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等閑
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なほざり
ふりがな文庫
“
等閑
(
なほざり
)” の例文
しかしてかくいたく
劣
(
おと
)
りて見ゆる分のわれらに與へられたるは、われら誓ひを
等閑
(
なほざり
)
にし、かつ缺く處ありしによるなり。 五五—五七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
同時に又創作の上から云へば、菊池の小説は菊池の気質と切り離し難い物である あの粗は決して
等閑
(
なほざり
)
に書き流した結果然るのではない。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ロレ はれ、それは
物怪
(
もっけ
)
の
不運
(
ふうん
)
の!
眞實
(
しんじつ
)
、
重大
(
ぢゅうだい
)
な
容易
(
ようゐ
)
ならぬ
用向
(
ようむき
)
の
其
(
その
)
書面
(
しょめん
)
、それが
等閑
(
なほざり
)
になった
上
(
うへ
)
は、どのやうな一
大事
(
だいじ
)
が
出來
(
でけ
)
うも
知
(
し
)
れぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
出して富右衞門に見せければ元來
篤實
(
とくじつ
)
の富右衞門なれば以ての外に驚き是は
等閑
(
なほざり
)
に致し難しと言つゝ此事を主人平兵衞に
咄
(
はな
)
しけるに平兵衞は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
定めて
若氣
(
わかげ
)
の短慮とも、當座の
上氣
(
じやうき
)
とも聞かれつらんこそ口惜しけれ、言はば一生の浮沈に
關
(
かゝは
)
る大事、時頼不肖ながらいかでか
等閑
(
なほざり
)
に思ひ候べき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
▼ もっと見る
勿體なくも征夷大將軍、源氏の棟梁のお姿を刻めとあるは、職のほまれ、身の面目、いかでか
等閑
(
なほざり
)
に存じませうや。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さりながら
人気
(
じんき
)
の
奴隷
(
どれい
)
となるも
畢竟
(
ひつきやう
)
は
俗物
(
ぞくぶつ
)
済度
(
さいど
)
といふ
殊勝
(
しゆしよう
)
らしき
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
があれば
強
(
あなが
)
ち
無用
(
むよう
)
と
呼
(
よ
)
ばゝるにあらず、
却
(
かへつ
)
て
之
(
こ
)
れ
中々
(
なか/\
)
の
大事
(
だいじ
)
決
(
けつ
)
して
等閑
(
なほざり
)
にしがたし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
容態が思はしくない間は、誰れしも警戒しますが、少し
快
(
よ
)
くなるとついお調子に乗つて瑣細なことを
等閑
(
なほざり
)
にして、そのために飛んだ
失敗
(
しくじり
)
を引きおこし易いものです。
〔婦人手紙範例文〕
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
浴
(
ゆあみ
)
すれば、
下立
(
おりた
)
ちて
垢
(
あか
)
を流し、出づるを待ちて
浴衣
(
ゆかた
)
を着せ、鏡を
据
(
すう
)
るまで、お静は
等閑
(
なほざり
)
ならず手一つに扱ひて、数ならぬ
女業
(
をんなわざ
)
の
効無
(
かひな
)
くも、身に
称
(
かな
)
はん程は貫一が為にと
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
夫婦の色はとみに解けて、二言といはぬに何事も、呑込顔の追従笑ひ。槌で庭掃くまでこそなけれ、夫婦が手と手を箒代はり、奥の一間を片付けて、
等閑
(
なほざり
)
ならずもてなすにぞ。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
一旦
等閑
(
なほざり
)
にされた私は豐田さんの方へ引移つて、思はぬ深切と温い心とを見つけたのです。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この客が
逗
(
とま
)
つてゐる間は、毎晩あなたも客間に來るのですよ。これは私の希望です。
等閑
(
なほざり
)
にしてはいけませんよ。さあ、もういらつしやい。アデェルの方はソフィイを
寄越
(
よこ
)
して下さい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
上草履
(
うはざうり
)
の
爪前
(
つまさき
)
細
(
ほそ
)
く
嬝娜
(
たをやか
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けた、
年若
(
としわか
)
き
夫人
(
ふじん
)
が、
博多
(
はかた
)
の
伊達卷
(
だてまき
)
した
平常着
(
ふだんぎ
)
に、お
召
(
めし
)
の
紺
(
こん
)
の
雨絣
(
あまがすり
)
の
羽織
(
はおり
)
ばかり、
繕
(
つくろ
)
はず、
等閑
(
なほざり
)
に
引被
(
ひつか
)
けた、
其
(
そ
)
の
姿
(
すがた
)
は、
敷詰
(
しきつ
)
めた
絨氈
(
じうたん
)
の
浮出
(
うきい
)
でた
綾
(
あや
)
もなく
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
しと
突
(
つ
)
く
手
(
て
)
慇懃
(
いんぎん
)
なり、
此
(
この
)
ほどはお
不快
(
ふくわい
)
と
承
(
うけたまは
)
りしが、
最早
(
もはや
)
平日
(
へいじつ
)
に
返
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひしか、お
年輩
(
としごろ
)
には
氣欝
(
きうつ
)
の
病
(
やま
)
ひの
出
(
で
)
るものと
聞
(
き
)
く、
例
(
れい
)
の
讀書
(
どくしよ
)
は
甚
(
はなは
)
だわろし、
大事
(
だいじ
)
の
御身
(
おんみ
)
等閑
(
なほざり
)
におぼしめすなと
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
先
(
さき
)
の細君のマドレエヌが自分の部屋から出て来て「モリエエルよ、
貴方
(
あなた
)
の天才を
等閑
(
なほざり
)
にして下さるな。
貴方
(
あなた
)
の詩才は
笑
(
わらひ
)
の神だ。世界は其れに
楽
(
たのし
)
まされる。
貴方
(
あなた
)
の天職を沮喪させては成らない」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
世の
聵々
(
くわい/\
)
者
(
しや
)
流
(
りう
)
は、之を偶然に歸するが、實は精の功これをして然るを得せしめたので、學に精に、思に精に、何事にもゾンザイならず、
等閑
(
なほざり
)
ならざる習慣の、其の人の身に存し居りたればこそ
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「日本橋」の發送も勿論惡氣は無いが
等閑
(
なほざり
)
にされてゐたのに違ひ無い。
貝殻追放:011 購書美談
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ことににくきは日光が
等閑
(
なほざり
)
になすりつけたる
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
等閑
(
なほざり
)
なる事も、無きにあらず。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
等閑
(
なほざり
)
の箱
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
されど第一月が、世にかの百
分
(
ぶ
)
一の
等閑
(
なほざり
)
にせらるゝため、全く冬を離るゝにいたらざるまに、諸〻の天は鳴轟き 一四二—一四四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
日向守へ申
聞
(
きけ
)
れば
此
(
こ
)
は
等閑
(
なほざり
)
ならぬ事なりとて又も
御城代
(
ごじやうだい
)
堀田
相摸守殿
(
さがみのかみどの
)
へ申上らるれば
左樣
(
さやう
)
の儀ならば
是非
(
ぜひ
)
なし御城代
屋敷
(
やしき
)
へ
呼寄
(
よびよせ
)
對面
(
たいめん
)
せんと再び堀片岡の兩人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
予
(
われ
)
將
(
は
)
た
汝等
(
おぬしら
)
の
確執
(
なかたがひ
)
を
等閑
(
なほざり
)
に
視過
(
みすご
)
したる
罪
(
つみ
)
によって、
近親
(
うから
)
を
二人
(
ふたり
)
までも
失
(
うしな
)
うた。
御罰
(
ごばつ
)
に
漏
(
も
)
れたる
者
(
もの
)
はない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
夫れ
台所
(
だいどころ
)
に於ける
鼠
(
ねづみ
)
の
勢力
(
せいりよく
)
の
法外
(
はふぐわい
)
なる
飯焚男
(
めしたきをとこ
)
が
升落
(
ますおと
)
しの
計略
(
けいりやく
)
も更に
討滅
(
たうめつ
)
しがたきを思へば、
社会問題
(
しやくわいもんだい
)
に
耳
(
みゝ
)
傾
(
かたむ
)
くる人いかで此
一町内
(
いつちやうない
)
百「ダース」の
文学者
(
ぶんがくしや
)
を
等閑
(
なほざり
)
にするを
得
(
う
)
べき。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
お峯は又一つ取りて
剥
(
む
)
き始めけるが、心進まざらんやうにナイフの
運
(
はこび
)
は
愈
(
いよい
)
よ
等閑
(
なほざり
)
なりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
あゝ善を行ふにあたりて
微温
(
ぬるみ
)
のためにあらはせし
怠惰
(
おこたり
)
と
等閑
(
なほざり
)
を恐らくは今強き熱にて償ふ民よ 一〇六—一〇八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
否々少しにても疵は
大切
(
たいせつ
)
なり
自然
(
しぜん
)
等閑
(
なほざり
)
て
波傷風
(
はしやうふう
)
にもならば容易ならず先兎も角も先刻の茶屋迄
御同道
(
ごどうだう
)
申ての事なりサア
遠慮
(
ゑんりよ
)
に及ばず
此駕籠
(
このかご
)
に
乘
(
のら
)
れよと今惡漢どもの
置去
(
おきざ
)
りにせし駕籠を
引寄
(
ひきよせ
)
浪人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いと堅き家の守とかつは
等閑
(
なほざり
)
ならず
念
(
おも
)
ひにけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
またこの目には左右に
等閑
(
なほざり
)
の壁ありき、聖なる
微笑
(
ほゝゑみ
)
昔の網をもてかくこれを己の許に引きたればなり 四—六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
“等閑”の意味
《名詞》
いい加減にすること。なおざりにすること。
《動詞》
なおざりにする。
(出典:Wiktionary)
等
常用漢字
小3
部首:⽵
12画
閑
常用漢字
中学
部首:⾨
12画
“等閑”で始まる語句
等閑視