伊太利亜の古陶イタリアのことう
晩餐が終り、程よい時が経つと当夜の主人である高畠子爵は、 「どれ——」 と云いながら客夫妻、夫人を見廻し徐ろに椅子をずらした。 「書斎へでもおいで願いますかな」 「どうぞ……」 卓子の彼方の端から、古風な灰色の装で蝋のような顔立ちの夫人が軽 …