夜明よあ)” の例文
おじいさんは、ねむいのを我慢がまんして、夜明よあけをとうとおもいました。そして、みちがわかるようになったら、かえろうとかんがえていました。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜明よあがらすの声と暁の風とで、ふと気がついた机竜之助は、自分の身が、とある小川の流れに近く、篠藪ささやぶの中に横たわっていることを知った。
そこで諭吉ゆきちは、ま夜中よなかの十二ごろに江戸えどをでて、よる東海道とうかいどうをあるいて、夜明よあけごろに横浜よこはまにつきました。さっそく海岸かいがんのほうへいってみました。
ほがら/\といふと、夜明よあけのそらのあかるさをしめ言葉ことばです。それを、つきつてゐるそら形容けいようもちひたので、いかにもひるのようなあかるいてんかんじられます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
令史れいしすくなからず顛動てんどうして、夜明よあけて道士だうしもといた嗟歎さたんしてふ、まことのなすわざなり。それがしはたこれ奈何いかんせむ。道士だうしいはく、きみひそかにうかゞふことさら一夕ひとばんなれ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「これから都田川みやこだがわの手まえまでいって、夜明よあかしで、人の死に場所ばしょをこしらえにかかるんだよ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ロレ さ、はやきゃれ。さらばぢゃ。貴下こなた幸運かううんたゞこのひとつにかゝる、夜番よばんかれぬうちに出立しゅったつするか、さなくば夜明よあくるころ姿すがたやつしてこのまちとほざかるか、ふたつにひとつぢゃ。
しかし僕の実験は、放送が終った午前十時から夜明よあけ頃にかけてやるのが通例つうれいでした。其の時間中は短波長通信には殊に好都合の成績が得られるからこんな変な時を選んだのです。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
瀧口いまは、誰れ知れる人もなき跡ながら、昔の盛り忍ばれて、盡きぬ名殘なごり幾度いくたび振𢌞ふりかへりつ、持ちし錫杖しやくぢやうおもげに打ち鳴らして、何思ひけん、小松殿の墓所ぼしよして立去りし頃は、夜明よあ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ぬにくる夜明よあがらすもこうときて反哺はんぽをしへとなるものを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夜明よあけまで雨吹く中や二つ星
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
またたけばまた夜明よあけて
わなゝき (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
なつ夜明よあがたのさわやかなかぜが、ほおのうえいて、少年しょうねんをさましますと、うすあおそらに、西にし山々やまやまがくっきりとくろかんでえていました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜明よあがたになって、ついにあめとなったのであります。B医師ビーいしは、老人ろうじんからはなさなかった荷物にもつけてみました。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、夜明よあけごろに、この一たいは、うみほうして、はしっていきました。人々ひとびとは、そのねむらずに、みみまして、このひづめのおといていました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむい、さむい、木枯こがらしのよる、そして、しものしんしんと夜明よあがたははねこにかれて、やすらかにねむった、なつかしい記憶きおくが、はしなくもかぜおとによって
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとうとは、ほとんど自分じぶんでも、どうしてこうよくはしれるかわからないほどはしりました。そして、どこをどうはしってきたかわかりませんでした。夜明よあけごろでありました。
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あすの夜明よあけに、てきのトーチカをくだいてしまえという命令めいれいがくだった。ちゅう一をはじめ一めいを、天皇陛下てんのうへいかにささげた勇士ゆうしたちは、故郷こきょうへ、これがさいごの手紙てがみいてねむりにつきました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
しだいに、ひがしそらが、黄色きいろみをおびて、夜明よあけがちかづいたのであります。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆきうえには、二ひきのさるの足跡あしあとと、ところどころにちたあかのあとがのこっていましたが、かみさまは、この親子おやこをかわいそうにおもわれて、かりゅうどのいかけてこぬようにと、夜明よあがたから