると言えば、飛んだ
道行
(
みちゆき
)
と
洒落
(
しゃれ
)
ていたんだぜ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
編がさをかぶって、
道行
(
みちゆき
)
を着て、手甲脚半に手足をよそおい、お粂はスタスタと歩いてゆく。尻端折りをして道中差しを差して、並んで金兵衛が歩いてゆく。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二人が水の
滴
(
た
)
りそうな、
光氏
(
みつうじ
)
と、
黄昏
(
たそがれ
)
と、玉なす
桔梗
(
ききょう
)
、黒髪の
女郎花
(
おみなえし
)
の、
簾
(
みす
)
で抱合う、
道行
(
みちゆき
)
姿の極彩色。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稽古本
(
けいこぼん
)
を広げた
桐
(
きり
)
の小机を中にして
此方
(
こなた
)
には三十前後の商人らしい男が
中音
(
ちゅうおん
)
で、「そりや何をいはしやんす、今さら兄よ
妹
(
いもうと
)
といふにいはれぬ
恋中
(
こいなか
)
は……。」と「
小稲半兵衛
(
こいなはんべえ
)
」の
道行
(
みちゆき
)
を語る。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
駈落という言葉が、ふと芝居でやる
男女二人
(
なんにょふたり
)
の
道行
(
みちゆき
)
をお延に
想
(
おも
)
い起させた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう旦那と相談するひまも無しに、おとわは目ぼしい品物や有り金をかきあつめて、無理無体に万吉に引き摺られて、心にもない
道行
(
みちゆき
)
をきめたんです。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから、この巻には全く影を見せなかったものに、兵馬と福松——その
道行
(
みちゆき
)
も白山に到り着かんとして着かず。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
道行
(
みちゆき
)
を着てその裾から、甲斐絹の
甲掛
(
こうがけ
)
を見せている。武家の娘の旅姿で、歩き方なども上品にしている。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
漸
(
ようや
)
く十九になったばかり、増屋の奉公人には相違ありませんが、女隠居の相手をしている可愛らしくも清らかな娘で、徳之助と並べると、歌舞伎芝居の
道行
(
みちゆき
)
を見るような
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と苦い顔を渋くした、
同伴
(
つれ
)
の老人は、まだ、その上を四つ五つで、やがて
七十
(
ななそじ
)
なるべし。
臘虎
(
らっこ
)
皮の
鍔
(
つば
)
なし古帽子を、白い
眉尖
(
まゆさき
)
深々と
被
(
かぶ
)
って、鼠の
羅紗
(
らしゃ
)
の
道行
(
みちゆき
)
着た、
股引
(
ももひき
)
を太く白足袋の
雪駄穿
(
せったばき
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稽古本
(
けいこぼん
)
を広げた
桐
(
きり
)
の
小机
(
こづくゑ
)
を中にして
此方
(
こなた
)
には三十前後の商人らしい男が
中音
(
ちゆうおん
)
で、「そりや
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
はしやんす、今さら兄よ妹と
云
(
い
)
ふに
云
(
い
)
はれぬ
恋中
(
こひなか
)
は………。」と「
小稲半兵衛
(
こいなはんべゑ
)
」の
道行
(
みちゆき
)
を語る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「まるで、
道行
(
みちゆき
)
だ!」
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美しいお嬢様なり、姫君なりを連れての
道行
(
みちゆき
)
ではなかったし、あの男自身も、美男で
色悪
(
いろあく
)
な若侍とは言えまい。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは万養寺の寺男で、名は忠兵衛……梅川と
道行
(
みちゆき
)
でもしそうな名前ですが、年は五十ばかりで、なかなか頑丈な奴でした。生まれは
上方
(
かみがた
)
で、大吉の親父です。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
“道行”で始まる語句
道行振
道行姿
道行触
道行合羽
道行山
道行澤