所有しよいう)” の例文
門口かどぐちだれ所有しよいうともかないやなぎが一ぽんあつて、ながえだほとんのきさはりさうにかぜかれるさま宗助そうすけた。には東京とうきやうちがつて、すこしはとゝのつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
貧乏びんばふ百姓ひやくしやうはいつでもつちにくつゝいて食料しよくれうることにばかり腐心ふしんしてるにもかゝはらず、作物さくもつたはらになればすで大部分だいぶぶん彼等かれら所有しよいうではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もつとも、わたしちゝはじちひさな士族しぞくとして、家屋かをくと、宅地たくちと、周圍しうゐすこしのやまと、金祿公債證書きんろくこうさいしようしよなんゑんかを所有しよいうしてゐたが、わたし家督かとく相續さうぞくしたころには
さうして以前いぜんから所有しよいう政府せいふ日本銀行にほんぎんかうぶんくはへると三億圓おくゑん在外正貨ざいぐわいせいくわ蓄積ちくせきすることが出來できたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
みぎぢくになつてりますが、三遊亭いうてい共有物きよういうぶつとして、円朝わたくし門弟共もんていどもはうあづけておきましたけれども、これ河竹黙阿弥翁かはたけもくあみをう所有しよいうされてたのを、円朝わたくしもらけました。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
こぶしむねつていのるかとおもへば、すぐゆびあな穿つたりしてゐる。これ猶太人ジウのモイセイカともので、二十年計ねんばかまへ自分じぶん所有しよいう帽子製造場ばうしせいざうばけたときに、發狂はつきやうしたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
成程なるほど一旦いつたんひと所有しよいうしたものは、たとひもと自分じぶんのであつたにしろ、かつたにしろ、其所そこめたところで、實際上じつさいじやうにはなん効果かうくわもないはなしちがひなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だからわたし其時そのとき日本國民にほんこくみんとして所有しよいうするものは、わづかの家具かぐと、わづかのほんと、わづかの衣服類いふくるゐとにぎなかつた。そしてわづかに文筆勞働ぶんぴつらうどうつて衣食いしよくするのであつた。
したがつてそれだけ丁度ちやうど日本にほん流通りうつうして通貨つうくわるのである。かねるとふことになると金利きんりあがり、さうして國民こくみん日常にちじやう所有しよいうして通貨つうくわるのであるから購賣力こうばいりよくる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
所有しよいうでありるのは作物さくもつもつはたつちつてあひだのみである。小作料こさくれうはらつてしまへばすでをつけられたみじか冬季とうきしのけのことがともすればやうやくのことである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
濱口内閣はまぐちないかく出來できた七ぐわつはじめには政府せいふ所有しよいう在外正貨ざいぐわいせいくわは六千萬圓まんゑんつてつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
たけつてるはやしかれ所有しよいうではないけれど、かれうして必要ひつえうたびごとひてはかくさないぬすみをあへてするのである。南瓜たうなすにはすみ粟幹あはがらかこうたかはやそばゑた。それからにはくりへもからませた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)