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かがや
ふりがな文庫
“
耀
(
かがや
)” の例文
一家の誰の眼も、にこやかに
耀
(
かがや
)
き、床の間に投げ入れた、
八重桜
(
やえざくら
)
が重たげな
蕾
(
つぼみ
)
を、静かに解いていた。まことに
和
(
なご
)
やかな春の
宵
(
よい
)
だった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大和
(
やまと
)
への旅に上る必要があったとすれば、それは少なくとも沖縄の島々において、多量多種に産出し、且つ極度に美しく
耀
(
かがや
)
かしかった
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
さしも遣る方無く
悲
(
かなし
)
めりし貫一は、その悲を
立
(
たちどこ
)
ろに抜くべき
術
(
すべ
)
を今覚れり。
看々
(
みるみる
)
涙の
頬
(
ほほ
)
の
乾
(
かわ
)
ける
辺
(
あたり
)
に、
異
(
あやし
)
く
昂
(
あが
)
れる
気有
(
きあ
)
りて青く
耀
(
かがや
)
きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それが優しい、褐色の、余り大きいとさえ云いたいような、余りきらきらする潤いが有り過ぎるような目の中から
耀
(
かがや
)
いて見える。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
『新著百種』は薄命なる才人三唖を暗黒なる生涯に送り出すと同時に天才露伴の『
風流仏
(
ふうりゅうぶつ
)
』を開眼して
赫灼
(
かくしゃく
)
たる前途を
耀
(
かがや
)
かした。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
面は火のように、眼は
耀
(
かがや
)
くように見えながら涙はぽろりと
膝
(
ひざ
)
に落ちたり。男は
臂
(
ひじ
)
を
伸
(
のば
)
してその
頸
(
くび
)
にかけ、我を忘れたるごとく
抱
(
いだ
)
き
締
(
し
)
めつ
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
御自分で知っていらっしゃるでしょうか? この頃全体暖く流れているものの中でも特別に
耀
(
かがや
)
く一寸したあなたの頭のうなずきがあるのを。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ぶるる、と強く首を振って、瞬間、真面目なひとみを
耀
(
かがや
)
かした。そして、一どに醒めたような酒気の名残の底でひそかに思う。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
照明弾の落ちて来る
耀
(
かがや
)
きで、ぱッと部屋の明るくなるたびに、私は座蒲団を頭からひっ冠り、寝ている妻の裾へひれ伏した。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ドストエフスキーの作などに描かれているように怒りや憎しみの裏を愛が流れ、争いや呪いのなかに純な善が
耀
(
かがや
)
くのである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そして
楼蘭
(
ろうらん
)
を中心とする一帯の発掘に
惨憺
(
さんたん
)
たる
辛苦
(
しんく
)
をなめた上に、更に楼蘭を起点とする古代支那路線をたずね、「塩の結晶の
耀
(
かがや
)
く
無涯
(
むがい
)
の
曠野
(
こうや
)
」
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
今日欧州諸国においてもクルップ砲といい、アームストロング
礮
(
ほう
)
といい、甲鉄艦といい、水雷火船といい、ただ一種国光を
耀
(
かがや
)
かすの装飾にして
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
きわめて僅かな時間に、眼のまわりに
暈
(
かさ
)
があらわれ、それが顔つきぜんたいに深い
陰翳
(
いんえい
)
を与えた。
眸子
(
ひとみ
)
は大きくなり、きびしい光を帯びて
耀
(
かがや
)
いた。
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
女は
何
(
な
)
にも云わずに眼を横に向けた。こぼれ梅を一枚の
半襟
(
はんえり
)
の
表
(
おもて
)
に掃き集めた
真中
(
まんなか
)
に、
明星
(
みょうじょう
)
と見まがうほどの
留針
(
とめばり
)
が
的皪
(
てきれき
)
と
耀
(
かがや
)
いて、男の眼を射る。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ステラが「仲間」の眼を惹いたのはしかしその船体によつてだけではなく、その名のとほり「星」のやうな船長の一人娘の
耀
(
かがや
)
きによつてでもあつた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
思わず三吉も喪心した人のように笑った。やがて馬車が出た。沈んだ日光は寒い車の上から彼の眼に映った。林の間は黄に
耀
(
かがや
)
いた。彼は眺め、かつ震えた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これこそ人文世界の
薄伽梵
(
ばかぼん
)
、
仏世尊
(
ぶつせそん
)
の誕生である。かくして
耀
(
かがや
)
かしい学芸の創造と興隆が現世に約束される。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
蒼白い死の色の漂うなかに鉢植えの
雞頭
(
けいとう
)
の花ばかりが燃えさかる生の色をめざましく日光に
耀
(
かがや
)
かしている。
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「そうですか。そんならあなたの考えている所を、遠慮なく僕に話して聞かせて貰いたいのですがねえ」純一は大きい涼しい目を
耀
(
かがや
)
かして、大村の顔を仰ぎ見た。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
政治しばしば
革
(
あらたま
)
るといえども、その文運はいぜんたるのみならず、騒乱の際にも、日に増し月に進み、文明を世界に
耀
(
かがや
)
かしたるは、ひっきょう、その文学の独立せるがゆえならん。
学校の説:(一名、慶応義塾学校の説)
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そうして宅へ帰ったら瓦が二、三枚落ちて壁土が少しこぼれていたが、庭の
葉鶏頭
(
はげいとう
)
はおよそ天下に何事もなかったように
真紅
(
しんく
)
の葉を
紺碧
(
こんぺき
)
の空の光の下に
耀
(
かがや
)
かしていたことであった。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お銀の目には、以前男のことを話す時見せたような
耀
(
かがや
)
きも熱情の影も見られなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
更には現在の
耀
(
かがや
)
ける大衆作家諸君の小説、それ等を検べても解るように、我国には西洋に於ける歴史小説の標準より観察して、歴史小説なるものの水準に達した作品は無いのである。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
自分の恋しい女が燈火のもとにいて、嬉しそうににこにこしていた時の、何ともいえぬ美しく
耀
(
かがや
)
くような
現身
(
うつせみ
)
即ち
体
(
からだ
)
そのものの女が、今おもかげに立って来ている、というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
焔
(
ほのお
)
のようにキラキラと照り
耀
(
かがや
)
き、その満々と水を
湛
(
たた
)
えた球形の玻璃瓶を貫いて、太陽の光線は一層強烈となり、机の上に置かれた火繩銃の上に、世にも怖ろしい
呪
(
のろい
)
の焦点を作り初めた。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが日本海と格別ちがつたこの
冬
(
ふゆ
)
眞中
(
まなか
)
にさへ暖かく明るい大洋も、あのわたしが三十何年まへ山裾の城下
市
(
まち
)
から、十何里はなれた港へゆく途中、うまれて初めて見た
耀
(
かがや
)
かしいばかり綺麗な
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
と思うとやがてその輪郭が輝き出して、目も向けられないほど
耀
(
かがや
)
いたが、すっと惜しげもなく消えてしまって、葉子は自分のからだが
中有
(
ちゅうう
)
からどっしり大地におり立ったような感じを受けた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
夢のように
彷徨
(
さまよ
)
い、また消えようとするとき、二、三分の間、雪の高嶺に、鮮やかな光が
這
(
は
)
って、山の三角的
天辺
(
てっぺん
)
が火で洗うように
耀
(
かがや
)
く、山は自然の心臓から
滴
(
た
)
れたかと思う純鮮血色で一杯に染まる
雪の白峰
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
おそらく心からの微笑が
私
(
わたし
)
の満面を揺り
耀
(
かがや
)
かしていたことと思う。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
此上のない
耀
(
かがや
)
きがお目に触れるようにしてくれ。9345
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
舞台一面、
耀
(
かがや
)
く緑の
木洩日
(
こもれび
)
に
充
(
み
)
ち
溢
(
あふ
)
れている………
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
耀
(
かがや
)
いた未来の外は夢にも想像に浮ぶまい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
チラチラ
耀
(
かがや
)
く黒玉や、真珠母や
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
光り
耀
(
かがや
)
くような街でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
覆盆子
(
いちご
)
のまみは
耀
(
かがや
)
きぬ。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
鼻の
辺
(
あたり
)
に
薄痘痕
(
うすいも
)
ありて、口を
引窄
(
ひきすぼ
)
むる癖あり。歯性悪ければとて常に
涅
(
くろ
)
めたるが、かかるをや
烏羽玉
(
ぬばたま
)
とも
謂
(
い
)
ふべく
殆
(
ほとん
)
ど
耀
(
かがや
)
くばかりに
麗
(
うるは
)
し。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
またこんなに美しく照り
耀
(
かがや
)
く宝貝が、何故に近世久しい間、これを緒に貫いて頸に掛けられることなしに、過ぎていたかということである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
炬燵布団にぐったり頬をもたせ、眼の端から良人の仕業を見ていたみや子は、深紅色の珍しい皿の
耀
(
かがや
)
きに頭を擡げた。彼女は良人に注意した。
伊太利亜の古陶
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
憂愁を
湛
(
たた
)
えた清らかな
眼差
(
まなざし
)
は、細く
耀
(
かがや
)
きを帯びて空中を見ていたが、栖方を見ると、つと美しい視線をさけて
外方
(
そっぽ
)
を向いたまま動かなかった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
十二
間
(
けん
)
四面の新しい木の香にかがやいている
伽藍
(
がらん
)
には、紫の幕が張りまわされ、開かれた内陣の
御扉
(
みとびら
)
には、おびただしい灯りが
耀
(
かがや
)
いて見える。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛は堅きものを
忌
(
い
)
む。すべての硬性を
溶化
(
ようか
)
せねばやまぬ。女の眼に
耀
(
かがや
)
く光りは、光りそれ
自
(
みず
)
からの
溶
(
と
)
けた姿である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは
乞食
(
こじき
)
のように哀れな身の上であったり、王姫のように
耀
(
かがや
)
かしい生活であったりするが、どっちにしてもそういう空想のほうが現実よりなまなましく
合歓木の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただその敵愾の本領に至っては、少しも変ずることなく、いわゆる侵略主義を以て、国権を外に
耀
(
かがや
)
かし、弱を撃ちて強に及ぶの策を執りしや、火を
睹
(
み
)
るよりも明らけし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
日が丁度一ぱいに差して来て、七つの杯はいよいよ
耀
(
かがや
)
く。七条の銀の
蛇
(
へび
)
が泉を繞って
奔
(
はし
)
る。
杯
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
沈んだ日光は、寒い車の上から、私の眼に映った。林の間は黄に
耀
(
かがや
)
いた。私は眺め、かつ震えた。小諸の
寓居
(
ぐうきょ
)
へ帰ってからも、私はそう
委
(
くわ
)
しいことを家のものに話して聞かせなかった。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
狂乱に近い画家の精神が一種の自爆性を帯びて激しく発散する。いかなる
怒濤
(
どとう
)
にも
滅
(
ほろぼ
)
されまいとする情意の熱がそこに
眩
(
まばゆ
)
いばかりの
耀
(
かがや
)
きを放って、この海景の気分をまとめようとあせる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
長崎の
商人
(
しやうにん
)
としてゐる
Lessner
(
レスナー
)
も
Cohn
(
コーン
)
も
耀
(
かがや
)
く
法服
(
ほふふく
)
を
著
(
き
)
つ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
簪纓
(
しんえい
)
を
抛
(
なげう
)
ち棄て、
耀
(
かがや
)
ける家柄をも離れ、木の端、竹の
片
(
きれ
)
のような
青道心
(
あおどうしん
)
になって、寂心の
許
(
もと
)
に走り、其弟子となったのは、これも因縁
成熟
(
じょうじゅく
)
して其処に至ったのだと云えば、それまでであるが
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
小野田はそこを出てお島の傍へ来ると、打算的の目を
耀
(
かがや
)
かして
訊
(
たず
)
ねた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
流れかね
耀
(
かがや
)
きの輪を水つくるそこに野菜を洗へり
真青
(
まさを
)
に
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
耀
漢検準1級
部首:⽻
20画
“耀”を含む語句
赫耀
栄耀
光耀
栄耀栄華
目耀
榮耀
耀光
眩耀
炫耀郷
晃耀
閃耀
黒耀石
御栄耀
耀々
耀変
輝耀
隆文耀
電光晃耀
赤耀館
費耀
...