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かえ
ふりがな文庫
“
回
(
かえ
)” の例文
迦羅奢は、常の
聡明
(
そうめい
)
な自分に
回
(
かえ
)
った。ふだんは、良人は気短で気のあらい人と考えていたのが、今はあべこべにあることに気づいた。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金井君の唇は熱い接吻を覚える。金井君の手は名刺を一枚握らせられる。
旋風
(
つむじかぜ
)
のように身を
回
(
かえ
)
して去るのを見れば、例の凄味の女である。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
旅を終えて振り
回
(
かえ
)
ると、今なお続く民藝の分布に
付
(
つい
)
て色々の結果を捕えることが出来る。固有の工藝が多く残るのは概して北方に多く、南国に浅い。
地方の民芸
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
これを陳皇后という。
後
(
のち
)
皇后寵ついに衰え
驕恣
(
きょうし
)
ますます甚だし、女巫楚服なる者自ら言う、術あり
能
(
よ
)
く上の意を
回
(
かえ
)
らしむと。昼夜祭祀し薬を合せて服せしむ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
倘
(
もし
)
迷
(
まよい
)
を執りて
回
(
かえ
)
らず、小勝を
恃
(
たの
)
み、大義を忘れ、寡を以て衆に抗し、
為
(
な
)
す可からざるの
悖事
(
はいじ
)
を
僥倖
(
ぎょうこう
)
するを
敢
(
あえ
)
てしたまわば、臣大王の為に
言
(
もう
)
すべきところを知らざる
也
(
なり
)
。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
咲子は立って廊下へ出たが、そこで振り
回
(
かえ
)
って、千代子を招いた。千代子が同じく立って廊下へ出ると、小さな声で、
怖
(
こわ
)
いからいっしょに
便所
(
はばかり
)
へ行ってくれろと頼んだ。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その傍に立ちしものは皆手伝えり、ただ佐太郎のみ
佇
(
たたず
)
みたるまま手をも挙げざりき、やがて群集はおのおのその伴を呼びつつ
罵
(
ののし
)
り帰り、時々振り
回
(
かえ
)
りて佐太郎を見やれり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
乱杭、歯くそ
隠
(
かくし
)
の
鉄漿
(
かね
)
をつけて、どうだい、その
状
(
ざま
)
で、全国の女子の服装を改良しようの、音楽を古代に
回
(
かえ
)
すの、美術をどうのと、鼻の
尖
(
さき
)
で議論をして、舌で世間を
嘗
(
な
)
めやがる。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と呼ぶ声が耳へ這入ったか、我に
回
(
かえ
)
って片手を
漸々
(
よう/\
)
出して茂之助の手へ
縋
(
すが
)
って
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
振
(
ふ
)
り
回
(
かえ
)
って後姿を眺めようとするような心持が、女と歴史とのすれちがいには起こらなかったのであります。有りとあらゆる前代の人の身の上は、小説の中にすらも皆は伝わっておりません。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
酒や女に
耽
(
ふけ
)
っていた弟のだらしのない生活が、母親の胸に
想
(
おも
)
い
回
(
かえ
)
された。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
再び息を
回
(
かえ
)
して、爛々たる光熱を吐くに至る、されど君よ、死せる太陽が、めぐりめぐりて、他の星体に相会する年数は、十万年なるか、はた二十万年を要するか、そは微少なる吾々の智識にては
太陽系統の滅亡
(新字新仮名)
/
木村小舟
(著)
御家人
(
ごけにん
)
旗本
(
はたもと
)
の間の大流行は、
黄白
(
きじろ
)
な色の
生平
(
きびら
)
の羽織に
漆紋
(
うるしもん
)
と言われるが、
往昔
(
むかし
)
家康公
(
いえやすこう
)
が関ヶ原の合戦に用い、水戸の御隠居も生前好んで常用したというそんな
武張
(
ぶば
)
った風俗がまた江戸に
回
(
かえ
)
って来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、彼もまた、その日は
瀟洒
(
しょうしゃ
)
であった赤革靴のきびすを
回
(
かえ
)
すと、やや低いスロープを作っている芝生の
窪
(
くぼ
)
みに、お光さんがいた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
賽児墓に祭りて、
回
(
かえ
)
るさの
路
(
みち
)
、一山の
麓
(
ふもと
)
を経たりしに、たま/\豪雨の後にして土崩れ石
露
(
あら
)
われたり。これを
視
(
み
)
るに
石匣
(
せきこう
)
なりければ、
就
(
つ
)
いて
窺
(
うかが
)
いて
遂
(
つい
)
に異書と宝剣とを得たり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
館原の藤吉とともに敵の流れ丸に
中
(
あた
)
り、重傷を負いて病院に運ばれ、佐太郎を死の
枕
(
まくら
)
に呼び阿園が再縁のことをくれぐれも頼みて死しぬ、されば佐太郎は気絶したる阿園を呼び
回
(
かえ
)
して
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
すぐ
御葉山
(
みはやま
)
の下の鐘楼の鐘が、耳もとで鳴るように、いんいんと初更をつげわたると、範宴は、はっとわれに
回
(
かえ
)
って、思わず
大喝
(
だいかつ
)
に
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高巍
(
こうぎ
)
の説は、
敦厚
(
とんこう
)
悦
(
よろこ
)
ぶ
可
(
べ
)
しと雖も、時既に
晩
(
おそ
)
く、
卓敬
(
たくけい
)
の言は、明徹用いるに足ると雖も、勢
回
(
かえ
)
し難く、朝旨の酷責すると、
燕師
(
えんし
)
の暴起すると、実に
互
(
たがい
)
に
已
(
や
)
む
能
(
あた
)
わざるものありしなり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こう、われに
回
(
かえ
)
って、嘆声をもらすと、武蔵は初めて、
菩提
(
ぼだい
)
と煩悩の中間から地上へ放し落されたように、両手を頭の後ろに結んで
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、後醍醐ご自身は、ここより車を南に
回
(
かえ
)
し、奈良へ落ちん、というお計りなのである。——南都も深く宮方に
契
(
ちぎ
)
りおるもの。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はっと吾れに
回
(
かえ
)
ったのである。梶川与三兵衛は、余りに昂奮していた自分の手荒な処置に気がついたらしく、内匠頭の手を放した。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、それまでは、旧主小寺家からもらった小寺姓をも名乗っていたが、この時から、旧姓をまったく廃して、黒田姓ひとつに
回
(
かえ
)
った。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしていま、芦屋ノ浦からその
舳
(
みよし
)
を再度、赤間ヶ関へ
回
(
かえ
)
している今日は、四月七日。その
間
(
かん
)
、たった四十六、七日でしかなかった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのため紅い唇や、蜂蜜のように
粘
(
ねば
)
る手や、
甘酢
(
あまず
)
い髪の毛のにおいやらが、すぐ頭から去って、彼は、常の彼の身に
回
(
かえ
)
っていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紹巴はすぐ元の寝息に
回
(
かえ
)
っている。みじか夜はすぐ明け放れた。起きるやいな、光秀は人々と別れて、まだ朝霧もふかいうちに下山した。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「君ニ
事
(
ツカ
)
エテソノ
本
(
モト
)
ヲ忘レズ。関羽はまことに天下の義士だ。いつか去ろう! いつか
回
(
かえ
)
り去るであろう! ああ、ぜひもない」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
振向いて、じっと、しばらく
空虚
(
うつろ
)
な眼をすえていたが——あっ、とそれから初めて常態の神経に
回
(
かえ
)
って、
愕
(
おどろ
)
きを口から洩らした。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、自分のことに
回
(
かえ
)
るが、わしが御房の年ごろには、畏れ多いが、
仏陀
(
ぶっだ
)
の
御唇
(
みくち
)
も女に似て見え、
経文
(
きょうもん
)
の
宋
(
そう
)
文字も恋文に見えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、祝龍はただちに部下へいいつけて、石秀を縄からげにし、
郭門
(
かくもん
)
の内へ送りこむやいな、ふたたび馬を
回
(
かえ
)
して敵の中へ突入して行った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身体は疲れ果て、心は
悲愁
(
ひしゅう
)
。しかもただ一騎でもあるし、戦う
術
(
すべ
)
もなく、馬を
回
(
かえ
)
してべつな道へ急ぐと、またまた、一林の茂りをひらいて
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
、何とか、
奪
(
うば
)
い
回
(
かえ
)
さんものとあがいているのらしいが、そうはさせぬ。……が、法師よ、いまから吉田山へ帰るなどは物騒だぞ、よせ、よせ
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰か、
開
(
あ
)
けた。開けると同時に、男は、背に負ってきた十八公麿を、
抛
(
ほう
)
りこむように、門の中へ渡して、さっさと、元の道へ、
引
(
ひ
)
っ
回
(
かえ
)
した。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
という情報をうけとると、万一の変を考慮して、急に、兵を
回
(
かえ
)
し、越後の
糸魚川
(
いといがわ
)
城にはいって、八千余騎を、国境の変に備え
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土匪
(
どひ
)
を
懲
(
こ
)
らし、村の治安が強固になり、めいめいの生活が平和に
回
(
かえ
)
ると、誰ひとりこの地方では、武蔵の名を呼び捨てにする者はなかった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
案のごとく万太郎は、相手を
優形
(
やさがた
)
と見くびッて、
手捕
(
てど
)
りにする気でかかりましたが、ハッと気がついて途中からさらにうしろへ飛び
回
(
かえ
)
って
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たえず
車副
(
くるまぞい
)
のかたちで、帝のお近くにいた佐々木道誉は、すぐ馬を
回
(
かえ
)
して、同役の
千葉
(
ちば
)
ノ
介
(
すけ
)
貞胤
(
さだたね
)
、小山秀朝らにはかり、それの配置を作った。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
努めて
磊落
(
らくらく
)
であろうとしたのだ。けれどすこし話しているまに、そういう努力はすぐ霧消して、彼のすがたはやはり知性の結晶に
回
(
かえ
)
っていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵の宿屋七左衛門も、自己の一突きで
赤母衣
(
あかほろ
)
の小武者は死したものと思い、
踵
(
くびす
)
を
回
(
かえ
)
して、十四、五間も先へ歩を移していた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『オオ、泣くな吉千代、お父様は、ちと御機嫌のわるい日じゃ。晩には、いつものお父上に
回
(
かえ
)
って
笑顔
(
えがお
)
を見せて下さろうぞ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲州の百姓は生色をとり
回
(
かえ
)
した。町々はどよめいた。商賈は眼の色を変えて塩を
頒
(
わ
)
け歩いた。塩を見たものはその白いものを一握り握ってみて
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
粛々
(
しゅくしゅく
)
、行軍の足なみに
回
(
かえ
)
る。その頃から
素槍
(
すやり
)
を引っさげた部将が、一倍大股な足どりで、絶えず隊側を監視しつつ進んだ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
およそ、朝政を一新し、百年の毒賊北条の府を
覆
(
くつがえ
)
し、世を昭々たる
古
(
いにしえ
)
の御代に
回
(
かえ
)
そうためには、これしきな憂き目ぐらい、何ほどの驚きでもない。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では、異国の学を
鑑
(
かがみ
)
として、時弊を打ち破り、ひいては執権北条の幕府をもくつがえして、
政治
(
まつりごと
)
を遠きいにしえに
回
(
かえ
)
さんとの思し召でもあるか」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御本陣から吹きならす貝の音に応じて、各所の貝の音が答えつつ、全軍三万の兵は、堤を
断
(
き
)
った
水脚
(
みずあし
)
のように、
踵
(
きびす
)
を
回
(
かえ
)
して動き始めたのであった。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
謙信は、
踵
(
きびす
)
を
回
(
かえ
)
すと、またひとりで、山の上の本陣——陣場平とよぶわずかな平地へ向って、ぶらぶらと登って行った。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「俺は、思いのほか、
浅傷
(
あさで
)
だったので、ひと月も経つと、もとの体に
回
(
かえ
)
ったが、何しろ、おめえの傷は、場所がわるい」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たしかにこの辺まで、二人の姿が見えたのだが……」と金吾は足を
回
(
かえ
)
してその辺りの雑草のなかを踏み分けてみます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
虎之助は頭から血をあびたまま、雑兵が
仆
(
たお
)
れてもまだその脚に抱きついていた。苦悶してあばれるので、離したら生き
回
(
かえ
)
るような気がするのだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたたび名馬書写山の鞍に
回
(
かえ
)
ると、彼は中国山脈の西の背にうすずく陽を馬上に見ながら、平井山の本陣から、万感を胸に、ゆるゆる降りていった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然し、握っていた藩札が、みな
紙屑
(
かみくず
)
になってしまうかと恐れた町人たちも、後では彼等自身すこし気恥かしくなったように落着き込んだ顔に
回
(
かえ
)
った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
回
常用漢字
小2
部首:⼞
6画
“回”を含む語句
迂回
回想
回復
回々
回顧
回転
一回
今回
数回
回向院
挽回
旋回
奪回
幾回
回々教
二回
回教
回護
思回
回向
...