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一節
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ひとふし
ふりがな文庫
“
一節
(
ひとふし
)” の例文
と、息切れのする
瞼
(
まぶた
)
が
颯
(
さっ
)
と、気を込めた手に力が入つて、鸚鵡の胸を
圧
(
お
)
したと思ふ、
嘴
(
くちばし
)
を
踠
(
もが
)
いて
開
(
あ
)
けて、カツキと
噛
(
か
)
んだ小指の
一節
(
ひとふし
)
。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
銀行員は評判を耳にしていたし、事務員は二、三の楽曲を聞いたことがあった——(彼はすぐに得意然とその
一節
(
ひとふし
)
を口ずさんだ。)
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼はふと
弄
(
いら
)
ってみる気になって、人差指で姪の臍の頭をソッと押してみた。指さきは何の支えも感じずに直ぐ
一節
(
ひとふし
)
ほど臍の中に隠された。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
美女、才女、ありとある、
一節
(
ひとふし
)
ずつある
女性
(
にょしょう
)
を書いたあとで、浮舟や女三宮の現れたのを、よく読んで見たいと思った。今でもそう思っている。
紫式部:――忙しき目覚めに
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
書
(
ふみ
)
はしば/\われらの目を
唆
(
そゝの
)
かし色を顏よりとりされり、されど我等を從へしはその
一節
(
ひとふし
)
にすぎざりき 一三〇—一三二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
染五郎
(
そめごろう
)
(後の
幸四郎
(
こうしろう
)
)というような顔触れで、二番目は
円朝
(
えんちょう
)
物の「
荻江
(
おぎえ
)
の
一節
(
ひとふし
)
」と内定していたのであるが、それも余り思わしくないと云うので
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
糸につれて唄い
出
(
いだ
)
す声は、岩間に
咽
(
むせ
)
ぶ水を抑えて、巧みに流す
生田
(
いくた
)
の
一節
(
ひとふし
)
、客はまたさらに心を動かしてか、煙草をよそに思わずそなたを見上げぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
叢竹
(
そうちく
)
の中の一本が、ゆさっと仆れた。しばらくすると、無可先生は、尺八にするにしては太すぎるし、みじかくもある
一節
(
ひとふし
)
を切って、藪から出て来た。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
派手
(
はで
)
な姿に白くほおけた
荻
(
おぎ
)
の穂を
挿
(
さ
)
してほんの舞の
一節
(
ひとふし
)
だけを見せてはいったのがきわめておもしろかった。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
通行人らの騒ぎに、トロミエスの愉快な聴衆もふり向いてながめた。そしてその間にトロミエスは、次の
愁
(
うる
)
わしい
一節
(
ひとふし
)
を歌っておしゃべりの幕を閉じた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
わたしの父親がこの話をしているあいだに、かれらは
晩餐
(
ばんさん
)
の
食卓
(
しょくたく
)
をこしらえた。
焼
(
や
)
き
肉
(
にく
)
の大きな
一節
(
ひとふし
)
にばれいしょをそえたものが、食卓のまん中に
置
(
お
)
かれた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
自分は漸くカワレリヤ、ルスチカナの
幕開
(
まくあ
)
きに淋しい
立琴
(
アルプ
)
を
合方
(
あひかた
)
にして歌ふシチリヤナの
一節
(
ひとふし
)
を
思付
(
おもひつ
)
いた。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なぜか彼にはわからなかったが、それはこの世ならぬ優しい歌の
一節
(
ひとふし
)
のように彼を一瞬慰めた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
姫はどうして行かうかと思案してゐた処なので早速ツルカヅルカの
一節
(
ひとふし
)
を歌つた。
嘆きの孔雀
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
筋
(
すぢ
)
は
日本
(
につぽん
)
の
美
(
うる
)
はしき
乙女
(
おとめ
)
の
舞衣
(
まひぎぬ
)
の
姿
(
すがた
)
が、
月夜
(
げつや
)
にセイヌ
河
(
かは
)
の
水上
(
みなか
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ふて
居
(
を
)
るといふ、
極
(
きは
)
めて
優美
(
ゆうび
)
な、また
極
(
きは
)
めて
巧妙
(
こうめう
)
な
名曲
(
めいきよく
)
の
一節
(
ひとふし
)
、一
句
(
く
)
は一
句
(
く
)
より
華
(
はなや
)
かに、一
段
(
だん
)
は一
段
(
だん
)
よりおもしろく
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
寂しそうに笑って、やがて、鈴を振鳴して
一節
(
ひとふし
)
唄いましたのは、こうでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
枝
(
えだ
)
はといえば、みんな、ねばねばした長い
腕
(
うで
)
で、まるで、ミミズのようにまがりくねる指を持っていました。そして、根もとから、いちばん先のはしまで、
一節
(
ひとふし
)
一節を動かすことができました。
人魚の姫
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
かねて覚えの
謡曲
(
うたい
)
一節
(
ひとふし
)
うたい出でたるおりから。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
珍
(
めづ
)
らなるいとも
可笑
(
をか
)
しきちやるめらの
外
(
そと
)
の
一節
(
ひとふし
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
とりとまりない嘆きの
一節
(
ひとふし
)
を
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
ふたり歌はむ
一節
(
ひとふし
)
は
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ほれぼれと、
一節
(
ひとふし
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
と、
息切
(
いきぎ
)
れのする
瞼
(
まぶた
)
が
颯
(
さつ
)
と、
氣
(
き
)
を
込
(
こ
)
めた
手
(
て
)
に
力
(
ちから
)
が
入
(
はひ
)
つて、
鸚鵡
(
あうむ
)
の
胸
(
むね
)
を
壓
(
お
)
したと
思
(
おも
)
ふ、
嘴
(
くちばし
)
を
踠
(
もが
)
いて
開
(
あ
)
けて、カツキと
噛
(
か
)
んだ
小指
(
こゆび
)
の
一節
(
ひとふし
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見れば、
煤竹
(
すすだけ
)
の
一節
(
ひとふし
)
を切った花入れに、一輪の白菊を
挿
(
い
)
けてささげている。静かに、秀吉の横へ坐って、菊の姿のくずれぬ程に、そっと
床脇
(
とこわき
)
においた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あるいは
黒人舞踏
(
クークウォーク
)
の
一節
(
ひとふし
)
とレオンカヴァロの愚作とをベートーヴェンのアダジオの両側に並べたりして、世にある美しいものを汚すのは、許しがたいことだ。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ウーゴモンは危うく、ラ・エー・サントは奪われ、今はただ中央の
一節
(
ひとふし
)
が残ってるのみだった。その一節はなお支持されていて、ウェリントンはそこに兵員を増加した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
どうか此の人々の口から政宗公以来伝わって来た舟唄の
一節
(
ひとふし
)
を聴いて貰いたいとのことであった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
折節
(
おりふし
)
に聞く
浄瑠璃
(
じょうるり
)
の
一節
(
ひとふし
)
にも
人事
(
ひとごと
)
ならぬ暗涙を催す事が度々であった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あゝ
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
と
知
(
し
)
つたら
何故
(
なぜ
)
倫敦
(
ロンドン
)
邊
(
へん
)
の
流行歌
(
はやりうた
)
の
一節
(
ひとふし
)
位
(
ぐら
)
いは
覺
(
おぼ
)
えて
置
(
お
)
かなかつたらうと
悔
(
くや
)
んだが
追付
(
おひつ
)
かない、
餘
(
あま
)
りの
殘念
(
くやし
)
さに
春枝夫人
(
はるえふじん
)
の
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ると、
夫人
(
ふじん
)
も
今
(
いま
)
の
嘲罵
(
あざけり
)
を
耳
(
みゝ
)
にして
多少
(
たせう
)
心
(
こゝろ
)
に
激
(
げき
)
したと
見
(
み
)
へ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
竹河
(
たけかは
)
のはしうちいでし
一節
(
ひとふし
)
に深き心の底は知りきや
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「月にうたう
懺悔
(
ざんげ
)
の
一節
(
ひとふし
)
」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「一命を助けてとらせた礼を残して行きやれ。
儂
(
み
)
たちも、節に合わせて踊ろう程に、そちの
故郷
(
ふるさと
)
の
鄙
(
ひな
)
ぶり
一節
(
ひとふし
)
唄うておみせやれ。
盆唄
(
ぼんうた
)
でも、
麦搗唄
(
むぎつきうた
)
でも」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は自分より長い生命があるに違いないと感じた孫の作品中に、自分の
拙
(
つたな
)
い
一節
(
ひとふし
)
を插入するという、きわめて罪ない楽しみを、制することができなかったのである。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
またもや念ずる法華経の
偈
(
げ
)
の
一節
(
ひとふし
)
。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すたれし歌の
一節
(
ひとふし
)
は
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
どこかで、
戛
(
かつ
)
んッ——と、青竹を伐り仆した響きがしたと思うと、間もなく、
一節
(
ひとふし
)
の切竹を持って帰って来た。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼
(
かれ
)
は、自分よりも長い
生命
(
いのち
)
があるに
違
(
ちが
)
いないと感じた
孫
(
まご
)
の
作品
(
さくひん
)
の中に、自分のまずい
一節
(
ひとふし
)
をはさみ込むという、きわめて
罪
(
つみ
)
のない
楽
(
たの
)
しみを、おさえることができなかったのである。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
怒気を
漲
(
みなぎ
)
らして構え直った天堂一角、きっと月光の
注
(
そそ
)
ぐところを見れば、青き
天蓋
(
てんがい
)
、
銀鼠色
(
ぎんねずいろ
)
の虚無僧衣、
漆
(
うるし
)
の下駄を踏み開いて、
右手
(
めて
)
に取ったるは尺八に
一節
(
ひとふし
)
短い
一節切
(
ひとよぎり
)
の竹……。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、ワグナーの一場面に感動したあとに、オフェンバッハのギャロップをピアノでたたき出したり、喜びの頌歌を聞いたあとに、奏楽珈琲店のたまらない
一節
(
ひとふし
)
を口ずさんだりした。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
一節
(
ひとふし
)
のなつかしや
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“一節”の意味
《名詞》
文章や楽曲などの一区切り。
スポーツのシーズンの日程の一区切り。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
節
常用漢字
小4
部首:⽵
13画
“一節”で始まる語句
一節切
一節切温古大全