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無
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ね
ふりがな文庫
“
無
(
ね
)” の例文
「一寸お待ちなせエ、戸締の
無
(
ね
)
い家たア随分不用心なものだ、
何
(
ど
)
れ程貧乏なのか知らねいが」と彼の
剽軽
(
へうきん
)
なる
都々逸
(
どゝいつ
)
の名人は
冷罵
(
れいば
)
す
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
何うも
只
(
たっ
)
た一人者でも
雇婆
(
やといば
)
アさんの給金も払うなにが
無
(
ね
)
えんで、勘定というものは何処にも有るもんでげすが、暮はいけませんねえ
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
軽
(
かろ
)
やかに肩に懸け、「ほい、水気が
無
(
ね
)
えから素敵に軽い。」「まるで
苧殻
(
おがら
)
だ、」「お精霊様の、おむかえおむかえ。」とつッぱしる。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
このなかに印度の言葉がわかる奴は
憚
(
はばか
)
りながらこの道庵のほかには
無
(
ね
)
え、なあに、楽屋のやつらだって印度の言葉がわかるものか。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、今夜にも火事が
打始
(
ぶつぱじま
)
らねえ者でも
無
(
ね
)
えといふので、若い者が
午
(
ひる
)
から学校へ寄り
集
(
あ
)
つて、喞筒の稽古を
為
(
し
)
て居るんでごわす。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
「ぢや聞きねえ。おれもその鼠小僧ぢや、とんだ御茶番を見た事があつての、今でも思ひ出すたんびに、腹の皮がよれてなら
無
(
ね
)
えのよ。」
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「意気地の
無
(
ね
)
え野郎共さ。耕吉も平六も。あいつらに貴様ほどの度胸があったら、今頃はみんながこんな難儀をしなくて済んだのに……」
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「手前が、御丁寧にも麻布から
馬
(
うま
)
を引いて來たんだよ。御用聞が人に後を
跟
(
つ
)
けられて知らずに居るなんざ、あんまり褒めたことぢや
無
(
ね
)
えぜ」
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何しろ修身の
無
(
ね
)
え学校の生徒さんでゲスから油断も隙もあれあしません。コンナ手を
矢鱈
(
やたら
)
に使われちゃやり切れませんや。
悪魔祈祷書
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そりゃアもう無理も
無
(
ね
)
えことです、官員さまだって人間だ、女けが無くちゃアやって行けますまい、それは何だ、かあいい奥方は
郷里
(
くに
)
に残して
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
しかも「
柔和
(
おとな
)
しい馬を村中探したが
無
(
ね
)
えから」と、探すに事を欠いて「
漸
(
ようや
)
っと小松川から盲目馬を一匹牽いてきやした」
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「
俺
(
お
)
らいつそもの
日
(
び
)
なんざ
無
(
ね
)
え
方
(
はう
)
がえゝ、さうでせえなけりや
出
(
で
)
てえた
思
(
おも
)
はねえから」おつぎは
熟
(
つく/″\
)
呟
(
つぶや
)
くことがあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
けんど、岩佐様さあやる
銭
(
ぜに
)
が
無
(
ね
)
えで去年の麦と蕎麦粉を売りやしたで、もう口あけた米一俵しか有りましねえで……
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
心配する事ア
無
(
ね
)
え、先生。齡ア四十一だべえが、村一番の
醜婦
(
みたくなし
)
の
巨女
(
おほをなご
)
だア、
加之
(
それに
)
ハア、酒を飮めば一升も飮むし、
甚麽
(
どんな
)
男も
手餘
(
てやまし
)
にする
位
(
くれえ
)
の
惡醉語堀
(
ごんぼうほり
)
だで。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「たった今、いくらでも酒は買ってあるから安心して飲めと
吐
(
ぬ
)
かしやがって、もう
無
(
ね
)
えとは、なんのいい草だ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬鹿あ
吐
(
ぬ
)
かせ、三銭の
恨
(
うらみ
)
で
執念
(
しゅうねん
)
をひく
亡者
(
もうじゃ
)
の
女房
(
かかあ
)
じゃあ
汝
(
てめえ
)
だってちと役不足だろうじゃあ
無
(
ね
)
えか、ハハハハ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ちっとも、よかあ
無
(
ね
)
えじゃないか。これでお前の男も、すたった。どだい、君、亭主のある女と、……」
女類
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
老船頭
無
(
ね
)
え。八、九年前だったか、ばくち打ちの奴が、いやあこれはご免なせえよ。ツイ口が、
辷
(
すべ
)
った。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「これまで
煩
(
わず
)
らったことが
有
(
あっ
)
ても今度のように元気のないことは
無
(
ね
)
えが、
矢張
(
やっぱ
)
り長くない
証
(
しるし
)
であるらしい」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「お前のは何だつけ。蓮と菎蒻に。今日はもうおこうこは
無
(
ね
)
えんだよ。」と丼を一つ取出して渡した。
勲章
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「人を誤魔化さうつたつて駄目なことよ! それだつて、おいら達より他にやあ、からつきし持ちこんだ者あ
無
(
ね
)
えでねえか。」さう、縞の
寛袴
(
シャロワールイ
)
を穿いた男が反駁した。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
一
朱
(
しゅ
)
はずんで、
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
を
見
(
み
)
せてもらうどじはあるめえぜ。——お
前
(
めえ
)
いまなんてッた。おせんの
雪
(
ゆき
)
のはだから
切
(
き
)
り
取
(
と
)
った、
天下
(
てんか
)
に二つと
無
(
ね
)
え
代物
(
しろもの
)
を
拝
(
おが
)
ませてやるからと。——
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「そうだろう。近ごろ、泥棒は
無
(
ね
)
えし、火つけは無えし、引廻しなら、あの位のもんだ」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
負
(
まけ
)
たとて大敗軍も
無
(
ねへ
)
もんだ其樣な
少量
(
けち
)
な事を聞
耳
(
みゝ
)
は
無
(
ね
)
へ此馬鹿八めと
罵
(
のゝし
)
るにぞ目玉の八は
負腹
(
まけばら
)
にて心地宜らぬ
折柄
(
をりから
)
故大いに
怒
(
いかり
)
ナニ馬鹿八だと此拔作め口の横に
裂
(
さけ
)
た
儘
(
まゝ
)
に餘り大造を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「いや、こいつも駄目だ……して見ると
真正
(
ほんとう
)
の幸福ってものは
無
(
ね
)
えもんだなア」
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「心細いな。小作人の本当の気持が分っていてくれる人
無
(
ね
)
えんだものよ……。」
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「どうで御座りやすか。——そんな事
無
(
ね
)
えで御座りやせう」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「先生を悪人が殺すようなことは、
無
(
ね
)
ぇでしょうか」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いつ迄待つても金の借りやうが
無
(
ね
)
えちふ事だよ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こんな
上天気
(
じやうてんき
)
はこの
城
(
じやう
)
ヶ
島
(
しま
)
にも
滅多
(
めつた
)
に
無
(
ね
)
え。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
如何
(
ちやあ
)
ん、
無
(
ね
)
えんが、やあたい。」
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
「どうするっちたって、どうもこうもあるもんか。——
無
(
ね
)
えものは無え、有るものは有る、横からでも縦からでも調べた方がいいやな。こちとらのような足りねえ者には、政府の方で心配して、何俵でも廻してよこすんだっペからよ。」
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
もがいても喰う米も
無
(
ね
)
いんだ
母の手紙
(新字新仮名)
/
中野鈴子
(著)
血の絶えたことの
無
(
ね
)
い
夜明の集会
(新字新仮名)
/
波立一
(著)
「
無
(
ね
)
えんですよ。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
どうせ己は
無
(
ね
)
え命だ……あゝ是まで
母親
(
おふくろ
)
には
腹一杯
(
はらいっぺい
)
痩せる程苦労を掛けて置いたから、
手前
(
てめえ
)
己の無え
後
(
あと
)
は二人
前
(
めえ
)
の孝行を尽してくれ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「塩山つていふ村は、昔からえらく変り者を出す所でナア、それが為めに
身代
(
しんだい
)
を
拵
(
こしら
)
へる者は
無
(
ね
)
えではねいだが、困つた人間も随分出るだア」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「穿かねえでさ、下駄は穿くに
極
(
きま
)
ったもんだ。誰がまあ頂く奴があるもんか。だが、それ懐へ入れる奴は
無
(
ね
)
えとも限らねえ、なあ、源坊。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
母子
(
おやこ
)
ぢや
無
(
ね
)
いよ、
老婆
(
ばゝあ
)
の方は月の初めから居るが、別嬪の方はツイ此頃だ、何でも新橋あたりの
芸妓
(
げいしや
)
あがりだツてことだ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ところで、男というものは、一片の鉄を
鍛
(
きた
)
えるにしてからが、人と違った働きをしてみせなけりゃあ、
生甲斐
(
いきがい
)
が
無
(
ね
)
えのだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「チャアチャア。このバッグの中には銭なんか一文も
無
(
ね
)
えや。若い男の写真ばっかりだ。ウワア……変な写真が在ライ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「俺どこの、豊作の野郎め、東京さ逃げだべって話でね。そんで、停車場さ行って見だのしゃ。もし昨日、上野まで切符買った奴あるが
無
(
ね
)
えが……」
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
マ、マ、然うは言ふもんでア
無
(
ね
)
えでばサ。前々から決めておいた事は決めて置いた事として、茲はまア村の頼みを
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
エエ酒が
無
(
ね
)
えか、さあ今度アこれを売って来い。構うもんかイ、構うもんかイ、当らあ当らあきっと当らあ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「夏だってあなた——遠くからみれば同じことです、第一、あそこには、あれより高いのは
無
(
ね
)
えんだから」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
彼
(
あ
)
れもはあ廿七に
成
(
なる
)
んだから
俺
(
お
)
らもこんでまあ
心配
(
しんぺえ
)
はしてたんだが、
自分
(
じぶん
)
でもそれ
無
(
ね
)
え
足
(
た
)
んねえの
心配
(
しんぺえ
)
が
絶
(
た
)
えねえもんだから、
思
(
おも
)
つちや
居
(
ゐ
)
ても
手
(
て
)
が
出
(
で
)
ねえのよ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
忠太郎 えッ
無
(
ね
)
え。無えのでござんすか——五つの時に縁が切れて二十余年。もうちッとで満三十年だ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「お前のは何だっけ。
蓮
(
はす
)
と
菎蒻
(
こんにゃく
)
に。今日はもうおこうこは
無
(
ね
)
えんだよ。」と
丼
(
どんぶり
)
を一つ取出して渡した。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「道理でちつと御帰りが、遅すぎると思つてゐやしたよ。だがまあ、かうして帰つて来ておくんなさりや、子分子方のものばかりぢや
無
(
ね
)
え、江戸つ子一統が喜びやすぜ。」
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「なんにも、いい事が
無
(
ね
)
えじゃねえか。僕たちには、なんにもいい事が無えじゃねえか」
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“無”の解説
無(む、无)とは、ないこと、存在しないこと。事物あるいは対象となる事柄が有を成さないといった様態及び概念。物体が物質的構成を成さないこと。一切の否定を一般化した表現。対義語は有。「定義されていない(未定義)」事とは意味合いが異なる場合がある。
(出典:Wikipedia)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“無”を含む語句
無情
無頼漢
無言
無上
無礼
情無
有無
無事
無益
南無阿弥陀仏
無邪気
無花果
無性
傍若無人
無明
無禮
無頓着
無聊
無精
無手
...