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せきがく
ふりがな文庫
“
碩学
(
せきがく
)” の例文
旧字:
碩學
一人にしてその二を兼ぬる人ははなはだまれである、これを具備した人にして始めて
碩学
(
せきがく
)
の名を冠するに足らんか。(大正四年ごろ)
知と疑い
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
『長興記』をして、「本朝五百年来此の才学なし」とまで評さしめた当時の
碩学
(
せきがく
)
一条
兼良
(
かねよし
)
は『
樵談
(
しょうだん
)
治要』の中で浩歎して述べて居る。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私が逢った頃の露伴博士は、『風流仏』や『一口剣』の創作旺盛時代から自然を愛する年配になり、
碩学
(
せきがく
)
としての存在になっていた。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この一山には、三千の僧衆がこもって、
真言
(
しんごん
)
を修め、経典を読んではいるが、堂塔も、
碩学
(
せきがく
)
も、社会にとっては、縁なき石に等しい。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまだ少年であった私が
縦
(
たと
)
い翁と直接話を
交
(
かわ
)
すことが出来なくとも、一代の
碩学
(
せきがく
)
の
風貌
(
ふうぼう
)
を
覗
(
のぞ
)
き見するだけでも大きい感化であった。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
其の記念碑の表面は、
伯爵
(
はくしゃく
)
田中光顕
(
たなかこうけん
)
先生の筆で、「一木権兵衛君
遺烈碑
(
いれつひ
)
」とし、裏面には土佐の
碩学
(
せきがく
)
寺石正路
(
てらいしまさはる
)
先生の選文がある。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
碩学
(
せきがく
)
、大家の生死に迷わざること、実にかくのごとし。しかるに、凡庸の輩は戦々恐々として死を恐れ、終身苦海に一生を送る。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
それから儒教は今日ではよほど衰えてその代表者といわれる人はきわめて少数であるが、明治の初年にはまだ相当に
碩学
(
せきがく
)
がおったのである。
明治哲学界の回顧:01 序論
(新字新仮名)
/
井上哲次郎
(著)
氏は実に世にも得難き
碩学
(
せきがく
)
の士で
博
(
ひろ
)
く百科の学に精通し、それがまた通り一遍の知識でなく
悉
(
ことごと
)
く皆
深邃
(
しんすい
)
の域に達していられた。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
知って源光は「おれは魯鈍の浅才であるから、この子の教育の任に堪えぬ。然るべき
碩学
(
せきがく
)
につけてこの宗の奥義を究めさせなければならぬ」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかも片や
羅馬
(
ローマ
)
古代史、片や海洋学の世界的権威二人の
碩学
(
せきがく
)
が、ボカス・デルトーロの
辺陬
(
へんすう
)
から世界的な重大発表をするらしいという噂が
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
有名な英国の
碩学
(
せきがく
)
ミルは若い時、同じく若いテニソンをロンドン・リポジトリ紙上に紹介して、
猶
(
なお
)
其次号にブラウニングを紹介しようとした。
長塚節氏の小説「土」
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今
爾
(
なんじ
)
をして、欧洲立憲各国に至り、其の政府又は
碩学
(
せきがく
)
の士と相接して、其の組織及び実際の情形に至るまで観察して、
余蘊
(
ようん
)
なからしめんとす。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
その正徹の態度を大いにみとめていた室町第一の
碩学
(
せきがく
)
一条摂政兼良は、正徹の寂後十数年を経て、『古今集
童蒙抄
(
どうもうしょう
)
』を著したが、その中にも
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
縦令
(
たとい
)
如何
(
いか
)
なる罪障や欠点があるにせよ、
釈迦
(
しゃか
)
、
基督
(
キリスト
)
の如き聖人を初め、歴史上の
碩学
(
せきがく
)
や英雄を無数に生んだ功績は大したものではありませんか。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
碩学
(
せきがく
)
の人たちが選ばれて答案の審査にあたったのであるが、及第は三人しかなかったのである。そして若君は秋の
除目
(
じもく
)
の時に侍従に任ぜられた。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
西洋諸国にても、執政の人が文学の差図して世の害をなし、有名なる
碩学
(
せきがく
)
が政壇に上りて人に笑われたるの例もあり。
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
能楽という演技そのものが、その発祥を格式を
尚
(
たっと
)
ぶ社寺のうちに持ち、謡曲のうしろには五山の
碩学
(
せきがく
)
が厳として控えて居り、啓書記、
兆殿司
(
ちょうでんす
)
、斗南
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
お身さまの叔父御は
法性寺
(
ほっしょうじ
)
の
隆秀阿闍梨
(
りゅうしゅうあじゃり
)
でおわすそうな。世にも誉れの高い
碩学
(
せきがく
)
の
聖
(
ひじり
)
、わたくしも一度お目見得して、
眼
(
ま
)
のあたりに
教化
(
きょうげ
)
を受けたい。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「蛇は寸にしてその気を現わす」、「考えておった」の一言は、ベンサムの曠世の
碩学
(
せきがく
)
たる未来を語ったものである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
◯
碩学
(
せきがく
)
老デリッジはこの一節を評して「暗黒中に打ちあげられし
狼煙
(
のろし
)
の如し」というた。光明は暗黒を破って一度輝きしも、また
忽
(
たちま
)
ち消えて再び暗黒となった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
碩学
(
せきがく
)
大家どもと、彼らの
白髪
(
しらが
)
と
白髯
(
しらひげ
)
は、豪雨と、暴風の、鳥獣の
苦悶
(
くもん
)
と、人民の失望と、日光の動揺と植物の
戦慄
(
せんりつ
)
と、鉱石の平伏といっしょに、宇宙へ四散した。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
仏門の
碩学
(
せきがく
)
たちに話をすれば、いとも
懇
(
ねんご
)
ろにその理由を教示してくれられることもまた明らかである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いぢらしい愉悦と
矜持
(
きようぢ
)
とを抱いて、余念も無しに
碩学
(
せきがく
)
の講義を聴いたり、豊富な図書館に入つたり
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
肩に
屯
(
たむろ
)
して泡立っている。広い額、窪んだ眼窩、その奥で輝いている霊智的の眼! まさしく
碩学
(
せきがく
)
に相違ない。きわめて高尚な高い鼻、日本人に珍らしい
希臘型
(
ギリシャがた
)
である。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此事
碩学
(
せきがく
)
の
聞
(
きこえ
)
高
(
たか
)
き
了阿
(
れうあ
)
上人の
話
(
はなし
)
にきゝてかの経を
借得
(
かりえ
)
て
読
(
よみ
)
しが、これぞ夜光の玉の
親
(
おや
)
玉なるべき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
筆者は此のことで、日頃
眷顧
(
けんこ
)
を
蒙
(
こうむ
)
っている天台宗の某
碩学
(
せきがく
)
などにも尋ね、参考書なども貸して戴いたのであるが、調べ出すといよ/\
深奥
(
しんおう
)
で分りにくゝなるばかりである。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
といっては
些
(
ち
)
と
堅過
(
かたす
)
ぎよう、勉強はすべきもの、本は読むべきもので、後日、紀州に
棲
(
す
)
まるる著名の
碩学
(
せきがく
)
、
南方熊楠
(
みなかたくまぐす
)
氏の随筆を見ると、その龍燈に
就
(
つい
)
て、と云う一章の中に
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海外多数の
碩学
(
せきがく
)
名士が
毎
(
いつ
)
も同情せらるる予の微力を以て老いの既に至れるを知らず、ややもすれば眠食を廃して苦心する研究に大
妨碍
(
ぼうがい
)
を加うる和歌山県の官公吏を
戒飭
(
かいちょく
)
して
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
碩学
(
せきがく
)
大儒
(
たいじゅ
)
の哲学者王たるべきが如く、批評家王たるべきものもあろう。出版業者王たるべきものもあろう。新聞経営者王たるべきものもあろう。人生の評価は千殊万別である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのうちに英国の
碩学
(
せきがく
)
、ことに日本の古代宗教および文学に精通せるアストン先生の書中に、
神道
(
しんとう
)
は
知恩
(
ちおん
)
と愛情の宗教なりという一句があった。これが僕の眼に大いにとまった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ゴンゴラ総指揮官は、
声涙共
(
せいるいとも
)
に
下
(
くだ
)
って、この東洋の
碩学
(
せきがく
)
に頼みこんだ。すると博士は
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当代の
碩学
(
せきがく
)
森鴎外
(
もりおうがい
)
先生の
居邸
(
きょてい
)
はこの道のほとり、
団子坂
(
だんござか
)
の
頂
(
いただき
)
に出ようとする処にある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これは明らかに不合理だ、エレシュキガル神ともあろうものが、あんな子供
瞞
(
だま
)
しの計に欺かれるはずがあるか、と、彼
等
(
ら
)
は言う。
碩学
(
せきがく
)
ナブ・アヘ・エリバはこれを聞いて
厭
(
いや
)
な顔をした。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
が
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、一五五一年、時の
碩学
(
せきがく
)
ロウジャ・アスカムがブラッドゲイトの城にジェイン・グレイを訪ねて、その
叡才
(
えいさい
)
に舌を
捲
(
ま
)
いた折の情景は、
僕
(
やつがれ
)
未だ彼自らの手に成る記録を読む機会を得ず
ジェイン・グレイ遺文
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
このような
碩学
(
せきがく
)
によって排斥されたため、キリスト教は日本の国体に合致しないということが教育界の常識となり、それが国民の間にキリスト教の布教及び信仰を困難ならしめたことは明白である。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
受けてこれを読むに、けだし近時英国の
碩学
(
せきがく
)
スペンサー氏の万物の追世化成の説を祖述し、さらに創意発明するところあり。よってもってわが
邦
(
くに
)
の制度文物、異日必ずまさになるべき云々の状を論ず。
将来の日本:03 再版の序
(新字新仮名)
/
中江兆民
、
中江篤介
(著)
受けてこれを読むに、けだし近時英国の
碩学
(
せきがく
)
スペンサー氏の万物の追世化成の説を祖述し、さらに創意発明するところあり。よってもってわが
邦
(
くに
)
の制度文物、異日必ずまさになるべき云々の状を論ず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その後一八九五年の九月二十八日に病が
重
(
かさな
)
ってこの偉大な
碩学
(
せきがく
)
はついにこの世を去りました。フランスでは彼を尊重して、ノートルダムの聖堂で国葬を行ってこの上もない哀惜の念を表したのでした。
ルイ・パストゥール
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
其頃岡崎から
程近
(
ほどちか
)
い
黒谷
(
くろたに
)
の
寺中
(
ぢちう
)
の
一室
(
ひとま
)
を借りて
自炊
(
じすゐ
)
し、
此処
(
こヽ
)
から六条の
本山
(
ほんざん
)
に
通
(
かよ
)
つて
役僧
(
やくそう
)
の
首席
(
しゆせき
)
を勤めて居たが、亡くなつた道珍和上とも
知合
(
しりあひ
)
であつたし、
然
(
さ
)
う云ふ
碩学
(
せきがく
)
で
本山
(
ほんざん
)
でも
幅
(
はば
)
の
利
(
き
)
いた
和上
(
わじやう
)
を
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「む。……しかし、入壇の戒を授けたからには、おもともすでに、一個の僧として、一山の大徳や
碩学
(
せきがく
)
と、伍して行かねばならぬ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこには一世の師表たる
碩学
(
せきがく
)
も、ただ一種の学的
偏執狂
(
モノマニア
)
——父性愛も何もない本当の一個の偏執狂としか現れてはいなかった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
両先生ともにいずれも全然予期していなかったこの
碩学
(
せきがく
)
の来訪に驚きもしまた喜ばれもされたのはもちろんである。
B教授の死
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一人の
碩学
(
せきがく
)
がある。その深博な学問は其人自身ではない。その人自身の裸はもっと内奥の処にあたたかく生きている。カントの哲学はカント自身ではない。
触覚の世界
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
足利尊氏
(
あしかがたかうじ
)
の木像が
梟
(
さら
)
されるとかいうなら、筋は通るが、しかし、
碩学
(
せきがく
)
高僧である大和尚が、死後まで、俗人冷遇の目の
敵
(
かたき
)
にされるというのがわからねえでがす
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いじらしい愉悦と
矜持
(
きょうじ
)
とを抱いて、余念もなしに
碩学
(
せきがく
)
の講義を聴いたり、豊富な図書館に入ったり
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
* 義公以来連綿として続いた水戸の藩学は、会沢伯民、藤田東湖の二
碩学
(
せきがく
)
の出現により、鬱然たる体系をなし、後世、水戸学と称されて、尊皇論の中核となつてゐる。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
此事
碩学
(
せきがく
)
の
聞
(
きこえ
)
高
(
たか
)
き
了阿
(
れうあ
)
上人の
話
(
はなし
)
にきゝてかの経を
借得
(
かりえ
)
て
読
(
よみ
)
しが、これぞ夜光の玉の
親
(
おや
)
玉なるべき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
希臘語
(
ギリシャご
)
を解しプレートーを読んで一代の
碩学
(
せきがく
)
アスカムをして舌を
捲
(
ま
)
かしめたる逸事は、この詩趣ある人物を
想見
(
そうけん
)
するの好材料として
何人
(
なんびと
)
の
脳裏
(
のうり
)
にも保存せらるるであろう。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
随ってオースチン夫妻は、この二
碩学
(
せきがく
)
およびゼームス・ミルの子なるジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill)らと親しく往来して、交を結んだ。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
“碩学”の意味
《名詞》
学問が広く、深いこと。また、そのような人。博学。
(出典:Wiktionary)
碩
漢検準1級
部首:⽯
14画
学
常用漢字
小1
部首:⼦
8画
“碩学”で始まる語句
碩学鴻儒
碩学泰斗