周旋しうせん)” の例文
みゝづくでしよくろんずるあんまは、容體ようだい倨然きよぜんとして、金貸かねかしるゐして、借家しやくや周旋しうせん強要きやうえうする……どうやら小金こがねでその新築しんちくをしたらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
周旋しうせんすべし依て千兩は千石の御墨附おすみつきと御引替にくだおかるべしとかたらうに兩人とも昨日の動靜やうす安堵あんどしければこの事を所々へ取持たれば其を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
〔譯〕孟子讀書を以て尚友しやういうと爲す。故に經籍けいせきを讀む、即ち是れ嚴師げんし父兄の訓を聽くなり。史子しゝを讀む、亦即ち明君賢相英雄豪傑と相周旋しうせんするなり。
勘次かんじさんどうしたい、えゝ鹽梅あんべえのがんだがあとつてもよかねえかえ」とかれ女房にようばう周旋しうせんしようといふものはおしなんでからもなくいくらもあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
曾ておきみを信州上田のM樓へ周旋しうせんした大阪屋といふ口入屋の手に渡されたこと、今はその家に監禁かんきんされてゐること、だが周三がそこへ訪ねて來ることは
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
兼吉の老母、お花、書生の大和などしきりと其間を周旋しうせんしつゝあり、小急ぎにおとなひ来れるは渡辺の老女なり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
十一ぐわつの二十八にち旦那だんなさまお誕生日たんぜうびなりければ、年毎としごと友達ともだち方々かた/″\まねまいらせて、周旋しうせんはそんじよしやうつくしきをりぬき、珍味ちんみ佳肴かこううちとけの大愉快おほゆくわいつくさせたまへば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
翌日あくるひ宗助そうすけ役所やくしよて、同僚どうれう誰彼だれかれこのはなしをした。するとみなまをあはせたやうに、それぢやないとつた。けれどもだれ自分じぶん周旋しうせんして、相當さうたう賣拂うりはらつてやらうとふものはなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しか其麽そんなはなしをしてかせる人々ひと/″\勘次かんじひど貧乏びんばふなのと、二人ふたりるのとで到底たうてい後妻ごさいつかれないといふ見越みこしさきつて、心底しんそこから周旋しうせんようといふのではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見送りて御兩親とも御無事にとたがひにあと言葉ことばなくわかるゝ親子が心のうち推量おしはかられてあはれなり因て世話人利兵衞も深切者しんせつものゆゑ世話料せわれう判代等はんだいとう一錢も取ず實意じつい周旋しうせんに及びけるとなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このをとこ書畫しよぐわ骨董こつとうみちあかるいとかいふので、平生へいぜいそんなものの賣買ばいばい周旋しうせんをして諸方しよはう出入でいりするさうであつたが、すぐさま叔父をぢ依頼いらいけて、だれそれがしなにしいとふから、一寸ちよつと拜見はいけんとか
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まだそれほどふかくもなしおむかひもいままゐらんゆるりなされと好遇もてなさるゝほど猶更なほさらどくがたくなりて何時いつまでちてもえませねばはゞかりながらくるまひとねがひたしと婢女はしため周旋しうせんのほどたのればそれはなん造作ざうさもなきことなれどつひちがひにおむかひのまゐるまじともまをされず今少いますこしおまちなされてはと澁々しぶ/\にいふは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御世に出したし夫には少し入用もあり何卒なにとぞ貴殿きでん周旋しうせんにて金子の御口入くちいれあひ成まじきやと餘儀よぎもなくたのみければ肥前はなれば拙者せつしやには多分の儀は出來かねれど少々は工夫くふうせんと聞て兩人は大によろこびいよ/\金子御調達下てうだつくださるれば天一坊樣江戸表にて御親子しんし對顏たいがん相濟あひすみなば當明神を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)