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撓
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たゆ
ふりがな文庫
“
撓
(
たゆ
)” の例文
今更ここに言ふを
須
(
もち
)
ゐないことではあるが、その
撓
(
たゆ
)
み易き句法、素直に自由な格調、從つてこれは今迄に
類
(
たぐひ
)
のなかつた新聲である。
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
宇宙に関する吾等の知識を増すだけの目的でこんな面倒な仕事を
撓
(
たゆ
)
まずに続けている学者の熱心を多とすべきものではあるまいか。
天河と星の数
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
嘗
(
な
)
むるとも、屈せず
撓
(
たゆ
)
まず、ついの勝利をはかるこそまことの大将とは申すべし、はやく本城へ退きたまえ、吉信しんがりをつかまつる
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
熱心な信仰家の持つ謙遜な忍耐、あのピルグリム・プログレスの巡礼の持つ隠忍にして
撓
(
たゆ
)
まぬ努力の精神、それに私は感服する。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
しかしまた知っていた、下界の人々に天の光明を語ってきかせる歌をさえずりながら、火の中へと
撓
(
たゆ
)
まずにふたたびのぼってゆくことを。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
撓
(
たゆ
)
むとも折るべからざる堅忍の気は、沈鬱せる
顔色
(
がんしよく
)
の表に動けども、
嘗
(
かつ
)
て宮を見しやうの優き光は再びその
眼
(
まなこ
)
に輝かずなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
百折
(
ひゃくせつ
)
撓
(
たゆ
)
まず、対毛利家と抗争をしつづけて来た彼が——追い腹でも切るかと思いのほか、案に相違した行動に出たことである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初めの中三日位は随分辛抱して皆やるけれども十日廿日となると
撓
(
たゆ
)
んで来るが、それを奮張ってやるのが意志の修養である。
教育家の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼は実に他の一の標準とすべきものゝ如く、誠心にして忠実、我と如何なる運命をも共にして
毫
(
がう
)
も
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まざるの熱愛を有すればなり、と。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それでもかまはず
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まずつづけるうちある日彼は虱のやうにへばりついてる席をはなれひよこひよことそばへきてれいの舌たらずみたいに
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
佐保子が永年の間いろいろの困難や苦痛と黙って闘いつつ、
撓
(
たゆ
)
まず芸術を
研
(
みが
)
いて行こうとする努力の姿は、伸子にとって少なからず薬であった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ああこれこそ、我が母君……と
縋
(
すが
)
り寄れば、乳房に重く、胸に
軽
(
かろ
)
く、手に柔かく
腕
(
かいな
)
に
撓
(
たゆ
)
く、女は我を忘れて、抱く——
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
或時は恐怖の念と戦い
之
(
これ
)
を克服しつつ、或時は驚異におどり立つ心に胸の高鳴りを感じつつ、自ら努力して
撓
(
たゆ
)
まざる登高の歩みを続けなければならない
山の魅力
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それでも屈せず
撓
(
たゆ
)
まぬ勉強によって福岡地方で押しも押されもせぬ師家になられた事実が、同時に有名であった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
しかし彼はいかなるものの前にも退かず
撓
(
たゆ
)
まなかった。やむを得ざる場合にはいかなる難事をも甘んじて受けた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
倦まず
撓
(
たゆ
)
まず働くうちにだんだん仕事に馴れ、いよいよ熱を加えて来ると普通の人の三倍くらいの働きをして、とうとう古参の者を凌駕するに至りましたが
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
父に
負
(
そむ
)
かず、師に
負
(
そむ
)
かず、天に
合
(
がっ
)
して人に
合
(
がっ
)
せず、道に同じゅうして時に同じゅうせず、
凛々烈々
(
りんりんれつれつ
)
として、屈せず
撓
(
たゆ
)
まず、苦節
伯夷
(
はくい
)
を慕わんとす。壮なる
哉
(
かな
)
。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お
臀
(
しり
)
にはずみつけてスプリングぐいぐい
撓
(
たゆ
)
ましたりしながら、
暫
(
しばら
)
くおもての海のけしき見ておられました。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから、この世相風俗の観察も、矢張倦まず、
撓
(
たゆ
)
まず、一生やる気で、努力するより他に仕方がない。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
それはいかにも長い軌道の旅を過して来たものの、
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まずといふやうな無関心を保つてゐた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
一日、二日、三日、市九郎の努力は間断なく続いた。旅人は、そのそばを通るたびに、嘲笑の声を送った。が、市九郎の心は、そのために
須臾
(
しゅゆ
)
も
撓
(
たゆ
)
むことはなかった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
唯其の身の濡衣を乾し度いばかりに、自ら密旨と称して命がけの誓いを立て、屈せず
撓
(
たゆ
)
まず只管に自分を苦しめ、ヤッと其の密旨の届く可き間際まで漕ぎ附けたのに
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
御
呼戻
(
よびもど
)
し下されたし
夫
(
それ
)
のみ願ひ上まする夫に
就
(
つい
)
ても
呉々
(
くれ/″\
)
も御辛抱こそ
肝要
(
かんえう
)
なれと猶も
撓
(
たゆ
)
まぬ忠義の久八六右衞門も
一伍一什
(
いちぶしじふ
)
を聞居たりしか久八に向ひ其方が五十兩の大金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それ故に直接
塩
(
しお
)
をふくんだ潮風を受けるために多少の風害はあるとしても、農民達は
撓
(
たゆ
)
まざる努力に依って、年々、大根、
芋
(
いも
)
、
葱
(
ねぎ
)
などの野菜類はもとより、
無花果
(
いちじく
)
、
枇杷
(
びわ
)
、
梨
(
なし
)
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それにその時は、毎夜
戒厳令
(
かいげんれい
)
のような大規模の非常線が張りつめられて、連中の捜査に疲れた警官も
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まず必死の努力を継続した。不審訊問はだれかれの差別なく投げられた。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
あの、華やかなスポットライトに浮び出た彼女の厚いドーラン化粧の下にも、その焦燥が痛々しく
窺
(
うかが
)
われるではありませんか。私はその気持を、ネネの
撓
(
たゆ
)
まぬ向上心だと思って愛しました。
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その結果一時、健康を害して重患に悩んだにも
拘
(
かか
)
わらず、
撓
(
たゆ
)
まず屈せず、
遂
(
つい
)
に一旦その目的を達したのであるが、夫人の死後、
如何
(
いか
)
なる故か、折角の大研究を
弊履
(
へいり
)
の如く捨てて顧みなくなった。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
発行するや最初は何事も
唯々諾々
(
いいだくだく
)
主筆のいふ処に従ふといへども号を追ふに従つてあたかも女房の小うるさく物をねだるが如く機を見折を窺ひ
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まず内容を俗にして利を得ん事のみ図る。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
我々は
須
(
すべか
)
らくこの希望を抱いて、
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まず
奮励努力
(
ふんれいどりょく
)
すべきである。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それからそれを始めてからずつとやり通した
撓
(
たゆ
)
まぬ勤勉さ、その困難を切り拔けたあなたの
旺
(
さか
)
んな精力と他から
煩
(
わづら
)
はされぬ氣質——それ等の中に僕は、僕が求めてゐる性格の總和を認めたのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あくどしや少し恋しとなす人を
撓
(
たゆ
)
まず
寝
(
い
)
ねず思ふと云ひぬ
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「一事が万事さ。
撓
(
たゆ
)
まず
倦
(
う
)
まず、結局目的を達する」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
わななき
撓
(
たゆ
)
む。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
戸叩く音は
後
(
のち
)
も
撓
(
たゆ
)
まず響きたりしが、直行の裏口より出でて
窺
(
うかが
)
ひける時は、風
吹荒
(
ふきすさ
)
ぶ
門
(
かど
)
の梅の
飛雪
(
ひせつ
)
の如く乱点して、燈火の
微
(
ほのか
)
に照す処その影は見えざるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
草刈等はなお
倦
(
う
)
まず、怠らず、
撓
(
たゆ
)
まず、ここかしこと
索
(
もとむ
)
れども、金属は釘の
折
(
おれ
)
、
鉄葉
(
ブリキ
)
の
片
(
はし
)
もあらざりき。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
困苦に
撓
(
たゆ
)
まず知己に酬いて遂に仕遂げし十兵衞が頼もしさ、おもしろくまた美はしき奇因縁なり妙因縁なり、天の成せしか人の成せし
歟
(
か
)
将又諸天善神の蔭にて操り玉ひし歟
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
どんな困難にであっても
撓
(
たゆ
)
まぬ人間となれるのです、おわかりでしょう、晋太郎
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然
(
しか
)
も国民的自覚の大意力は
凝
(
こ
)
つて百錬の
氷鉄
(
ひようてつ
)
の如く、発して焦天の大火焔の如く、旗裂けて
怯
(
ひる
)
まず、馬倒れて屈せず、剣折れて
撓
(
たゆ
)
まず、砲弾と共に躍進して遂に随所に凱歌を奏し得たり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
撓
(
たゆ
)
まず、セッセと鍬を打ち振て行くところを見ますと、正木博士の発見にかかる、心理遺伝の実験が、如何に残忍、冷厳なものであるかという事が、あらかた、お解りになるで御座いましょう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お
認
(
したゝ
)
め成れしやと
四邊
(
あたり
)
を見れば一通の
書置
(
かきおき
)
有
(
あり
)
是書置は何事ぞと
封
(
ふう
)
押切
(
おしきつ
)
て
讀
(
よみ
)
下し這は
抑
(
そも
)
御
狂氣
(
きやうき
)
成
(
なさ
)
れしか
養家
(
やうか
)
實家
(
じつか
)
の
親御達
(
おやごたち
)
其お
歎
(
なげ
)
きは如何成ん夫を不孝とは
覺
(
おぼ
)
さずやと
撓
(
たゆ
)
まぬ異見に千太郎も今は思ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし、それはぢき打克つて進むことが出来るから
撓
(
たゆ
)
まずにやる。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
と僕は急がず
撓
(
たゆ
)
まずやることにした。
合縁奇縁
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
撓
(
たゆ
)
まずば、常に
戦
(
いくさ
)
の勝利者なるぞ。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
飽かず、
倦
(
う
)
まず、
撓
(
たゆ
)
まないで、客に接して、いずれもをして随喜渇仰せしむる妙を得ていて、加うるにその目がまた古今の能弁であることは、ここに一目見て主税も知った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
困苦に
撓
(
たゆ
)
まず知己に
酬
(
むく
)
いてついにし遂げし十兵衛が頼もしさ、おもしろくまた美わしき奇因縁なり妙因縁なり、天のなせしか人のなせしかはたまた諸天善神の
蔭
(
かげ
)
にて操りたまいしか
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一木一草と
雖
(
いえど
)
も無用に存在するものではない、先人は水面に映る月影を見て道を悟ったとも云う、この謙虚な、
撓
(
たゆ
)
まざる追求の心が無くては、百年の修業も終りを完うすることはできない。
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
無感覺に投げ出した砂山の足を、浪は白齒をむいて
撓
(
たゆ
)
まず噛んで居る。
幾何
(
いくら
)
噛まれても、砂山は痛いとも云はぬ、動きもせぬ。痛いとも云はず、動きもせぬが、浪は矢張根氣よく撓まず噛んで懸る。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
全くに
暮果
(
くれはて
)
たり然ども宵月の時分なれば少しも
撓
(
たゆ
)
まず何處迄もと追行ども更に駕籠の見えざるのみか
問
(
とは
)
んと思ふ人にも
絶
(
たえ
)
て逢ざれば若此儘尋ね得ずばお花は如何に成やらんと
案事
(
あんじ
)
る程猶胸安からず暫しも
猶豫
(
いうよ
)
ならざれば足に任せて追程に
何時
(
いつ
)
しか廣き野中へ出
道
(
みち
)
幾筋
(
いくすぢ
)
となく有ければ何に行て
能事
(
よきこと
)
かと定め兼四方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一家
惣領
(
そうりょう
)
の末であった小山小四郎が田原藤太相伝のを奉りしより其れに改めた三
ツ
頭
左靹絵
(
ひだりどもえ
)
の紋の旗を
吹靡
(
ふきなび
)
かせ、
凜々
(
りんりん
)
たる意気、堂々たる威風、
膚
(
はだえ
)
撓
(
たゆ
)
まず、目まじろがず、佐沼の城を心当に進み行く
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
撓
漢検1級
部首:⼿
15画
“撓”を含む語句
撓々
不撓
可撓性
撓曲
蝋質撓拗性
不撓不屈
不屈不撓
屈撓性
百折不撓
軟撓
豪胆不撓
袋撓刀
蝋質撓拗症
背撓馬
撓舟
撓直
撓柔
撓枉過中
撓屈
撓垂
...