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羨
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うらやま
ふりがな文庫
“
羨
(
うらやま
)” の例文
「そうだろうそうだろう、自分の想像だが、大活躍しとるらしいな、
羨
(
うらやま
)
しいよ、じっさい、そのうち家へ遊びに来んか、じゃあ失敬!」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
として笑い直せたのです。然し私は変にそれが云えなかったのです。そして健康な感情の均整をいつも失わないOを
羨
(
うらやま
)
しく思いました。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
自我の利欲に目の
眩
(
くら
)
む必要がある。少くとも古来より聖賢の教えた道を
蔑
(
ないがしろ
)
にする必要がある。生活難を
謳
(
うた
)
える人よ。私は諸君が
羨
(
うらやま
)
しい。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
単に金持が
羨
(
うらやま
)
しいんじゃない。形は違うが、一つああいう風の事業をやろうと云うのを見当としてそんな方面にも走った事がある。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
従妹
(
いとこ
)
たちがどの様に
羨
(
うらやま
)
しがるだらう、折角美事に出来て居るものだから惜しいけれど是非二三本は
掻
(
か
)
いて
御馳走
(
ごちそう
)
せねばなるまいなどと。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
▼ もっと見る
住むにも、食うにも——
昨夜
(
ゆうべ
)
は城のここかしこで、早い蛙がもう鳴いた、歌を唄ってる虫けらが、およそ
羨
(
うらやま
)
しい、と云った場合。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうちにも入道の日常の修行を見ていると、世の栄華も離れ、真理の探究にいそしむ生活の底知れぬ深さに、
羨
(
うらやま
)
しさを抱くのであった。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
澤は逃げるように、視線をそらすと、そこには老犬が疲れた形で長々と寝そべっていた。ふと、畜類の身の上が
羨
(
うらやま
)
しく思われた。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
東儀与力は、自分より若い
羅門塔十郎
(
らもんとうじゅうろう
)
が、そんな自由な境遇にあって、大名の信望までかち得ている身分を
羨
(
うらやま
)
しいものに思った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まア! 何云つてるのよ。何が
羨
(
うらやま
)
しいの? こんな暮しの何処が羨しいの? あなたは次々に云ふ事が変つてゆく人なのね?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
それでもその絵具をぬると、下手な絵さえがなんだか見ちがえるように美しく見えるのです。僕はいつでもそれを
羨
(
うらやま
)
しいと思っていました。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
晴れ着の背に送られた蕃婦の
羨
(
うらやま
)
しそうな視線を意識しながら、妻君は急ぎの脚をふりむきもしないで、
浮
(
うわ
)
ついた調子に答える。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
海鼠
(
なまこ
)
の氷ったような他人にかかるよりは、
羨
(
うらやま
)
しがられて
華麗
(
はなやか
)
に暮れては明ける実の娘の月日に添うて墓に入るのが順路である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また当時の民間では、七重の衣という言葉さえ
羨
(
うらやま
)
しい程のものであっただろうから、こういう云い方も伝わっているのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私たちは
羨
(
うらやま
)
しいので、
囃
(
はや
)
し立てゝ見送りました。女の子たちは
嬉
(
うれ
)
しさうに、手を挙げたり、おじぎをして出て行きました。
先生と生徒
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
浜子のいる時分、あんなに
羨
(
うらやま
)
しく見えた新次が今ではもう自分と同じ継子だと思うと、何か小気味よかったのでしょうか。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
しかも、そのあいだ、はにかみ屋の田舎娘たちはおずおずしてうしろのほうにかくれ、彼のすぐれた上品さや応対ぶりを
羨
(
うらやま
)
しがっていたのである。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
しかし二人の侍は、こんな卑しい
木樵
(
きこり
)
などに、まんまと鼻をあかされたのですから、
羨
(
うらやま
)
しいのと、
妬
(
ねた
)
ましいのとで、腹が立って仕方がありません。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私を呼んでいるのではないけれども、いまのあの子に泣きながら
慕
(
した
)
われているその「おねえちゃん」を
羨
(
うらやま
)
しく思うのだ。
女生徒
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
新平はもう寺を自分のものにしたようなつもりで、
大鉈
(
おおなた
)
を
一打
(
ひとうち
)
腰
(
こし
)
にぶち
込
(
こ
)
んだだけで、
羨
(
うらやま
)
しがる若者どもを
尻目
(
しりめ
)
にかけながら山の寺へ出かけて行った。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
「お許婚の方をお連れになり、敵討の旅枕、ホ、ホ、ホ、お芝居のようで、いっそお
羨
(
うらやま
)
しゅうございますこと……」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「見合い」の件があることを
慮
(
おもんぱか
)
って、博多の袋帯に暑苦しさを
怺
(
こら
)
えながら、悦子と大して変らないような子供っぽい簡単服を着ている妙子を
羨
(
うらやま
)
しがった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
羨
(
うらやま
)
しいはこの絵すがたじゃ。たとえ此の身が老いさらばう時が来ても描かれたすがたに、変りはないのだ——」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
……故郷の山の中で一生を
契
(
ちぎ
)
り合ったひとと二人っきりで瓜を作る。……いいな。
羨
(
うらやま
)
しい生活だ。幸福な余生だ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
何が笑うべきものか、何が憎むに値するものか、一切知らぬ
上﨟
(
じょうろう
)
には、唯常と変った皆の姿が、
羨
(
うらやま
)
しく思われた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
どんな階級の人にも、一年に二週間か三週間かの休暇がとれるというと、日本では無条件に
羨
(
うらやま
)
しがる人が多い。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
彼は
揉
(
も
)
みあげを短く刈つて、女の
羨
(
うらやま
)
しがるほどの、癖のない、たつぷりした長い髪を、いつも油で後ろへ撫であげ、いかに
田舎
(
ゐなか
)
の家がゆつたりした財産家で
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
武「
酒家
(
さけのみ
)
は妙なものだな、酒屋の前を通ってぷーんと酒の
香
(
におい
)
が致すと飲み
度
(
た
)
くなる、
私
(
わし
)
も同じく
極
(
ごく
)
嗜
(
すき
)
だが、貴様が飲んで
居
(
い
)
る処を見ると何となく
羨
(
うらやま
)
しくなる」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして、
落胆
(
がつかり
)
して、悲観してゐる欣之介に対しても
寧
(
むし
)
ろ「君などは身体がいゝんだから、これからだつて何をしようとも好きだ。」と云つて
羨
(
うらやま
)
しがつてゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
「子供が四人は
羨
(
うらやま
)
しいなあ。動物園の獅子さえ子を生むそうだから僕のところも京都へ越して来ようか知ら」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そこへ行くと、堅気さんの女は
羨
(
うらやま
)
しいねえ。親がきめてくれる、生涯ひとりの男を持って、何も迷わずに子供を
儲
(
もう
)
けて、その子供の世話になって死んで行く」
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
このとおり、何でもない場面を描いてあるのだが、伯爵としては、この二人の気楽さと法悦にひたっていることが非常に
羨
(
うらやま
)
しく、そして心の慰めとなるのだった。
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今まで、美しいと思った御自慢の御器量も、
羨
(
うらやま
)
しいと思った
華麗
(
はで
)
な
御風俗
(
おみなり
)
も、奥様の身に附いたものは一切卑す気に成りました。怒の情は今までの心を振い落す。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それで日本人の考えに文学というものはまことに気楽なもののように思われている。山に引っ込んで文筆に従事するなどは実に
羨
(
うらやま
)
しいことのように考えられている。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
ただ
萎
(
しな
)
びて居るだけである……。彼は太鼓のひびきに耳を傾けて、その音の源の周囲をとりかこんで居るであらう元気のいい若者たちを、
羨
(
うらやま
)
しく眼前に描き出した。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
ぼくはこんなにテキパキあなたに話ができる川北氏が
羨
(
うらやま
)
しかった。ぼくには、
悔恨
(
かいこん
)
と
憧憬
(
どうけい
)
しかない。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして
鶴嘴
(
つるはし
)
のさきがチラッ、チラッと青白く光って、手元が見えなくなるまで、働かされた。近所に建っている監獄で働いている囚人の方を、皆はかえって
羨
(
うらやま
)
しがった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「何うだ、全盛だろう。」と、
一寸
(
ちょっと
)
得意そうな顔をした。そして譲吉を可なりに
羨
(
うらやま
)
しがらせた。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼女が彼と
屡々
(
しばしば
)
銀座を歩いて居る所を人々は見たのです。又、或る大政治家の息子で文学好きな青年は、
度々
(
たびたび
)
彼女と共に劇場に姿を現わして、多くの人々を
羨
(
うらやま
)
しがらせました。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
田舎
(
いなか
)
での御生活は、どこやら
不如意
(
ふにょい
)
なようでいて、充実されたものであろうと、お
羨
(
うらやま
)
しくぞんじます。あなたのお体にもよし、御家庭にもしみじみとした味の出た事と存じます。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
腕まである長い手袋をはめて、頭は頂の辺が薄くなっているので、日が照ると
手拭
(
てぬぐい
)
を乗せるのでした。西洋婦人の帽子が
羨
(
うらやま
)
しいといわれました。そして小さな草まで抜かれます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
羨
(
うらやま
)
しがられる為に在る事を自ら意識している様な男性女性に会う事もあるが、其とても活世間という一つの活舞台の中では、おのずから
活
(
い
)
きた事情にとりまかれて、壁上にかかり
人の首
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
もし地を
替
(
か
)
えて、同じ詩を日本人が書き、これを日本の新聞か雑誌かに掲げたなら、
如何
(
いか
)
なる非難を受けるかと思えば、僕はかえって隣邦米人の心持の広きを
羨
(
うらやま
)
しく思うのである。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「お
羨
(
うらやま
)
しいお手の内で御座いました。お蔭様でこの街道の難儀がなくなりまして……」
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
続いてまた二
尾
(
ひき
)
、同じようなのが
鉤
(
はり
)
に来た。少年は
焦
(
あせ
)
るような緊張した顔になって、
羨
(
うらやま
)
しげに、また少しは自分の鉤に何も来ぬのを悲しむような心を蔽いきれずに自分の方を見た。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
銀子は袖かき合はせて傾聴しつ「——梅子さん、
貴嬢
(
あなた
)
ほんとに幸福ネ——
私
(
わたし
)
羨
(
うらやま
)
しいワ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「あの泥坊が
羨
(
うらやま
)
しい」二人の間にこんな言葉が
交
(
かわ
)
される程、
其頃
(
そのころ
)
は
窮迫
(
きゅうはく
)
していた。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私は時々立つて障子を開けて、向ひ側の陽のよくあたる明るい部屋部屋を上から下まで、
羨
(
うらやま
)
しさうに眺めやつた。広い縁側の長椅子の上に長々と横になつてゐる人間たちを眺めやつた。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
江戸
(
えど
)
から
来
(
き
)
ている
小供
(
こども
)
はそれが
羨
(
うらやま
)
しくて
耐
(
たま
)
らなかったものでございましょう、
自分
(
じぶん
)
では
泳
(
およ
)
げもせぬのに、
女中
(
じょちゅう
)
の
不在
(
るす
)
の
折
(
おり
)
に
衣服
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
いで、
深
(
ふか
)
い
水溜
(
みずたまり
)
の
一
(
ひと
)
つに
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだから
耐
(
たま
)
りませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
藤村も
宗祇
(
そうぎ
)
や芭蕉と同じように自庵では死なないで、ずっと広い世界に
涯
(
はてし
)
ない旅をつづけている、死んで永遠に生きるのである。それをおもえばよい死かたをしたものと、
羨
(
うらやま
)
しくもある。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
羨
常用漢字
中学
部首:⽺
13画
“羨”を含む語句
羨望
可羨
御羨
物羨
健羨
艶羨
欣羨
羨怨
気羨
遠羨
羨道
羨渓
羨涎
羨殺
羨望者
羨敷
乗羨
歆羨
欽羨
御羨敷
...