震災しんさい)” の例文
「しかしこの芝の上を見給え。こんなに壁土かべつちも落ちているだろう。これは君、震災しんさいの時に落ちたままになっているのに違いないよ。」
悠々荘 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
じつ著者ちよしやごときは、地震學ぢしんがく今日こんにち以上いじよう進歩しんぽしなくとも、震災しんさいほとんど全部ぜんぶはこれをまぬか手段しゆだんがあるとかんがへてゐるものゝ一人ひとりである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
……「やあ」と洋杖ステツキをついてまつて、中折帽なかをればうつたひとがある。すぐにわたし口早くちばや震災しんさい見舞みまひ言交いひかはした。花月くわげつ平岡權八郎ひらをかごんぱちらうさんであつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おそらく震災しんさいで一度つぶれたのを、また復活させてみたが、思わしくないので、そのまま蜘蛛くも棲家すみかゆだねてしまったものだろう。それにしても……。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いはゆる文化的都市ぶんくわてきとし發達はつたつすればするほど、災害さいがい慘憺さんたんとなる。したがつて震災しんさいたいしても防備ばうびかんがへがこる。が、これも比較的ひかくてきあたらしい時代じだいぞくする。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
震災しんさい後の東けうには實際じつさいおどろくほど球突塲たまつきばがふ※た。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
震災しんさい
偏奇館吟草 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
震災しんさい以來いらい東京とうきやう梅園うめぞの松村まつむら以外いぐわいには「しるこ」らしい「しるこ」あとつてしまつた。そのかはりにどこもカツフエだらけである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
下敷したじきになつたひとたすすことは震災しんさい防止上ぼうしじようもつと大切たいせつなことである。なんとなれば震災しんさいかうむ對象物中たいしようぶつちゆう人命じんめいほど貴重きちようなものはないからである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あはれ、これこそ今度こんど震災しんさいのために、ひといたはじめであつた。——たゞこれにさへ、一同いちどうかほ見合みあはせた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人家密集じんかみつしふ都市としなかに、巨大きよだいなる建築けんちくそびゆるにいたつて、はじめて震災しんさいおそるべきことが覿面てきめんかんぜられる。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
まあすべてがその調子ちょうしでした。震災しんさい以来いらい身体からだよわためもあったでしょうが蒐集癖しゅうしゅうへき大分だいぶうすらいだようです。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしは、じつ震災しんさいのあと、永代橋えいたいばしわたつたのは、そのがはじめてだつたのである。二人ふたり風恰好亦如件ふうつきまたくだんのごとし……で、運轉手うんてんしゆ前途ゆくてあんじてくれたのに無理むりはない。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなは人命じんめい損失そんしつ實際じつさい幾倍いくばいし、財産ざいさん損失そんしつ幾十倍いくじゆうばいにもおよんだであらう。じつにその村民そんみん行動こうどう震災しんさいたいしてわれ/\の理想りそうとするところ實行じつこうしたものといへる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
火災くわさい震災しんさいよりも、より頻繁ひんぱんこり、より悲慘ひさんなる結果けつくわしやうずるではないか。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
名案めいあんはないかな——こゝへ、下町したまちねえさんで、つい此間このあひだまで、震災しんさいのためにげてた……元來ぐわんらい靜岡しづをかには親戚しんせきがあつて、あきらかな、いき軍師ぐんしあらはれた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第一に浅草といひさへすれば僕の目の前に現れるのは大きい丹塗にぬりの伽藍がらんである。或はあの伽藍を中心にした五重塔ごぢゆうのたふ仁王門にわうもんである。これは今度の震災しんさいにもさいはひと無事に焼残つた。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「しかし文句もんくはいひますもののね、震災しんさいときは、このくらゐな泥水どろみづを、かぶりついてみましたよ。」
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼくの方からはあまり滝田くんたずねていない。いつも年末ねんまつもよおされるという滝田くん招宴しょうえんにも一席末せきまつれっしただけである。それはたしか震災しんさいの前年、——大正十一年の年末ねんまつだったであろう。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
此奴こいつよわつた。」——くだん同伴つれでないつれの案内あんないでは、あけがたつたのだが、此方こちらとほおもんぱかりがなかつた。そのひとのゆききしたのは震災しんさいのぢきあとだから、成程なるほど、そのころだとがあける。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主筆 勿論震災しんさい前でしょうね?
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
とく震災しんさいことはいふまい、と約束やくそくをしたものの、つい愚痴ぐちるのである。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)