あゝ)” の例文
るとぞつとする。こけのある鉛色なまりいろ生物いきもののやうに、まへにそれがうごいてゐる。あゝつてしまひたい。此手このてさはつたところいまはしい。
いたく、性命を尊みて、これより、我より、當來より、なに物か、えまほしく、求めてやまず……あゝ、人は、當來に、豐なるたまものを望む。
我等の中に汝嘗て見しによりてその消息おとづれを世に傳ふるをうる者あるか、あゝ何すれぞ過行くや、汝何すれぞ止まらざるや 四九—五一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
而して其亡ぶるや未だ嘗て其国民が当初の品格を失墜したるにらずんばあらずあゝ今に及んで百尺竿頭、更に一歩を転ぜずんば、吾人は恐る
あゝ詩人よ、詩人たらんとするものよ、汝等は不幸にして今の時代に生れたり、汝の雄大なる舌は、陋小ろうせうなる箱庭の中にありて鳴らさゞるべからず。
漫罵 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
蓮太郎——大日向——それから仙太、斯う聯想した時は、猜疑うたがひ恐怖おそれとで戦慄ふるへるやうになつた。あゝ、意地の悪い智慧ちゑはいつでも後から出て来る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
中將は南洲のげんて曰ふ、しいかな、天下の一勇將を失へりと、流涕りうていすること之を久しうせり。あゝ公私情盡せり。
あゝ此行このかう氷川ひかはみやはいするより、谷中やなかぎ、根岸ねぎし歩行あるき、土手どてより今戸いまどで、向島むかうじまいたり、淺草あさくさかへる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あゝ、汝不來方の城よ※ 汝は今これ、漸くに覺醒し來れる盛岡三萬の市民を下噉かかんしつつ、……文明の儀表ぎへうなり。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
赤良顔あからがほもしばし煙管きせるいてかなしえた、あゝなんと云ふ薄命ふうんをんなであらうとわれも同情の涙にえなかつた
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
そして彼はそれを靜かに窺き込んで居る。あゝ、その無心の顏、自分は自分の瞼の急に重くなるを感じた。
古い村 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
夕暮色ゆふぐれいろ薔薇ばらの花、うれひなかばんでゐる、あゝたそがれどききり夕暮色ゆふぐれいろ薔薇ばらの花、ぐつたりした手に接吻せつぷんしながら、おまへは戀死こひじにでもしさうだ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
其一日が過ぎて行く、まだ一時間あるぞ。其一時間が經つて行く、まだ一分あるぞなどとあゝ徒目だめだ。然し、せめてもう一遍は戻つて來さうなものだのに。いや前にも言つた、さうはいかぬ。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
「首領の捕縛」「公権の乱暴」「婦女小児の負傷」しかしてあゝ、「維持費尽く」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
噫悪かつた、逸り過ぎた間違つた事をした、親方に頭を下げさするやうな事をした歟あゝ済まないと、自分の身体みうちの痛いのより後悔にぼろ/\涙をこぼして居る愍然ふびんさは、何と可愛い奴では無い歟
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あゝ今は越方こしかたとなりしつらき長きみちよわれたゞひとりなりしその日よ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
一々対照し来ればけだし思ひ半ばに過ぐるものあらん、あゝ
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
あゝ究極の美なるかな、げにわれこそはひとりなれ。
水と火、あゝ相遇へり、青きあぶら
あゝ、かなし、ほのほよ、よく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ば手に入んこと外になし此婚姻こんいんさまたげせばかれ自然おのづから此方こなたなびかんあゝ然なりと思案せしが此方策はうさくこうはてついては惡き事に掛てはかしこき者は兄の元益是に相談なして見ばやと先元益が方へ至るに博奕ばくちまけこみたるか寢卷ねまき一枚奧の間にすゝぶりゐたるが夫と見てたれかと思へば弟の庄兵衞何と思つて出て來たか知ねど兄に無禮ぶれい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
憂ひのあゝに終らしむる深き歎息ためいきをつきて後彼曰ひけるは。兄弟よ、世はめしひなり、しかして汝まことにかしこより來る 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あゝ。いつまでも斯うして生きたい。と願へば願ふほど、余計に穢多としての切ない自覚が湧き上るのである。現世の歓楽は美しく丑松の眼に映じて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
疑ひまどふけふこのごろ、國運を思ひて、心病みぬるけふこのごろ、なれこそは、杖なれ、より木なれ、あゝ、大なるかな、忠なるかな、自由なるかな、露西亞の言葉よ。
露西亜の言葉 (旧字旧仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
あゝこの、ある意味に於ての荒法師が、筐中きやうちゆう常に彼可憐の貞女の遺魂を納めて、その重荷を取り去ることを得ざりしと、懸瀑に難行して、胸中の苦熱とざし難き痛悩とは
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
人々ひとびと御主おんあるじよ、われをもつみくなしたまへ、この癩病らいびやうものを。」あゝさむしい、あゝ、こはい。だけに、生来しやうらいしろいろのこつてゐる。けものこはがつてちかづかず、わがたましひげたがつてゐる。
あゝ、涙、あゝ情深なさけぶかき心、あゝ、涙はふり落つるこの顏容かんばせかな。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
文目あやめもおぼろ、しめやかに、あゝしめやかに、つくねんと
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
また孤獨なるそのいもとあゝ永久のわがいもと
あゝあはれなる彼女、よ
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
あゝ帖然一紙てふぜんいつし。」
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
承知して居乍ら、働く気が無くなつて了つた。あゝ、朝寝の床は絶望した人を葬る墓のやうなもので有らう。丑松は復たそこへ倒れて、深い睡眠ねむり陥入おちいつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あゝ人生を厭悪するも厭悪せざるも、誰か処女の純潔にふて欣楽せざるものあらむ。
あゝ、われら、まさしくも受くさいはひを取らずして
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
あゝ彼女かのひとにのみ内證ないしようの祕めたる事ぞ無かりける。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
……………………あゝなんぢ、鏡よ
あゝおくれたり、呼ばゝりて過ぎ行く夢の
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あゝ勢力せいりきの強くとも
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)