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気障
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きざ
ふりがな文庫
“
気障
(
きざ
)” の例文
旧字:
氣障
「そう判って居るだけ感心よ。サア、物わかりの良い坊ちゃんは、こんな
気障
(
きざ
)
に筋書を書くものじゃない、黙って
私
(
わたし
)
を帰らして頂戴」
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
百人に一人位
真摯
(
まじめ
)
なものもあるかも知れないが、大抵は卒業すると直ぐ
気障
(
きざ
)
な
扮装
(
なり
)
をして新聞受売の経済論や株屋の
口吻
(
くちまね
)
をしたがる。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
まして、「いま何時」——「今かい、今はね」と考へて、「零時…二十三分…十秒」などの
気障
(
きざ
)
さ加減に至つては鼻持ちがならぬ。
時計とステッキ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
氏の何より嫌ったのは、偽善家、氏の好意と寛大とにつけ込んであくどく利益を貪ろうとする人物、
気障
(
きざ
)
な人間嘘
吐
(
つ
)
き等であった。
名古屋の小酒井不木氏
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ふふ、京伝という男、もうちっと
気障
(
きざ
)
気たっぷりかと思ったら、それ程でもなかった。あの
按配
(
あんばい
)
じゃ、少しは面倒を見てくれるだろう。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
「だいぶ、
気障
(
きざ
)
なセリフがまじるようだが、では、あなたは芳太郎が無実だという、たしかな証拠をにぎっているとでも言うのか」
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
門を出て右へ曲ると、智恵子は
些
(
ちよつ
)
と学校を振返つて見て、『
気障
(
きざ
)
な
男
(
ひと
)
だ。』と心に言つた。故もない
微笑
(
ほほゑみ
)
がチラリと口元に漂ふ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
理想だのと歯の浮くような
気障
(
きざ
)
な事を言って、とうとう、あの花嫁の役まで演じなければならなくなり、ずいぶんつらい思いをしました。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
俺の生活はそんなに空虚ではない、またこんな
気障
(
きざ
)
な言葉に価するほど俺の日々は安価でもない。……が然し淡い……そうだ、淡い日々だ。
過渡人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
……憎ければとて、浅ましければとて、
気障
(
きざ
)
なればとて、たとい
仇敵
(
かたき
)
なればと申して、約束はかえられませぬ、誓を破っては相成りませぬ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お絹は、その手つきを冷笑気分で見ていましたが、そう思って見るせいか、七兵衛の金を蔵う手つきまでが堪らなく
気障
(
きざ
)
です。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もしわれらの如き文学者にしてかくの如き事を口にせば文壇は
挙
(
こぞ
)
って
気障
(
きざ
)
な
宗匠
(
そうしょう
)
か何ぞのように
手厳
(
てひど
)
く
擯斥
(
ひんせき
)
するにちがいない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
最初はけば/\しい新屋根が
気障
(
きざ
)
に見えたが、数年の風日は一を
燻
(
くす
)
んだ紫に、一を
淡褐色
(
たんかっしょく
)
にして、あたりの景色としっくり調和して見せた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
事もなげな
気障
(
きざ
)
な調子で、あたかも書物、というよりむしろ新聞の論説のようだった——(彼は新聞の論説なんかをうんとつめ込んでいた。)
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
握られちゃった。言い分が
気障
(
きざ
)
じゃないの、お嬢さまのおてては何ておつめたいんですと来た、あたい怖くなって、さよならと言って降りたわ。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
天下の存在であるかのような
口吻
(
こうふん
)
を
洩
(
も
)
らして私に
堪
(
たま
)
らなく
気障
(
きざ
)
な思いをさせ、また相当
曰
(
いわ
)
くつきらしい女客達が麻川氏を囲んで大柄に
坐
(
すわ
)
りこみ
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今の令嬢の話に出て来た通りの、いやにノッペリした
気障
(
きざ
)
な野郎だが、そいつの手に
UTA
(
ウータ
)
が渡っているんだから
冗
(
くど
)
いようだが偶然は恐ろしい。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「およしよ! 聞きたくもない」とお光は
気障
(
きざ
)
がって、「だけど、芸者が何で金さんのとこへ来たと思ったんだろう!」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
凡そ何が
気障
(
きざ
)
だつて、思はせ振りの、涙や、煩悶や、真面目や、熱誠ほど
気障
(
きざ
)
なものはないと自覚してゐる。
兄
(
あに
)
には其辺の消息がよく
解
(
わか
)
つてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
伸子は、言葉に出すと
気障
(
きざ
)
なようで、その二輪の黄がかった鮭肉色の薔薇が、その背景あってこそどのように風情に富んでいるか説明できなかった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
気紛
(
きまぐ
)
れにこの土地へ
御輿
(
みこし
)
を
舁
(
かつ
)
ぎ込んだものだったが、銀子がちょっと
気障
(
きざ
)
ったらしく思ったのは、いつも
折鞄
(
おりかばん
)
のなかに入れてあるく
写真帖
(
しゃしんちょう
)
であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
真
(
まこと
)
に宣伝上手な奥さんだと思った。御主人の
惚気
(
のろけ
)
まで言っている。官邸だの次官だの局長だのと
気障
(
きざ
)
の限りである。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お才は美しき
眉
(
まゆ
)
の根ピクリ
顰
(
ひそ
)
めつ「チヨツ、松島の海軍だつて言はぬばかりの
面
(
つら
)
して、ほんとに
気障
(
きざ
)
な奴サ——其れに又た花ちやんも
何
(
ど
)
うしたんだネ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかし際立って立派な紅顔の美少年でありながら、
己惚
(
うぬぼれ
)
らしい、
気障
(
きざ
)
な態度がないのにお玉は気が附いて、何とはなしに懐かしい人柄だと思い
初
(
そ
)
めた。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何もお前さんに未練を残して帰りたいなんてえ了簡は無いよ、然んな未練な事を云うと
気障
(
きざ
)
が見えて
耐
(
たま
)
らないよ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こんな
馬鹿
(
ばか
)
げたものだったのか?
奴等
(
やつら
)
はみんな虚栄心とおべっかと
己惚
(
うぬぼ
)
れと、
気障
(
きざ
)
の集団じゃないか?———
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
他人に在っては
気障
(
きざ
)
や
滑稽
(
こっけい
)
に見えるこのような事が、(このような遺言や、その他、数々の奇行奇言などが)
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
気障
(
きざ
)
な野郎だと思いながら、半七もそのまま通り過ぎたが、よほど行き過ぎてから彼はふと考えた。あの若い男の人相や風体は巾着切りなどではないらしい。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「夜見たらそれ程でもなかつたが、昼間見ると実に
気障
(
きざ
)
な奴だね、さうしてどうだ、あの高慢ちきの
面
(
つら
)
は!」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
沢山の学生の中には、随分
気障
(
きざ
)
な男や、内攻的な打算家などもあって、私たち仲間ではいやな
奴
(
やつ
)
となっていた男でも、先生はよく親身になって面倒を見ておられた。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
上着の上の方のボタンをわざと外して、
気障
(
きざ
)
というより、にやけた気分をぷんぷんと発散させている。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
晩年の円朝にはそんな
気障
(
きざ
)
は微塵もなく、半白の頭髪を品よく分けて、色の浅黒い
粋
(
いき
)
な老人であった。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
最初は
気障
(
きざ
)
で、
見栄
(
みえ
)
を張つて居るやうに見えて嫌でしたが、今ではそんな気は少しもしません。何うも見栄ばかりではあんなに根よく本を持ち廻る事は出来ますまい。
芥川の印象
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
オヤ、
気障
(
きざ
)
な
言語
(
ふちょう
)
を知ってるな、大笑いだ。しかし、知れるかノというノの字で
打壊
(
ぶちこわ
)
しだあナ、チョタのガリスのおん
果
(
はて
)
とは誰が眼にも見えなくってどうするものか。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
満足
(
まんぞく
)
な
顔
(
かお
)
、
人
(
ひと
)
を
見下
(
みさげ
)
るような
様子
(
ようす
)
、
彼
(
かれ
)
を
呼
(
よ
)
んで
同僚
(
どうりょう
)
と
云
(
い
)
う
言
(
ことば
)
、
深
(
ふか
)
い
長靴
(
ながぐつ
)
、
此等
(
これら
)
は
皆
(
みな
)
気障
(
きざ
)
でならなかったが、
殊
(
こと
)
に
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
るのは、
彼
(
かれ
)
を
治療
(
ちりょう
)
することを
自分
(
じぶん
)
の
務
(
つとめ
)
として
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それを、顔を見るなり、死ぬんじゃありませんか、とはひどく
気障
(
きざ
)
っぽい言い方だし、それに失礼過ぎる。だが、そんな事をぼくに言わせたのは、その
女
(
ひと
)
の美しさなのだ。
ひとりすまう
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
夜になってから詩を吟じながらやって来るのは書生に違いないが、オヤおれの墓の前に立って月明りに字を読んで居やがるな。
気障
(
きざ
)
な墓だなんて独り言いって居やがらア。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「鈍重な癖に
気障
(
きざ
)
な男だから、どんな名乗りをあげるか知らないが、小山清って云うんだ。」
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
勤番ざむらいの、お世辞のような、
気障
(
きざ
)
けたっぷりのことを云って、杯をうける平馬は、お初のけものじみた慾念に燃える瞳に刺戟されて、顔中の筋肉を、妙に
硬
(
こわ
)
ばらせた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
しかるに、走り行く
此方
(
こなた
)
の車内では、税務署か
小林区
(
しょうりんく
)
署の小役人らしき
気障
(
きざ
)
男、洪水に悩める女の有様などを面白そうに
打
(
うち
)
眺めつつ、隣席の連れと
覚
(
お
)
ぼしき薄髭の痩男に向い
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
伝え聞くところに依ると漢文の小冊子で享保年間の刻になり、吉岡家の剣法を
気障
(
きざ
)
なほど称揚しているもので、内容には、九州の天流の名人浅山三徳という者を試合で殺伏し
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「つまり明智小五郎だね」なんて、いつもはこんな
気障
(
きざ
)
な言い方をする人ではないのだが。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その表情と態度とが何となく
気障
(
きざ
)
に見えたという点にも憤慨したらしかったが、傍でだまって聴いていた中年の男、いくらかやけ酒の勢いも手伝ったものか、突然怒鳴り出した。
震災後記
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「あんたは、じゃ今でも、
気障
(
きざ
)
な言葉だが、舞台の情熱をなくしたわけじゃないんだね」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
そして、それ位の金ならば、自分が
如何
(
どう
)
かしよう、と云つてから、だが、それは決してへんな野心からではない、唯見るに忍びないからだ、と
気障
(
きざ
)
つぽいことを附加へるのであつた。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
聞くところによれば、彼女の技量はかの大独奏者、クルチスをも
凌駕
(
りょうが
)
すると云われているが、それもあろうか演奏中の態度にも、
傲岸
(
ごうがん
)
な気魄と妙に
気障
(
きざ
)
な、誇張したところが
窺
(
うかが
)
われた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼は
気障
(
きざ
)
ではあるが思いの外キチンとした服装をしている
瘠
(
や
)
せ型の青年だった。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
吉右衛門
(
きちえもん
)
や
菊五郎
(
きくごろう
)
はどうも歌舞伎のオオソドックスに忠実だとはおもえません。まア
羽左衛門
(
うざえもん
)
あたりの
生世話
(
きぜわ
)
の風格ぐらいが——」など
愚
(
ぐ
)
にもつかぬ
気障
(
きざ
)
っぽいことを言っていると、
突然
(
とつぜん
)
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
なまじっか油絵の具を
捏
(
こ
)
ねた者は、変な
気障
(
きざ
)
さがあって困るって、ペンキ屋同士が云ってるだろう、だから、僕の事なンですか、僕の事なら僕へはっきり云って下さいって、云ってやったンだ。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
もちろん誰も、この芝居気たっぷりの
気障
(
きざ
)
な伯爵の言葉になぞ、乗ったわけではない。がヘンメル家と聞いた途端、
拳銃
(
ピストル
)
片手に思わず
旅行鞄
(
トランク
)
の中を
覗
(
のぞ
)
き込んだ。ゴンザレツが
三鞭
(
シャンペン
)
を
酌
(
つ
)
いで廻る。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
障
常用漢字
小6
部首:⾩
14画
“気障”で始まる語句
気障気
気障男
気障説
気障野目明