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彼女
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かれ
ふりがな文庫
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彼女
(
かれ
)” の例文
あらず、あらず、
彼女
(
かれ
)
は犬にかまれて
亡
(
う
)
せぬ、恐ろしき
報酬
(
むくい
)
を得たりと答えて十蔵は
哄然
(
こうぜん
)
と笑うその笑声は
街
(
ちまた
)
多き
陸
(
くが
)
のものにあらず。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
驚いて
其
(
その
)
仔細を
訊
(
ただ
)
したが、
彼女
(
かれ
)
は何にも答えなかった。赤児は恐らく重蔵の
胤
(
たね
)
であろうと思われるが、男の
生死
(
しょうし
)
は一切不明であった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
消えんとしたる
彼女
(
かれ
)
が玉の緒を一たびつなぎ留め、九月
初旬
(
はじめ
)
より浪子は幾と看護婦を伴のうて再び逗子の
別墅
(
べっしょ
)
に病を養えるなりき。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
母を喜ばしむ、
只
(
た
)
だ
前
(
ぜん
)
よりも一層真心を
籠
(
こ
)
めて
彼女
(
かれ
)
を慰め、彼女を
奨
(
はげ
)
まし、唯一の
楯
(
たて
)
となりて彼女を保護するものは剛一なりける
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
然ればと云つて
彼女
(
かれ
)
に常識の缺けて居る所でもあるかといふと、それは全然ちがひで、物ごとのよく解りのいい立派な頭を有つて居るのだ。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
▼ もっと見る
小さな波をつくって湯がうごくと、底に立っている
彼女
(
かれ
)
の足が、くの字を幾つもつづけたように、ゆら、ゆらと
砕
(
くだ
)
け揺れる。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
又は
彼女
(
かれ
)
が云うように、国や命を賭けた戦を、
彼女
(
かれ
)
の命で裁かれたのか、歴然と一方に事実として照し出されたのではあるまいかと思うのである。
印象:九月の帝国劇場
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
まち
子
(
こ
)
の
夫
(
をつと
)
の
末男
(
すゑを
)
は、
偶然
(
ぐうぜん
)
にも
彼女
(
かれ
)
とおなじ
北海道
(
ほくかいだう
)
に
生
(
うま
)
れた
男
(
をとこ
)
であつた。
彼女
(
かれ
)
はそれを
不思議
(
ふしぎ
)
な
奇遇
(
きぐう
)
のやうに
喜
(
よろこ
)
んだ。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
一度脳を
患
(
わずら
)
ったりなどしてから、気に
引立
(
ひったち
)
がなくなって、
温順
(
おとな
)
しい一方なのが、
彼女
(
かれ
)
には
不憫
(
ふびん
)
でならなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もうもう
彼女
(
かれ
)
のことは思い切っているのにと
自
(
みず
)
から心を
励
(
はげ
)
ますけれど、熱い涙が知らずにぽたぽたと落ちる。物の哀れはこれよりぞ知るとよく言ったものだ。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
撰
(
え
)
りに
撰
(
え
)
りて
取
(
と
)
る
虫喰栗
(
むしくひぐり
)
も
世
(
よ
)
には
多
(
おほ
)
かり、
藻
(
も
)
くずに
埋
(
うづ
)
もるゝ
美玉
(
びぎよく
)
又
(
また
)
なからずや、
哀
(
あわれ
)
この
願
(
ねが
)
ひ
許容
(
きよよう
)
ありて、
彼女
(
かれ
)
が
素性
(
すじやう
)
問
(
と
)
ひ
定
(
さだ
)
め
給
(
たま
)
はりたし、
曲
(
まが
)
りし
刀尺
(
さし
)
に
直
(
すぐ
)
なる
物
(
もの
)
はかり
難
(
がた
)
く
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして
彼女
(
かれ
)
はやはり電燈の下で、そのくろずんだ姿をいつまでも凝然と座らせていた。
しゃりこうべ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
床中
(
しょうちゅう
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
してこの事を知った娘の心は
如何
(
どう
)
であったろう、
彼女
(
かれ
)
はこれを
聞
(
きい
)
てから
病
(
やまい
)
も
一
(
ひと
)
きわ
重
(
おも
)
って、忘れもしない明治三十八年八月二十一日の夜というに、
終
(
つい
)
にこの薄命な女は
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
凧の絲の鋭い上にも鋭いやうに
瀝青
(
チヤン
)
の製造に餘念もなかつた時、
彼女
(
かれ
)
は恐ろしさうに入つて來た、さうして顫へてる私に、Tonka John.
汝
(
おまへ
)
のお
母
(
つか
)
さんは
眞實
(
ほんと
)
のお母さんかろ
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
もし
彼女
(
かれ
)
西にあらば、もし
彼女
(
かれ
)
ひがしにあらば、あるいは北か南にあらば
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
年の暮に弟の友達と自分の
知人
(
しりびと
)
を新年の歌留多会へ招待することを姉弟して相談した上で客の
顔振
(
かおぶれ
)
も確定したのだけ記してあったが、僕は善太郎の学友の名を暗記しておいた、
彼女
(
かれ
)
は義父の圧迫や
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
火の手がドッと燃え上がり、全く
彼女
(
かれ
)
を包んだ時、
彼女
(
かれ
)
の叫びは絶えたそうである。そうしてその火が消えた時、真っ黒に焼けた
彼女
(
かれ
)
の躰が、黒い夜空を背景にして突っ立っていたということである。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、
彼女
(
かれ
)
は
氣
(
き
)
を
揉
(
も
)
んで
問
(
と
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
かくうらむ
彼女
(
かれ
)
は「人妻」
人妻
(新字旧仮名)
/
渡久山水鳴
(著)
けれども、
彼女
(
かれ
)
も若い娘である。
流石
(
さすが
)
に胸一杯の嫉妬と
怨恨
(
うらみ
)
とを
明白地
(
あからさま
)
には
打出
(
うちだ
)
し兼ねて、
先
(
ま
)
ず遠廻しに市郎を責めているのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
けれど
彼女
(
かれ
)
は千円近くの借金を
背負
(
しよ
)
つてるのでと
悶
(
もだ
)
へますから、何を言ふのだ、霊魂を束縛する繩が何処に在ると励ましたのです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
病やや
間
(
かん
)
になりて、ほのかに武男の消息を聞くに及びて、いよいよその信に印
捺
(
お
)
されたる
心地
(
ここち
)
して、
彼女
(
かれ
)
はいささか慰められつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
イヤ
事實
(
まつたく
)
だよ。それも君、
全然
(
まるつきり
)
彼女
(
かれ
)
は平氣なんだから驚くぢやないか。幾ら士族の家だつたからつて、ああまで專制政治を振り𢌞されちや叶はん。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
蒼
(
あお
)
い顔を極度に緊張させて、惣七と磯五を、いそがしく見くらべていた。
彼女
(
かれ
)
はまだ、真昼の悪夢からさめきらぬ思いがしているに相違なかった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして
彼
(
かれ
)
と
彼女
(
かれ
)
とは、
子供
(
こども
)
を
抱
(
だ
)
いて
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
るのであつた。けれども、どこと
云
(
い
)
つてあてもないので、
二人
(
ふたり
)
はやはり
電車
(
でんしや
)
にのつて
銀座
(
ぎんざ
)
に
出
(
で
)
てしまつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
二郎はわれを導きてその
船室
(
ケビン
)
に至り、
貴嬢
(
きみ
)
の写真取り出して写真掛けなるわが写真の下にはさみ、われを顧みてほほえみつ、
彼女
(
かれ
)
またわれらの中に帰り来たりぬといえり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼女
(
かれ
)
の名は「しろき手」と名づけられ、うつくしき
王侯
(
きみ
)
たちをすべ治む
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
私はよく
彼女
(
かれ
)
と
外目
(
ほかめ
)
の母の家に行つては何時も長々と滞留した。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼女
(
かれ
)
もいつか
蒲団
(
ふとん
)
を
引被
(
ひっかつ
)
いで寝ていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、
彼女
(
かれ
)
は
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んで
問
(
と
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
裏の
溝川
(
どぶがわ
)
で秋の
蛙
(
かわず
)
が枯れがれに鳴いているのを、お
染
(
そめ
)
は寂しい心持ちで聴いていた。ことし十七の
彼女
(
かれ
)
は今夜が勤めの第一夜であった。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
梅子は大和に導かれて篠田の室に入り来りぬ、肉やゝ落ちて色さへ
甚
(
いた
)
く衰へて見ゆ、
彼女
(
かれ
)
は言葉は無くて
只
(
た
)
だ
慇懃
(
いんぎん
)
に
頭
(
かしら
)
を下げぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
されど母はわが名によって
彼女
(
かれ
)
を離別し、
彼女
(
かれ
)
が父は
彼女
(
かれ
)
に代わって
彼女
(
かれ
)
を引き取りぬ。世間の前に二人が間は絶えたるなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして愚にもつかぬ事を取つ捉へてあの爺さんが無茶苦茶に呶鳴り立てて
終
(
つひ
)
には
打抛
(
ぶんなぐ
)
る。然るに矢張り
彼女
(
かれ
)
は大平氣さ。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
『えゝ。』と、まち
子
(
こ
)
は
笑
(
わら
)
ひながら
答
(
こた
)
えたが、
彼女
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
昔淋
(
むかしさび
)
しい
少女時代
(
せうぢよじだい
)
のことは
話
(
はな
)
さなかつた。そして
氣
(
き
)
がついたやうに、また
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
をのぞいた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
彼女
(
かれ
)
は、いかにしても拒みとおすのみか、日夜良人を慕って泣く加世の純真な姿に、おれは、おれは、長らく求めてえなんだほんとうの女を見たのだ——加世だけはこのおれを
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今日汽車の内なる
彼女
(
かれ
)
の
苦悩
(
くるしみ
)
は見るに忍びざりき、かく言いて二郎は
眉
(
まゆ
)
をひそめ、杯をわれにすすめぬ。
泡立
(
あわた
)
つ杯は月の光に凝りて
琥珀
(
こはく
)
の
珠
(
たま
)
のようなり。二郎もわれもすでに耳熱し気
昂
(
あが
)
れり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼女
(
かれ
)
は山の上の牝鹿のごとき大なる目を持つ、
彼女
(
かれ
)
はあたたかく優し
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
私はよく
彼女
(
かれ
)
と
外目
(
ほかめ
)
の母の家に行つては
何時
(
いつ
)
も長長と滯留した。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼女
(
かれ
)
は
寝衣
(
ねまき
)
の袂で首筋のあたりを拭きながら、腹這いになって
枕辺
(
まくらもと
)
の
行燈
(
あんどう
)
の
微
(
かすか
)
な
灯
(
ほ
)
かげを仰いだ時に、廊下を踏む足音が低くひびいた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女
(
かれ
)
は初めはどうしても誰の子であると言はなかつたさうだが、幾月も
經
(
た
)
つてからとうとう打明けて了つたといふ。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
岸の岩に
項
(
うなじ
)
を預けて、
彼女
(
かれ
)
は深く湯に浸かっている。十九の
処女
(
おとめ
)
の裸形は、白く、青く湯のなかに伸びて、桜貝を並べたような足の爪だ。小さな花びらが流れ付いたと見える乳首である。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お熊の魂はその涙を伝わってお菊の胸に流れ込んだらしく、
彼女
(
かれ
)
は物に憑かれたように、身を顫わせて、若いお内儀さんの手を握った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女
(
かれ
)
は、われにもなく眼を
外向
(
そむ
)
けながら
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
𤢖の一件が
意
(
き
)
にかかるのと、二つには何と無しに
此地
(
こっち
)
の方へ足が向いたと云うに過ぎないのである。けれども、
彼女
(
かれ
)
は酔っていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お身が河原で玉藻にめぐり逢うたのは、
彼女
(
かれ
)
が法性寺詣での戻り路であった。左少弁兼輔の案内で、阿闍梨は玉藻に面会せられた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女
(
かれ
)
の痩せた肩が
微
(
かすか
)
におののく度に、行燈の弱い灯も顫えるようにちらちらと揺れて、眉の痕のまだ青い女房の横顔を仄白く照していた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
多年馴れているので、
彼女
(
かれ
)
は別にこの怪物を恐れてもいなかったが、きょうはその様子がふだんと変っているのに気がついた。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かの
御仁
(
ごじん
)
も天文人相に詳しいので、とかくに
彼女
(
かれ
)
を疑うて、さきの日わしに行き逢うた折りにもひそかに囁かれたことがある。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
暗い夜を好み、暗い日を好み、家内でも薄暗いところを好むやうになると、当然の結果として
彼女
(
かれ
)
は
陰鬱
(
いんうつ
)
な人間となつた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“彼女”で始まる語句
彼女等
彼女達
彼女自身
彼女程