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装
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も
ふりがな文庫
“
装
(
も
)” の例文
旧字:
裝
真の夜泣松は、汽車から来る客たちのこの町へ入る本道に、古い石橋の際に土をあわれに
装
(
も
)
って、石地蔵が、
苔蒸
(
こけむ
)
し、且つ砕けて十三体。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庫裡の炉の
周囲
(
まわり
)
は
筵
(
むしろ
)
である。ここだけ畳を三畳ほどに、
賽銭
(
さいせん
)
の箱が小さく
据
(
すわ
)
って、
花瓶
(
はながめ
)
に雪を
装
(
も
)
った一束の
卯
(
う
)
の花が露を含んで
清々
(
すがすが
)
しい。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、今は他のものを
装
(
も
)
る
器具
(
うつわ
)
でない。瓜はそのまま天来の瓜である。従って名実ともに
鏨
(
たがね
)
は冴えた、とその道のものは云った。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
指を
丸
(
まろ
)
げた様な蒔絵の椀、それから茶碗、
小皿
(
てしお
)
なんぞ、
皆
(
みんな
)
そのお膳に相当したのに、
種々
(
いろいろ
)
な
御馳走
(
ごちそう
)
が
装
(
も
)
ってありましたっけ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鰒汁
(
てっぽう
)
とこいつだけは、命がけでも
留
(
や
)
められねえんだから、あの人のお酌でも頂き兼ねねえ。軍医の奥さんにお手のもので、
毒薬
(
いっぷく
)
装
(
も
)
られちゃ大変だ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
松茸の香を
芬
(
ぷん
)
とさせて、蛇の
茣蓙
(
ござ
)
と
称
(
とな
)
うる、裏白の葉を
堆
(
うずたか
)
く
装
(
も
)
った
大籠
(
おおかご
)
を
背負
(
しょ
)
ったのを、一ツゆすって通過ぎた。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恐しいといって
身震
(
みぶるい
)
をしやあがって、コン畜生、その癖
俺
(
おいら
)
にゃあ三杯と
啜
(
すす
)
らせやがって、鍋底をまた
装
(
も
)
りつけたろう、どうだ、やい、もう
不可
(
いけ
)
ねえだろう。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
温泉
(
いでゆ
)
の
町
(
まち
)
の、
谿流
(
けいりう
)
について
溯
(
さかのぼ
)
ると、
双六谷
(
すごろくだに
)
と
言
(
い
)
ふのがある——
其処
(
そこ
)
に
一坐
(
いちざ
)
の
大盤石
(
だいばんじやく
)
、
天然
(
てんねん
)
に
双六
(
すごろく
)
の
目
(
め
)
の
装
(
も
)
られたのが
有
(
あ
)
ると
言
(
い
)
ふが、
事実
(
じじつ
)
か、と
聞
(
き
)
いたのであつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
色の黒い
小女
(
こおんな
)
が、やがて
漆
(
うるし
)
の
禿
(
は
)
げたやうな
装
(
なり
)
で、
金盥
(
かなだらい
)
に
柄
(
え
)
を附けたらうと思ふ、
大
(
おおき
)
な
十能
(
じゅうのう
)
に、
焚落
(
たきおと
)
しを、ぐわん、と
装
(
も
)
つたのと、片手に
煤
(
すす
)
けた
行燈
(
あんどう
)
に
点灯
(
とも
)
したのを提げて
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここの押絵のうちに、夫人が姿見のもとに、黒塗の蒔絵の
盥
(
たらい
)
を取って
手水
(
ちょうず
)
を引かるる一面がある。真珠を雪に包んだような、白羽二重で、
膚脱
(
はだぬぎ
)
の
御乳
(
おんち
)
のあたりを
装
(
も
)
ってある。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勿体
(
もったい
)
ない、一度先生が目を通して、綺麗に
装
(
も
)
ってあるのを、重箱のまま、
売婦
(
ばいた
)
とせせり
箸
(
ばし
)
なんぞしやあがって、弁松にゃ叶わないとか、何とか、薄生意気な事を言ったろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ふかし芋とこの店に並べてあった——村はずれの軒を道へ出て、そそけ髪で、紺の筒袖を
上被
(
うわっぱり
)
にした古女房が立って、小さな笊に、
真黄色
(
まっきいろ
)
な蕈を
装
(
も
)
ったのを、こう
覗
(
のぞ
)
いている。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
円く肩のはった、色の白い、人形の胴を切った形であったもことわり、天女が
賜
(
たま
)
う乳のごとく、恩愛の糸をひいて、
此方
(
こなた
)
の猪口に
装
(
も
)
られたのは、あわれ白酒であったのである。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
灰皿にも用いよう。が
希
(
ねがわ
)
くば、
竜涎
(
りゅうぜん
)
、
蘆薈
(
ろかい
)
、
留奇
(
とめき
)
の名香。
緑玉
(
エメラルド
)
、真珠、
紅玉
(
ルビイ
)
を
装
(
も
)
らせたい。
某国
(
なにがし
)
——公使の、その
一品
(
ひとしな
)
を
贈
(
おくり
)
ものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同時に、雨がまた迫るように、窓の黒さが風に動いて、
装
(
も
)
り上ったように見透かさるる市街に、暮早き電燈の影があかく立って、
銅
(
あかがね
)
の鍋は一つ一つ、稲妻に似てぴかぴかと光った。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(水銭をおくんな。)と豆を
装
(
も
)
ってならべてある
土器
(
かわらけ
)
の蔭から、丸々ッちい、幼い顔を出されて、懐を探るとない。
袂
(
たもと
)
に手を入れるとない。左にもない、帯の間にはもとよりない。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青葉の影の
射
(
さ
)
す処、白瀬戸の小鉢も結構な青磁の菓子器に
装
(
も
)
ったようで、志の美しさ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
でも定子さんがあっちゃ何だから、ちょいと一服モルヒネでも
装
(
も
)
りましょうか、手のもんでわけなしだって、
洒落
(
しゃれ
)
にもいっている人だから、すぐに味方して、血判をしてくれます。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紫
(
し
)
たんの
角
(
かく
)
の茶盆の上には幾個の茶碗を
俯伏
(
うつぶ
)
せて、菓子を
装
(
も
)
りたる皿をも置けり。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとさき
路
(
みち
)
は歩いたり、中の馬車も人の
出入
(
ではいり
)
、半月ばかりの
旱
(
ひでり
)
続きで
熱
(
や
)
けた砂を
装
(
も
)
ったような東京の
市街
(
まち
)
の一面に、
一条
(
ひとすじ
)
足跡を印して
過
(
よぎ
)
ったから、砂は浴びる、
埃
(
ほこり
)
はかかる、汗にはなる
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
襖
(
ふすま
)
左右に開きたれば、
厚衾
(
あつぶすま
)
重ねたる見ゆ。東に向けて
臥床
(
ふしど
)
設けし、
枕頭
(
まくらもと
)
なる皿のなかに、
蜜柑
(
みかん
)
と熟したる
葡萄
(
ぶどう
)
と
装
(
も
)
りたり。枕をば高くしつ。病める人は
頭
(
かしら
)
埋
(
うず
)
めて、
小
(
ちいさ
)
やかにぞ臥したりける。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一たびこのところ
決潰
(
けっかい
)
せむか、
城
(
じょう
)
の
端
(
はな
)
の町は
水底
(
みなそこ
)
の都となるべしと、人々の恐れまどいて、怠らず土を
装
(
も
)
り石を伏せて堅き堤防を築きしが、あたかも今の関屋少将の夫人姉上十七の時なれば
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
(
ひと
)
たびこのところ
決潰
(
けつかい
)
せむか、
城
(
じよう
)
の
端
(
はな
)
の町は
水底
(
みなそこ
)
の都となるべしと、人々の恐れまどひて、
怠
(
おこた
)
らず土を
装
(
も
)
り石を
伏
(
ふ
)
せて堅き堤防を築きしが、あたかも今の
関屋
(
せきや
)
少将の夫人姉上十七の時なれば
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
待つことしばらくして、盆で突き出したやつを見ると、
丼
(
どんぶり
)
がたった一つ。腹の
空
(
す
)
いた悲しさに、姐さん二ぜんと頼んだのだが。と
詰
(
なじ
)
るように言うと、へい、二ぜん分、
装
(
も
)
り込んでございますで。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
方二坪ばかり杉葉の暗い中にむくむくと
湧上
(
わきあが
)
る、清水に浸したのを
突
(
つき
)
にかけてずッと押すと、
心太
(
ところてん
)
の糸は白魚のごときその手に
搦
(
から
)
んだ。皿に
装
(
も
)
って、はいと来る。島野は口も着けず下に置いて
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
酒で崩して、
賭博
(
ばくち
)
を積み、いかさまの目ばかり
装
(
も
)
った、
己
(
おの
)
の名の
旅双六
(
たびすごろく
)
、花の
東都
(
あずま
)
を
夜遁
(
よに
)
げして、神奈川宿のはずれから、早や旅銭なしの食いつめもの、旅から旅をうろつくこと既にして三年
越
(
ごし
)
。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四五間しかないそうですが、泥水を
装
(
も
)
って川へ一時に推出して来た、見る間に
杭
(
くい
)
を浸して、早や橋板の上へちょろちょろと瀬が着く
騒
(
さわぎ
)
。大変だという内に、水足が来て足を
嘗
(
な
)
めたっていうんです。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己に毒薬を
装
(
も
)
らせたし、ばれかかったお道さんの一件を、穏便にさせるために、大奥方の計らいで、院長に
押附
(
おッつ
)
けたんだ。己と合棒の万太と云う、幼馴染の掏摸の
夥間
(
なかま
)
が、ちゃんと
材料
(
たね
)
を上げていら。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と茶碗に
堆
(
うずたか
)
く
装
(
も
)
ったのである。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“装”の意味
《名詞》
(ソウ)装い。
(ソウ)書物の体裁。
(出典:Wiktionary)
装
常用漢字
小6
部首:⾐
12画
“装”を含む語句
扮装
服装
装束
装飾
身装
衣装
行装
旅装
装填
装置
偽装
盛装
黒装束
形装
仮装
装立
装幀
艤装
装上
装釘
...