トップ
>
涯
>
はて
ふりがな文庫
“
涯
(
はて
)” の例文
どこか北海道の
涯
(
はて
)
へでも行って君太郎と一緒に世帯を持って生涯を送ってしまおうかと、胸の迫るような感慨に打たれたのであった。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
人と自然と、神の
創造
(
つく
)
り給える全宇宙が罪の審判のために震動し、天の
涯
(
はて
)
より地の
極
(
きわみ
)
まで、万物
呻吟
(
しんぎん
)
の声は一つとなって空に
冲
(
ちゅう
)
する。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
そしてその
涯
(
はて
)
には一本の巨大な枯木をその
巓
(
いただき
)
に持っている、そしてそのためにことさら感情を高めて見える一つの山が
聳
(
そび
)
えていた。
蒼穹
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
夜の
闇
(
やみ
)
は雨に
濡
(
ぬ
)
れた野を
覆
(
おお
)
うていた。駅々の荒い燈火は、闇に埋もれてる
涯
(
はて
)
しない平野の寂しさを、さらに
侘
(
わ
)
びしくてらし出していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
……もう書くのが面倒になった、この手紙を君が読む頃はもう僕はこの世にいまい、
涯
(
はて
)
しない海原が、僕を待って騒ぎたてている。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
極北の神秘「
冥路の国
(
セル・ミク・シュア
)
」は実在せり! エ・ツーカ・シューは死体のまま橇を駆り、
晦冥
(
かいめい
)
の吹雪をつき氷の
涯
(
はて
)
へと呑まれたのだ。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
鎌を
杖
(
つ
)
いてその上に腕をくみ合せ、何処を見るともなくきょとんとした眼つきをして、
涯
(
はて
)
しもなく
種々
(
いろいろ
)
なことを思いだしていた。
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
減らして
目出度
(
めでたく
)
大団円になるじゃないか、俺だって青い壁の
涯
(
はて
)
まで見たかったんだが、そのうちに目が覚めたから夢も覚めたんだ
火星の芝居
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
どこかとんと見当もつかないほど遠くの方に、まるで世界の
涯
(
はて
)
にでも立っているように思われる交番の灯りがちらちらしていた。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
間もなく、間もなく鉄の格子は崩れ落ち、これら監禁されている人々は残らずここを出て、地上のありとある
涯
(
はて
)
へと飛んで行く。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
清澄は
安房
(
あわ
)
の国の北の端であって、
洲崎
(
すのさき
)
はその西の
涯
(
はて
)
になります。いくら小さい国だと言ったところで、国と国との両極端に当るのです。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
やがて
涯
(
はて
)
しもなく広い砂原へ来ますと、
轍
(
わだち
)
が砂の中へ沈んで一歩も進まなくなりましたから、今度は馬車を乗り棄てて
徒歩
(
かち
)
で行きました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
ギュヨウをはじめフォルケルト、デッソアール、リップス等々の近代美学がついに戦いの
涯
(
はて
)
に拠るものはすなわちそれである。
近代美の研究
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
赤や金色や灰色の淡い筋がはじめて地平線を
涯
(
はて
)
から涯まで
劃
(
かく
)
した時、彼等は川上に
横
(
よこた
)
わっている町や村かの大きな黒影を見た。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
細かな、柔かな無数の起伏を広々と
涯
(
はて
)
しもなく押し拡げて、彼方には箱根山が、今日もまた
狭霧
(
さぎり
)
にすっぽりと包まれて、深々と眠っていた。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
ここでは月は、まるで大地のように
涯
(
はて
)
しなく
拡
(
ひろ
)
がり、そして地球は、ふりかえると遥かの
暗黒
(
あんこく
)
の空に、
橙色
(
だいだいいろ
)
に美しく輝いているのであった。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
涯
(
はて
)
しもない
茫漠
(
ぼうばく
)
たる雪原がただ一面に栄光色に輝いて、そのすえは同じような色の空のなかへ溶けこんでいる。雪の大海原。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
兎もあれ、われらの眼に映る大洋は、最早
涯
(
はて
)
も無く續いてゐる大海原ではなくて、彼岸へ渡ることの出來る大洋である。
桃の雫
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この春、ちょうど夕方であったが、木津川へさしかかる前、菜の花の咲き乱れた遠い
涯
(
はて
)
に、伊賀の古城が
夕映
(
ゆうばえ
)
をうけて紫色に燃えているのを見た。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
……御厨の前の幕をかかぐる時、神体は見えざれども数千人の人々は声を揃えてサンタマリヤを唱う。その唱命は海の彼方の異国の
涯
(
はて
)
にまで響きます。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もの音の
杜絶
(
とぜつ
)
した夜半、泥海と
茫漠
(
ぼうばく
)
たる野づらの
涯
(
はて
)
しなくつづくそこの土地の
妖
(
あや
)
しい空気をすぐ外に感じながら、ひとりでそんなことを考えていると
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
此海や
涯
(
はて
)
し知られね、この荒れや測り知られね、
初夜
(
しよや
)
過ぎて、また
後夜
(
ごや
)
かけて、闇ふかく
翼
(
はね
)
ふる千鳥、この雨を、また稲妻を、ひた濡れて乱るる千鳥。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その
高館
(
たかだち
)
の
址
(
あと
)
をば
静
(
しずか
)
にめぐって、北上川の水は、はるばる、瀬もなく、音もなく、雲の
涯
(
はて
)
さえ見えず、ただ(はるばる)と言うように流るるのである。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其処には
涯
(
はて
)
知らぬ
蒼穹
(
さうきゆう
)
を径三尺の円に区切つて、底知れぬ
瑠璃
(
るり
)
を平静にのべて、井戸水はそれ自身が内部から光り透きとほるもののやうにさへ見えた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
橋の上に立つて緑野の中へ
涯
(
はて
)
知らず白く
烟
(
けぶ
)
つて
行
(
ゆ
)
く下流を見渡した時、ヹルサイユ
宮
(
きう
)
の
運河
(
キヤナル
)
などは児戯だと思つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
と、
涯
(
はて
)
しのない緑の平原と雲の色が、放浪の孤独とやるせなさにむせんで見えた。俺は
吐息
(
と いき
)
をついて女をみた。
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
そしてもし王侯が——とモンテスキウは曰う——今日ヨオロッパにおいて同様の暴威を振うならば、北方に駆逐され、宇宙の
涯
(
はて
)
に閉じ込められた諸民族は1
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
(夢みるように)……遠い、遥かな夢の野に、あてどもなく、
涯
(
はて
)
しもなく、ただ
彷徨
(
さまよ
)
いあるく彼でした。………
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
舟は彼のからだとともに
劇
(
はげ
)
しく揺れ、空には星が輝き、そうして彼らは
涯
(
はて
)
しのない淋しさの中へ出ていった。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
流
(
ながれ
)
の女は朝鮮に流れ渡つて後、更に
何處
(
いづこ
)
の
涯
(
はて
)
に漂泊して其
果敢
(
はか
)
ない生涯を送つて居るやら、それとも既に此世を辭して
寧
(
むし
)
ろ靜肅なる死の國に
赴
(
おもむ
)
いたことやら
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そして遠い所を見渡すようにしていたが、見当さえも定めかねた目に
先
(
ま
)
ず映じたものは、時空のけじめを超えて、
涯
(
はて
)
しもなく
蠢
(
うごめ
)
く世界の獣の如き幻影である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
今朝
(
けさ
)
ふと、雨上りの草の庭を眺めてゐて、海をおもつた。それも
涯
(
はて
)
しないひろい大洋が戀しくなつたのだ。
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
黒檀
(
こくたん
)
の森茂げきこの世の
涯
(
はて
)
の老国より来て、彼は長久の座を吾等の
傍
(
かたはら
)
に占めつ、教へて曰く『寂滅為楽』。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
大
(
おほい
)
なる都會を
埋
(
うづ
)
め
盡
(
つく
)
さうとする埃!………其の埃は今日も東京の空に
漲
(
みなぎ
)
ツて、
目路
(
めじ
)
の
涯
(
はて
)
はぼやけて、ヂリ/″\
照
(
て
)
り付ける
天日
(
てんぴ
)
に
焦
(
こ
)
がされたやうになツてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
前夜、
眠
(
ねむ
)
られぬ頭は重く、
涯
(
はて
)
しないみどりの
芝生
(
しばふ
)
に、初夏の
陽
(
ひ
)
の
燦然
(
さんぜん
)
たる風景も、眼に痛いおもいでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
これに反して、唯神に導かれる如き心持で創作するものは常に感情の雨にうるおい
涯
(
はて
)
なき林に遊ぶような心持がある。私はこの方を採る。(『玉藻』、二八、三)
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かないぬかるみだし、身を切るような風、ふぶき、行けども行けども
涯
(
はて
)
しない道のり。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これでは
涯
(
はて
)
しない話で、結局は三十一日も来て、除夜の鐘でも聞いてからになるのではないかと危ぶまれた。いや、心の裏はさうと決めかかつてゐたのかも知れない。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
海は、はろばろと
涯
(
はて
)
しもなく、
濃紫
(
こむらさき
)
色にひろがっていて、何処からか、海鳥の
啼音
(
なきね
)
がきこえてくる。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
いつのまにか元どおりな崩壊したようなさびしい表情に満たされて
涯
(
はて
)
もなく君の周囲に広がっていた。君はそれを感ずると、ひたと底のない
寂寥
(
せきりょう
)
の念に襲われだした。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
世界、宇宙という事です。十方と同じ意味で、無限の空間、
涯
(
はて
)
しない世界ということです。要するに三世十方とは、「無限の時間」と「無限の空間」ということです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
いやもつと遠くへ——バルチク海の
涯
(
はて
)
まで行かう。出来るなら人間の居ないところまで行かう。北極に住まう。そこでは太陽の光はただ斜に地球をかすつて行くだけだ。
ANY WHERE OUT OF THE WORLD
(新字旧仮名)
/
シャルル・ピエール・ボードレール
(著)
ぐらりと
傾
(
かし
)
いだ船を踏みつけるようにして、ひょう
茫
(
ぼう
)
と
涯
(
はて
)
しないくらやみの海を、ひろがった河口の先にしげしげと見入るのであった。彼は、ぶるッと身ぶるいをした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
堕ちつめて行く路の
涯
(
はて
)
にこの青年の献身が拠りどころであり得ることも考へられるのであつた。
母の上京
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
みてゐると、瞳といふものの圓みが人間の持つてゐる比類のない
涯
(
はて
)
しない、廣漠な領域を意味してひろがる。その球盤のきれめを見きはめようとしてゐる、鹽氣のない海。
はるあはれ
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
荒寥
(
こうりょう
)
とした高原の、
涯
(
はて
)
しない崖縁を、僕らは、どこへ行くとも知らず、とぼとぼと歩いていた。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
私はいろ/\な勞働や行商などをして、雪の多い寒い北の島國を、
涯
(
はて
)
から涯へと彷徨ひ歩いた。私はすつかり放浪に慣らされてゐた。私は家のことも彼女のことも想はない。
雪をんな
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
いつの
原始
(
むかし
)
から湛え始め、いつの未来まで湛え続くとも判らぬ海。
涯
(
はて
)
しも知らぬ海。あらゆるものを育みそだて、あらゆるものを生きて働かせ、あらゆるものを葬り呑んで行く海。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
けれどその代り、
涯
(
はて
)
しもない大洋と、限りない
蒼空
(
あおぞら
)
と、それから、波も、風も、オゾーンも、元気な水夫達の
放埒
(
ほうらつ
)
な生活も、すべてはみな、叔父の若さを養うのには充分であった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
天竺
(
てんじく
)
の
涯
(
はて
)
から来た法師で、昼こそあのように町を歩いているが、夜は墨染の
法衣
(
ころも
)
が翼になって、
八阪寺
(
やさかでら
)
の塔の空へ舞上るなどと云う噂もございましたが、元よりそれはとりとめもない
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“涯(無頼伝涯)”の解説
『無頼伝 涯』(ぶらいでん がい)は、福本伸行による日本の漫画作品。
(出典:Wikipedia)
涯
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
“涯”を含む語句
生涯
際涯
境涯
一生涯
天涯
山間水涯
公生涯
全生涯
李西涯
東涯
無際涯
見涯
蒼涯
清涯亭
無涯
前生涯
狩野芳涯
冒険生涯
生涯唯一
生涯蟄居
...