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三日月
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みかづき
ふりがな文庫
“
三日月
(
みかづき
)” の例文
もう日がとっぷり
暮
(
く
)
れて、
夜
(
よる
)
になりました。
暗
(
くら
)
い
樹
(
き
)
の
間
(
あいだ
)
から、
吹
(
ふ
)
けば
飛
(
と
)
びそうに
薄
(
うす
)
い
三日月
(
みかづき
)
がきらきらと
光
(
ひか
)
って
見
(
み
)
えていました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
西空にうっすらと
三日月
(
みかづき
)
が、はりついていた。こわれた
瓦
(
かわら
)
の山を踏みしめながら、僕たちは、焼け残りの町の方へ歩いていった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「文章談をしたのよ。」とそれから間もなくその風呂敷包を開いて一つの書物を取り出して見せたのは
浪六
(
なみろく
)
の出世小説『
三日月
(
みかづき
)
』であった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
水路の両側に家々の
聳
(
そび
)
えたどこか西洋の風景画である。時刻はもう日の暮に近い頃であろう。
三日月
(
みかづき
)
は右手の家々の空にかすかに光りを放っている。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「十六日。晴。午刻より土方出立。
手尾
(
てを
)
迄伴六
亀児
(
かめじ
)
送来。夫より
分袂
(
ぶんべい
)
。
飾西
(
しきさい
)
、
觜崎
(
はしざき
)
、
千本
(
せんぼん
)
、
三日月
(
みかづき
)
也。觜崎より人車に而暮過三日月駅石川吉兵衛へ著。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
三日月
(
みかづき
)
なりに
切
(
き
)
ってある、
目
(
め
)
にいれたいくらいの
小
(
ちい
)
さな
爪
(
つめ
)
を、
母指
(
おやゆび
)
と
中指
(
なかゆび
)
の
先
(
さき
)
で
摘
(
つま
)
んだまま、ほのかな
月光
(
げっこう
)
に
透
(
すか
)
した
春重
(
はるしげ
)
の
面
(
おもて
)
には、
得意
(
とくい
)
の
色
(
いろ
)
が
明々
(
ありあり
)
浮
(
うか
)
んで
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
とさけびながら
佐分利
(
さぶり
)
五郎次、
三日月
(
みかづき
)
のごとき大刀をまっ
向
(
こう
)
にかざして、
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
の
脳天
(
のうてん
)
へ斬りさげてくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
眼
(
め
)
をつぶってるね」カムパネルラは、
指
(
ゆび
)
でそっと、
鷺
(
さぎ
)
の
三日月
(
みかづき
)
がたの白いつぶった
眼
(
め
)
にさわりました。頭の上の
槍
(
やり
)
のような白い毛もちゃんとついていました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
白い
三日月
(
みかづき
)
のついた爪、うす紅の輪廓から、まぼしい光りの差す様な顔、つやつやしい歯、自分からは
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そのかまは、
大
(
おお
)
きく、
鋭
(
するど
)
く、そして、
三日月
(
みかづき
)
のように
細
(
ほそ
)
いのを、
大男
(
おおおとこ
)
は、
右手
(
みぎて
)
に
握
(
にぎ
)
っていたからです。
死と話した人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
御愁傷
(
ごしゅうしょう
)
といふやうに聞え候て、物寂しき心地致され申候。雨あがりの
三日月
(
みかづき
)
、夕焼雲の
棚曳
(
たなび
)
くさまも
彼
(
か
)
の大木の梢に打眺め候へば誠に
諸行無常
(
しょぎょうむじょう
)
の思ひに打たれ申候。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
狂言は一番目「
菅原伝授手習鑑
(
すがわらでんじゅてならいかがみ
)
」、中幕「
壺坂霊験記
(
つぼさかれいげんき
)
」、二番目「
三日月
(
みかづき
)
」、
大切
(
おおぎり
)
「
廓文章
(
くるわぶんしょう
)
」という
列
(
なら
)
べ方であったが、今度は芝翫が抜けたので一座はいよいよ寂しく
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
眉
(
まゆ
)
白
(
しろ
)
き
船頭
(
せんどう
)
の
漕
(
こ
)
ぐにまかせ、
蒔繪
(
まきゑ
)
の
調度
(
てうど
)
に、
待乳山
(
まつちやま
)
の
影
(
かげ
)
を
籠
(
こ
)
めて、
三日月
(
みかづき
)
を
載
(
の
)
せたる
風情
(
ふぜい
)
、
敷波
(
しきなみ
)
の
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
、
龍
(
たつ
)
の
都
(
みやこ
)
に
行
(
ゆ
)
く
如
(
ごと
)
し。
人
(
ひと
)
も
酒
(
さけ
)
も
狂
(
くる
)
へる
折
(
をり
)
から、ふと
打
(
う
)
ちすましたる
鼓
(
つゞみ
)
ぞ
冴
(
さ
)
ゆる。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
タナゴ釣りの前日、ビンドでとった魚を自分で釣ったといって出し、審査員に、この魚は全部
三日月
(
みかづき
)
が切れていない、釣ったのでなく何かでとった魚だと見破られて失格した人もいた。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
今とは違い毛がないから
額
(
ひたえ
)
の処へ
斯
(
こ
)
う
三日月
(
みかづき
)
なりに瀬戸物の
打疵
(
うちきず
)
が出来ました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
くちびるのりょうはしが、きゅっと上へ上がった、
三日月
(
みかづき
)
がたの口です。
かいじん二十めんそう
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そこでわしは取引を完了したい。おい、戸倉。きさまが持っている
黄金
(
おうごん
)
の
三日月
(
みかづき
)
を、こっちへ渡してしまえ」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
次第
(
しだい
)
に
冴
(
さ
)
える
三日月
(
みかづき
)
の
光
(
ひか
)
りに、あたりは
漸
(
ようや
)
く
朽葉色
(
くちばいろ
)
の
闇
(
やみ
)
を
誘
(
さそ
)
って、
草
(
くさ
)
に
鳴
(
な
)
く
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
のみが
繁
(
しげ
)
かった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
童子さまの
脳
(
のう
)
はもうすっかり
疲
(
つか
)
れて、白い
網
(
あみ
)
のようになって、ぶるぶるゆれ、その中に赤い大きな
三日月
(
みかづき
)
が
浮
(
う
)
かんだり、そのへん
一杯
(
いっぱい
)
にぜんまいの
芽
(
め
)
のようなものが見えたり
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
勿論そう云う暮しの中にも、村人の目に立たない限りは、断食や
祈祷
(
きとう
)
も怠った事はない。おぎんは
井戸端
(
いどばた
)
の
無花果
(
いちじく
)
のかげに、大きい
三日月
(
みかづき
)
を仰ぎながら、しばしば熱心に祈祷を
凝
(
こ
)
らした。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
汽車
(
きしや
)
が
千葉
(
ちば
)
まはりに
譽田
(
ほんだ
)
……を
過
(
す
)
ぎ、
大網
(
おほあみ
)
を
本納
(
ほんなふ
)
に
近
(
ちかづ
)
いた
時
(
とき
)
は、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
の
苗代田
(
なはしろだ
)
を、
二羽
(
には
)
銀翼
(
ぎんよく
)
を
張
(
は
)
つて、
田毎
(
たごと
)
の
三日月
(
みかづき
)
のやうに
飛
(
と
)
ぶと、
山際
(
やまぎは
)
には、つら/\と
立並
(
たちなら
)
んで、
白
(
しろ
)
い
燈
(
ひ
)
のやうに
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
らんらんと光る目が、ほそくなって、口は
三日月
(
みかづき
)
形に笑っているのです。
超人ニコラ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三日月
(
みかづき
)
が立って出るから米が上ると、村中は活気づいて居る。
日記:07 一九二一年(大正十年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
三日月
(
みかづき
)
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三日月
(
みかづき
)
に、
谷中
(
やなか
)
の
夜道
(
よみち
)
は
暗
(
くら
)
かった。その
暗
(
くら
)
がりをただ
独
(
ひと
)
り
鳴
(
な
)
く、
蟋蟀
(
こおろぎ
)
を
踏
(
ふ
)
みつぶす
程
(
ほど
)
、やけな
歩
(
あゆ
)
みを
続
(
つづ
)
けて
行
(
い
)
く、
若旦那
(
わかだんな
)
徳太郎
(
とくたろう
)
の
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
は、おせんの
姿
(
すがた
)
で一
杯
(
ぱい
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
横から見た
観音堂
(
かんのんどう
)
。少年はその下を歩いて
行
(
ゆ
)
く。観音堂の上には
三日月
(
みかづき
)
が一つ。
浅草公園:或シナリオ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三日月
(
みかづき
)
がたのくちびるのあとで
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
空にはカフェの屋根のはずれに、
三日月
(
みかづき
)
もそろそろ光り出しています。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
月
常用漢字
小1
部首:⽉
4画
“三日月”で始まる語句
三日月形
三日月様
三日月姿
三日月山
三日月眉
三日月長屋