トップ
>
挙句
>
あげく
ふりがな文庫
“
挙句
(
あげく
)” の例文
旧字:
擧句
今度こそこの鼻蔵人がうまく一番かついだ
挙句
(
あげく
)
、さんざん笑い返してやろうと、こう云う
魂胆
(
こんたん
)
で
悪戯
(
いたずら
)
にとりかかったのでございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ホースを漏れる水の為に、雨降り
挙句
(
あげく
)
の様な泥道を、
右往左往
(
うおうさおう
)
する消防夫達に混って、狂喜の一寸法師がチョコチョコと走り廻った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
挙句
(
あげく
)
には王室に関係していたものはすべて処刑されることになり、ラヴォアジエもまた王室の収税管理人であったと
云
(
い
)
うので
ラヴォアジエ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
そうして、三日三晩、死体と火傷患者をうんざりするほど見てすごした
挙句
(
あげく
)
、Nは最後にまた妻の勤め先である女学校の焼跡を訪れた。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
否
(
いな
)
か
応
(
おう
)
か。介三郎が求めるものに対して、又四郎がどうしてもうんといわないのだった。そのあいだの論争はもう尽きての
挙句
(
あげく
)
らしい。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その
挙句
(
あげく
)
に
漸
(
ようや
)
っと彼は、私たちが飛んでもない見当ちがいな、或る丘の頂きに上って来てしまったことを、気まり悪そうに私に白状した。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
何度もそれが言い続けられた
挙句
(
あげく
)
に、こんどは叫びになってすての喉から、手むかう声がほとばしった。貝は依然無言だった。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
二人は幾つかの
角
(
かど
)
を曲った
挙句
(
あげく
)
、十字路から一軒置いて——この一軒も人が住んでるんだか住んでいないんだか分らない家——の隣へ入った。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
こいつァどうも
御挨拶
(
ごあいさつ
)
だ。
人
(
ひと
)
の
知
(
し
)
らない、おせんの
裸
(
はだか
)
をのぞかせた
挙句
(
あげく
)
、
鼻
(
はな
)
のあるのが
不思議
(
ふしぎ
)
だといわれたんじゃ、
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
立
(
た
)
つ
瀬
(
せ
)
がありやせん。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
神谷は、既に千久馬から聞いたあらましの事情を、なほ腑に落ちないところがあると云つて、要領のいい質問をした
挙句
(
あげく
)
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
そこでその一部分で反射交感されていた恋しい意識が、次第次第に遊離して、空想、妄想と
凝
(
こ
)
り固まった
挙句
(
あげく
)
、執念の蛇式の夢中遊行を初める。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わざと思切って
吝
(
しみ
)
ったれな真似をした
挙句
(
あげく
)
に過分な茶代を気張って見たり、シンネリムッツリと
仏頂面
(
ぶっちょうづら
)
をして置いて急に
噪
(
はしゃ
)
ぎ出して騒いで見たり
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
六時間も七時間も辞書をめくった
挙句
(
あげく
)
の果に、ようやくたったひとつの単語を突きとめて
凱歌
(
がいか
)
をあげる程だったから
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ああいう俳諧の「
挙句
(
あげく
)
」のようなところをもう一呼吸引きしめてもらいたいと思うのである。その挙句のシナリオはいろいろくふうがあるであろう。
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
帰ります時に、玄関まで送って出て、「病気の
挙句
(
あげく
)
だから、気を附けて早くお帰りなさい」と書いて見せましたら、「うんうん」とうなずきました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
夫が病褥に就いてからの月日を加へたら三年近く男を断つてゐた
挙句
(
あげく
)
の事であるから、自分のために其生涯を
顛
(
くつがへ
)
されたのも無理ではないと考へてゐた。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この怪物は、汽車をまたいだり、大きい樹木を踏み倒したり、婦女子を気絶させたり、散々あばれ
廻
(
まわ
)
った
挙句
(
あげく
)
、再び山中深くその姿を消してしまった。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
北條某
(
ほうじょうなにがし
)
とやら
申
(
もう
)
す
老獪
(
ずる
)
い
成上
(
なりあが
)
り
者
(
もの
)
から
戦闘
(
たたかい
)
を
挑
(
いど
)
まれ、
幾度
(
いくたび
)
かのはげしい
合戦
(
かっせん
)
の
挙句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
が、あの三
年
(
ねん
)
越
(
ご
)
しの
長
(
なが
)
の
籠城
(
ろうじょう
)
、とうとう
武運
(
ぶうん
)
拙
(
つたな
)
く
三浦
(
みうら
)
の一
族
(
ぞく
)
は
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
から風の幾日も吹きぬいた
挙句
(
あげく
)
に雲が青空をかき乱しはじめた。
霙
(
みぞれ
)
と日の光とが追いつ追われつして、やがて
何所
(
どこ
)
からともなく雪が降るようになった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
さうして
挙句
(
あげく
)
がこんな事に成つたのも、想へば
皆
(
みんな
)
那奴のお蔭だ。ええ、
悔
(
くやし
)
い! 私はきつと
執着
(
とつつ
)
いても、この
怨
(
うらみ
)
は返して
遣
(
や
)
るから、覚えてゐるが可い!
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そうした
挙句
(
あげく
)
、マルソオのそばで立ち停るのである。この生徒とは、毎晩、夜の
更
(
ふ
)
けるまで長っ話をし続けて、彼はそれこそ、みんなに模範を示すのだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
雨降り
挙句
(
あげく
)
なので、自分は高足駄を穿いてゐた為に、歩き難くは有り、荷は重し、困り切つてゐる間に、からげてゐた縄が切れて、葛籠を肩から取落した。
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
まる一昼夜、心当りを探し抜いた
挙句
(
あげく
)
、思案に余って両国から、フラフラと
入水
(
じゅすい
)
しようとしたのでございます
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬車の車体にかなりひどく頭をぶつけた
挙句
(
あげく
)
、やっとチチコフは柔らかい土の上へ運び出されたのであった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
永住方針で居たが、果して村に踏みとどまるか、東京に帰るか、もっと山へ入るか、分からぬと言うて居ます。其
挙句
(
あげく
)
が
前述
(
ぜんじゅつ
)
の通り十年のドウ/\
廻
(
めぐ
)
りです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
挙句
(
あげく
)
の果には読まれたりして、それが人文進歩の道程の、何のとは、はてあり難いことではあるが、どうも大抵の書は読まぬがよい、大抵の文は書かぬがよい。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
下僕
(
しもべ
)
たちが脳味噌を絞った
挙句
(
あげく
)
、その四角な空気孔を、下から厚い紙で三重に目張りをしてしまった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は廊下に
漲
(
みな
)
ぎる輝かしい光線の為めに、眼球の表面を刺激された
挙句
(
あげく
)
、網膜に
斑
(
まだ
)
らが出来たような不快な感じを抱いて、再びラオチャンドの室へと這入って行った。
ラ氏の笛
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
なんて運のいい
奴
(
やつ
)
だ! たかが寺男の
伜
(
せがれ
)
がさ、官費で勉強させてもらって、まんまと博士号だの教授の椅子だのにありついてさ、やがて親任官に成りあがった
挙句
(
あげく
)
に
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「あら、しっとりしてるわ、
夜露
(
よつゆ
)
が
酷
(
ひど
)
いんだよ。
直
(
じか
)
にそんなものに腰を掛けて、あなた
冷
(
つめた
)
いでしょう。
真
(
ほん
)
とに
養生深
(
ようじょうぶか
)
い
方
(
かた
)
が、それに御病気
挙句
(
あげく
)
だというし、悪いわねえ。」
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伊曾を中心とする事件に於て、その上級生は明子のため硬度のより高い宝石と一緒の袋で遠い
路
(
みち
)
を運ばれた
黄玉
(
トパアズ
)
のやうに散々に
傷
(
きずつ
)
いた。その
挙句
(
あげく
)
、明子はこの上級生を
棄
(
す
)
てた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
当然坂田の名人自称問題は紛糾をきはめて、その
挙句
(
あげく
)
坂田は東京方棋士と絶縁し、やがて関東、関西を問はず、一切の対局から遠ざかつてしまつた。人にも会はうとしなかつた。
聴雨
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
昔ならば
叡山
(
えいざん
)
か
高野
(
こうや
)
へでも送るか、しからざれば永年武者修業でもした
挙句
(
あげく
)
に、どこかで槍先の功名を現わすというところであるが、新領主の方から、在所におりたくば純然たる農になれ
家の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鶴見もまた、藤原
南家
(
なんけ
)
の一の
嬢子
(
じょうし
)
と共に風雨の
暴
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
う夜中をさまよいぬいた
挙句
(
あげく
)
の果、ここに始めて言おうようなき「朝目よき」光景を迎えて、その驚きを身に
沁
(
し
)
みて感じているのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
どうかするとなまけた
挙句
(
あげく
)
に世の中が面白くなくなると云ふこともあるが、それも僕には無い。又さう云ふ精神上の難関があつたとしても、それを凌いで通る手段が、僕には幾らもあつた筈だ。
不可説
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
おまえさんほどの美しい男が、そのあだすがたではいって行ったら、御殿女中のしいたけたぼ、切髪のごけさんといった、坊主に生き血を
啜
(
すす
)
られた
挙句
(
あげく
)
、くびり殺された女たちの怨霊が、さぞ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
長「魚が新らしいのに、船で
臭
(
くせ
)
え飯を喰った
挙句
(
あげく
)
だったからよ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは
今年
(
ことし
)
の夏になろうとする頃で、私と妻は、この村にはじめて来た画家の深沢さんを案内しながら、近所の林のなかを歩き廻った
挙句
(
あげく
)
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
やがて、二晩の野宿の
挙句
(
あげく
)
、彼は
傷
(
きずつ
)
いた兄の家族と一緒に寒村の農家に避難する。だが、この少女だけは家に収容しきれず村の収容所に移される。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
中にはまた一刻も早く育てようとあせった
挙句
(
あげく
)
、せっかく大事にしている野菜を枯らしてしまうものもあるくらいです。
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『おい、喧嘩をふっかけるのはよしてくれ、お犬様に吠えられた
挙句
(
あげく
)
、道連れの貴様にまで吠えられては堪まらない』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その祖父灌園は方々の田舎で漢学を教えてまわった
挙句
(
あげく
)
、やっと福岡で落ち付いて、筆者が大名小学校の四年生に入学すると直ぐに翁の許に追い遣った。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
画家でありかつ詩人であるこのホワイト君は、アメリカの物質文化に
飽
(
あ
)
き果てた
挙句
(
あげく
)
、新しい霊感を求めて、アマゾンの秘境を放浪していた男であるらしい。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
おせんの
裸
(
はだか
)
を
窺
(
のぞ
)
こうッてえのは、まず
立派
(
りっぱ
)
な
智恵
(
ちえ
)
だがの。おのれを
忘
(
わす
)
れて
乗出
(
のりだ
)
した
挙句
(
あげく
)
、
垣根
(
かきね
)
へ
首
(
くび
)
を
突
(
つ
)
っ
込
(
こ
)
んだんじゃ、
折角
(
せっかく
)
の
趣向
(
しゅこう
)
も
台
(
だい
)
なしだろうじゃねえか
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
用意ができた。激しくゆすぶられた
挙句
(
あげく
)
の彼は、いまいささかも後悔するところはない。昼間あれほどの大事件にぶつかったのだ。それ以上の何を
怖
(
おそ
)
れるものか。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そんな話を重ねた
挙句
(
あげく
)
が、「官吏も面白くないから、女の写真屋でも初めて後見をやろうかと思う、」
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
挙句
(
あげく
)
の果にはオトギバナシになって了いそうだ、これはきみという材料がいけなかったのだね、書いても何にもならないことを書いて来たのが、まちがいの元なのだ
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
飛んでもない別のことをまくしたてた
挙句
(
あげく
)
に「お前のようなスネークにはもう二度と会わん」と云って、
遂
(
つ
)
い又散々殴ったり蹴飛ばしたりして泣きほろめいて戻ってきた。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その時鼠骨氏が色々面白い話をした中に、ある新聞記者が失敗の
挙句
(
あげく
)
吾妻橋
(
あずまばし
)
から投身しようと思って、欄干から飛んだら、後向きに飛んで橋の上に落ちたという挿話があった。
高浜さんと私
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
雪江の父は今宮で
錻力
(
ブリキ
)
の職人をしてゐるが、十八の歳、親孝行だから飛田の遊廓へ行けと酒を飲みながら言はれたので、家を飛び出して女工をしたり喫茶店に勤めたりした
挙句
(
あげく
)
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
挙
常用漢字
小4
部首:⼿
10画
句
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
“挙”で始まる語句
挙
挙動
挙措
挙手
挙止
挙世
挙母
挙止動作
挙人
挙家