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一軒
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いつけん
後に
小田原の
町を
放れ、
函嶺の
湯本近に
一軒、
茶店の
娘、
窶れ
姿のいと
美しきが、
路傍の
筧、
前なる
山凡そ
三四百間遠き
處に
千歳久しき
靈水を
引いたりといふ
雑誌も
既に
売品と
成つた
以上は、
売捌の
都合や
何や
彼やで店らしい者が無ければならぬ、
因で
酷算段をして
一軒借りて、
二階を
編輯室、下を
応接所兼売捌場に
充てゝ
其大仏餅屋の
一軒おいて
隣家が、
表が
細い
栂の
面取りの
出格子になつて
居りまして
六尺、
隣りの
方が
粗い
格子で
其又側が
九尺ばかりチヨイと
板塀になつて
居る、
無職業家でございまする。
快く
頷いて、
北陸地方を
行脚の
節はいつでも
杖を
休める
香取屋といふのがある、
旧は
一軒の
旅店であつたが、
一人女の
評判なのがなくなつてからは
看板を
外した
言ふべき
場合ではないけれども、まことに
天の
美祿である。
家内も
一口した。
不斷一滴も
嗜まない、
一軒となりの
齒科の
白井さんも、
白い
仕事着のまゝで
傾けた。
尤も
段々話合つて見ると、五六
才の
時分には
同じ
長屋の
一軒置いた
隣同士で、
何でも
一緒に遊んだ事も有つたらしいので、
那様事から
一層親密に
成つて、
帰路も同じでありましたから
連立つても帰る
処で、
私が、お
浦を
救ふ
道として、
進むべき
第一歩は、
何処でも
可い、
小家を
一軒探す
事だ。
小家でも
可、
辻堂、
祠でも
構はん、
何でも
人の
居ない
空屋が
望みだ。
小屋を
出て二
町ばかり
行くと
直坂があつて、
坂の
下口に
一軒鳥屋があるので、
樹蔭も
何にもない、お
天気のいゝ
時あかるい/\
小さな
店で、
町家の
軒ならびにあつた。
「
親類うちで
一軒でも
燒けなかつたのがお
手柄だ。」といつて、うれしさうな
顏をした。