トップ
>
峨々
>
がが
ふりがな文庫
“
峨々
(
がが
)” の例文
クックの伝説からは、何だか
峨々
(
がが
)
たる高山のような感じを受けるが、ほんとうは、丸底の盆を伏せたような、だらだらの山である。
黒い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかも二人の立っている位置は、
前方
(
むこう
)
を見ても
峨々
(
がが
)
たる山、
後方
(
うしろ
)
を見ても聳える山、右も左も山と谷の、
荒涼寂寞
(
こうりょうせきばく
)
たる境地である。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
峨々
(
がが
)
たる
岩城
(
いわしろ
)
のこと……、また、そこに住む海賊
蘇古根
(
そこね
)
三人姉弟のこと……、さらに、その島を望んだヴィッス・ベーリング——
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
峨々
(
がが
)
として見える、まゆ墨色のかなたの山々が、三陸の海岸であろう。そして、日没の太陽は、朱を塗りつけるように、どろんと輝いた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
私たちはそのとき
峨々
(
がが
)
としてそびえ立つ岩の頂上にたどりついた。四、五分のあいだ老人はへとへとに疲れきって口もきけないようであった。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
▼ もっと見る
「またその身に
蘿
(
こけ
)
また
檜榲
(
ひすぎ
)
生
(
お
)
い」というのは熔岩流の表面の
峨々
(
がが
)
たる起伏の形容とも見られなくはない。「その長さ
谿
(
たに
)
八谷
(
やたに
)
峡
(
お
)
八尾
(
やお
)
をわたりて」
神話と地球物理学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
山頂はかなり高く
嶮
(
けわ
)
しく、最高二千七百尺はある。別名をこもりの松山ともいい、
宝寺
(
たからでら
)
の山ともいう。
峨々
(
がが
)
たる岩山で、全山、松の木が多い。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つれの夫人がちょっと道寄りをしたので、
銑太郎
(
せんたろう
)
は、
取附
(
とッつ
)
きに山門の
峨々
(
がが
)
と
聳
(
そび
)
えた。
巨刹
(
おおでら
)
の石段の前に立留まって、その出て来るのを待ち合せた。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四時不断の雪渓を抱擁する
峨々
(
がが
)
たる高峰もあれば、絶えず噴煙して時には灰を降らし熔岩を押流す活火山もある。
日本アルプスの五仙境
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
南をはるかに見下すと、果てしなく続く大洋が、漫々と水をたたえ、北は
峨々
(
がが
)
たる山岳から、ほとばしる滝のしぶきの白さが、目にしみるようであった。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
この空地の向側には、例の山の一つが立っていて、二つの奇怪な
峨々
(
がが
)
たる峯をぎらぎらと太陽に輝かせていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
道は
蜿々
(
えんえん
)
としてこの谷を通して北へ貫くのであって、隠れてまた見え出す。その大道の
彼方
(
かなた
)
を見ると、真白な山が、
峨々
(
がが
)
として、雪をいただいて
聳
(
そび
)
えている。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
峨々
(
がが
)
として雲に頂きをかくしているウェールズの山々。すべてが強い感興をそそるのだ。マージー河をさかのぼるとき、わたしは望遠鏡で海岸地帯を偵察した。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
其
蔭
(
かげ
)
に小さな小屋がけして、
杣
(
そま
)
が三人停車場改築工事の木材を
挽
(
ひ
)
いて居る。橋の
下手
(
しもて
)
には、青石
峨々
(
がが
)
たる
岬角
(
こうかく
)
が、橋の袂から
斜
(
はす
)
に川の方へ十五六間
突出
(
つきで
)
て居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
岳陰荘
(
がくいんそう
)
と呼び、灰色の壁に這い拡がった
蔦葛
(
つたかずら
)
の色も深々と、後方遙かに
峨々
(
がが
)
たる
剣丸尾
(
けんまるび
)
の怪異な熔岩台地を背負い、前方に山中湖を取
繞
(
めぐ
)
る鬱蒼たる樹海をひかえて
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
その部屋の飾りつけは、夜明けだか夕暮だか分らないけれど、
峨々
(
がが
)
たる
巌
(
いわお
)
を背にして、頭の丸い
地蔵菩薩
(
じぞうぼさつ
)
らしい像が五六体、同じように
合掌
(
がっしょう
)
をして、立ち並んでいた。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鬱蒼
(
うっそう
)
たる森林地帯を通り抜けると、
巌石
(
がんせき
)
峨々
(
がが
)
として半天に
聳
(
そび
)
ゆる崑崙山脈に
攀
(
よ
)
じ登って、お茶の樹を探しまわるのですが、崑崙山脈一帯に
叢生
(
そうせい
)
するお茶の樹というのは
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
また少しく
小高
(
こだか
)
い処は直ちに
峨々
(
がが
)
たる山岳の如く、
愛宕山
(
あたごやま
)
道灌山
(
どうかんやま
)
待乳山
(
まつちやま
)
なぞと呼ばれている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一了簡あり顔の政が
木遣
(
きやり
)
を丸めたような声しながら、北に
峨々
(
がが
)
たる
青山
(
せいざん
)
をと
異
(
おつ
)
なことを吐き出す勝手
三昧
(
ざんまい
)
、やっちゃもっちゃの末は
拳
(
けん
)
も下卑て、
乳房
(
ちち
)
の
脹
(
ふく
)
れた奴が臍の下に紙幕張るほどになれば
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたしはだいたいこういう景のところであろうとつねから考えていたのである。それは
峨々
(
がが
)
たる
峭壁
(
しょうへき
)
があったり岩を
噛
(
か
)
む
奔湍
(
ほんたん
)
があったりするいわゆる奇勝とか絶景とかの称にあたいする山水ではない。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あられうつ石
峨々
(
がが
)
として水急なり 霜磧
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そこは
峨々
(
がが
)
たる岩山で、所々に巨大な
窟
(
いわや
)
があった。その中の一つの千疋洞に
百地
(
ももち
)
三太夫と才蔵とが久しい前から住んでいるのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こは明らかに、渦巻の底の
峨々
(
がが
)
たる岩石より成り、そのあいだにこれらの木材のあちこちと旋転することを示すものなり。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
途中は
峨々
(
がが
)
たる岩山のせまい道ばかりだった。行くこと半途にして、その道も
重畳
(
ちょうじょう
)
たる柴や木材や車の山で
塞
(
ふさ
)
がっていた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
地質年代の昔から、氷に削られてきたこの岩山は、少し
円
(
まる
)
みを帯びていて、
峨々
(
がが
)
というべきものではない。
白い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
登れば白雪の峰
皓々
(
こうこう
)
として
聳
(
そび
)
え、下れば青山
峨々
(
がが
)
として懸崖へ連なる。
苔
(
こけ
)
の細道を
辿
(
たど
)
ってゆけば、嵐に吹き散る松の雪は梅花のように難行軍の一行の上にふりかかる。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
よし、その言い置いた通り
白根
(
しらね
)
の山ふところに入ったにしろ、そこでお君が兵馬に会えようとは思われず、いわんや、その道は、険山
峨々
(
がが
)
として鳥も通わぬところがある。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
旭岳に続く
峨々
(
がが
)
たる山脈に囲まれている一方に、前面は切立ったような、石狩本流の絶壁に
遮
(
さえぎ
)
られていて、人間
業
(
わざ
)
では容易に近付けない位置に在るので、ツイこの頃まで
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お妻の胸元を刺貫き——
洋刀
(
サアベル
)
か——はてな、そこまでは聞いておかない——返す刀で、
峨々
(
がが
)
たる
巌石
(
いわお
)
を
背
(
そびら
)
に、十文字の立ち腹を
掻切
(
かっき
)
って、
大蘇芳年
(
たいそよしとし
)
の筆の
冴
(
さえ
)
を見よ、描く処の
錦絵
(
にしきえ
)
のごとく
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雑草の中から、
覗
(
のぞ
)
いてみると、下は、関の
古跡
(
こせき
)
の裏街道、
峨々
(
がが
)
たる岩の根に添って、海のような竹林がつづいている。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の眼前に大岩が——大岩というより岩山が、高さ数十丈広さ数町、
峨々
(
がが
)
堂々
(
どうどう
)
として
聳
(
そび
)
えていたが、正面に一つの口があってそこから内へはいれるらしい。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女人を
誘拐
(
かどわか
)
す卑怯未練の賊僧はそれよ。容赦なく踏み込んで召捕れやつと大喝すれば、声を合せて配下の同心、雪を蹴立てゝ
勢
(
きお
)
ひかゝる。一方は
峨々
(
がが
)
たる絶壁半天に
懸
(
かか
)
れり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
後ろは
峨々
(
がが
)
たる地蔵、鳳凰、白根の連脈、それを背にして、お銀様の視線のじっと向うところは、富士でもなく、釜無でもなく、おのずから
金峯
(
きんぽう
)
の尖端が、もう雪をいただいて
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、三日、五日、六日、七日になっても、まだその二人は谷と谷を隔てている。!……も、——も、丶も、邪魔なようで
焦
(
じれ
)
ったい。が、しかしその一つ一つが、
峨々
(
がが
)
たる
巌
(
いわお
)
、
森
(
しん
)
とした
樹立
(
こだち
)
に見えた。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
辺土遠国を仮の
住家
(
すみか
)
として土民百姓の頭として、細々と成長致し候いしも、一陽来復、時節到来、平家一族追討の手始めとして義仲を
誅戮
(
ちゅうりく
)
してよりこの方、ある時は、
峨々
(
がが
)
たる岩石に、又ある時は
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
『それやそのはずだ。何しろあの
峨々
(
がが
)
たる大行山脈に住んでいるんだから、俺だって、かなり野性に返ったろうさ』
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肌は咲き初めた
紫陽花
(
あじさい
)
のように、濃い紺青や赤紫やまたは
瑠璃
(
るり
)
色やまたは
樺
(
かば
)
や、地味地層の
異
(
ちが
)
うに連れて所
斑
(
まだ
)
らに色も変わり諸所に
峨々
(
がが
)
たる巌も聳え曲がり
蜒
(
くね
)
った山骨さえ
露骨
(
あらわ
)
に
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すすきの茂る小野の
榛原
(
はいばら
)
。竜之助はともかくもその塚までかけつけて、眼の届く限りを見渡す。ただ
茫々
(
ぼうぼう
)
たる原野につづく密々たる深林と、遠くは
峨々
(
がが
)
たる山ばかり、人の
気配
(
けはい
)
は更にない。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
峨々
(
がが
)
たる山容は、登るほど
嶮
(
けわ
)
しくなり、雨の日に洗い流された道は、河底をなしている。万樹はあだかも
刀槍
(
とうそう
)
を植えたようで、
虎豹
(
こひょう
)
の
嘯
(
うそぶ
)
きを思わせる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の高山で習いました……武者修行の途中、あの山中で
峨々
(
がが
)
たる絶壁の丸木橋を渡りわずろうていると、そこへ目の見えない
按摩
(
あんま
)
が来て、スルスルと渡ってしまったのを見て、両眼があって
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その裏門を半町ほど行くと、大洋の浪岩を噛む、岩石
峨々
(
がが
)
たる海岸であり、海岸から見下ろした足もとには、小さな入江が出来ていた。入江の上に突き出しているのが、象ヶ鼻という
大磐石
(
だいばんじゃく
)
であった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
またも片手に
水火棍
(
すいかこん
)
(三尺の警棒)をひッ提げ、林冲の背をしッぱだき、しッぱだき、
峨々
(
がが
)
たる山影の遠き
滄州
(
そうしゅう
)
の長途へ、いよいよ腹をきめて立っていった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
峨々
(
がが
)
たる山が、道の両わきに、鉄門のように
聳
(
そび
)
えている。そこを突破すれば、高地の沢から、山地一帯の敵へ肉薄できるのだが、そこまでが、近づけないのだった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
麦城の北に連なる
峨々
(
がが
)
たる峰の背さえ越えれば、道は蜀に通じ、身は呉の包囲の外に立つ。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時は
冱寒
(
ごかん
)
の真冬、天下に聞ゆる陳倉道(
沔県
(
べんけん
)
の東北二十里)の
嶮
(
けん
)
と、四山の
峨々
(
がが
)
は、万丈の白雪につつまれ、眉も息も
凍
(
い
)
てつき、馬の手綱も氷の棒になるような寒さであった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はや
葫芦谷
(
ころこく
)
の特徴ある
峨々
(
がが
)
たる峰々も間近に見えた。魏延は敗走する兵を立て直すと、ふたたび
鼓躁
(
こそう
)
を盛り返して抗戦して来た。そしてその度に、若干の損害を捨てては逃げた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこの守備が堅いかぎり笠置は
不落
(
ふらく
)
といっていい。北も東も、絶壁だった。切り
削
(
そ
)
いだような岩石の
峨々
(
がが
)
たる下は木津川や
布目川
(
ぬのめがわ
)
の急流だ。しょせん
甲冑
(
かっちゅう
)
では取りつきようもなく
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瑞龍山
(
ずいりゅうざん
)
一帯、
巌石
(
がんせき
)
の
峨々
(
がが
)
たる山なので、清水のわき出ている場所は極めて少ない。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かすみの上に、妙義の山の
峨々
(
がが
)
とした影が、
淡
(
うす
)
むらさきに眺められた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はじめて
麓
(
ふもと
)
から山を見あげて見たが、
峨々
(
がが
)
たる
岩脈
(
がんみゃく
)
と
雲
(
くも
)
のような
樹林
(
じゅりん
)
の高さを
仰
(
あお
)
ぎうるばかりで、
城
(
しろ
)
らしい
石垣
(
いしがき
)
も見えず、まして、ここに千も二千もの人数が、立てこもっているとは思われないほど
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
峨
漢検準1級
部首:⼭
10画
々
3画
“峨々”で始まる語句
峨々累々