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實意
見送りて御兩親とも御無事にと
互ひに
後は
言葉なく
別るゝ親子が心の
中推量られて
哀れなり因て世話人利兵衞も
深切者ゆゑ
世話料判代等一錢も取ず
實意に
周旋に及びけるとなり
縊殺したるは全く
實意よりなせし
過りにして自ら訴へ出御
仕置を
實意の吟味に之なき段申聞ると雖も
左右立腹仕まつり私し九助へ
荷擔致し
贔屓の樣にも申され
迷惑に付上役の儀ゆゑ
餘儀なく其
儘申通りに仕つり候と申ければ大岡殿夫は
矢張其方共が
不詮議なり左程に思はば
何故重役に訴へぬぞ
假令頭たり共
趣意に違ふことありと知つゝ重役へも訴へぬは